ビザール・ポスター選手権!40回戦

【トホホなシーンやポスターを集めてみたよ!】

SNAKEPIPE WROTE:

2017年4月に書いた「ビザール・ポスター選手権!25回戦」では、1950年代頃までのポスターを特集した。
今回はその第二弾を企画してみようか。
もちろんトホホなポスターでね!(笑)

最初に紹介するのは、1933年のアメリカ映画「The Vampire Bat」!
直訳すると「吸血コウモリ」。
その映画のスペイン語バージョンのポスターなんだろうね。
主演はライオネル・アトウィル、ヒロインにはフェイ・レイ。
フェイ・レイと言えば、映画「キング・コング」の初代ヒロイン役で有名な女優だよね。
ということは、、、このポスターに描かれている「びっくりした顔」の女性がフェイ・レイってことか?
ちなみにフェイ・レイの画像がこちら。
美しい女性をこんな顔に描いてしまうとは!
そしてもうすでに皆様お気付きだと思うけど、最もあっぱれなのがコウモリの顔だよね。(笑)
ホラー映画のはずなのに、このコウモリのせいでギャグ映画のようになってしまっているよ。
このポスターを見て、映画館に向かう人がどれだけいたのか聞いてみたいよね!
「The Vampire Bat」はYouTubeで完全版が観られるみたい。
プロモーションとしての短い映像があったので載せておこうか。

少し粒子が粗いモノクローム映像は、それだけで雰囲気あるよね。
時が止まったようなヨーロッパの村クラインシュロスで、村人たちが失血により死に始めるというストーリーだという。
吸血コウモリはどんな顔をしているのか見てみたいよね!
ポスターと同じだよね、きっと。(笑)

続いては1946年のアメリカ映画「The Catman of Paris」だよ!
訳すと「パリの猫男」になるね。
映画はミステリー/ホラーというジャンルになるらしい。
キャットマンと聞いてスキャットマン・ジョンを思い出してしまったけど、全く関係なかったよ。(笑)
それにしても、このポスター右の男!
猫男をイメージしているのは分かるけど、かなり無理があるような?
襲われている女性も恐怖を感じるというよりは、
「変なコスプレのおっさん!変態や!」
と思っているような目つきだしね。(笑)
そして背後で「シャーッ」と吠えているかのような黒猫も、 目が赤いだけで特にホラー要素はなし。
主人公の小説家が「人を殺す猫男」についての本を書く、というところから始まるお話とのこと。
スローな展開で雰囲気も良くないという批評が載っていたよ。
やっぱりこのポスターが物語っているのかも?(笑)

猫つながりで選んだのが、このポスター。
The Black Cat」は1941年のアメリカ映画とのこと。  
説明によるとコメディホラー/ミステリーというジャンルだというから、どんな内容なのか気になるよね?(笑)
ポスターはドイツ版だと思うけど、もしかしたらコメディ部分を取り入れているのか、猫が怖いというよりむしろキュート!
当時のコメディ映画「魔の家」とエドガー・アラン・ポーの「黒猫」に触発されて制作したというから驚いちゃうね。
トレイラーがあったので載せてみようか。 

観ている映像ではコメディ要素は見当たらなかったよね?
ベラ・ルゴシも出演していた「The black Cat」、かなりの高評価を得ていたみたい。
やっぱりコメディも含まれたミステリー映画だったようなので、面白そうだよ。
猫が可愛いのか、恐ろしい存在なのかも判断したいね!(笑)

 最後はこちら!
Horror Maniacs / Strangler’s Morgue」という映画2本立て用のポスター。
どちらの映画も主役がトッド・スローター という俳優なんだね。
「Horror Maniacs」は1948年のイギリス映画で、1827年から28年にかけて起こった「バークとヘア連続殺人事件」をもとに制作されたという。 
医学校に解剖用の死体を売るための犯罪だったとは驚いちゃうね。
合計で17人が犠牲になった顛末を映画化したみたい。
「Strangler’s Morgue」は1946年の作品で、モーリス・サンドスの演劇「バネ足ジャック」をもとにしているという。
バネ足ジャック」というのは、「切り裂きジャック」よりも前に都市伝説として語られていた犯罪者らしい。
ヘヴィな映画2本立てに描かれたのが、こんなにトホホなポスターとは!(笑)
「世界一の外道」やら「寒気がする」「スリル満点」などの文字が踊る中、乱杭歯の男に襲われる女性たち。
ここまでへなちょこだと、逆に気になるよ。(笑)
SNAKEPIPEは「Based on a true story」が好みなので、最初の「Horror Maniacs」を観たいな! 

今回は1930年代と40年代の映画ポスターを紹介してみたよ。
ホラーやサスペンスなどのジャンルが多いことに気付く。
当時の人たちは、これらの映画を観てどんな感想を持ったんだろう?

SNAKEPIPEのビザール・グッズ探しはまだまだ続くよ!(笑)

80年代世界一周 亜爾然丁編

【予想外に豊富だった80年代亜爾然丁ロッカーの面々】

ROCKHURRAH WROTE:

以前に南米の80年代パンク、ニューウェイブ特集をしようと思ったら、予想外に層が厚かったからブラジルのみしか出来なかった。
それで今度は残りの南米について書いてみようか。
南米の音楽事情について全然詳しいわけでもなく、人から見たら何で書きたいのかがわからないというくらいのシロモノになるのは間違いないが、大体いつも割といいかげんに書いてるブログなので細かい事は気にしないで。

一口に南米と言っても相当な国がひしめいてて、地理や歴史に詳しくない人は国名を全部言えないのではないかと思う。
ROCKUHURRAHもスリナムとかガイアナなどはこれまでの人生で一度も話題にした事ない国名だったよ。
ブラジル以外の南米主要国はほとんどがスペイン語圏だから、国によって音楽のニュアンスが大きく変わる事はないような気がするな。
どうせその国の80年代がどうだったか?なんて知りもしないから、テキトーな順番で矢継ぎ早に書いてゆこう。

まず今回はブラジル以外の南米の国では一番メジャーそうな国、領土も南米二位という大国アルゼンチンから。
漢字で書くとタイトルのように亜爾然丁となる。爾がルで丁がチンなんだね。

この国に対するROCKUHURRAHのイメージは貧困で(どの国でもそうなんだが)アルゼンチン・タンゴとかガウチョとかフォークランド紛争(古い)とか、その辺の月並みなものしか思い浮かばないよ。
去年観に行った「永遠に僕のもの」や結構ヒットした「人生スイッチ」もアルゼンチン映画だったな。
その両方のプロデューサーだったペドロ・アルモドバル監督作品の常連、セシリア・ロスもアルゼンチン人だし、スペインとアルゼンチンは結構密接に関係してるという印象を勝手に持ってるよ。
ブエノスアイレスは南米のパリと呼ばれてるそうだし、旅番組とかで見てもたぶん好きな感じの国だと思った。
この国の80年代がどうだったかなんて知らないが、前回特集したブラジルと同じく、意外とパンク、ニューウェイブも発達してたのかな。

アルゼンチンのパンクとして真っ先に名前が挙がる大御所がこのLos Violadoresだ。スペイン語で「違反者」を意味するバンド名だがカタカナ表記したサイトが見つけられず、イマイチ読み方がわかってない。
そのまま読んでヴィオラドレスなどと書いて検索したら舞踏会か結婚式で着るようなすごいドレスが出てきたからきっと違うんだろうな。

1981年にブエノスアイレスで結成した4人組で最初の頃は割とガラの悪い見た目だったが、人気が出た頃にはニューヨーク・ドールズとハノイ・ロックスとダムドが合わさったようなルックスになっていた模様。ヴォーカルのPil Trafaは確かに南米を感じさせないルックスでロックスターになるのもよくわかるよ。
途中で何度か活動休止期間もあったようだが、1983年から現在までコンスタントにレコードも出していて、本国ではたぶん最も成功したパンク・バンドなんだろう。

ビデオの曲は1985年に出た2ndアルバムに収録でシングルにもなった代表曲「Uno Dos Ultraviolento」。
勝手に直訳すれば「ワン、ツー、超暴力」で何だかよくわからないタイトルだが、 血気盛んなラテン民族には大好評だったに違いない。
ベートーベンの「歓喜の歌」をイントロに使ったポップでパンクな曲調は日本で言えばラフィンノーズの「聖者が街にやってくる」とか思い出してしまったが、ちょうど同じ年の曲なんだよね。
曲の構成とかサビのハモリとか妙にラフィンノーズっぽいノリを感じるけど、こっちの方が軽いな。
どっちも影響を受けたものは違うかも知れないけど、日本もアルゼンチンも発想は同じようなものだと確認出来て良かった良かった。

ビデオでは「時計じかけのオレンジ」を模したヴォーカリスト、この辺もパンクの世界では世界共通に影響を受けてるというのがわかるね。こりゃ確かに「ワン、ツー、超暴力」だわ。

似てると言えばもう一つ思い出していいかな。
ギタリストはこの手のバンドには珍しくギブソン・エクスプローラー(コピーモデルかも知れないが)という珍妙な形のギターを持ってて、高校の時に先輩から借りて持ち帰ったのを思い出したよ。
当時は誰が使ってたか思い出せないが(おそらくフュージョン系)B.C. リッチとかアレンビックとかあまり伝統なさそうなギターが流行ってたから、色んなギターを弾いてみたいという欲求が強かったんだろう。
何行も書いたくせに、見た目の割には弾きにくくはないという感想くらいしかない。
大体同じようなフォルムのギブソンのファイヤーバードはヴィンテージ感があってカッコいいのに、この違いは何だろう?

アルゼンチンと言えば忘れちゃならない、80年代で最も知られたバンドがこのSoda Stereoだろう。
Sodaは単体ではソーダなんだろうがなぜかこのバンドはソダ・ステレオと呼ばれているそだ。
いや、スペイン語でもソーダでいいだろうに、などとどうでもいい感想をまず持ってしまうが、1982年に結成された3人組。
1984年に出た1stアルバムは驚くほどたくさん南米各国で再発を含めリリースされまくってるが、南米以外ではアメリカで随分後になって出たくらい。どうやら南米だけで大人気のバンドらしい。
などと無責任に書いたがラテンアメリカで初めて100万枚を超えたバンドらしく、全世界(大半は南米だと思うが)で700万枚も売れたレジェンド級の活躍をしたらしい。ここまで書いて気付いたが訂正するくらいなら書き直せば良かった。

そのアルゼンチンの伝説、Soda Stereoは1982年にブエノスアイレスで結成、1997年に解散するまでコンスタントにレコードを出して大成功を収めたという。1枚のレコードにつき30〜50くらいの各国盤がリリースされてるようなので、それはものすごい人気だったんだろう。
パンク的な要素はあまりないけどロックとラテン、レゲエ、スカなどが実にうまくミックスされていて、この辺はずっと後の時代のマノ・ネグラあたりに通じる痛快なノリの良さ、勢いを感じる。

ビデオはアルバム・デビューより前の1983年の映像だが「Te Hacen Falta Vitaminas」(自動翻訳による勝手な邦題「あなたはビタミンが必要です」)はデビュー曲で1stアルバムにも収録されている、ヤンチャで元気のいい様子が伝わる名曲。
個人的にニュー・ウェイブに関しては後進国だと思っていた認識が大きな間違いだと反省したよ。

しかしヴォーカルのグスタボ・セラティは2010年(バンド解散後)にライブ後、脳卒中で4年間も昏睡状態となり2014年に55歳で死去している。
うーん、大成功したロックスターの死としてはやりきれないが、前回のブラジル編で書いた、国民的スターだったヘナート・フッソも30代だったな。
大スターであろうとなかろうと、何か自覚症状があった時は深酒とかのせいにせずに早めの検診を、としか言いようがないよ。

有名なバンドが続いた後で一気に情けなくなってしまうが、このTrixy y Los Maniáticosも1981年に結成したアルゼンチン・パンクの先駆者のようだ。はっきりは読めん、だがトリクシー&ロス・マニアティコスでいいのかな。
後にソロとなったトリクシー嬢(おばちゃんっぽいが)は最初に書いたLos Violadoresのバッキング・ヴォーカルなどもやってたみたいだから、その辺の縁でアルゼンチンのパンク・シーンが出てきたのかな。
何しろレコードのような音源も出してなくてずっと後にカセットが出たのみ、主要な曲はトリクシーのソロ曲とかぶってるし、とにかく情報がなさ過ぎて困ってしまうようなバンドだ。

なのにYouTubeにはTV出演の映像とか残ってるし何曲も聴けたりする。一体どうなってるんだ?
映像は悪いし上の2つのバンドと比べると明らかにクオリティは低いが、ラテンでも立派にロックンロールしてるぞという堂々とした姿勢が心を打つ(大げさ)。

レコード・リリースさえないインディーズ中のインディーズ・バンドが晴れてTV出演したという貴重な映像には違いない。
「ウチらはライブ・バンドやけんスタジオ盤なんか出さんっちゃ(なぜか突然方言)」などと言ったのかどうか、これこそがパンクの生き方なのかどうかは知らんが、そういうバンドを見つけるのこそが80年代世界一周の目指すところだよ。

長身でこの髪型やルックスは「フジヤマママ」で知られる女性ロッカー、パール・ハーバー(一時期クラッシュのポール・シムノンの奥さんだった)をちょっと思い出す。その辺を意識してるのかな?

で、また情報が少ないバンドその2、Alerta Rojaもアルゼンチンの最も初期パンク・バンド、Los Psicópatasが名前を変えたという3人組だ。
Los Psicópatasは1979年の結成で、その後Estado de Sitioと改名した後、三度目の正直でレコード・デビューした時にはAlerta Rojaになったらしい。全部読めん。日本語に訳すと「非常警報」というバンド名でいかにもだな。
一番上に書いたLos Violadoresよりも早い1982年にシングルを出し、83年と86年にアルバムも出してるようだがたぶん相当入手困難、忘れた頃の2013年にやっとこれまでの活動全曲入りのCDが出た。

そんな零細バンドなのになぜかちゃんとした映像が残ってて、これまた不思議の国アルゼンチン。
ビデオは1983年に出た1stアルバム収録の曲「Atrincherado(塹壕)」だ。
曲はLos Violadoresなどと比べるとラウドで荒々しく暗い雰囲気、あまり南米っぽくは感じないね。
このバンド、荒削りなパンクの1stも独特なダークさを展開した2ndもすごく良いので、中古盤屋でその全曲入りCD見つけたらぜひ買って欲しいくらいだよ。
ヴォーカルがちょっと垢抜けない(という言葉の方が垢抜けないが)しギターはベイ・シティ・ローラーズみたいなチェック・マフラーだし、見た目はともかく曲作りは相当のレベル、おそるべしアルゼンチン。

どこかの空き地みたいなところでビデオカメラさえあればタダで撮れるだろうけど、後ろの建物の壁に「BERLIN PUNX」と書いてあるように見えるからさらに意味不明。わざわざベルリンに撮りに行ったのか、ベルリンのパンクがアルゼンチンで落書きしたのか、どうでもいい事ばかり気になるよ。

割とストレートなノリのある音楽を好むのかは知らないが、アルゼンチンではイギリスの80年代のような暗い傾向のものはあまり見つからなかった。知識もないし探し方が悪かっただけかも知れないけどね。
ちょっといいなと思うと静止画だけのビデオで退屈だから不採用というのが多かったよ。
そんな中で無理矢理見つけたのがこれ、Los Pillosというバンド。

Pillosという言葉をGoogle翻訳してみたらラスカルズになって意味不明、日本語に翻訳してラスカルズって何だよ?
律儀に辞書で調べてみたらずる賢い奴、悪党、悪人、不良、ちんぴらなどなど、ラスカルズという語感でこんなの(写真)を思い浮かべてたのにガッカリだよ。
さて、そんなゴロツキどもは1984年にブエノスアイレスで結成、アルバム1枚だけ出して88年にはもう解散した短命のバンドだ。

長髪長身でダブルのライダース着て仁王立ち、という姿はラモーンズを意識してるのかはわからないけど、情感こめて歌う姿がちょっと気持ち悪い男。やってるのは全然違うタイプの内向的な線の細い音楽で、バンド名とのギャップを感じるよな。
しゃがんでて後に立つギタリストの、曲調に合ってるのか合ってないのかわからんグニャグニャしたフレーズだけが耳に残る。これだけが聴かせたかったかのようなプレイ。この全体的なアンバランス加減が理解されなかったんだろうかね。

見た目だけは欧米に負けてないぞ、というルックス重視だったのがVirusというバンド。
現在の状況を考えるとシャレにならないバンド名だが、80年代とかには何も考えず気軽に色んな名称にも使ってた言葉で、Discogsという音楽データベース・サイトで検索するとVirus (29)などと出てきて、ジャンルを問わず多くのバンドがVirusを名乗っていた事がわかる。このバンド名で29番目に登録されたというわけね。29どころかたぶんもっといっぱいあるに違いない。
韓国の女子ゴルファーで同姓同名が6人もいて、イ・ジョンウン6とか5とかいたのを思い出してしまったよ。

Virusは結成も1979年と早く、アルゼンチンのパンク・バンドが結成後にレコード・デビューするまで随分手間取ってるのを尻目に、1981年には早々とメジャーレーベルから1stアルバムを出してるやり手バンドでもある。
まあやってる音楽が違っててこちらは大衆受けのするポップなバンドで、TV出演映像とかもたくさん残ってるから比較のしようもないけどね。
この曲は1981年に出た初期のシングル「Wadu-Wadu」でたぶん大ヒットした代表曲。
ライブはたぶん86年くらいの映像かな(推測)。
ラテン歌謡をロックバンドがやるとこういう風になるんだろうな。ドラムやギターはもう少し違った傾向のものをやりたいのに無理してこういう路線にさせられてるように感じてしまうよ。全体的にはニュー・ウェイブというよりはもっと耳障りの良い、ROCKHURRAH的にはどうでもいい類いのシロモノ。
ヴォーカルが長髪美青年みたいなルックスでティーンの人気をさらってたのだろうと勝手に推測する。
別の時代の映像はポジパンみたいな化粧してる姿もあったので余計に見た目と音楽性のギャップがすごい。

このVirusの快進撃は続いて、デビューから1987年までは毎年アルバムが出ていたんだが、88年にヴォーカルのフェデリコ・モウラがエイズで死去、その後は弟が後を継いでヴォーカルとなったという。
まるで「タッチ」の逆みたいな感じだが、デヴィッド・ボウイの前座なども務めた事があるというからアルゼンチンではSoda Stereoと双璧をなすバンドだったんだろう。
Soda Stereoの場合は解散後だったけど、メインのヴォーカリストがいなくなった後に残されたバンドの継続というのもかなり難しい問題だろうね。
これから忘年会シーズン、年末年始を控えてるのでバンドのヴォーカリストの方は特に健康に気をつけてご自愛を。

ではまた、テゥパナンチス カマ(ケチュア語で「さようなら」) 

収集狂時代 第18巻 バブル・カー編

【車をテーマにした80年代の曲といえば、これ!】

SNAKEPIPE WROTE:

2011年に「どの車にしようカー?」という記事を書いた。
自分が乗るならこんな車、と憧れの車を特集したんだよね。
免許は持っているのに、一度も運転をしたことがないSNAKEPIPE。
今回は「収集狂時代」として、コレクションしたくなるキュートな車を紹介していこうか。

最初に登場するのは、BMW Isetta
1950年台に、イタリアのイソ社のイソ・イセッタを、ドイツのBMW社がライセンス生産した車だという。
イソ社?
韓国ドラマ「梨泰院クラス」のチョ・イソとは関係ない?(笑) 
 
動いているイセッタちゃんを見てみようか。

フロント部分がドアになっているんだね!
Wikipediaの説明では2人乗りとなっていたけど、動画では後ろに男の子が入り3人乗ってるよ。
こんなミニ・カーが町を走り回っていた時代があったとは。
なんと、このイセッタをモデルにした電気自動車が販売されてるというじゃないの!
スイスのMicro Mobility Systems社が「マイクロリノ」として2016年に販売を開始、更に進化させているという。 
お値段は€12,000、日本円で約150万! 
デザインや機能性に加え、環境に考慮できるし、スペースの確保も容易など様々な利点があるリノちゃん。
日本への導入も検討されているというから、欲しくなっちゃうよね。(笑)
 
続いても「丸っこい」デザインだよ!
これはイギリス・マン島にあったピール・エンジニアリング・カンパニー社が製造していた三輪マイクロ・カー「Trident」。
トライデントと言ってもガムじゃないからね。(笑)
トップが透明の半球型をしていて、レトロ・フューチャーな雰囲気。
こんなに小型なのに2人乗りとは、驚いちゃうね。

トライデントが走っている映像だよ!
製造されてたピールの工場で撮影されたのかもしれないね。
生産台数が80台しかなかった、とWikipediaに書いてあったけれど、映像で10台くらい走っているような? 
上部がパカっと開くデザインも斬新!
1965年式トライデントはオークションで1,326万の値がついたという記事もあったよ。
かつて製造していたピール・エンジニアリング・カンパニー社は解散してしまったけれど、復刻版が登場しているんだよね。
Peel Engineering Limitedが電気自動車タイプも製造しているみたい。
サイトには「お問い合わせください」のフォームが載っているので、金額だけでも聞いてみようか?(笑)

窓が大きめのLigier JS8はフランスの車なんだよね。
リジェちゃんのデビューは1981年で、手がけたのはF1メーカーのEquipe Ligierとのこと。
リジェちゃんは最初JS4というタイプで登場し、1年後にJS8が販売される。
この車は125ccのエンジンが搭載されているらしいんだけど、スクーターと同じくらいということかな。
そのためなのか、運転免許のない人でも乗ることができるというのが謳い文句だったみたいね。

ほんとに子供が運転してるね!
屋根付きのスクーター感覚で乗れるなんて羨ましい。
ちょっと買い物、なんて最適だよね!
1980年製のJS4がオークションで£2,240、日本円で約30万円という記事を見つけてしまった。
その金額なら欲しいよね。(笑)

こんな形の車は初めてだよ!
1953年、Le Société Nationale de Construction Aéronautique du Nord (読めん!)によって製造されたInter 175A Berline。 
魚雷のようなデザインの2人乗りタイプ!
スピードを上げて曲がると、倒れてしまうんじゃないかと心配になるほどの細さが特徴的だよね。
どんな風に乗るのか、動画があったので載せてみよう。

なんと前後で縦列になるとは!
戦闘機のコックピットみたいだよね。
上部がパカっと開くところも飛行機っぽいかも。
魚雷型なのに戦闘機みたい、というハイブリッド。
この車もオークションに登場したことがあるようで、€78,400、日本円で約970万円の落札価格だったという。
コレクターじゃなくても欲しくなる逸品だよね!

最後はこちら。
1956年に富士自動車が生産したフジキャビン、なんと日本製!
前が2輪、後ろに1輪という3輪タイプで2人乗り。
魅力的な流線型が、なんとも美しい!
こんなに素敵な車が日本にあったなんて、SNAKEPIPEには驚きだよ。 
見た目の可愛らしさは抜群だけど、 乗り心地はあまり良くなかったため、商業的には失敗に終わったという。
そのため85台しか生産されなかった、とWikipediaに書いてあるね。
そんな中の1台が動いている映像があったよ!
2分5秒あたりに注目。

「ご婦人でも手軽にドライブできます」
なんて画期的だよね!
今こそ、こんなデザインの小型車が求められているように思うけど、どうだろう。
先に書いたイセッタやトライデントも電気自動車として復刻されているというので、フジキャビンもチャンスがあったら是非トライしてもらいたいな!
価格によっては、SNAKEPIPEも真剣に購入を考えちゃうね。(笑)

今回はマイクロ・カー、もしくはバブル・カーと呼ばれる小型自動車を特集してみたよ!
見ているだけでワクワクしてくる可愛らしさ。
お金があったら全部コレクションしたいよね。(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #57 Kim Joon

20201108  08
【2015年の作品、crash-white day】

SNAKEPIPE WROTE:

「ちょっとこれ見て」
ROCKHURRAHから示されたのは、極彩色の画像だった。
手足がバラバラになって配置されている。
猟奇趣味的な美しさに圧倒される。
これは一体誰の作品なんだろう?

調べてみると「Kim Joon」というアーティストの作品だと分かった。
漢字でどう書くのか分からなかったけれど、読み方は「キム・ジュン」で良いみたいだね。
ここからはキム・ジュンと書いていこう。
サイトに載っている経歴を紹介しようか。
1966年韓国ソウル生まれ。
弘益美術大学絵画学科美術学修士取得。
韓国の大学事情に詳しくないので検索してみると、この大学は韓国を代表する美大のようだね。
日本でいったら藝大みたいな感じかな?
大学卒業後、兵役に就く。
韓国は徴兵制があるため、21ヶ月以上軍隊に入隊することが義務とのこと。
日本の自衛隊とは性質が違うよね。

1994年、初の個展を開催。
この時点で28歳、ということは順当に大学に入り26歳で軍隊に入隊したんだね。
軍隊への入隊は好きな時期に設定できるのかな。
SNAKEPIPEの勝手な想像だけど、軍隊に入るなら強靭な肉体創造のために、なるべく若いうちのほうが良いように思うんだけどね?
20代後半だと訓練がキツくなりそうだし。(笑)
キム・ジュンは初個展以降、年に2,3回のペースでコンスタントに展覧会を開催しているみたい。
現在もソウル在住で、国立公州大学校にて教授職に就いているという。

韓国出身のアーティストについてブログで特集するのは、今回で2回目。
2012年に森美術館で鑑賞した「イ・ブル展~私からあなたへ、私たちだけに~」の感想にも、韓国人アーティストについて詳しくない、と書いているね。(笑)
韓国映画やドラマは観ているけれど、アートに関しては未だに未知の世界かも。
Kポップと呼ばれる音楽の世界でも人気がある韓国なので、きっとアートも盛んなんだろうね。

では初期の作品から紹介していこうか。
1995年の作品「tattoo-guys」。
タトゥーをほどこした男性の腕を切り取って並べたように見える。
これは「ミクストメディア」と「針」を使用した作品とされているよ。
この「ミクストメディア」という表記は、非常に曖昧なので、実際のところ何を材料にしているのか分からないんだよね。
もしかしたら本当に人の皮膚かもしれないわけだ。(笑)
それやっちゃったらシリアル・キラーだけど!
ヘルス・エンジェルスのようなバイク乗りが好みそうなタトゥーだよね。
ドアーズのジム・モリソンもあるよ!

キム・ジュンはタトゥーの意味を社会現象として考察しているという。
タトゥーや刺青は、最近ではファッション的な意味合いが多いけれど、古代から身分や所属などを示す個体識別の手段として用いられてきたもの。
犯罪者を表すための刺青や兵士が血液型を彫る場合もあったという。
禁止と執着の二元論とミッシェル・フーコーが「力と喜びのゲーム」と表現する「強制、威圧、強迫、制約」などを例に、キム・ジュンの刺青を語っている専門家の文章がサイトに載っていたよ。
言ってる意味よく解るよね?(笑)
SNAKEPIPEは、刺青と聞くと単純に「反社会性」という単語が浮かぶ。
日本では未だに刺青禁止の温泉施設が多いしね。
載せた画像は「hell」で1997年の作品ね。
この肉片(に見えるもの)がぎっしりと詰め込まれた作品は、猟奇としか言いようがないよ。
体のどの部位なのか想像するだけで怖いよね。

「kiss-mac」は2007年の作品。 
どういった経緯で、キム・ジュンがデジタル・アートに転向したのか不明なんだけど、ミクストメディアを使用した立体作品から8年後にはパソコンを使った制作を始めている。
顔面全体に刺青が描かれているので、キム・ジュンの考察は続いているんだね。
この2人の顔が、2019年に「つないでみる/ユーモアてん。」で鑑賞した「機械人間オルタ」に似て蝶!
そのため「機械人間が育む愛」のように見えてしまったSNAKEPIPEだよ。

鮮やかな色合いに目が覚めるよね!
「bird land-chrysler」 は2009年の作品だよ。
一体何人の女性が描かれているんだろうね?
左のバスト以外は全身刺青の裸体と赤い腕を見ていると、まるで江戸川乱歩の「盲獣」に出てくる触感芸術の部屋みたいじゃない?
ミクストメディアで肉片を詰め込んだ作品とは、まるで別物になっているよね。

2009年に発表した3Dアニメーションを載せてみたよ。
サイトには2017年の作品があって、本当はそっちのほうが「うねうね」した動きが不気味で良かったんだけどね。
国立公州大学校で教えているのがアニメーションだというので、これを専門にしているのかも?

「drunken-romanee conti」は2011年の作品で、この頃から磁器と人体をモチーフにしたデジタル・アートに取り組んでいるんだよね。
テーマは「記憶、欲望、若さ」だって。
3ds Maxという3次元コンピュータグラフィックス作成用のソフトを使用しているらしい。
ツヤツヤした質感と色合いの美しさで、人体がバラバラになっている残酷さを忘れてしまいそうだね。

「island-alligator」では、ついに刺青ではなくて、全身をワニ革で包んだ女性が登場してるね。
これも何人分の体なのか分からなくなる、人体パーツの組み合わせ。
SNAKEPIPEは、キム・ジュンの立体作品があったら観てみたいよ!
前に書いた人体磁器シリーズも、ワニ革の女体アイランドもね!

キム・ジュンのサイトでは、何故だか2017年までの作品しか載っていなくて、その後の消息もつかめなかった。
展覧会も2016年までの情報しかなかったし、現在はどんな活動をしているのか気になるところだね。
韓国人アーティスト情報も、調べていきたいと思う。