パラサイト/パッション20 鑑賞

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【近代美術館工芸館のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

展覧会や映画の鑑賞など、何かしらのイベントを共有することが多い長年来の友人Mと、年内最後に会うを約束をした。
何か行きたいところはないか尋ねると、映画と展覧会の提案を受ける。
さすがは情報収集能力に優れた友人M!
ここに行きたい、と即答できるんだよね。

友人Mから誘われた映画は「パラサイト 半地下の家族(原題:韓: 기생충、英: Parasite 2019年)」だった。 
ポン・ジュノ監督の作品はほとんど鑑賞済のROCKHURRAH RECORDS。
主演のソン・ガンホについては、以前より「ラフィン・ノーズのポンに似てる!」と注目していて、出演作を好んで観ているんだよね!(笑)
「パラサイト」は、第72回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞している話題作! 
公開は2020年1月10日だけれど、先行上映されることになったとのこと。
TOHOシネマズ 六本木ヒルズでは、12月27日に舞台挨拶付プレミア上映を行うという。
監督のポン・ジュノと主演のソン・ガンホが舞台挨拶を行う特別プログラムだというので、本当はその回に行ってみたかったけれど、席順の予約ができないという点がひっかかる。
監督と俳優の実物を目にできるのは魅力だけど、やっぱり映画を好きな席で観たいんだよね。(笑)
そのため都内で先行上映をすることになったTOHOシネマズ 日比谷で、座席を予約して観ることにする。
3日前から予約できるので、友人Mがその役割を買って出てくれた。
SNAKEPIPEが予約するのでは不安があるらしい。(笑)

無事に席の予約をしてもらい、日比谷に向かったのである。
TOHOシネマズ 日比谷は2018年3月にできたばかりの劇場なので、とてもキレイだった。
恐らくどのシートに座っても、快適に映画が楽しめそうだよ。
「パラサイト」のトレーラーを載せておこうか。

簡単にあらすじを載せておこうか。

全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。
長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。
そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが…。
この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく。(Filmarksより転記) 

恐らく東京で一般公開された「パラサイト」の初回になるんじゃないかな?
話題作なだけあって、劇場は約8割ほど席が埋まっていたよ。
「ネタバレ厳禁」とされているので、詳しく話せないのがもどかしい。(笑)
まだ鑑賞していないROCKHURRAHにも話せないのが辛いところ。
意外な展開に驚いたり、大笑いしたり、人によって感想が違うんじゃないかなと予想する。
それにしても、昨年パルムドールを受賞した「万引き家族」に似せた副題を付けなくても良いのになあ。
機会があったら、是非鑑賞してみてね!(笑)

続いて友人Mと向かったのは竹橋にある東京国立近代美術館工芸館
ここでは「所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い」が開催されている。
東京国立近代美術館には何度か足を運んでいるけれど、工芸館は初めてかも?
この日は晴れていたけれど、風がものすごく強かったので、少しの時間を外にいるだけでも冷えてしまうほどだった。
もう少し風が弱ければ、北の丸公園を散策するのも楽しかったかもしれない。
工芸館はこちら、の案内に沿って歩くことおよそ10分。
見えてきた工芸館はレトロでオシャレだったよ!
調べてみると、明治43年に建築された旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したものらしい。
2020年のオリンピックを目処に石川県に移転予定の情報を目にして驚いた!
移転前に来て良かったね、と友人Mと話す。
チケット料金、250円にびっくり!
近代美術館のチケットも同時に購入し、工芸館の後で行くことにする。
それでは工芸展で気になった作品の感想をまとめていこうか。

宮川香山作「鳩桜花図高浮彫花瓶」の実物を目にできたのは嬉しかった。
1871年〜82年の作品とキャプションが付けられていたけれど、今から140年程前にこんなに斬新な陶器を制作していたなんてね!
2016年10月に鑑賞した「驚きの明治工藝」でも香山の作品を目にしているはずだけど、ここまで立体が貼り付いているものではなかったような?
その時の記事にも香山について触れているので、今回鑑賞できて良かった!(笑)

小名木陽一の「赤いてぶくろ」は1976年の作品だという。
このサイズ感は作品と対峙する必要があるかもしれないね?
画像では分からないかもしれないけれど、実際には手の中に人間がすっぽり収まってしまうほどの大きさなんだよね。
説明文によれば、この作品は織物なんだって。
小名木陽一が独自に考案した立体織の手法により、これほどまでに大きな作品が可能になったという。
これぞ現代アート!という観た瞬間の驚きが素晴らしい作品だったよ。

鈴木長吉「十二の鷹」の見事なこと! 
本物の鷹がいるかのような圧倒的な存在感なんだよね。
1893年の制作だというから、これも香山と同じように明治時代の作品ってことになる。
鈴木長吉は実際に鷹を飼って、習性や骨格を観察したと説明されている。
ここまでの立体作品を作ることができる技術の高さが認められて、帝室技芸員になったという鈴木長吉。
帝室技芸員って何だろう?
wikipediaによると「帝室技芸員とは戦前の日本で宮内省によって運営されていた、日本の優秀な美術家・工芸家に、帝室からの栄誉を与えてこれを保護し、年金や制作費を与える制度」とのこと。
宮川香山も任命されていたようだね。
香山の陶器も、長吉の鷹もSNAKEPIPE MUSEUMにコレクションしたい逸品だよ!(笑)

磯矢阿伎良の「花文棚」は1930年の作品とのこと。
漆、蒔絵と説明されている。
蒔絵とは「漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔くことで器面に定着させる技法(wikipediaより)」とのこと。
黒い漆をバックに、赤と金の模様が映える逸品!
和風というよりはアラビア文字のように見える柄に強く惹かれたSNAKEPIPE。
棚とされているけれど、中がどうなっているのか観てみたかったよ。

内藤春治は東京芸術大学名誉教授の鋳金家だという。
「壁面への時計」は1927年の作品で、青銅を材料にしていると説明されている。
文字盤の美しさはもちろんだけど、周りを囲むアール・デコを取り入れたフォルムに目を奪われる。
右上に突き出たパーツが、斧のようにも見えて、ロシアっぽい雰囲気も感じるんだよね。
実際に時計として機能するのか、オブジェなのかは不明だよ。
1920年代といえば、シュールリアリズム、ロシア・アヴァンギャルドやバウハウスなど、ROCKHURRAH RECORDSが大好きなアート真っ盛りの時代。
日本にもこんなに素敵な作品があったことを知って、嬉しくなるよね!(笑)

関谷四郎の「赤銅銀十字線花器」を観た瞬間「PUNK!」と思ったSNAKEPIPE。
だってピラミッド型のスタッズが並んでるんだもんね。
しかもシルバー色!(笑)
赤銅と銀を使用した1975年の作品なんだけど、持って帰りたくなるほど気に入ってしまった。
花器と書かれているので花瓶なんだろうけど、 どんな花が似合うんだろうね?
関谷四郎は秋田生まれの鍛金家で、昭和52年に人間国宝に認定された人物だという。
他にはどんな作品を制作していたのか、観てみたいよね!

川口淳の「箱」は1991年の作品。
どんどん時代が現在に近づいてきてるね。(笑) 
磁器とアルミ板を使用した作品なんだけど、 基盤や模造の宝石が側面に貼り付けられていて、なんともキッチュな装い。
そのオモチャっぽさが、非常に魅力的なんだよね!
秘密の宝物入れに欲しくなる逸品!
他人から見たらガラクタなのかもしれないけど、自分には非常に大事な物って意味の宝物が似合いそう。
川口淳の磁器は販売されているようで、カラフルで良い感じだよ!

「パッション20」の最後に展示されていたのは四谷シモンの「解剖学の少年」だった。
四谷シモンについては、2011年10月に「SNAKEPIPE MUSEUM #12 Hans Bellmer&四谷シモン」として記事にしているね。
友人Mは四谷シモン主催の人形学校、エコール・ド・シモンに通うかどうかずっと考え続けているほどの大ファン!
この展覧会に作品が出品されていることも知っていたという。
四谷シモンの少年の人形は、どのタイプも美しい顔立ちなんだよね。
この人形は臓器が露わになっていて、美とグロテスクが共存しているのにも関わらず、静謐な雰囲気を持っているところが不思議だよ。

東京近代美術館工芸館を初めて訪れて、レトロな雰囲気の建物にも満足だった。
目黒の庭園美術館に似ているように感じたけど、建造された年代が近いんだね。
どちらの建物にも、当時のモダンさと独特の良さがあるので、是非良い状態で保存されると良いな!

工芸館を鑑賞した後、近代美術館にも足を運んだ友人MとSNAKEPIPE。
この続きは来年まとめる予定だよ!

2019年も残りわずか。
今年は様々な展覧会に出かけたり、トレッキングの真似事をしたり、外出する機会が多かったROCKHURRAH RECORDS。
来年はどんな記事を書いていくことになるのか、お楽しみに!
どうぞ来年もよろしくお願いいたします。
皆様、良いお年を!(笑)

動きの中の思索―カール・ゲルストナー 鑑賞

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【gggの入り口をいつもとは違う角度から撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(通称ggg)で開催されている「動きの中の思索―カール・ゲルストナー」を鑑賞した。
前回gggにお邪魔したのは「Sculptural Type」を鑑賞した2019年9月のことだったので、およそ3ヶ月ぶりになるんだね。
今年は3回も通っているとは驚いてしまうよ。
活発になったなあ、ROCKHURRAHとSNAKEPIPE!(笑)
gggは「多くの方々にグラフィック・デザインの素晴らしさと出会う機会をご提供する」という趣旨の基に、展覧会を企画しているので、全て無料というのも魅力なんだよね。

今回スポットが当てられたのは、スイスを代表するグラフィック・デザイナー、カール・ゲルストナーだという。
SNAKEPIPEは初耳なので、少し経歴を調べてみようか。 

1930年 スイス生まれ
1945年 フリッツ・ビューラー・スタジオにて見習いとして経験を積みながら、バーゼル工芸学校でエミール・ルーダーとアルミン・ホフマンに師事
1949年 ガイギー社の著名なデザインチームの一員となる
1959年 コピーライター兼編集者のマルクス・クッターと共に広告代理店Gerstner + Kutterを設立
1963年 建築家パウル・グレディンガーを迎え、社名をGGKに改名する。GGKは、スイスとその後のドイツで最も成功した機関の1つで、多くのヨーロッパ諸国に支社があったという。
1970年 広告業界から引退した後、出版に携わるようになる
1981年 アート・マガジンのコンサルタントを務める
2017年 死去

カール・ゲルストナーは、スイスのタイポグラフィとグラフィックデザインに大きな影響を与えた。
また、アーティストとして体系的な色彩とフォルムの言語を構築し、芸術と日常生活の関連づけと、環境の機能的かつ美的なデザインを訴え続けた。

gggのHPに載っていた文章を転記させていただいたよ。
1965年、当時30歳前後の若さで活躍していたグラフィック・デザイナーたちの仕事を紹介する展覧会「ペルソナ」が松屋銀座で開催されたという。
その時海外から招聘されたデザイナーがカール・ゲルストナーだったとは!
当時の日本では、恐らく今とは比べ物にならない程グラフィック熱が高かったのかもしれないね?
貪欲に情報をかき集めて、海外のデザイナーから多くを吸収しようとしていたのかもしれない。
60年代には既に日本でも有名だったカール・ゲルストナー。
一体どんな作品なんだろうね?

ドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのはモノクロームの世界。
総天然色(古い!)が当たり前になった現代、白と黒だけで表現されている空間は新鮮に映るよ。
最初に持った感想は「カッコ良い!」だったSNAKEPIPE。
ディスプレイが以前鑑賞した「EAMES HOUSE DESIGN FOR LIVING」みたいに、クローズアップした作品を背景にしてるんだよね。

Schlotterbeck Automobileのポスターとそのクローズアップ。
残念ながらSNAKEPIPEはドイツ語を読むことができないんだよね。
そのため視覚的な感想しか言えないところが悔しいよ。
タイポグラフィなので、フォントの美しさと画像とのバランスだけでも充分スタイリッシュだと分かるけど、意味が理解できたらもっと面白いだろうね?
バックは白。
対象物を中央に配置し、ギョッとさせる手法を採るゲルストナーの作戦は成功だよね。
あれは何だろう?と思って見るもんね。(笑)

レモネードのポスターなんだけど、これまた斬新!
飲み物の宣伝だったら、美味しそうに飲んでいる人を使うことが多いんじゃないかな。
栓抜きで開けようとしている瞬間だったり、グラスに注いでいる最後の一滴をポスターにするとは!
これらのポスター、制作年が1962年だって。
スイスとかドイツの人は、こんなポスターを日常的に目にしていたんだね。
羨ましい環境だよ。(笑)

これも1962年制作のIBMのポスターなんだよね。
このポスターのすごいところは「空間を恐れない」構図の取り方かな。
一応枠はあるけど、ほとんど白と言って良いよね?
この空間の使い方は日本画の影響受けてるんじゃないかなと勝手に予想するSNAKEPIPEだよ。(笑)
それにしても1962年のIBMって何を作ってたんだろうね?
調べてみると1911年創業、60年代にはコンピューター作っていたんだって!
当時からエリートが働く企業だったIBMにぴったりのポスターだよね。

会場は1Fと地下に分かれていて、地下に降りるとカラーの世界が広がっていた。 
モノクロームに目が慣れていたので、眩しいくらいだよ。
赤・黒・白というSNAKEPIPEが大好きな3色のみを使用した1978年の作品。
これはどうやらゲルストナー自身の展覧会用のポスターだったみたいだね。
こんなポスターが街角に貼ってあったら興味津々になっちゃうよね
どんな展覧会だったんだろう。
行ってみたかったなあ!

見たことあるシンボル!
「シェル石油」ロンドンのロゴマークを手がけていたらしい。
1964年の作品だという。
シェル石油の「帆立貝」マークは、それより前から使用されていたようなので、ゲルストナーのオリジナルではないみたい。
現在のロゴマークと比較してみると、ゲルストナーのバージョンは和風に見えてしまうのが不思議だよ。(笑)

ゲルストナーが1964年に出版した「Designing Programmes」には、「書体」「タイポグラフィ」「写真」「方法」について設計方法論の基本的な紹介や提案をしているという。
その本は復刻版が出ているようで、グラフィックやプロダクト・デザイン、音楽、建築、アートなど様々な分野において活用できる要素があるという。
画像(上)の「carro64」は、「Designing Programmes」に掲載されている作品のようで、色の濃淡が変化していく様子が描かれていたよ。
まるで現代アートなんだよね!
これが体系的な色彩とフォルムの言語なんだね、と書きたいところだけど意味はあまり分かっていないよ。(笑)

gggの企画展は、いつも新鮮な驚きを与えてくれるんだよね。
ずっと以前からタイポグラフィに関心があったROCKHURRAHの影響で、gggを知ることになったSNAKEPIPE。
今では書体やタイポグラフィに対して、興味を持つようになったからね。 
ありがとう、ROCKHURRAH! (笑)
来年もgggに大注目だよ。 

ビザール・クリスマス・ギフト選手権!36回戦

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【クラゲが描かれている意味不明のクリスマス・カード。1880年代の物らしいよ】

SNAKEPIPE WROTE:

早いもので今年も残りわずか。
1日おきに気温の変化が繰り返されているため、年末が近い感じがしないのはSNAKEPIPEだけかな?
そうは言っても、街を歩けば到るところにクリスマス・ツリーが飾ってあったり、イルミネーションを見かけるこの頃。
この時期、当WEBLOGの恒例といえば、クリスマスにまつわる記事なんだよね。
意外と毎年きちんと書いてるから、気になる方はさかのぼって読んで下され。(笑)

今年は「アメリカのアマゾンで購入可能なクリスマス・ギフト」を紹介しようと思う。
受け取ったら困惑しそうな商品を選んでみたよ!
みうらじゅんが提唱した「いやげ物」に近い感覚だね。(笑)

クリスマス・ツリーに飾るオーナメント類ってキレイだよね。
先日行った新宿の伊勢丹にあるクリスマス用コーナーには、色とりどり、種類も豊富なオーナメントが販売されていたよ。
ちょっと不気味なサンタは見つけたけれど、さすがに奇妙な物はなかったね。
アメリカのアマゾンには「かなり変!」なオーナメントがあるんだよ。
Bibo Ornament」がツリーに混ざっていたら、どうだろう。
子供が泣き出すかもしれないよね?
「クリスマスを奇妙な物にしたいのなら、ギョッとした目であなたを見つめる不気味でかわいいビボはいかが?」
こんな宣伝文句で販売されているビボという名前の不気味ちゃん! 
お値段は$19.95 、日本円で約2,100円。
「不細工なオーナメント大会で優勝できました!」
「 競合他社を凌ぐ不気味さ!」
実際購入した人達は「Bad Art」的な魅力に溢れたコメントを残しているよ!(笑)
それにしても「不細工なコンテスト」がある、というところに注目だね。
ビボ以上に変なオーナメントあるんだろうか?

ビボに勝るとも劣らないオーナメントがこちら!
Accoutrements Creepy Horsehead Ornament」って、名前にすでに「奇妙な」って単語が入ってるもんね。
「馬の目が狂ったように見えて本当に怖いです」
「予想よりもずっとサイズが大きい! そのためより一層不気味になります」
こうしたコメントを書いた人達が「星5つ」を付けていて、大人気商品なんだよね。(笑)
$14.99が値下がりして$9.19、日本円で約1,000円!
馬の首の断面図は、切り落とされた跡のような赤色をしているところもポイント高め。
さすがにここらへんの商品は新宿伊勢丹では手に入るまい。(笑)

あらら、ヒゲをツリーに見立てているのかな?
Beardaments Beard Ornaments」は、クリップ式のヒゲ用オーナメントなんだよね。
偽物が出回るほどの人気商品のようで、偽物の画像まで載せている念の入れよう。
すべての人の髪の毛やヒゲに取り付け可能な安全なクリップが使用されていると強調しているよ。
「アグリー・セーター・パーティで使用しました。バッチリでした!」
なんてコメントと共に「星5つ」だよ。
なるほど、こういうのに使うんだね!
お値段は$8.99、日本円で約980円。
遊びで買うにはちょうど良い金額なのかな。

ブリジッド・ジョーンズの日記(原題:Bridget Jones’s Diary 2001年)」の中でコリン・ファースがダサいセーターを着ているシーンがある。
いい年した大人の男なのに、お母さんの手編みのセーターを堂々と着用していて、笑いを誘うのだ。
そのシーンに刺激されたのか、「ダサいセーター」はブームになり「アグリー・セーター」として認知されているようだ。
そして「誰が一番ダサいか」を競うパーティが催されているらしいことは、上に書いた「ヒゲ用オーナメント」のコメントで知ることができた。
アマゾンにも「ダサいセーター」が販売されているので、参考として載せてみたよ!
Blizzard Bay Men’s Ugly Christmas Sweater Dinosaur」 は、綿ニットで柄の種類も豊富なんだよね。
女性用や子供用も揃っているため、家族でお揃いコーディネートも可能らしい。(笑)
お値段は$29.99、日本円で約3,300円。
本気で「アグリー・セーター・パーティ」で注目されたいなら、手作りが一番かなとも思うけど?
セーター編むのは大変だね。(笑)

他に何かないかと検索している時、何故かアマゾンの1ページ目に登場したのがこれ。
URSKYTOUS Reversible Nicolas Cage Sequin Pillow Case」とあるので、顔の一部しか載っていないけれど、ニコラス・ケイジの顔だと判明する。
人魚の鱗のような手触りのスパンコールが使用されているようで、「逆撫で」と「純撫で」とでは表面の表情が変わるのがポイントとのこと。
「ギフトに最適です。ストレスや不安を和らげるのにも役立ちます」
なんて宣伝文句が書かれているんだけど、ほんとかな?(笑)
ちなみにお値段は$17.99、日本円で約2,000円。 
それにしてもなんでニコラス・ケイジなんだろうね?

またもやニコラス・ケイジ!
Dwelling in Fantasy Creepy Cage Face Coffee Mug (15oz)」なんて書いてあるから、最初からウケを狙った商品なんだろうね。
アメリカではニコラス・ケイジという俳優はどんな受け入れられ方をしているのか?
ROCKHURRAHと一緒にニコラス・ケイジが出演している映画は何本か観ているし、SNAKEPIPEの中では「ワイルド・アット・ハート(原題:Wild at Heart 2001年)」の主役としての印象が強いんだよね。
コーヒー・マグは$17.95、日本円で約2,000円だって。
ギフトとして購入という人も少なからずいるようなんだけど、もらった人は嬉しいかなあ?(笑)

これはなんだっ!
観た瞬間、涙を流して笑い転げたSNAKEPIPE。
まさかのニコラス・ケイジ3連発とは!(笑)
しかも何この、顔、顔、顔!
7eaven Shop 3D Print Laugh Nicolas Cage Face T-shirt with Hip Hop Sleeves」 って商品名なんだけど、「笑うニコラス・ケイジの顔Tシャツ」ってすごいよね。
「毎年誰かがニコラス・ケイジ・グッズのプレゼントを受け取っているので、今年はこれを娘のために購入しました。娘は大変喜んでいます」 
「これを着て、学校で人気者になりました。すべての女の子が僕とデートしたいそうです」
好意的なコメントばかりなんだけど、本当に着てたらものすごいインパクトだよね!
お値段は$19.00、日本円で約2,100円かな。
アメリカ人がジョークとしてプレゼントを購入するのは理解できるんだけど、どうして今ニコラス・ケイジなのかが分からないよ。(笑)

 本当に「いやげ物」っぽいグッズを集めてしまったね。(笑)
ニコラス・ケイジをモチーフにしたプレゼントが定番になっている、というのは驚きだったよ。
来年もきっと、このくらいの時期にクリスマスに関連した記事を書くんだろうな。
また来年をお楽しみに! 

映画の殿 第37号 ベルヴィル・ランデブー

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【ベルヴィル・ランデブーの登場人物をコラージュ】

SNAKEPIPE WROTE:

2019年1月以来、久しぶりに更新するカテゴリー「映画の殿」!
古い映画を鑑賞し、感想を記録するのが目的なんだよね。
備忘録の意味もある。
だってほら、書いておかないと忘れちゃうから。(笑)

長年来の友人Mから「この映画知ってる?」と連絡を受けたSNAKEPIPE。
友人Mは海外のインスタグラムから様々な情報を得ているようで、その中に気になる画像があったそうだ。 
ネットで検索してみるとフランスのアニメ映画「ベルヴィル・ランデブー(原題:Les Triplettes de Belleville 2003年)」だと判明した。
早速DVDを借りて観ることにしたROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
今回は「ベルヴィル・ランデブー」について感想をまとめてみよう!
※ネタバレしていますので、未鑑賞の方はご注意ください

まずはトレイラーを載せようか。

簡単なあらすじをシネマトゥデイから転用させて頂こう。

内気で孤独な少年シャンピオンは自転車レーサーに憧れていた。
やがて、成長して世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランスの出場選手となるまでに至った彼は、晴れのレースの最中、謎のマフィアに誘拐されてしまう。

少年シャンピオン。
全く説明はされないけれど、どうやら両親は亡くなっているようだ。
おばあちゃんと2人暮らしのようで、大事に育てられている。
まるまる太っているので、あまり外では遊んでいないのかもしれない。
おばあちゃんから子犬をプレゼントされ、ずっと一緒にいるんだよね。
シャンピオンが一番喜んだのは、自転車をプレゼントされた時。
両親の写真に自転車が写っていたのが、理由なのかもしれないね?

シャンピオンの相棒である、犬のブルーノ。
子犬の状態から、月日が流れて登場した時には、こんなに大きなサイズに大変身!
家の近所を走る電車に向かって吠えるのが日課、というバカ犬。(笑)
ただし時計が読めるようで、時間に正確なところはエライのかな。
映画の後半では大活躍しているので、主人思いの良い犬ともいえる。
ブルーノは、パルム・ドールならぬパルム・ドッグ賞を受賞しているんだよね!

シャンピオンと共に暮らすおばあちゃん。
おばあちゃんに名前はなかったのかなあ。
ほとんどセリフがない映画の中で、おばあちゃんは表情すら、ほとんど変えない。
老眼鏡を直したり、編み物したり、シャンピオンの世話をしているシーンも、すべて淡々を行っている。
シャンピオンを可愛がる気持ちが一番のようで、愛する孫のためなら危険を顧みず行動に出る。
こんなおばあちゃんがいたら心強いだろうね!

映画の冒頭で登場するシンガー、トリプレット。
スウィング・ジャズは軽快で、気分がウキウキしてくるよ!
このサントラは、ブノワ・シャレのオリジナルだという。
音楽がより一層映画を効果的にしていて、素晴らしかったよ。
トリプレットの歌声に合わせて、有名人がカメオ出演しているのも面白い演出だよね。

「あっ!ジャンゴ!」 
と声を出したROCKHURRAH。
昔からファンだったというジャンゴ・ラインハルトがアニメになっているんだよね。
まだパンク少年になる前に、兄からギター教材代わりに勧められ、練習したけれどジャンゴのようにできるわけもなく(笑)今に至っているそうで。
これを教材にしようとする発想が、最初から違っているように感じてしまうけどね?
ジャンゴの曲を聴かせてもらうと、ギターは運指がなめらかで、とても表現力が豊かだなと驚いた。 
やっぱり教材にはならないね。(笑)

時は流れ、成長したシャンピオンとおばあちゃん。
ありゃ?シャンピオンの様子が子供時代とはかけ離れているよ!
どうやら自転車にのめりこみ、ツール・ド・フランスの選手になるために猛特訓を積んでいるようなんだよね。
ストイックな生活を送り、すべて自転車のために生きている。
そんなシャンピオンを支えるおばあちゃん。
おばあちゃんの風貌は全然変わってないんだね。(笑)

ついに憧れのツール・ド・フランスに出場するシャンピオン。
おばあちゃんとブルーノが何故、救護車の屋根にいるのかは不明だけど、応援にかけつけているんだよね。
ツール・ド・フランスについて詳しくないSNAKEPIPEなので、少し調べてみよう。

毎年7月にフランスおよび周辺国を舞台にして行われる自転車ロードレース。
23日間の日程で行われるステージレースで距離にして3300km前後、高低差2000m以上という起伏に富んだコースを走り抜く。
賞金総額は2015年の場合で約203万ユーロ、うち総合優勝者に45万ユーロとなっている。

23日間、自転車で走り続けるレースとは!
FIFAワールドカップ、オリンピックと並んで、世界3大スポーツイベントとされるだけあって、街をあげてのお祭り騒ぎになるのも納得。
上の画像を観ても、観客が大騒ぎしてるもんね! 
ツール・ド・フランスといえば、この曲を忘れちゃならないよ。
クラフトワークの「ツール・ド・フランス」お聴きください!

レースの最中、シャンピオンはマフィアに誘拐されてしまう。
元々セリフがほとんどない映画だけど、特にシャンピオンは何を考えているのか分かりづらかった。
誘拐された後も、拉致の境遇に対して不満を持っているようには見えなくて、黙々と指示に従っていたのが不思議だよ。
それでもおばあちゃんにとっては、大事な愛しい孫なんだよね。

シャンピオンに比べて、活発で人間味のあるおばあちゃん。
ブルーノをお供に、シャンピオン探しに出かけるんだもん、元気だよね!
あてもなく、お金もなく、ブルーノの嗅覚だけが頼りなのに。
おばあちゃんは迷うことなく、今やるべきこと、できることを判断し行動していく。
この姿勢は、すごいよね!
全く年齢を感じさせないんだもん。
「女だからダメ」「年寄りだからできない」なんて言い訳を一切しない、強さに感心するよ!

そんなおばあちゃんに救いの手を差し伸べる女性3人がいる。
3人の老婆は美しい歌声を聴かせるじゃないの!
まさか、この3人は?
やっぱり冒頭のモノクローム・シーンに出ていたトリプレットだ!(笑)
いつの間にか年を取り、見かけはすっかり老人だけど、この3人におばあちゃんが加わった老婆4人チームは、なかなかどうして!
マフィアも手こずるほどなんだよね。
「ベルヴィル・ランデブー」の原題は「ベルヴィルのトリプレット」なので、主人公はトリプレットだということがわかる。
3人の老婆は、いつでも人生を楽しんでいるように見えるんだよね。

身近にある物を使ってショーを行うトリプレット。
新聞紙、冷蔵庫、掃除機を楽器代わりにするとは!
まるで大道芸人のようだけど、ROCKHURRAHに聞くとそんなスタイルのバンドは実際にいるという。
フランスのLes VRPは日用品を使用して演奏しているとのこと。
トリプレットの演奏法は、そこまで意外ではないのかもしれない。
この音楽もとてもカッコ良かったよ!

「ベルヴィル・ランデブー」の面白さに「デフォルメ」があるんだけど、マフィア達の表現がその最たるものかもしれない。
全員同じ体型と顔をしていて、背中部分が四角いんだよね。
まるで将棋の駒が歩いているようで、動きが面白かった。
ボスだけは丸い顔をしていて、背も低い。
全く威厳を感じないボスだったけれど、子分達は絶対服従しているんだよね。
そんなマフィア達を翻弄するトリプレットとおばあちゃんの4人組に拍手を贈ること間違いなし!
いくつもの映画賞を獲得したのがよく分かる、鑑賞できて良かった映画だよ。
情報をくれた友人Mに感謝だね! 

老人が活躍する映画について、2017年5月に「映画の殿 第24号 ハッスル老人」という記事を書いているSNAKEPIPE。
ハッスル自体が死語だし、老人と組み合わせた謎の熟語については良しとして。(笑)
老人Z(1991年)」は大友克洋が原作・脚本・メカデザインを手がけ、キャラクターデザインを江口寿史が担当したアニメ映画で、ブログ記事に少しだけ書いているんだよね。
「ベルヴィル・ランデブー」ではトリプレットとおばあちゃんが肉弾戦でマフィアに対抗しているけれど、「老人Z」に登場する老人達はハッキングによる頭脳戦を繰り広げる。
ハッキングできるレベルの老人が3人も同室にいる看護病棟なんて、通常はあり得ないけどね。(笑)
この老人達の活躍により物語が進行して行くところが面白い!
久しぶりに鑑賞してみて、一番懐かしく感じたのは江口寿史のキャラクターかな?

老人が主人公の映画は、弱者であるはずという思い込みが裏切られ、逆転劇が展開する様が痛快なんだろうね。
平均寿命が延びてシニアと呼ばれる人口が増えているので、将来的にはもっと老人が主役の物語が増えていくのかもしれない。

「ベルヴィル・ランデブー」の監督であるシルヴァン・ショメは、元々バンド・デシネの作家だったんだね。
アニメーション作家としての作品が他にもあるようなので、是非鑑賞してみたいと思う。