合田佐和子展 帰る途もつもりもない 鑑賞

20230312 top
【展覧会のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE: 

「この展覧会に行きたい」
ROCKHURRAHから誘われたのは三鷹市スポーツと文化財団で開催されている「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」だった。
合田佐和子の名前は聞いたことがあるけれど、作品については覚えがないSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHは音楽雑誌「ROCK MAGAZINE」の表紙や、山崎春美がやっていたタコのレコード・ジャケットなどで馴染みがあるという。
会場である三鷹市美術ギャラリーは三鷹駅直結の、非常にアクセスの良い場所なので、まるで土地勘がないROCKHURRAH RECORDSにも安心。(笑)
そもそも三鷹駅で降りたことないんだよね。

SNAKEPIPEの誕生日である3月4日は、晴れてお出かけ日和だった。
この日に「合田佐和子展」を鑑賞したんだよね!
三鷹駅に降り立ち、周りを見渡すと、駅周辺にスーパーやドラッグストアなど、こじんまりとまとまっていて便利が良さそう。
「住みやすそうな街だね」
と話しながら会場へ。
開館したばかりだけれど、すでに数人のお客さんが会場入りしていたよ。
非常に残念なことに、作品の撮影は禁止。
そのため当ブログで使用している画像は、購入した図録からなので、ご了承ください。

まずは合田佐和子の経歴をまとめてみよう。

1940 高知県高知市生まれ
1959 武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)本科商業デザイン科に入学
1963 同校卒業後、唐十郎主宰の劇団状況劇場・唐組、寺山修司主宰の天井桟敷の宣伝・舞台美術などに参加
1965〜 各地で個展・オブジェ展を開催
1971 独学で油彩を始める
1980〜 ポラロイド、パステル、鉛筆、写真、ビデオ、エッチングを発表
2003 渋谷区立松濤美術館にて「合田佐和子 影像 絵画・オブジェ・写真」展を開催
2016 心不全のため死去、享年75歳。

唐十郎の状況劇場や寺山修司の天井桟敷といったアングラ演劇との関わりについても経歴に載っているところからも分かるように、いわゆる正統派じゃない女性なんだよね。(笑)
合田佐和子が作品と共に写っている画像がこれ。
1969年に発行された雑誌の表紙だって。
いかにも60年代後半といった雰囲気!
これを観ただけで、面白そう。(笑)

会場は年代順に作品が展示されていた。
1964年頃、合田佐和子は作品を入れたダンボール箱を抱えて、美術評論家の瀧口修造を訪ねたらしい。
載せた画像の「Watch-Angels」のような作品を瀧口修造に見せたんだろうね。
シュルレアリスムやダダイズムの情報を知らず、自発的にこうしたオブジェを制作していたとは驚いてしまう。
小さな人形があちらこちらに散りばめられていて、とてもキュートだね!(笑)
そして瀧口修造から個展の開催を後押しされたんだとか。
スタートから「御墨付き」だったんだね。

「イレイザーヘッドだ!」
思わず叫んでしまったのは、1966年の「幼きものへ」。
実際には、合田佐和子は蛇をモチーフにしていたらしいし、制作年もリンチの「イレイザーヘッド」より10年も前だけど。
素材は、紙粘土や布を使用しているという。
1967年に開催された個展の案内文に、白石かずこは「異色」という言葉を書いている。
「異形」や「異端」など、「異」という漢字は、どうしてSNAKEPIPEを魅了してしまうんだろう。(笑)

1969年に銀座の画廊で開催された個展の様子。
人形のインスタレーションだという。
かなり不気味な「頭部人形」が目を引く。
江戸川乱歩の「芋虫」を連想してしまうよ。
カラーの作品は「イトルビ」と名付けられた女の顔。
ガラスケースの中で、横向きに転がされた状態の「イトルビ」を観て「欲しい!」と思ったSNAKEPIPE。
大きさは、ほんの10cm程度なのに、存在感が抜群!
表面は滑らかで、とても美しい女の顔だったよ。
これらの作品を観た寺山修司が関心を寄せたというエピソードは納得だね!

1971年から、独学で描き始めたという油絵で、最も有名なのはマレーネ・ディートリッヒをモチーフにした作品かもしれないね。
スーパー・リアリズムというのか、精緻な出来にうっとりしちゃう。
何枚もディートリッヒを描いているのに、合田佐和子自身は「ディートリッヒはあまり好きではない」と語っていたらしい。
好みの女優ではないけれど、題材としては良いということなのか。(笑)
このキャプションを読んでから、ディートリッヒの作品を見つける度に「あまり好きではないけど」と口に出しながら鑑賞したSNAKEPIPEだよ。(笑)

1974年の作品「猫眼の少女」のようなシュールな作品もあったよ!
元々暗い色調が好きなSNAKEPIPEにとっては、よだれが出そう、いや、出てしまったのがこれ。(笑)
不気味さと可愛らしさが混在していて、素晴らしいよ!
今回の展覧会は三鷹市の施設での開催だったため、カタログの販売のみで、グッズなどはなかったんだよね。
この作品を使ったグッズがあったら、絶対買ってたよ。
前述の「イトルビ」のレプリカとかも欲しかったなあ。

経歴に書いていなかったけれど、合田佐和子は1971年に渡米してるんだよね。
海外の経験があることと、洋画のスターを描く画家ということで来日したミュージシャンとの対談をしていたとか。
そしてファンだった、ルー・リードのインタビューをして、アルバム・ジャケットまで手掛けたというから、ファン冥利に尽きる経験をしてるよね。(笑)
ルー・リードといえば、ベルベッド・アンダーグラウンド!
やっぱり合田佐和子は、サブカルチャーの女性なんだね。

かつてROCKHURRAHも所持していたという「ROCK MAGAZINE」の表紙を集めたもの。
先に書いたルー・リードの一件からも、合田佐和子自身ロック好きだったみたいだよね。
「ROCK MAGAZINE」は、音楽のみならずアートや文学などにも造詣の深かった、音楽評論家の阿木譲による、かなりマニアックな音楽雑誌だったとROCKHURRAHが語る。
北村昌士の「Fool’s Mate」と共にROCKHURRAHが最も影響を受けた雑誌なんだとか。
確かに、この表紙を見て手に取る人は、ロック好きなだけじゃなくてアートにも興味がある人だろうね。
SNAKEPIPEも読んで見たかったな!

最後に紹介するのは、天井桟敷のポスターね。
これは1977年に初演された「中国の不思議な役人」。
美術は合田佐和子、衣装はコシノジュンコと書かれているよ。
これだけでも豪華なのに、出演は伊丹十三、山口小夜子って、どんな演劇だったんだろうね?(笑)
カタログに舞台のスチール写真が載っていて、いかにも天井桟敷っぽい雰囲気だったことが分かるよ。
きっとSNAKEPIPEの好みに違いない。(笑)

200点以上も作品が展示されていて、非常に見応えのある展覧会だった。
合田佐和子についてほとんど知らなかったSNAKEPIPEの心を「わしづかみ」にする、大好きな作品群に感激したよ!
そしてこの展覧会に誘ってくれたROCKHURRAHに感謝だね。(笑)

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