STARS展 鑑賞

20201025 top
【STARS展の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

友人Mと一緒に出かけたのは、森美術館で開催されている「STARS展」である。
これは「多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名を選び、その活動の軌跡を初期作品と最新作をつなぐかたちで紹介する」という企画物。
世界的にも有名な日本人現代アーティストというと、当然のように知った名前が並んでいることは予想できる。
そんな「超大物アーティストが一堂に会する、壮観かつ圧巻の展覧会」を鑑賞できるのは、お得な感じだよね?(笑)

午前中に用事を済ませ、六本木でランチを食べる。
少し早い時間だったせいか、レストランが空いていたのは良かった。
お腹を満たしてから、森美術館のある53階へ。
「カレーパン」の袋を持った人を多く見かけて謎だった。
帰宅後調べてみると、どうやら嵐の大野智作品展が開催されていたんだね。
「智のカレーパン付きチケット」なんていうのもあったみたい。
そういうことだったのか、と納得したよ。(笑)
エレベーター待ちの人のほとんどは嵐目的だった、ということだね。

それでは展覧会の感想をまとめていこうか。
森美術館はいつも通り、作品の撮影オッケーだったよ。
やっぱりいいね、森美術館!(笑)

会場に入ると最初に登場したのは村上隆の作品だった。
「チェリーブロッサム フジヤマ JAPAN」を背景にした「Ko²ちゃん(プロジェクト Ko²)」がお出迎え。
高さが180cmを超える、村上隆のフィギュアタイプを観るのは初めてのこと。
アニメや漫画などでは当たり前になっている女の子の、異常なまでの大きなバストや足の長さを強調したプロポーションを再現した作品である。

載せた画像は「マイ・ロンサム・カウボーイ」で、2008年にサザビーズのオークションで、約16億円で落札されたことが話題になった作品なんだよね。
2015年11月に鑑賞した「村上隆 五百羅漢図展」の感想にも同様の内容を書いているSNAKEPIPE。
実物を観ていないので感想は言えない、とも書いているね。
ついに今回、ご対面となったわけだ。(笑)
男女のキャラクターに共通して感じたのは「おちょくってる」のかな、ということ。
好き嫌いは別として、賛否両論の感想がある作品というだけで、現代アートとして成り立っているのかもしれない。
ジェフ・クーンズの「ラビット」なども同じ理由で高額になるのかな、と想像する。
SNAKEPIPE MUSEUMだったら何十億も払って、この作品買わないけどね。(笑)

続いては李禹煥(リ・ウファン)。
SNAKEPIPEは初めて聞く名前だよ。
1936年韓国慶尚南道生まれで、1956年に来日。
日本を拠点に活動しているアーティストだという。
石、木、紙、綿、鉄板、パラフィンといった〈もの〉を単体で、あるいは組み合わせて作品とする「もの派」を理論的に主導した人物とされている。
「もの派」というのは哲学や老荘思想などの影響を受けた「あるがままの世界との出会い」を目指す、作らないアートだったという。
確かに「関係項 ー 不協和音」はステンレスの棒と石が、床に固められた玉砂利に置かれている状態の作品だったからね。
なんとも静謐な空間で、日本庭園の一つである枯山水のイメージだったよ。
ステンレスという金属が使用されているところが、SNAKEPIPEの好み!

つい先月、草間彌生美術館に行ってきたばかりだけど、世界的に有名な日本人アーティストで外せないからね。
画像は、「女たちの群れは愛を待っているのに、男たちはいつも去っていってしまう」で2009年の作品である。
相変わらずタイトル長いなあ。(笑)
連なる横顔は、「わが永遠の魂」シリーズでよく見かけるモチーフだよね。
きっと何か意味があるんだろうな。
絵画以外に立体作品の展示もあり、こじんまりしていたけれど、草間彌生の過去と現在を知ることができる内容だったよ。

草間彌生ブースから次に向かうと、突然暗闇になる。
「スマートフォンを落とさないように」
と係員から注意があった。
目の前には暗い空間が広がり、その中に何やら光る物がある。
柵から身を乗り出すようにして確認すると、それらは数字だった。
なるほど!
だから「落とさないように」なんだね。(笑)
これは宮島達男の「時の海 ー 東北」プロジェクトだという。
LEDを水の中に設置し、3.11で被災した人々3000人に参加を呼びかける作品になるそうだ。
現在の参加者が719名なので、あなたも参加しませんか?という葉書が置かれていたよ。
遠くまで続いているように感じる暗い黒い海の中にある光は、海に沈んだ魂のように見える。
おごそかな気持ちになると同時に、とても美しい作品だなと思ったよ。

奈良美智の作品は今まで何度か目にしているけれど、無愛想な表情をした女の子に全く魅力を感じることがなかった。
どうして評価を受けているのか分からないアーティストなんだよね。
今回展示されていた中で、唯一「かわいい」と思ったのは、この作品。
「Lonely Moon / Voyage of the Moon」は金沢 21 世紀美術館の所蔵作品とのこと。
奈良美智の愛用品も展示されていたけれど、あまりピンとこなかったな。

最後は杉本博司だった。
杉本博司はコンセプトに基づき、写真を使用した表現で評価されているアーティストなんだよね。
SNAKEPIPEが一番最初に知ったのは「劇場」シリーズで、映画館で上映中の映画を撮影した作品だった。
映画上映時間と同じ露光時間を設定し、映画の終了でやっとシャッターを切り、一枚の写真を撮るんだよね。
長い露光時間では動いている物が写らないため、映画館の内部を撮影した写真にしか見えない。
時間を写す、というところがポイントなんだけど、難解だよね。(笑)
「Revolution 008 カリブ海、ユカタン」は、本来は横位置の写真を縦にして展示されている。
「水平線は地球の輪郭線の一部へ転換され、意識は大いなる宇宙へ放たれます」と森美術館の説明に書いてあるけど、どうだろう?
SNAKEPIPEは純粋にモノクロームのグラデーションが美しいと感じたよ。

30分ほどのビデオ作品「時間の庭のひとりごと」は、2017年に小田原に開館した「小田原文化財団 江之浦測候所」を紹介している。
この測候所に今まで2度足を運んでいる友人Mは、食い入るように映像を鑑賞していたよ。
「とても素敵な場所」と友人M のお墨付きなので、いつか行ってみたいね!(笑)

日本の現代アートを代表する面々の作品が一堂に会する展覧会は初めてかも。
名前と作品が一致し、ある程度の予備知識を持って鑑賞したため、新鮮な驚きが少なかったとも言えるかな。
感想をまとめるにあたってアーティストについて調べる機会を得た。
韓国生まれの李禹煥は日本に向かったけれど、他の面々は日本を飛び出し、海外に活動拠点を持ったり生活していることが分かった。
世界的に有名になるには、グローバルな視点が必要なんだなと改めて思ったよ。
1957年に渡米した草間彌生は先駆けということになるんだね。

次回の森美術館も楽しみにしていよう!(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です