誰がCOVERやねん3+

20120826_top【SNAKEPIPEが捏造してくれた文字通りのカヴァー・ガールズ】

ROCKHURRAH WROTE:

今回はROCKHURRAHのブログでは初となるコラボ企画を急に思いついたので、それについて書いてみよう。
世の中にいくらでも存在するので苦しい時のネタとしては便利なカヴァー・ヴァージョン企画である「誰がCOVERやねん」と、女性ミュージシャンばかりを執拗につけ狙った「Naonシャッフル」との豪華コラボレーションだ。
つまり、女性ミュージシャンの歌うカヴァー・ヴァージョン特集というわけ。
「思いついた」とか言う割には陳腐。 どこにでもありそう?
まあ取り上げるミュージシャンがひと味違うから、誰もが想像するような記事にはならないはず。

検索とかでこのページに辿り着いて、そもそもROCKHURRAHが何なのかもわからない方々にとっては意味不明だろうが、そんな企画も過去に何度かやっておったとです。
いつまでも暑いし頭もボケてるし、有無を言わさず始めようか。

Family Fodder / Sunday Girl

ファミリー・フォーダーは1979年にデビューした英国のバンドなんだが、音楽雑誌などであまり取り上げられる事がなかったので、実は書いてるROCKHURRAHもよくわからん謎のバンドだ。
大体Fodderをフォーダーと発音するらしいって事も今、調べて初めて知ったよ(←バカ)。
ROCKHURRAHは81年に出た彼らの「Greatest Hits(というほどヒットしていたとは思えないが)」を持っていた。
アクサク・マブールで有名なベルギーのクラムド・ディスクから出ていたなあ。
このレーベルはきれいでそそられるジャケットが多かった割には個人的に素通りしてきたバンドが多く、どちらかというとROCKHURRAHとは疎遠なレーベルだった。同じベルギーのクレプスキュールとかもやや苦手だったもんな。
このアルバムも割とカラフルなジャケットで目立っていた事と、ミュージシャンのクレジットにディス・ヒートやスリッツのメンバーなどが混じっていたから、予備知識もなく興味本位で買ったに過ぎない。しかしジャケット買いが好みにピッタンコの音楽で大当たりだったのは嬉しかった。

曲によって全然構成が違うので傾向も読めないんだが、かつてのプログレッシブ・ロックの一流派、カンタベリー・ミュージックを思わせるような部分もあり、時にちょっとアヴァンギャルド、時にメロディアスでポップな部分もある。
どちらかというとロックを解体してチープに再構成したような曲が多く、確かに初期ニュー・ウェイブはこういう路線が多かったなあ。女性ヴォーカルの素人っぽい歌い方も時代に合ってていい感じ。
おっと、話が逸れてしまったがファミリー・フォーダーはこのクラムド・ディスクからはたまたま出しただけのようで、英国のフレッシュ・レーベルを中心に活動していた模様。

さて、そんな彼らがカヴァーしたのがブロンディの1979年の大ヒット曲「Sunday Girl」だ。
ある程度の年齢の人ならば説明するまでもないね。
ブロンディも知らないっていう若い世代でもわかるように(そういう世代の人が読んで興味深いブログとも思えんが)一応書いておくが、ニュー・ウェイブ初期に圧倒的人気があった女性ヴォーカルのバンドだ。「ハート・オブ・グラス」や「コール・ミー」などの代表曲は世代を超えて色々なBGMとしても使われる事が多い。
ヴォーカルのデボラ(デビー)・ハリーはデヴィッド・クローネンバーグやジョン・ウォーターズ映画に俳優としても出演しているね。
ファミリー・フォーダーはそのものズバリ「Debbie Harry」などという名曲を残しているが、よほど好きだったのかね?
しかし数十行も書いた後でふと思ったんだが、このカヴァーは果たして女性ヴォーカルなのか?全体的に演奏も声も歪ませているから実は不明なんだよね。女性ヴォーカルがいるバンドだからてっきりそうだという先入観があったので、違ってたらバカなヤツだとROCKHURRAHを笑うが良い(←偉そう)。

Screamin’ Sirens / Your Good Girl’s Gonna Go Bad

ウェスタンな格好したモヒカン女がいるガールズ・バンドだったから、てっきりイギリスだろうと思ってたがアメリカだったんだね。
このバンドも同時代にはあまり情報もなかったのでずっと不明のままだが、写真を見る限りではかなり派手で威勢のいい、強そうな雰囲気。

70年代に生まれたパンクがカントリー&ウェスタンやロカビリー、ブルーグラスなどと結びついてカウパンクと呼ばれるようになった。
同じような結びつきのミクスチャー・ミュージックとしてサイコビリー(の一部分)やラスティック・ストンプがあるが、両者の厳密な違いはよくわからん。
本職カントリーやブルーグラスに匹敵する演奏力を持ったバンドもいれば、カントリー・テイストを借用しただけのインチキ音楽もあるが、どちらかと言うと自分では本格派じゃない方をカウパンクと呼んでいた。
個人的にはイカサマっぽい紛い物の方が好きなROCKHURRAHはこの手の音楽が大好きで、当ブログ「荒野の7ビリー」という記事でも特集してるほど。

スクリーミン・サイレンズもそういったカウパンクの部類に入るが、全部がそういう曲調ではないようだ。
後に本格派のカントリー世界で大成するロージー・フローレスやバングルス、ブラッド・オン・ザ・サドルで活躍したアネット Zilinskas(読めん)なども在籍していた模様で、このジャンルとしてはたぶん実力派揃い。
Miiko Watanabeなる日本人らしきベーシストもいたようだ。
このバンドを知ったのはサイコビリー系のオムニバス・アルバム「Revenge Of The Killer Pussies」だったかな?
メテオス、グアナバッツ、キング・カート、Blubbery Hellbelliesといった定番バンドに混じってエイリアン・セックス・フィーンド、ジャズ・ブッチャー、ブリリアント・コーナーズといった別ジャンルのバンドまで入っていて支離滅裂、良き時代だったなあ。

この曲はアメリカの有名なカントリー・シンガーであるタミー・ウィネットのヒット曲が元ネタなんだけど、それを感じさせないくらいにピッタリとスクリーミン・サイレンズ調にアレンジされている。
威勢がよくてやや下品、女数人集まればかしましいの公式通り、にぎやかで元気な音楽性は本当に素晴らしくて気に入っていたもんだ。
マイナーなバンドでYouTubeは一応あったものの、映像がなくて残念。

Dolly Mixture / My Rainbow Valley

ドリー・ミクスチャーは80年代初期にデビューした女性だけの3人組バンドだが、タルラー・ゴシュ(80年代半ば)、へヴンリー(80年代後半)などに受け継がれてゆく「初々しく下手っぴいガールズ・ギター・ポップ」という路線の元祖的存在だと思える。
70年代の女性ロックシンガーではあまり見かけなかった普通のかわいらしいワンピースによる楽器演奏というスタイルの元祖的存在でもあるな。
今では考えられないだろうが、この時代くらいまでは不良娘でないロック少女はかなりの少数派だったんだろうな。

彼女たちのデビューはダムドのキャプテン・センシブルがソロとして奇跡の大ヒットを飛ばしていた時代のバック・コーラス隊としてだった。
メンバーの一人はそのままキャプテンの奥さんになってしまうんだが、そのコネなのか何なのかはわからないが、まんまとレコードを出して後世に名を残す事になった。
「名を残す」などと書いてみたものの、実は同時代にはほとんど無名であり、ヒット曲も特にない状態。
後の時代になって彼女たちよりずっと有名になったミュージシャンの中に「ドリー・ミクスチャーの大ファン」と公言する人が続出、そういう人たちの働きにより再発されたり編集盤が出たりしたわけだ。
セイント・エティエンヌ、小山田圭吾、カジヒデキ、カヒミカリィなどなど、その名前を見ればどういう傾向の人に好かれていたかわかるはずだ。

さて、そのドリー・ミクスチャーがカヴァーしたのが60年代後期イギリスのバンド、ラブ・アフェアーのこの曲。
ラブ・アフェアーは後にモット・ザ・フープルに加入するモーガン・フィッシャーのルーツでもあるバンドだね。
関係ないがROCKHURRAHは大昔に下北沢で働いていた時にモーガン・フィッシャーの接客をした事があり・・・、あ、この話は前にも書いた事があったか。
とにかくモータウンあたりにも通じるような黄金のメロディ・ラインが美しい曲だから、ガールズ・グループがかわいくカヴァーしても全然違和感はないね。

Thee Headcoatees / My Boyfriend’s Learning Karate

1960年代に流行ったガレージ・ビートにパンクのフィルターを通して、よりワイルドに復活させた立役者がビリー・チャイルディッシュだ。
ミルクシェイクス、マイティ・シーザーズ、ヘッドコーツなどなど彼が関わったバンドは実に数多く存在していて、それぞれ少しずつ音楽性は違うんだけど、一貫してるのはラウドで破壊的な部分かな。
時代の流れでそういうガレージ・リヴァイバルというような動きがあったというよりは、色々な名義でレコードをリリースしまくる事によって無理やりブームのような現象に見えてしまうという力技の偉業を成し遂げたようにROCKHURRAHには思える。
パンクもそうだったが、何かが生まれる時にはそういう扇動者が必要って事だね。

そのビリー・チャイルディッシュが90年代に仕掛けたのが女性だけのガールズ・ガレージ・バンドであるヘッドコーティスだ。
その前の時代に三人組のデルモナスというガールズ・バンドがあったのだけど、それの延長線になるのがこのバンド。
バンド風にしてるけど演奏は全てビリー・チャイルディッシュのバンドの方で彼女たちはフロントで歌うだけに過ぎないというようなよくある話。
美女揃いというには語弊があるかも知れないが、とにかくムサい男がやるよりは華があるし、ガレージ・ロックンロールの中では確かに女性の進出率が高いのも事実。
プロデュースを数多くやってるチャイルディッシュだから、自分の手がけた人気ガールズ・バンドというのを捏造してみたくなっても当然だろう。
そんな彼のイメージにピッタリのヘッドコーティスはやる気なさそうな蓮っ葉なヴォーカルとガチャガチャの演奏が見事にマッチしていて、なかなか素晴らしい世界。
ROCKHURRAHの勝手な思い込みではこの手のガールズ・ガレージ・バンドは演奏も大事だが豹柄の水着着用とか、そういう見た目のインパクト勝負のバンドが多いように感じるが、彼女たちはそういう色気とは無縁のクラシカルなルックス、この辺もチャイルディッシュのこだわりなのかもね。

さて、この曲はどうやらオリジナルと言えるのかどうか不明だが、カナダ(?)のチャーリー&チャンという何だかわからんのがもっと前の時代にやってる模様。
タイトルを忘れたが西新宿のVINYLとかで売ってるガレージ系のオムニバス元ネタ集レコードのシリーズがあって、その辺に収録されていたように記憶する。音楽性もよくわからなかったROCKHURRAHたちはよく「エグエグ」と表現していたな。元ネタもYouTubeにあるので聴き比べてもらえればわかるが、これは結構忠実にカヴァーしてる模様。
イントロでは空手チョップでかわらとか木の板を割ってる音のSEが入るし「アチョー」とか「キュー・サカモト」などと意味不明のオリエンタル・ムードが大変にバカっぽいスーパー名曲。むしろヘッドコーティスの方が普通に思えてしまうのが残念。

彼女たちのレパートリーはこの手のジャンルとしては当然だがカヴァー曲が大変に多く、ROCKHURRAHが大好きなベルギーのプラスティック・ベルトランのカヴァーとかもやっている。昔のガレージとかだけのカヴァーじゃないところがいいね。

以上、今日はひとつのバンドが意外と長くなってしまったからたった4つだけなんだが、どの曲も愛聴していたので書く事が出来て嬉しいよ。
・・・の割には「よくわからん」とか「不明」とかの表現が多く、大して詳しくもないバンドを語ってしまったのがバレバレだけどな。知らなくても好きにはなれる、これでいいのだ。
企画倒れの気がしなくもないが、涼しくなればもう少し気力も充実してくると思うので、今後に期待してて下さい。

ではまた来週。

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