マックス・エルンスト-フィギィア×スケープ

松井冬子展の時と全く同じ構図!ワンパターン!(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

去年の3月に鑑賞した「シュルレアリスム展~ポンピドゥセンター所蔵作品」紹介のブログの一番最初に記事にしていたマックス・エルンスト。
その中で「エルンスト展があったら観に行きたいな」と語っていたSNAKEPIPE。
なんとその夢が実現することが判明したのが、前回の松井冬子展で出かけた横浜美術館だった。
次回の特集がマックス・エルンストと知って狂喜するSNAKEPIPE。
うわー、これは楽しみだ!(笑)

以前よりシュルレアリスムに興味を持ち、様々な展覧会に行ったり画集や写真集を鑑賞したり購入するのが大好きである。
マックス・エルンストについても当然のように名前と顔が一致するアーティストだけれど…それはマン・レイの撮影したポートレイトを知っていたからなんだよね。
マックス・エルンストの代表作は何?と問われてもハッキリ答えられないことが判明。
シュルレアリストのうちの一人と認識しているし、実際に今まで何点かの作品は鑑賞しているけれど、あまり詳しくないアーティストになってしまいそう。
益々マックス・エルンスト展鑑賞の必要性を感じたのである。(大げさ)

今年のゴールデンウィークは5月1日、2日を加えれば最長で9連休。
なんとSNAKEPIPEも今年はその恩恵を授かり、9日連続のお休み中なのである!
だけどね、別に特別どこかにお出かけするわけでもなく、何か用事があるわけでもないんだよね。(笑)
普段のお休みがちょっと長引いてるかな、くらいのゆったりした時間を過ごしている。
「絶対に観に行きたい展覧会」
とROCKHURRAHが珍しく鼻息を荒くしていたのがマックス・エルンスト展だった。
かなり琴線に触れたアーティストらしい。
長いお休み期間中、丁度良い機会だから行こう!とROCKHURRAHと一緒に横浜に向かったのである。

ここでマックス・エルンストについて簡単に紹介してみようか。
1891年ドイツのケルン生まれ。
1910年ボン大学文学部哲学科に入学。
1913年「ライン表現主義者展」に出品。
1914年~1918年第一次世界大戦に砲兵隊員として従軍。
1921年パリでコラージュ展開催。
1925年「第一回シュルレアリスム絵画展」に出品
1946年55歳で画家のドロテア・タニングと4度目の結婚
1976年パリで死去。

1912年に現代美術の展覧会を鑑賞して画家になる決意を固め、その翌年には作品を出品しているなんてすごい!
幻覚を見たり、飼っていたインコの死を妹の誕生を結びつけたりするようなスピリチュアルな一面もアーティストになるべくしてなったような話だよね。
そして驚くのは4回の結婚歴!
1:元大学の同級生(お金持ちの子?)→2:映画監督の妹→3:美術コレクター→4:画家という女性達を次々と虜にしたマックス・エルンスト。
これらのエピソードだけでも充分小説とか映画になりそうだけど、更に作品についての話題もあるから興味が沸くよね。(笑)

ROCKHURRAHは初めての横浜美術館である。
前回SNAKEPIPEが「松井冬子展」に行った時も雨の横浜だったなあ。
今回も雨降りだから、ジンクスになってしまいそう。(笑)
またもや周囲を散歩する試みはくじかれてしまったけれど、周りのゆったりした空間は気持ちが良いね。
展覧会場に入ってすぐに
「この展覧会ではシュルレアリストとしての枠を外し、『フィギュア』と『風景』というモチーフからマックス・エルンストを検証し直しました」
と書かれている。
うわ、なんと!
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEが求めていたシュルレアリスム作品とは違う角度からマックス・エルンストを論じようとしているとは…。
本当は本来のマックス・エルンスト展を期待していたのにちょっと残念。
では一体どんなマックス・エルンストなんだろう?
足を進めてみることにする。

会場は3つの章から構成されていて、時代を追う順番で作品が展示されていた。
ここでやはりROCKHURRAHとSNAKEPIPEが目をキラキラさせたのが第1章。
1909年から1927年までの作品が展示されていたためである。
「流行は栄えよ、芸術は滅びるとも」と題された版画集は、当時はケルン・ダダ(反芸術運動)のリーダーとして活躍していたエルンストがデ・キリコの作風に影響を受けて1919年に制作。
この時代はダダイストとしてエルンストの名前が挙がるんだよね。
ダダイストからシュルレアリストになった人って結構多いみたいなんだけど、これって1924年にアンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」をした前と後のように、年代によって使い分けるということで良いのかしら?
あまりハッキリ言い切れないので、詳細は専門家にお任せかな。(笑)
そして確かに解説にあるように、キリコの顔なし人物と酷似してるよね!
石版に直接描いたリトグラフとのことだけれど、構成主義を思わせる直線が見事。
ダダイズムについてあまり詳しくないSNAKEPIPEだけれど、この版画集のタイトルと版画の内容からなんとなく言いたいことは解る気がする。
ただ思想がどうのなど関係なく、とてもカッコ良い構図の版画集だよね。
ポスターがあったら並べて飾りたいな!(笑)

続いて気になった作品はこちら。
「聖対話」と題された1921年制作のコラージュ作品である。
ううっ、1921年にこんなコラージュが完成していたとは!
やっぱり1920年代恐るべし!(笑)
左下に「ガラへ」と書かれていて、どうやら左側の女性の顔もガラという女性みたい。
このガラという女性は詩人ポール・エリュアールの奥様で、後にサルバドール・ダリと結婚する女性なんだよね。
2人のアーティストに愛されたガラ夫人というのが非常に気になるSNAKEPIPE。
昔からファム・ファタール(魔性の女)系の女性には興味があるんだよ。(笑)
そんなブログの企画があっても面白いかもしれないね?
この作品は人体模型図の図版をベースに2羽の鳥や実験航空機の写真に加えて膝部分にボタンが配置されている。
羅列すると不思議な組み合わせなのに、作品として鑑賞するとキレイなバランスが保たれていてカッコ良い。
この作品もポスターあったら欲しいな!(笑)

次は1925年から1952年の作品を展示していた第2章で目を惹いた作品のご紹介ね。
1929年よりエルンストは再びコラージュ作品の制作に取り組み始める。
「コラージュ・ロマン」とエルンストが名付けたコラージュによる小説を発表するのである。
1929年「百頭女」、1930年「カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢」、1934年「慈善週間または七大元素」の3部作を刊行。
これらは19世紀の定期刊行物に掲載された版画を切り取り、継ぎ目が分からないように上手く貼り付けた作品とのことである。
タイトルとコラージュ作品だけが並んだ本で、内容については鑑賞者の自由な想像でオッケーみたい。
小説と言われるとページ毎のつながりを考えてしまうけれど、一枚一枚の作品として鑑賞するだけで充分物語を想像することができそうだよね!
左は「慈善週間または七大元素」の中の一枚で、鳥人間という架空の存在が裸女の足裏にナイフを突き刺している、なんとも幻想的な作品である。
3部作とも容易に入手できそうなので、是非揃えて鑑賞したいね!

今回のエルンスト展では森の絵画や民族的な彫刻、自身が発明したフロッタージュなど、他にも素晴らしい作品がたくさん展示されていた。
時代によっていくつもの顔を持つエルンストを体験することができて良かった。
次回はシュルレアリストとしてのエルンスト展を鑑賞したいね。(笑)

会場を出てから今度は横浜美術館コレクション展、愛称ヨココレ(笑)を鑑賞。
なんとここでは写真によるシュルレアリスム展を開催している!
最初にマン・レイ、次はハンス・ベルメール。
エルンスト観に来て、他のシュルレアリストの作品を鑑賞することができて幸せ!
オリジナルプリントではないにしても、マン・レイの作品は以前鑑賞した「マン・レイ展~知られざる創作の秘密」の時よりもサイズが大きくて鑑賞しやすい。
「シュルレアリスム展~ポンピドゥセンター所蔵作品」ではハンス・ベルメールの作品は1点だけだったのに、今回はズラリと並んでるし!
オマケで鑑賞、なんてとても言えないほど豪華版で良かったね、と言い合っていたところに飛び込んできたのがシュルレアリスム絵画の部屋。
うわー、ダリだ!マグリットだ!デルヴォーだ!ベーコンだ!と興奮しまくり。(笑)
特集展覧会だけじゃなくてヨココレも要チェックだね!

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