Funnyちゃんミュージック

【ファーにいちゃんミュージック】

ROCKHURRAH WROTE:

今回取り上げるのはROCKHURRAHが好きな子供っぽい音楽の数々だ。
子供っぽいの解釈も定義も人によってマチマチだから読んでくれたみなさんと全てを共感出来るとは思わないが、ROCKHURRAHが考えるのはごく普通に稚気を感じるようなファニーな歌、というニュアンスでいいだろう。
子供の歌だからって決してアンパンマンやドラえもんの歌をパンク風にカヴァーしたもの、とかは選ばないつもりなので安心して。ちなみに電車や街中で見かける本物の子供はちっともかわいくないし大嫌いなんだが、これから取り上げるような音楽を好んで育ったような子供がいたら少しは考え直してもいいかな(ウソ)。

もう一つちなみにタイトルはビル・ネルソンズ・レッド・ノイズの名曲「Furniture Music」からのパクリだ。ビル・ネルソンのタイトルの元ネタが現代音楽家エリック・サティにあるから、かなり由緒正しいパクリであることは確か(自慢)。
さて、前置きはこれくらいにして始めるか。

Faust / I’ve Got My Car & My TV

まずはファウストのこの曲から。
ジャーマン・ロックの中でも前衛的でロック以外の要素を取り入れたフリー・スタイルの音楽は70年代にはクラウト(酢漬けキャベツ)・ロックと呼ばれた。
プログレッシブ・ロックやサイケデリック、さらにはフリー・ジャズや民族音楽の影響も感じられたり、つまりは70年代に考えられるミクスチャー・ミュージック的実験の結果がこれらクラウト・ロックと呼ばれる音楽には詰まっていたという事だね。
後のニュー・ウェイブの時代に花開く事になるごった煮音楽のひとつのルーツがここにある、とも言えるが、最悪の結果となってしまうようなものも見受けられる。
ファウストの場合はその辺のバランス感覚、センスが抜群で、今聴いても古臭くない革新的な部分を数多く持っていたと思える。この辺については当ブログの鳥飼否宇先生について書いた記事にも少し書いているから、興味ある人は左上の検索窓で参照してみて。
この曲は中でも大好きなものでメロディもアレンジも斬新の極み。ピンク・フロイド初期の大名曲「Bike」を初めて聴いた時と同じくらい感動した。

Young Marble Giants / Colossal Youth

パンクがニュー・ウェイブに代わった時代、全く新しいような音楽も生まれたが、過去からある音楽に何でも「ニュー」とか「ネオ」などと付けてしまった慣わしがあって、ネオ・アコースティックと呼ばれる音楽もこの辺りに登場した。
スコットランドの3人組ヤング・マーブル・ジャイアンツはその元祖的存在とも言われていたが、実は雰囲気の割にはアコースティック楽器を全然使ってないぞ、という点が秀逸だったね。
ウチの商品ページのコメントにも書いているが、兄+弟+清楚な三つ編み女子という、永遠の三角関係を予感出来るような組み合わせによる素朴過ぎる音楽。
簡単なギター・リフ、それに少しだけファンキーなチョッパー風ベース、その2つがメインの楽器でリズム代わりにもなり、あとは拙い歌だけという簡素さはこの時代にはかなり目新しいものだった。
スタジオでもライブでもほとんど変わらない模様で、ギタリスト(兄)がキーボード弾いてる間はギターはお休み状態。かなり素人っぽいね。今の時代の人が理解するのは難しいかも知れないが、うるさいパンクの後にこんなのが登場したらかなり目立つのは間違いない。
60〜70年代にスティールアイ・スパンやフェアポート・コンベンションが一部の曲でやっていたトラッド+清純女性ヴォーカルというスタイルを踏襲しつつも、こちらの方が童謡に近いからより子供の歌っぽいのかもね。

Mano Negra / Noche De Accion

80年代後半から90年代初頭にかけてフランスで大活躍した大所帯バンドがマノ・ネグラだ。
ROCKHURRAHもこのバンドが大好きでほとんどのアルバムを所持している。
ヴォーカル、マヌー・チャオというスパニッシュ系フランス移民がメインとなっていて、兄弟や従兄弟など大勢が参加してマノ・ネグラとなったのだが、それ以前にホット・パンツというミルクシェイクス(ビリー・チャイルディッシュ)っぽいビート・バンド、Los Carayosというラスティック風のバンドをやっていたのも一部では有名?
マノ・ネグラとなってフランスで大ヒット、日本でも人気あって、伝説となった原宿ホコ天のライブや川崎クラブチッタでの圧倒的なライブ・パフォーマンス(このライブは「パチンコ地獄」というライブ・アルバムになっている)など、今でも語り継がれているほど。
彼らの音楽はパンク、レゲエ、スカ、ロカビリー、ラップ、アラブにキューバなどなど、短い曲の中にものすごく濃いものが凝縮されているのが特徴で、生命力に溢れた素晴らしい音楽だ。
フェルナンド・メイレレス監督の傑作映画「シティ・オブ・ゴッド」の中のブラジル人悪ガキ軍団とも共通する、したたかな強さがこのバンドの最大の魅力だと思う。
しかしホット・パンツ時代は随分キメキメのリーゼントだったのがマノ・ネグラになるとだらけたルーズなファッションとなって、上半身裸に七分丈パンツというどうでもいい格好がお気に入りの様子(笑)。
同時代にフランスでヒットしたレ・ネグレス・ヴェルトの伊達っぷりと比べると見た目的にはちょっと・・・なのが難点だな。
この曲は大傑作アルバム「Pachanka」に入っている景気の良い楽しい曲で、作業用のBGMとしても最適。

XTC / Do What You Do

パンク・ロックのちょっと後、英国ヴァージン・レーベルからデビューしたのが若くて威勢の良いこのバンド、XTCだった。
とにかく勢いがあって斬新でパワーに溢れたバンドだったので、初期ニュー・ウェイブを語る時には欠かせない名前だったと言える。
最初はアンディ・パートリッジのひっかくようなギターのカッティングが特に印象的で、素晴らしい名曲を量産していた。
しかし80年代初頭の「Black Sea」をピークとしてだんだん職人芸のデコレーション・ポップの世界に入ってゆき、遂には得意だったライブもやらなくなって、完成度だけが生き甲斐の若年寄のようになってしまう。
それ以降を評価する人も多数なんだが、ROCKHURRAHはやはり初期の元気いっぱいなXTCだけが好きだった。
この曲は1stアルバムに収録、軽く作ったような短いものでXTCにとってはさほど重要な曲じゃないのかも知れないが、こういう路線をもっと続けていて欲しかったな。

Plastic Bertrand / Le Petit Tortillard

ROCKHURRAH大好きバンドとして過去のブログでも何度か書いたベルギーのパンク貴公子(?)プラスティック・ベルトラン。
彼の曲はどれもこれも子供のまんまで夢いっぱいハッピーな気分になれるところが素晴らしい。
元々はベルギーでハブル・バブルというバンドをやっていてドラム担当だったらしいんだが、なぜかフランスでインチキ・パンク男として空前の大ヒット、それがプラスティック・ベルトランの代表曲「恋のウー・イー・ウー」だったというわけ。ROCKHURRAHは1stアルバムのアメリカ盤と日本盤、それに日本盤のシングル(「恋のパトカー」と改題)を所有して、いつも身近にベルトランがあったわけだが、オリジナルはフランス盤なので入手困難だった時代もありましたなあ。
この曲はダムドの「Jet Boy, Jet Girl」をはじめ、ソニック・ユースなど軽く10以上のバンドがカヴァーしているという被カヴァー率がおそろしく高い曲であまりにも有名。
当のベルトランもアイドル的大スターだから映像もたくさん残ってはいるが、演奏も演奏してるメンバーも映ってなくて一人で飛んで跳ねて回って歌ってるだけ、しかも歌は口パクらしく一体どこがパンクなの?と数多くの人に突っ込まれることは必至のいいかげんさ。というかその部分、その姿勢がパンクだったのでしょう、たぶん。
選んだ曲はその「恋のウー・イー・ウー」ではなくてアルバム1曲目の大好きな曲。邦題は確か「おとぎの列車」だったかな(笑)。

Klingonz / Pick Pick Yum Yum

結構長くなってしまったのでこれが最後、クリンゴンズ初期の名曲がこれだ。
ストレイ・キャッツなどが80年代に流行らせたネオ・ロカビリーに独自の病的なネジレ具合をミックスしたのがサイコビリーという音楽。
サイコ刈りと呼ばれるモヒカン・リーゼントのような奇抜な髪型と刺青というスタイルが主流で、80年代前半に流行したポジティブ・パンクのようなゾンビ風メイクのバンドまで現れ、特異な個性を持った変な奴らがゴロゴロしていたという時代だ。
ディメンテッド・アー・ゴーなどがその代表格だが、このクリンゴンズも一歩突き抜けたバカさ加減が人気のバンドだった。
サイコビリーはどうしてもかわいくはならない音楽だから上記のバンドらとは「ファニー」のニュアンスが違っているんだが、調子っぱずれで奇妙という部分では充分子供っぽいと思って選んでみた。

大昔のテレビ・アニメなどと違って今はアニメ・ソングにも子供っぽい部分がなくなってきてる傾向にある。
子供だから子供っぽい歌が好きなどという道理もないしね。
そんな時代に少しでも人と違う子供に育てたい元ロック少年少女だった親がいたら、自分の子供と一緒に歌うのもいいかもね(全然本心じゃないが)。

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