Anish Kapoor: Selected works 他 鑑賞

20220522 top
【ピラミデビルで撮影。ギラついた太陽で暑さが伝わるね!】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mと六本木に行く。
ミッドタウン近くを歩いていたら、写真展のポスターを発見。
フジフィスムスクエア写真家エリオット・アーウィット作品展「観察の美学 筋書きのない写真たち」が開催されているではないの!
エリオット・アーウィットなんて写真の教科書に出てくる大御所中の大御所。
1928年フランスに生まれ、1947年からニューヨークを拠点に約70年活躍してきたマグナム・フォトのメンバーだからね。
せっかくなので行ってみることにする。

銀座にある富士フィルムフォトサロンは何度も通ったけれど、フジフィルムスクエアに入るのは初めてだよ。
A4より少し大きさのある、四切の印画紙が並んでいる。
大々的に宣伝している割には、展示数は少なめだなと感じてしまう。
壁一面のみ、およそ30点だからね。(笑)
「あ!この写真知ってる!」
名前は知らなくても、作品は知っていた友人M。
1955年に撮影された「カリフォルニア」は、ROCKHURRAHも知っていたよ。
「フェアーグラウンド・アトラクションのジャケットに使われてたよね」
80年代に「パーフェクト」という1曲だけヒットしたアコースティック系のバンドはSNAKEPIPEも知ってるけど、ジャケット写真まで知ってるのは、さすが元レコード屋。(笑)

全く予期していなかった、エリオット・アーウィットのオリジナル・プリントを観ることができて良かった!
フジフィルムスクエアは写真歴史博物館なので、カメラの展示があったり、フィルムの歴史などを知ることができるんだよね。
館内にいた初老のお客さんが、係員をつかまえて自身の写真歴なのかカメラ歴なのかを滔々と語り続けていたのが印象的だった。
かつては写真撮影に休日のほとんどを費やしていたSNAKEPIPE、使用していた印画紙はフジだったことを思い出す。
デジタルカメラとは違う、一枚の重みを感じた展覧会だった。

続いて向かったのはピラミデビル。
ここには複数のギャラリーが入っていて、2015年11月に「Gerhard Richter Painting展」を鑑賞したワコウ・ワークス・オブ・アートもこの場所!
ピラミデビル自体がカッコ良い建物なので、行くだけでもワクワクするんだよね。(笑)
今回はワコウ・ワークス・オブ・アートSCAI PIRAMIDEを目当てに訪れたよ。 

最初にワコウ・ワークス・オブ・アートへ。
開催されていたのはドイツ人作家グレゴール・シュナイダーの展覧会だった。
写真作品が並んでいる。
説明を読まないで観るだけでは分からない種類の作品みたいだね。
まずは簡単にシュナイダーの経歴を書いておこう。
1969年ドイツ生まれのシュナイダーは、10代から制作を始めたという。
穴を掘るパフォーマンスをしていたという記述からも、難解なタイプのアーティストだと想像できるよね。(笑)
ヴェネチア・ビエンナーレでは金獅子賞を受賞という輝かしい経歴の持ち主なんだって。

今回はシュナイダーのシリーズが3つ展示されていたようだけど、これも帰宅後調べて分かったこと。
画像は「400 meter black dead end」という2006年の作品。
興味の対象が「閉ざされた空間」だというシュナイダーにとって、400mの暗い一方通行の道はテーマそのものなんだろうね。
訪問した人は手探りで歩き、閉塞感と無限に続くような一方通行の暗闇により、精神的な臨界点まで追い詰められたんだって。
SNAKEPIPEは、あまり体験したくないアートだよ。(笑)

次は2014年の「ゲッペルスの生家でのプロジェクト」。
ナチス・ドイツの国民啓蒙宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの名前は有名だよね。
村上龍の「愛と幻想のファシズム」にも、鈴原冬二がゼロに「おまえがゲッペルスをやれ」と言うセリフがあったように記憶しているよ。
そのゲッペルスの生家をシュナイダーが買取り、家財や目録を調べ上げた後に、建物の内部の一切を破壊して残骸を破棄するまでを一連の流れとしている作品だという。
並んだ写真観ただけじゃ分かりませんがな!(笑)
グレゴールといえば、ザムザと思ってしまうSNAKEPIPEだけど、シュナイダーの名前も覚えておこう。
いつか別の作品観ることがあるかもしれないからね!

続いて向かったのがSCAI PIRAMIDE。
谷中にあるSCAI THE BATHHOUSEを訪れたのは2019年6月の「横尾忠則 B29と原郷-幼年期からウォーホールまで」を観に行った時だったね。
2021年、SCAI THE BATHHOUSEが谷中、天王洲の続いて会場に選んだのが、ピラミデビルだという。
先に行ったワコウ・ワークス・オブ・アートの隣だよ!(笑)
開催されているのはインドのアーティスト、アニッシュ・カプーアの展覧会なんだよね。
アニッシュ・カプーアの作品を一番最初に観たのは、2008年6月の「ターナー賞の歩み展」だったよ。

「Void #3」という空中にぽっかりと浮かんだ球体の前で眩暈を起こしそうになった。

自分が何を観て、どこにいるのか一瞬分からなくなってしまったのだ。
本当は立体物なのに、闇が目の前に迫っているように感じてしまう。

圧倒的な迫力について感想を書いているSNAKEPIPE。
アニッシュ・カプーアの名前は鮮明に記憶しているんだよね。(笑)
残念ながら撮影が禁止だったので、感想だけをまとめておこう。
会場入ってすぐ、入り口に展示されていたのは、青い円形の作品だった。
磨き上げられたブルーのステンレスは、鏡のように鑑賞者や周りの景色を写し込み、1歩左右に動くたび、写った顔が歪む。
観ているうちに目眩が起き、立っているのがつらくなるほど。(笑)
先にあげた2つの円形の作品は、反射の具合で色味が変化し、いつまでも観ていたくなったよ。
天井近くに黒い三角形があるので見上げると、黒色に吸い込まれていきそうになる。
ターナー賞の時と同じ現象だよ!
どうやらカプーアは、99.965%の光を吸収する「地上で最も黒い黒」Vantablack(ベンタブラック)の芸術的用途における権利を買い取り、作品にさらなる強度をもたらしているという。
地球にいるのに、ブラックホールを体感している気分になるのは、そのせいなのかもね?
鑑賞できて本当に良かった。
カプーアの作品、お金あったら欲しいわあ!(笑)

今回は3つの無料ギャラリーを「はしご」してみたよ。
これで無料とは、申し訳ないほどだよね。(笑)
六本木にはたくさんのギャラリーあるので、また探して出かけよう!

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