ROCKHURRAH紋章学 ブック・デザイン編 1

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【シンプルでオシャレなデザインがいっぱい!】

SNAKEPIPE WROTE:

最近は通勤時間が短くなったこともあり、なかなか読書の時間が取れなくなっている。
かつては片道の通勤時間が約1時間あり、ハードカバーの重たい本を持ち歩いていたことを思い出す。
読書家というには程遠い読書量だったけれど、毎日2時間本を読む時間があったことは、その後のSNAKEPIPEに大きな影響を与えたことは間違いないだろう。(おおげさ)
今はスマートフォンで本が読めるので、重たい本を持ち歩かなくても読書ができる。
でも本当は紙の手触りや匂い、ページをめくる感覚が好きなんだよね。
本屋さんが閉店するニュースを耳にすると悲しくなっちゃうし。
図書館や本屋さんでの運命的な本の出会いは忘れたくないし、これからも期待している。
本の楽しみは内容だけではなくて、レコードのジャケ買いならぬ、ブック・カバー・デザインの一目惚れもあるよね。
今回の「ROCKHURRAH紋章学」は秀逸なブック・カバーを特集してみようかな。
パッと目につき、思わず手にとってしまうデザイン、早速紹介していこう!
この特集に関しては、著作に関して充分な調査をした上で記事にしているわけではないことを最初にお断りさせて頂くよ。
あくまでもブック・カバー・デザインとして書いているので、タイトルから想像した文章を書き綴っていく予定。(笑)

今回は色数が少なくて、シンプルだけれどインパクトが強い作品を選んでみた。
最初はCAROLYN WELLSの「DE DREMPEL MOORDEN」、1931年の作品だよ!
キャロライン・ウェルズということは著者は女性ということね?
どうやらオランダ語のようなんだけど、タイトルを訳してみると「しきい値を殺す」になるらしい。
キャロライン・ウェルズはアメリカ人なので、これは恐らくオランダ語に訳されて出版された本なんだろうね?
オランダ語を訳しても全く意味不明なので、勝手に想像してみようか。(笑)
1階で格闘の末、心臓にナイフを刺された男は、地下室に向かう階段の途中で今にも息を引き取ろうとしているようである。
白・黒・赤の3色だけで小説の一端を表現した秀逸な作品だよね!
勝手に想像すると、この後男は生き返り、自分を死の淵に追いやった犯人への復讐を誓うストーリーではないかと想像する。
もちろん男は白髪になっているだろうね!(笑)

次は有名な「フランケンシュタイン」ね!
ご存知の方も多いと思うけど、「フランケンシュタイン」はメアリー・シェリーが1818年に発表した作品ね。
1931年に映画化されたことで、皮膚に糸の縫い目がある大男のイメージが定着したという。
右の画像も、映画のイメージを使用しているようだよね?
白・黒・緑という3色だけで怪物の不気味さと悲しみが上手く表現されているよ。
指の曲がり具合が最初の作品に似ていること、作者がどちらも女性という共通点を見出してしまったSNAKEPIPE。
20世紀初頭にホラーやミステリー小説の分野で、女性が活躍していたことに驚いてしまう。
ちゃんと調べたわけじゃないけど、意外と女性が蔑視されていなかったのかもしれないね?

「フランケンシュタイン」と題材が近いようなタイトルを発見したよ。 
「ANOTOMY OF A MURDER」 ROBERT TRAVERが書いた1958年の小説ね。
直訳すると「殺人の解体」だって?
このブック・カバーの下部に小説の紹介文が書かれているね。
「高等裁判所判事によって書かれた殺人裁判の背後にある情熱」とのこと。
実際の事件について書いているものみたいだね。
白・黒・オリーブの3色しか使用していないけれど、ちょっとコミカルにバラバラになった人体が逆に残酷さを増しているように感じる。
どうやら映画化もされているようで、裁判物のミステリーでは有名な作品みたいだね。
調べてみたら映画のオープニングシーンを発見したので、載せておこうか。

ブック・カバー・デザインと同じでオシャレ!(笑)
邦題は「或る殺人」(原題:Anatomy of a Murder) で1959年公開とのこと。
ジェームズ・ステュアート主演だって。
50年代の映画はほとんど知らないので、いつか鑑賞してみたいな。 

このデザインも良いなあ!
「The Nose On My Face」はLaurence Payne作1961年の小説ね。
どうやらスコットランドヤードの刑事Sam Birkettシリーズの1作目とのこと。
クライム物だと一目で分かる明瞭さが潔い!
9マスに緑と黒の2色だけを使用したシンプルなデザインなのに、なんとなくイメージが湧いてくるもんね。(笑)
ピストル、指示を出す上司、悪者のボス、流れる血、逃げる犯人って感じか?
それにしても「俺の顔にある鼻」ってタイトル、どういうことなんだろうね。
イギリス人にとって鼻をいうのが、どういう意味なのか知らないよ。
例えば日本だったら「鼻をつまむ」「鼻が曲がる」のように、あまり良い意味では使われることがないパーツだけど、世界的にはどうなんだろう。
調べてみるのも面白いかもしれないね? 

「Bill,the Galatic Hero」はHarry Harrinsonの1965年のSF小説だよ!
黒とピンク、紫と白の4色だけを使用しているにもかかわらず、ショッキングピンク色が強いので、非常にインパクトがあるよね。
銀河のヒーローと呼ぶのにふさわしく、まるで宇宙空間を闊歩しているように見える大胆な構図。
物語のあらすじを調べてみると、かなり荒唐無稽で面白そうなんだよね。
日本では「宇宙兵ブルース」として出版されていたみたい。
ハリイ・ハリソンは映画「ソイレント・グリーン」の元ネタの原作者でもあるという。
チャールトン・ヘストン主演で未来の食料品が枯渇した世界を描いた映画は、実際にそんな日が来るのではないかと思うほど怖かったよ。
今回紹介した「宇宙兵ブルース」も映画化されていることを知り驚いた。
監督はなんと「ストレイト・トゥ・ヘル」や「レポマン」でお馴染みのアレックス・コックス!
映画化されたのが2014年だというから、今から5年前なんだよね。
50年以上前の原作の映画化とは!

アレックス・コックスが最近でも映画を撮っていたことに驚いてしまったよ。
日本での公開はなかったのかな。

「All in The Racket」はWilliam E. Weeksによって1930年に書かれた本ね。
30年代にこのデザインセンスとは驚いてしまうよ。
タイトルを直訳すると「ラケットの中にあるすべて」?
ラケットはテニスやバドミントンで使う以外に、名詞で苦難や試練といった意味もあるようなので、恐らくこの本では「苦難のすべて」のような訳なのかもしれないな。
ロープが体にまきつき、がんじがらめになったせいで、抵抗することすら諦めてしまったような人物が描かれているよね。
自己啓発本の一種かもしれない、と勝手に想像するよ。
目に留まるデザインだけど、この本を手に取って、レジに向かうのは勇気がいるだろうな。(笑)

巨大なアリ!
古代人が着ているような服装をしたヒゲの男が驚いているようにみえる。
まるで版画のようなブック・カバー・デザインだけど、一体何語なんだろうね?
調べてみると、「Niezwykle Przezycia Doktora Dumczewa」は直訳すると「Dumczewa博士の異常に良い生活」だって。意味不明だね?
本の内容は「200分の1となって昆虫の世界に侵入した学者の冒険物語」とのこと。
1962年に刊行されているというので、「ミクロの決死圏」(原題:Fantastic Voyage 1966年)よりも早いことになるね。
オレンジとグレー、黒と白だけで本の内容を上手く伝えているデザイン。
絵本の表紙にしても良い雰囲気だよね!
ポーランド文学は殆ど知らないので、読んでみたいな。

「Self and Others」、自己と他者だね。
 イギリスの精神科医であるR.D.レインが1959年に発表した研究論文のようだね。
この本は違うブック・カバー・デザインだったら日本でも手にはいるみたい。
「 人間と人間との間で演じられる相互作用におけるもっとも基本的でもっとも微妙な「自己と他者」の関係を、著者は電子顕微鏡を透して見るように強拡大して見せる。
人間関係のからみあいを凝視して、螺旋的で錯綜したドラマを図式化し展開する。(Amazon販売ページより)

円だけを描いたデザインだけれど、本の内容をわかりやすく伝えることに成功しているよね。
単なる円だとあなどれないところがすごいと思う。
これぞ究極のシンプルさだよね。 

最後はこちら!
4冊分をまとめて紹介してみたよ。
まるで式神のような人型が登場する犯罪小説のブック・カバー・デザイン。
これはイギリスの出版社であるペンギン・グループが、「グリーン・ペンギン」としてシリーズ化しているデザインのようなんだよね。
黒・緑・白の3色だけで繰り広げられる世界は、見ているだけでワクワクしちゃう!
まるで記号のように単純化しているのに、一瞬のうちに状況説明できている秀逸さには脱帽だよ。
「野良猫の死」「棺を抱えて」「後幕」「バスマンの新婚旅行」という思わせぶりなタイトルが並んでいるよね。
内容は不明だけど、このブック・カバー・デザインを見ただけで購入意欲が湧いてくるのは間違いないよ。
こんなにデザイン的に優れている本だったら、読まなくても飾っておきたくなるくらいだもんね。(笑)

今回は色数が少なめのブック・カバー・デザインを集めてみたよ。
ヴィンテージと言って良い1960年代以前の物がほとんどだったのは、ROCKHURRAH RECORDSの好みの問題かもしれないね。
ヴィンテージ・デザインにはカッコ良いものが多すぎて、目移りしてしまうほどだった。
とても1回ではまとめきれなかったので、また別の機会に特集してみたいと思う。
温故知新の旅、次回もお楽しみに!(笑)

ニッチ用美術館 第4回

【音楽とアートの狭間を埋める連載記事、久々の第四弾!】

ROCKHURRAH WROTE:

2017年の春から始めたシリーズ企画「ニッチ用美術館」なんだが、トップ画像を動画にするのがちょっと面倒な事もあって、なかなか新しい記事が書けないでいた。要するに記事の下準備に時間がかかるってわけね。

ちなみにタイトル見ればあのTV番組のパロディなのはすぐにわかるが、何でニッチなの?という説明が毎回必要なのがさらに難点。 まあ前回までの記事の冒頭にしつこく説明が書いてあるので律儀に読んでもらえればウチの方針もわかるだろう。
で、やってる事はROCKHURRAHの得意分野、70年代パンクや80年代ニュー・ウェイブの時代のレコード・ジャケットを展示して、それをアート的視点から語ってみようという試み。しかし語るほどアート界に詳しくないというパラドックスに満ち溢れた記事になっていて、何だかよくわからん趣向になってるな。これがROCKHURRAHの底の浅いところ。

今回はちょっと趣向を変えて、ウチのブログでも話題の「バッドアート展」風にしてみようと思う。
年末にSNAKEPIPEと2人で東京ドームシティまで行って観てきたんだが、それより前からウチでは注目していた美術館なんだよね(この記事)。 
要するに大真面目に美術的制作を行った結果、ちょっと方向性を間違えてしまったようなアートの事なんだけど、ROCKHURRAHが大好きな70〜80年代のパンクやニューウェイブにもその手のジャケット・アートが存在してるはず。ウケ狙いとか笑わせようとして、というのとは違うしアートの分野で語る以前のものも多かったから選考も難しかったが、とりあえず膨大な数のレコードを検索して集めてみたよ。 
バッドアートかどうかの判断は感覚的なものだろうから誰でも理解出来るというわけじゃないけど、いわゆる爆笑ジャケットというのではないから期待しないでね。
では時間もあまりない事だし、早速第4回目の展示を見てみるか。
尚、今回はジャケットのレコードに収録されているトラックと動画が一致してない場合があるけど、マイナー=動画が少ないのが多いから仕方ないと思ってね。 

ROOM 1 廻天の美学 

廻天とは「物や人を満足できる状態に回復する行為」だそうだが、一般的な人はたぶん一生のうちに使う機会はない言葉だと思う。
ROCKHURRAHが知らないだけで、どこかの業界では常識的に使うのかも知れないが。

何でこのジャケットに廻天なのかと言うとこのバンド名にある。
Wirtschaftswunder は前にも何度かウチのブログでも書いたけど80年代ドイツのニュー・ウェイブ(ノイエ・ドイッチェ・ヴェレ)のバンド。「読めん」という特集で書いた通り単語を目の前にしてもちょっと考え込んでしまうが、ヴィルツシャフツヴンダーとは「経済の奇跡」と訳されるのだ。この言葉がひとつの単語になってるだけでもドイツ語、すごいと思ってしまうけどね。
「第二次世界大戦後の西ドイツとオーストリアにおける、社会的市場経済に基づくオルド自由主義を採用した経済の、急速な再建と成長を誇張した表現である。(Weblioより)」などと書かれててもよくわからないが、それをバンド名にした意図も不明。
戦争に負けても早く復興したドイツ国民のパワーというような意味合いなのかな?

それはともかくこのジャケット、しょっぱなからひどすぎるな。
ROCKHURRAHが大昔に書いた記事には載せてなかったけど、売る気があって採用したジャケットとは思えないよ。
四人並んでるからメンバーなんだろうけど全員口からびよーんと伸ばしてるのは何?何かくわえてるのか?色も品がないしこれをジャケ買いする人は滅多にいないと思える。
ドイツの変な大御所デア・プランが主宰していたワーニング・レーベル、これが名を変えノイエ・ドイッチェ・ヴェレの名門アタタック・レーベルになるんだけど、そこから1980年にデビューしたのがヴィルツシャフツヴンダーだ。
ROCKHURRAHは早くからノイエ・ドイッチェ・ヴェレに興味を持ってたからこのシングルを中古レコード屋のワゴンセール、たぶん50円か100円くらいで買った時には心の中で快哉を叫んだものだ。
まあ何も知らずにワゴンセール担当になったらこのジャケットならそのくらいの価格にしてしまうのも無理ないなあ。

割と奇抜なバンドがひしめいていたこのジャンルでも、かなり変でエキセントリックなパフォーマンスを得意とするバンド。
上に挙げたジャケットのシングル曲ではないけど、どういうバンドなのかわかりやすいと思ってこの動画にしてみたよ。
YouTubeとかの動画サイトが発達したから今は軽く観られるけど、その当時は日本で紹介されないこういうバンドの動いてる姿を見るだけでも、大変な苦労をしたものだった。
一時期明らかにメジャー志向の音楽に変貌したけど1984年くらいまでしか消息がわからなかったので、売れてたのかどうかも不明。
こんな不気味なジャケットでデビューしたとは思えないほど演奏も歌も堂々としてて、冒頭でずっこけるコミカルな動きのギタリストも狙ってやったとは思えない。
まさにバッドアートの趣旨にピッタリだね。

ROOM 2 虚心の美学 

虚心とは「わだかまりを持たない心。先入観を持たない、すなおな態度。」だそうだがそういう境地になるとこんな絵を受け入れるんだろうか?

このジャケットがこの人の描いた自画像なのか人に描いてもらったのかは不明だけど、よくぞまあジャケットとして採用したもんだ、という出来。

カレン・マンテロというシンガーがデニス・ジェノベーゼなる人物と70年代に米国グリニッジ・ヴィレッジで弾き語りみたいな活動してたのがはじまりらしいんだが、そもそもROCKHURRAH RECORDSのブログで取り上げるようなジャンルではない人物なのは確か。でもこのジャケット見たとたんにジャンルの垣根を超えて紹介するしかないと思ったよ。これぞ虚心って事なのか?
グリニッジ・ヴィレッジと言えば60〜70年代にはアートや文化が栄えたところらしいけど、個人的にアメリカに行きたい用事もないROCKHURRAHには特に憧れはない土地だなあ。かつてニューヨークでカルチャー・ショックを受けたというSNAKEPIPEには勧められているけどね。

さっぱり知らないから書きようもないがカレンらしき女性が登場するビデオもあったので、ウチが知らないだけのシンガーなのかもね。途中でパートナー、デニス・ジェノベーゼらしき人も登場するがどこの出身なのか不明の風貌。名前の通りイタリア系なのか?バスクベレーみたいなのかぶってるからバスク人、あるいはイスラム系にも見える便利な顔立ち。
カレンは可憐な女性という感じは全くしないものの、いかにもこの時代のアメリカンな雰囲気でサイドカーの横でも違和感はないね。ジャケットそのままの人だったらどうしようかと思ってたよ。
あのレコード・ジャケットは悪く描きすぎたからジャケ買いする人は稀だろうけど、そこそこファンがついてもおかしくはないシンガーなんだろうね。うーむ、よくわからん時はコメントもぞんざいだな。

ROOM 3 堅靭の美学

堅靭(けんじん)とは「かたくて、弾力のあるさま。強くてしなやかなさま。」だとの事。これまた現代では日常的には使わない言葉だろうな。

ROCKHURRAHが少年の頃、江戸川乱歩や横溝正史、夢野久作、小栗虫太郎などの作品との出会いをきっかけに戦前の探偵小説と呼ばれていたものに傾倒していった。
ただ作品を読むだけでなく、評論や研究書まで買ってたくらいだから相当のめり込んだ趣味だったのは間違いない。
北九州(故郷)あたりでそんなに掘り出し物があるとは思えないのに、何か探し当てるのを楽しみに古本屋を巡ってたな。
数多くの作家の探偵小説を読んだし、いくら探しても見つからず悔しかった本もたくさんあった。
いわゆる本格物という謎解き小説も好きだったが、変格と呼ばれた既存のジャンルからは外れてしまった作家の小説も好きで、さらに伝奇小説や冒険小説など、興味の幅も広くなっていったもんだ。
その頃、何編かは読んで気になっていたものの入手出来なかった作家に押川春浪があった。「海底軍艦」と言っても今どきの子供には通じないかも知れないが日本のSFの草分け的な作品で、当時の少年漫画雑誌とかでたまに絵物語化されていたように記憶する。
あまり記憶にないくせに段原剣東次(明治日本最大のアクション・ヒーロー?)をモチーフにした曲なども自作したもんだ。誰からも評価されなかったけど。だんばら、名前の響きがいいよね。

今年のNHK大河ドラマ「いだてん」に出てくる変なバンカラ運動集団、天狗倶楽部の創始者でもあったのが押川春浪だが、スポーツ大好きな春浪だったらきっと堅靭という言葉が好きに違いない。
うーん、たったこれだけを書きたかっただけで無駄な自分の回顧に十数行も費やしてしまった・・・。 

そんな堅靭好きの人の目に止まりそうなジャケットがこれ。
どこかよその国にも同名バンドがあったからUKを名乗ってるけどスクイーズの1stアルバムだ。パンクからパワーポップが派生した1978年頃から活動していたバンドだが、ROCKHURRAHはレコードを一枚も持ってなくてほとんど知らないと言っていい。インターネットの80’sニュー・ウェイブ専門のチャンネルとか流してると頻繁にかかるから聴けば「あ、この曲がスクイーズだったのか」と曲だけは知ってる場合が多いんだが、次回聴いた時にはすでに忘れてる事が大半。
グレン・ティルブルック、ポール・キャラック、ジュールズ・ホーランドなどといった(何で名前を覚えてるのか個人的に不明な)豪華メンバーがいたというのに、やっぱりROCKHURRAHの路線とはちょっと違うんだろうな。

マッチョなジャケットからはかけ離れたような面々がメンバーなんだが、この辺の初期の曲はいかにもニュー・ウェイブ真っ只中でいいね。なんかどうでもいい甘ったるい曲を先に知ってしまったから興味なかったんだよね。

ROOM 4  蚊喰鳥の美学

これまた一般的には馴染みのない言葉。蚊喰鳥と言われてもピンと来ないがコウモリの別名らしい。
わざわざ異名で書く意味はないが、この企画のチャプター・タイトルはなぜか「あまり馴染みのない漢字」で書くという変な決まりを勝手に自分で作ってしまい、それを考える方が画像集めたりするよりも遥かに難しいという状況なのだ。
難しい単語や言い回しなんてそんなにどこにでも転がってないから探すのが辛いよ。
一度、簡単な表現に戻してみたんだけど自分の中で何かしっくり来なくて、また使い慣れない言葉を探す始末。
「ニッチ用美術館」があまり書けないのは、そういう変なこだわりでがんじがらめになってるせいだね。
これもまたROCKHURRAHの美学かな。

さて、その蚊喰鳥を手なづけて一体化してしまったジャケットがこれ。斜線の入り方や劇画調のタッチは何となく達者なのに、女性の顔の残念な描写のせいで「誰がこれを見てジャケ買いする?」というレベルにまでなってしまったところがバッドアートの面目躍如だね。

この売る気がなさそうなジャケットで活動したおそらく一発屋のバンドがサウンド・フォースというオーストリアのバンドだ。1982年にこの一枚のみ出してた模様で、このバンドの事を書いた日本人もおそらくROCKHURRAHが初だろう。とにかくジャケット以外に情報が全く無いので何とも書きようがないんだよ。
こんなバンドでもYouTubeがあって、動画がいつ削除されるかわからんが一応載せておこう。 

聴いてみたら歌も演奏もちゃんとしてて、Haunschmidt Ursula(読めん)嬢のヴォーカルも60年代ガールズ・グループをパンクのフィルターに通したような雰囲気で気に入ったよ。エイプリル・マーチあたりの先輩という感じ。
ジャケットがもう少し良かったら人気出そうなバンドだっただけに残念だったね。
しかしこのイラストがHaunschmidt Ursulaを忠実に描写したものだったらと考えると恐ろしいね。

ROOM 5 靉靆の美学

最後はとっておきの読めない、書けない漢字にしてみたよ。うーん、これは一生使う事なさそうだな。

靉靆と書いて「あいたい」と読む。意味は①雲や霞(かすみ)などがたなびいているさま。②気持ちや表情などの晴れ晴れしないさま。陰気なさま。との事でこのジャケットとは関係なさそうだが、名詞としてはメガネを表すらしい。これで意図が通じたね。名詞と形容動詞で意味が大幅に違うのが気にかかるが。

しかしレコード屋でこれに直面したら何もコメントのしようがないくらいにひどいジャケットだな。
Photoshopを使い始めた人がお遊びで友達の顔をレタッチして作ったかのようなレベルで、今どきではそんな事をする人さえいないように思うよ。

このどう考えても売れそうにないジャケットはフィンランドで活動していたSielun Veljetというバンドのもの。
1983年にデビューして何枚もレコード出してるから人気はあったんだろうが変なジャケットが多いから、その路線で行きたいバンドなんだろうな。上の顔ジャケットは88年のもの。
ジャケットだけで選んだから今回は知らないバンドもいくつかあったけど、これまた今まで全然知らなかったな。
最近「80年代世界一周」という色んな国のニュー・ウェイブを探す企画をやってるから、この辺の英米以外のバンドはまた違う機会に語る事もあるかもね。

この変な顔ジャケットに収録されてないが、同じくらいの時代のモスクワでのライブ映像があったので載せておこう。
二階席まであるからその辺のライブハウスよりは大きい会場だと思うけど、一杯の観客を前に堂々としたライブを披露してて、「こんなジャケットだから三流バンドだろう」という予想は裏切られた。
今回は全体的にジャケットに見合ったトホホなバンドがいないぞ。

タイトル動画まで作らなきゃいけないから時間ないし、知らないバンドばかりだったからコメントのしようもなく、いつもよりは短いブログとなったけど、探せばまだまだ出てくるバッドアートなレコード・ジャケット。
またいつの日か第二弾もあるかもね。

ではまたサ・タ・プメ (ギリシャ語で「また会いましょう」)。 

SNAKEPIPE MUSEUM #50 Pasha Setrova

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【人形はもちろん、背景もオシャレ!】

SNAKEPIPE WROTE:

今回のSNAKEPIPE MUSEUMはロシア出身のアーティスト、Pasha Setrovaを特集しよう。
検索していて一目惚れした作品を制作している女性だよ!
読み方はパシャ・セトロヴァで良いのかな?

現在はニューヨークで活動しているようだけど、子供時代はシベリアで遊牧民として生活していたこともあるという。
各地を転々とする生活を送っていたらしい。
アメリカに渡ったのは2011年というので、まだ8年しか経っていないんだね。
ロシアにいた頃から既に人形作家として評価されていたようだけど、詳しいプロフィールは分からなかった。
ただパシャ本人の写真は多く出回っていて、その多くは露出過多のもの。
これはSNAKEPIPEの推測だけど、ロシアよりアメリカのほうがヌードになりやすかったからアメリカに移住したのかもしれないね?(笑)
そしてそんな「見せたがり症候群」系のパシャが作る人形も、本人の嗜好が投影されたセクシーなタイプが多いんだよね。
早速紹介していこう!

まるで金子國義のイラストが人形になったようなレトロな雰囲気を持つ「Purple Winter」。
これは2014年の作品で、この時代はまだ球体関節人形ではなかったのかもしれない。
パシャの人形の特徴は、とにかくファッショナブルだということ!
ファッション雑誌の中から飛び出してきたような装いなんだよね。
人形制作だけじゃなくて、衣装に対してのこだわりが素晴らしい。
こちらの人形はスパンコールをあしらったガウンの上に毛皮のショールを付けた高級娼婦?
貴族というには化粧が「どぎつい」ので、夜の蝶を連想させる。
背丈が40インチ、およそ100cmあるというので、結構大きさがあるよ。

まるで研ナオコをモデルにしたのではないかと思ってしまう顔立ち!(笑)
「Smokey Eyes」も2014年の作品なんだよね。
見事なのは煙の表現。
毛糸のような素材を使用しているんだけど、どうやってこの形をキープしてるんだろうね?
実物を観てみたいよ。
この頃のパシャの人形は、全体的に細長い体型で、異常に長い首と手足が特徴なんだよね。
そのため人の形はしているけれど、人間ではない別の生物のように感じてしまう。
SNAKEPIPEが一目惚れしたのは人間に近くなって、カッコ良さが増した作品なんだよね!

外国のファッション雑誌を見ている気分になる一枚。
ちょっと不機嫌そうな顔立ち、長い脚を見せつけるようなポーズ。
日本人にはなかなかできない、ルーズなカッコ良さが上手く表現されているよね。
日本人がやると「だらしない」にしかならないからね。(笑)
髪の毛はドレッドヘアに見えるように毛糸が使用されている。
レザージャケットの細かい細工も秀逸で、素晴らしい!
彼女たちは「When I Close My Eyes Colour Fade To Gray」というタイトルがついている。
意訳すると「目を閉じると世界は灰色」って感じで、意味不明だけどね。(笑)
球体関節人形なので、様々なポーズを取らせることができるのも魅力!
彼女たち、欲しくなっちゃうね。(笑)

今度は双子に登場してもらいましょう。
2人共スタイルバツグン!
美しい金髪が印象的で、もし本当にこんなモデルがいたら大人気だろうね。
パシャの人形は、全体的に明よりは暗、昼間よりは夜、太陽よりは月といった雰囲気なので、健康的でスポーツが大好きな女性たちではない。
そこがSNAKEPIPEの好みにも一致するんだよね!
ミステリアスな双子も飾ってみたいな。

パシャの音楽の好みはよくわからないんだけど、人形の服装だけ見るとパンクが好きなのかもしれないと思ってしまうね。 
ショートカットで目の周りを黒く縁取った人形は、70年代オリジナルパンクを連想させる。
彼女の名前は「SELENA」。
何か辛くて悲しいことがあったから、涙で黒いラインが崩れたのか。
それとも初めからこのメイクアップにしたのか。
ビスチェにライダースジャケットを羽織り、挑戦的に見つめる視線の強さが良いね!
パシャの人形は全部欲しくなっちゃうよ。

続いてもショートカットの女性。
全身シースルーのワンピースとゴージャスなアクセサリーを身に着けている。
この画像には写っていないけど、実はバッグも揃えてあるんだよね。
細かいところまで作り込んでいて、本当に感心するよ!
実際に全身シースルーの服を着て出歩くことはないと思うけど、世界中で開催されているファッションショーに登場しても不思議ではない出来栄え。
例えばバービー人形も素敵な衣装を身に着けていると思うけど、パシャのダークなイメージとは違うよね。
そもそもバービー人形にショートカット・バージョンってあるのかな?(笑)

今度は犬と一緒にいるレザー・ワンピースの女性ね!
こんなにスタイリッシュな服装で散歩をするとは、なんともゴージャス。(笑)
犬の制作もするんだ、と驚いてしまったSNAKEPIPE。
利口そうで可愛いワンちゃんたちだよね。
パシャのサイトには数枚の画像が載っているんだけど、犬のシリーズの一番最後は、レザーの女性も首輪をして犬と一緒に四つん這いでポーズを取っている。
もしかしたら飼い主だと思っていたら、彼女も飼われていたのかしら?
そうしてみると、お揃いの青いスカーフもしてるもんね。
物語を想像するのも楽しいかもしれない。

最後はまるでドロンジョ様かキャットウーマンのようなセクシー人形ね。
かぶりものは取り外し可能なようで、仮面を外すとレトロなピンカールの黒髪が現れる。
装飾の細かさに圧倒されるよね。
パシャのページでは、好きなタイプの組み合わせで人形を購入できるシステムがあるんだよね。
今まで紹介してきたのはパシャが制作した作品だけど、例えばキャットウーマンの髪をロングにして、靴は真っ赤にして欲しいといったようなオーダーができるみたい。
洋服だけも購入可能なようなので、本当にお人形さん遊びができちゃうんだよね!

人形のサイズはオリジナルが高さ54cm、スモールタイプは43cm。
10cm小さく作るのは何故なのか不明だけど、お値段はどちらも$900、日本円で約98000円ね!
これは頭と全身の金額なので、ここにメイクアップや髪の毛、ファッションを決めて完成させて行くことになるね。
メイクアップに$80、体の彩色に$100、下着$35、靴$55、髪の毛$90、レザー・ジャケット$50、シャツ$50、レザー・スカート$50、手袋$25、帽子$45、サングラス$25。
これで総額$1505、約16万円也!
手が届かない金額じゃないんだよね。
真剣に購入を考えたくなっちゃうね!

どうやら偽物が出回っているようで、「証明書がない人形は買わないで」とパシャが訴えている。
中国で作られているようだ、とまではっきり書いてあるので間違いないだろうね。
表面だけなぞるような偽物には意味がないよ。
やっぱり買うならパシャのサイトから買うことにしよう。
さて、どの子にするかな。(笑)

SNAKEPIPE SHOWROOM 物件16 眺めの良い物件編

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【隙間からでも見えると嬉しい富士山】

SNAKEPIPE WROTE:

先日電車に乗っていた時のこと。
窓からくっきりと富士山が見えるじゃないの!
一緒に乗っていたROCKHURRAHに伝え、きれいな富士山を鑑賞する。
どうして富士山が見えるとご利益がありそうな気持ちになっちゃうんだろうね?(笑)
富士山が見える地域にお住まいの方には日常的な光景だと思うけど。
毎日素敵な風景の中で生活できたら心が洗われ、煩悩から解き放たれるかも?
今回はそんな物件を選んでみたよ!
早速いってみよう。

最初はこちら。
2018年8月にも「SNAKEPIPE SHOWROOM 物件14 山を臨む物件編」 として、山の風景を日常に取り込むことができる物件を紹介しているんだよね。
その時にも「山といえばスイス」と書いていたSNAKEPIPE。
雄大な景色を見たいなら、やっぱりスイスなのかなあ。
この物件はサンモリッツに建てられた360㎡のアパートメントなんだよね。

ベルニナ山群をデッキから一望できるなんて最高のロケーション!(写真①)
ゆったりとした時間を過ごせそうだよね。
憧れのオーブンがあるキッチン。(写真②)
これだけ設備が整っていたら、料理の腕が上がりそうだよ!
どの部屋からも山を臨むことができるとは素晴らしいよね。(写真③④)
映画を観たり、読書をしたり。
この物件には絵を飾る必要はないかもしれないよ。
バスルームからも山が!(写真⑤)
もしこのお風呂が温泉だったりしたら、もう言うことないね。(笑)
6つのベッドルームを完備し、なんとスタッフ用のスペースまで確保されているという。
ということはお手伝いさんが雇えるくらいのお金持ち用ってことね!
残念ながら金額の記載はなかったけれど、かなり高額だろうと予想するので問い合わせは控えておこう。(笑)

続いての物件もスイスの同じ地域なんだよね。
まるで想像上のUFOのような印象的な外観。(写真①)
Sir Norman Fosterによって建てられた約550㎡のアパートメントだという。
こちらもデッキから山脈の連なりを眺められるんだよね!(写真③)
奥行きがあるデッキだから洗濯物も干せそう!
スイスだったら乾燥機使うのかな。(笑) 
キッチンがまるでSF映画に出てきそうなハイテクな雰囲気だよね。
ここでの調理は宇宙食か?(笑)
外観の円形に呼応させているのか、丸い家具が多いよね。
広さがあるからできる配置だよ。
5つのベッドルーム、5つのバスルームを完備しているというこちらの物件も、残念ながら金額の記載がなかった。
ここがいいかな、と思っていたのにね?(笑)

食材の入手が大変だろうと思いながらも、辺鄙な場所を選んでしまうんだよね。
こちらは売り出されている物件ではなくて、スコットランドにある賃貸用の物件。
どうやら旅行者向けの物件のようで、 3日以上の滞在から予約できるという。
近くには湖や滝、山などがあるというので、ここを拠点にして行動できるんだろうね。
まるでコンテナのような四角い建物。(写真①)
Black Hという名前だけあって、建物が黒いんだよね。
大きな窓は開放感あるよね。
遠目から見るBlack H。(写真②)
周りに何もないガランとした風景って憧れるんだよね。
ゆっくり休暇を楽しみたいなら、こんな場所を借りるのは最適かも。
コンドミニアムタイプなので、キッチンも完備されている。
もしかしたら目の前の湖で釣りをして、その魚を調理するとか?(笑)
もし釣れなかった時のために、準備はしておいたほうが良さそうだけどね。
一泊£225、日本円で約35,000円。 
3泊はする必要があるので、約10万円ってところだね。
ホテルでは味わえない記憶に残る休日を過ごすことを考えたらお手頃かも?

最後も四角い物件にしようかな。
これは輸送用のコンテナを組み合わせた物件なんだよね。
実はコンテナとかトレイラーを使用した物件には、前から憧れがあるんだよ。
土地さえ確保できれば、まるでレゴ・ブロックを積み重ねるように、自分の好みで家が作れるなんて最高だからね!
トラックで枠組みを運び(写真②)、中身の部分をはめ込んで。(写真⑤)
森の中に建てることもできるのは素晴らしいよ。(写真①、④)
組み合わせ次第では3階建てにもなるんだね。(写真⑥)
こうした建築を請け負っている会社がアメリカにはいくつもあるみたいで、明確な金額設定がされていたので、紹介しておこうかな。
これはMEKAという会社の場合だけれど、2.4m☓6mという広さのコンテナを住居用にした場合で基本料金$62,900、日本円で約680万円。
写真⑥のような3階の場合で$357,000、3900万くらい。
178㎡のマンションを日本で購入しようと思ったら、この金額で手に入れることは不可能だろうね。
非常に気になるコンテナ・ハウス!
次回のSNAKEPIPE SHOWROOMは、コンテナ・ハウスを特集してみよう!
どんな物件があるのか、今から楽しみだ!(笑)