好き好きアーツ!#28 John Waters Beverly Hills John

【ジョン・ウォーターズの偽子供<ビル>との記念撮影。ナン・ゴールディン撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

SNAKEPIPEが敬愛する映画監督デヴィッド・リンチは、映画だけではなく絵画や写真、最近では音楽の分野でも活躍していることはこのブログで何度も取り上げたよね。
更には尊敬する映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーも絵を描いたり、バンド・デシネの原作者としても活躍している。
毎朝見ている「めざましテレビ」で仕入れた情報によると、映画監督ティム・バートンも絵を描いているとか。
監督っていうのは多才なんだね!

そしてなんと偏愛している映画監督ジョン・ウォーターズが個展を開いているという情報がっ!
えー!ジョン・ウォーターズも映画だけじゃなかったんだ!
ニューヨークにあるMarianne Boesky Galleryで2015年1月9日から2月14日まで「Beverly Hills John」という個展を開催しているとのこと。
調べてみると、個展は50回以上も開催されているようだ。
しかも1999年にはパルコギャラリーでもやってたみたい。
偏愛しているなんて書いておきながら、今まで全然知らなかった事実に驚いたり、残念がったり。
これは是非とも「好き好きアーツ!」で紹介しないとね!


現在開催中の「Beverly Hills John」 を検索すると出てくるのが写真右の人物写真…ジョン・ウォーターズっぽく見えるけど別人?
普段のジョン・ウォーターズ(写真左)と並べて比較すると、やっぱりご本人だよね!
ペンシル髭があるから「もしかしたら?」と思うけど、なかったらジョン・ウォーターズとは思わないよね。(笑)
「ビバリー・ヒルズの見本」として唇にボトックス注射を打って分厚くしたり、極端にシワを伸ばした状態らしい。
アメリカの高級住宅地として有名なビバリー・ヒルズに住むお金持ち連中が、若返りのためにシワを伸ばす美容整形をしている状態を表現しているようだ。
ボトックス注射は半年くらいで効果が切れるらしいけど、当分はこの顔のままなのかな?(笑)
写真を加工しただけなのか、本当に注射したのかは不明だけど、自らの肉体を変貌させてまでシニカルを演出するアートってどうなの?(笑)
ジョン・ウォーターズらしい、と言えるよね!

Marianne Boesky Galleryで今まで展示されたことのある作品も紹介してみようか。
これもまたジョン・ウォーターズらしく、かなりゲイ寄りの作品が多いんだよね。
ほとんどの作品が写真としての展示らしい。
電飾で飾られた「Haunted」 (2006年)も写真作品だ。
「My ass is haunted」は直訳すると「私の尻は悩まされている」になるんだけど、 スラングっぽい訳し方あるんだろうね。
例えば「お尻がムズムズしちゃうの!」とか、ね。(笑)


次もお尻ネタ!
「Rear Projection」(2009年)は左から右に向かってストーリーが展開しているようだけど、タイトル通りお尻に映像を映し出したり、途中でまたもや「ass」という文字が入ったりして「そのまんま」な仕上がりだよね。
何が何でも「尻」のことだけを言いたかったのはよくわかる。
そして無事に「The End」になってようで安心したよ。(笑)

日本人ではあまり見かけないし、そこまで需要もなさそうだけれど、その道の方には大人気の(?)胸毛!
ジョン・ウォーターズはゲイであることを公言しているので、この手の作品が多いんだろうね。(笑)
「Hairball」(2014年)は胸毛用ウィッグの写真作品なんだよね。
ウソ広告写真みたいな感じのパロディなんだろうけど、こんな作品を2014年に制作するとは、さすがジョン・ウォーターズだよ。(笑)


写真作品以外に人形の展示もあるんだよね。
「Jackie Copies Divine’s Look」(2001年)はそのタイトル通り、ジョン・F・ケネディ夫人だったジャクリーン・ケネディが「ピンク・フラミンゴ」でディヴァインが着用していた真っ赤なドレスを着て、ピストルを構えている人形なんだよね。
分かり易くするために本家のディヴァインと並べてみたよ。(笑)
ジョン・ウォーターズはこんなお遊びもやってるんだね。
ジョン・ウォーターズもデヴィッド・リンチと同じように、やっぱり50年代へのノスタルジーを持ち続けているんだろうな、と予想できるよね。
そして長年一緒に映画を作ってきたディヴァインへの想いも、ね。

日本でもジョン・ウォーターズの個展、開催されないかなあ!
1999年以降やっていないなら15年分の作品あるだろうし。
その時には是非とも普通の顔に戻ってから来日して欲しいね。(笑)

時に忘れられた人々【19】70’s & 80’s愛護週間編2

【曜日ソングの集大成、ブリリアント・コーナーズの名曲】

ROCKHURRAH WROTE:

前回の最後で「See You Next Week」などと書いたくせにまた一ヶ月以上もサボってしまったよ。愛護週間がずいぶん長いという気がするけど、年末年始にわざわざ書くような内容でもないからちょうど良かった。

何について書いてたかと言うとこの記事を読んでもらえればわかる通り、曜日がタイトルについた70〜80年代パンク/ニュー・ウェイブの曲をピックアップしてどうでもいいコメントをつける、というインスタントな企画をやっていたわけ。今回はその後半について書いてみるよ。

曜日のついたタイトルで探しても圧倒的に多いのが金土日の週末だな。これは外国でも日本でも共通と言える。やってる仕事の業種によっても違うんだろうけど、木曜日などと聞いても個人的にワクワク感は何もなし、いつも何とか乗り切って週末を迎えたいと思うばかりだよ。

そんな何もない木曜日を果敢にデビュー曲としたのがこのジム・ジミニーというバンドだ。人名のように聞こえるがそういう人がやってるわけじゃなくてただのバンド名らしい。
代表曲は1988年の「Town And Country Blues」でこの曲はいわゆるクラブヒッツとして有名なもの。
この曲をかけたらみんながフロアでノリまくるというような定番の曲があって、それは普通のヒットチャートとは全然違うものが大半だ。日本で言えばロンドンナイトとか下北沢のZOOとかがこういう雰囲気だったが、かつては近場に住んでたくせにあまりそういう場所に顔を出さなかったという人間嫌いなので見てきたようには話せないな。
ロンドンナイトはまだやってるし、パンクやサイコビリー系のライブの合間のDJタイムなどでもこういうクラブヒッツはよくかかるけど、当時の熱狂ぶりが今はもう再現出来ないのが悲しい。

話が脱線したが「Town And Country Blues」はウェスタン調の哀愁ある、しかもノリの良い名曲だ。ウェスタン調と言ってもカウパンクやサイコビリーみたいなのとはちょっと違うところが斬新だったな。
ROCKHURRAHもこの曲によって彼らを知ったんだが、他の曲を聴いたらこういう路線じゃなかったので驚いたよ。

ジム・ジミニーは今でこそ映像検索すれば簡単に見る事が出来るが、その当時は知る人ぞ知るようなバンドだったのでPVなんて見たのは随分後になってから。その映像で見るとウッドベースやバンジョー弾いてるような姿もあるので何とかビリー系かカントリー系?とも思うけど、そういう楽器構成でネオ・アコースティックやギター・ポップ系、あと少しモッズとかの雰囲気も感じられるところがちょっと珍しい。
ギター・ポップの名曲をいくつも残したブリリアント・コーナーズや「Maggie Maggie Maggie」で知られるラークス(あの曲以外はそんなにラウドではない)を少し思い出すような雰囲気もあるが、それよりはずっと陽気で軽薄そうなところも似非音楽大好きなROCKHURRAHの好みだ。ジミニーという割には意外と派手だなあ。

おっと、この曲「Do It On Thursday」についてはまるで書いてなかった事に今頃気付いたが、やっぱり楽しげで60年代の学生バンドのような無軌道っぽさがいい感じ。

ハナキン(おそらく死語)の例を出すまでもなく、土日が休みの人にとっては金曜日の夜はやはり特別な開放感があるに違いない。
ウチではどこかに出かけて華やかに過ごすという事が滅多にないけど(人間嫌いなので)、家でDVDを観てくつろぐというのが毎週金曜日の「お疲れ様タイム」になる。
遅ればせながら最近ハマって観ているのが、SNAKEPIPEの友人Mからオススメされた海外TVドラマ「ブレイキング・バッド」 のシリーズ。
1時間ものを平日に観るヒマがないので毎週金曜日に1話ずつ楽しみに観てるが、毎回ハラハラしっ放しで予想外の展開に「続きはどうなるの?」と二人で熱中して観ているのだ。
リアルタイムではないからウチではやっとファイナル・シーズン。
もうすぐ終わりそうなのが残念だ。ここまで熱中出来るドラマは滅多にないだろうなあ。これについては観終わった後でもしかしたら何か書くかも知れないから今はサラッと流しておこう。

そんな個人的金曜日の話は人にとってはどうでもいいと言えるが、数あるフライデーの歌の中でROCKHURRAHが選んだのはアソシエイツのこの曲。
日本では意外と知名度はないけど1980年代初期にはインディーズ・チャートの常連だったバンドで、大ヒット曲もいくつかある。後にはバンド構成になるが最初は男二人でやっていたのでジャケットも二人写真が多くアヤシイ関係に見える。
キュアーで知られる英国フィクション・レーベルよりデビューした事もあって、音楽性もヴォーカル・スタイルも似通ったものがあるとよく言われている。ただしキュアーの暗い曲ほど暗くはなく、ポップな曲ほどはじけてない、全体的に中庸なイメージの曲が多く、日本であまり受けなかった理由がそこにあると個人的には思う。そして人によって好き嫌いが分かれる、オペラを思わせるような高音のヴォーカルが特徴的。
キュアーをより複雑にミステリアスにしたような印象で、当時の音楽雑誌などでは絶賛されていたもんだ。

ROCKHURRAHはいくつかレコードは持っていたけど、そこまでキュアーが好きだったわけではなかった。人気バンドで誰もが語っていたから今さらという気持ちもあったし、もっとマイナーなバンドを発掘する方が性に合っていたというわけ。が、最近またネットのラジオなどでかかっているのを聴くと、声聴いただけですぐにロバスミだと分かってしまう。最近のバンドなんて声で誰か全然わからないのが多いから、やっぱり80年代の音楽はすごい、と改めて思ったよ。

アソシエイツのビリー・マッケンジーの声もロックの世界ではちょっと似たタイプがいないと思える特色を持っていて、どこかで曲がかかっても即座に判別出来る点がやはり偉大だなと思える。
この曲「Tell Me Easter’s on Friday」はその中でも好きな曲で万華鏡のようにちょっとずつ変化してゆく怪しげな歌声とモノトーンな曲調が一体化した傑作。

残念ながらこの後、アソシエイツの二人は喧嘩別れ(アヤシイ)してしまい、このバンドの陰影のある曲作りがなくなった状態でしばらくヴォーカリストのソロとしてやっていたが鳴かず飛ばず、そしてマッケンジーは鬱病によって自殺という最悪の結果となってしまった。
ヴォーカルさえいれば、とかこの作曲センスさえあれば、とかじゃなくてバンドの魅力はトータルなバランスによって成り立っている。喧嘩別れした時にきっぱり解散してればこうならなかったかも、と思ってしまうよ。

さて、いよいよ最終日。環境にもよるだろうが土曜日が一番嫌いという人はかなり少ないと思える。まあとにかく節目の日なのは確かだから土曜日を歌った曲も数多く存在しているはず。

ウチも翌日から仕事だから日曜夜になるといつも憂鬱になるが、土曜日はちょっと出かけたりゆったりしたり週末ならではの料理を作ったり、最も楽しく過ごせる日なのは間違いない。

そんな楽しい土曜日にこんな曲を選んで申し訳ないが、ウルトラヴォックス!初期の名曲「Sat’day Night In The City Of The Dead」、これをもって一週間の締めくくりとしよう。
ウルトラヴォックス!については当ブログでも何度も書いてるから、何度も読んだ人がいたら辟易するに違いないが、全部の記事を読むほどの人はまずいないはずだからまたまた同じような事を書いておこう。

1980年代にニュー・ロマンティックの人気バンドとしてヒットを飛ばしたウルトラヴォックスだが、パンクより前からいた早すぎたバンドだったというのは一部では有名な話。
ロンドン・パンク発生前の1974〜75年くらいに活動していたグラム・ロック系バンド、タイガー・リリーがキャリアの始まりだった。
グラム・ロックとパンク/ニュー・ウェイブの架け橋的なバンドと言えば個人的にはドクターズ・オブ・マッドネスとかビー・バップ・デラックスとかが思い浮かぶが、もうその頃にはパンク・バンドのウルトラヴォックス!の先進的なスタイルは出来上がっていた模様。
このバンドはそのままウルトラヴォックス!と改名してダムドやセックス・ピストルズなどと同じく1976年にはすでにデビューしている。
典型的なパンクの音が何を標準とするのかは人ぞれぞれの解釈なんだが、ROCKHURRAHはウルトラヴォックス!もまたパンクの先駆者だったと思っている。
釘を打ち付けるようなビートに早口でまくし立てるジョン・フォックスの歌、そして時に無機的、時に破壊的。1stアルバムの1曲目に収録されたこの曲はまさにパンク的な衝動に満ち溢れたものだった。ずっと後のテクノ、エレポップあるいはニュー・ロマンティックの要素はまるでないというシロモノ。初期に最も好きだった名曲「Young Savage」や「ROckwrok」などに通じる大傑作。
しかしこのバンドはやってる事が先進的すぎて同時代には全然売れず注目されず、3rdアルバムの頃にようやく再評価されたという経緯がある。ブライアン・イーノ、スティーブ・リリーホワイト、そしてコニー・プランクという先進的なプロデューサーがついていて音は申し分なかったのに、ピストルズやダムド、クラッシュのようなヴィジュアル的なカッコ良さがなかったから仕方ない。メンバーも全員顔の輪郭が少し変だし、ヴォーカルはこわいおばちゃんみたいな風貌だしね。

以上、日曜から土曜日までの歌をピックアップしてようやくこの企画がひとまず完結したよ。苦労した割にはあまり面白くもないし文字も小さくてビッチリ、読みにくいから誰も読まんのは必至の内容だな。
いっそのこと老人や子供にわかりやすいと話題のデカ字幕仕様にでもするか?

2人のデヴィッド監督作品鑑賞

【「マップ・トゥ・ザ・スターズ」のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mからデヴィッド・フィンチャー監督の新作が面白そうだ、という情報を聞いたのはかなり前のことだ。
映画のタイトルは「ゴーン・ガール」だという。
すっかり忘れていた頃、映画公開前日の先行上映に行く、と友人Mから連絡があった。
さすがは情報通の友人M!
先行上映のことまで知らなかったよ。(笑)
観終わったら、映画館まで観に行ったほうが良いか、DVDになってから観ても良いと思うか教えて欲しいとお願いする。
友人Mはさすがに付き合いが長いため、SNAKEPIPEの好みを熟知してるからね!
映画は3時間近くの長い上映とのこと。
その長さの問題もあって、余計に参考意見が欲しかったのである。

そして鑑賞後に友人Mより連絡が入る。
DVDを待たないで、是非映画館で観て欲しいとのこと。
感想を語り合いたいと言う。
上映時間の長さは気にならなかったらしい。
よしそれでは、とチケット予約したのである。

観てきた感想をまとめてみようか。
まだ上映中の映画なので、ネタバレしないように書かないとね!
まずは簡単なあらすじから。(公式サイトより転記)

結婚5年目の記念日。
誰もが羨むような幸せな結婚生活を送っていたニックとエイミーの夫婦の日常が破綻する。
エイミーが突然姿を消したのだ。
リビングには争ったあとがあり、キッチンからはエイミーの大量の血液が発見されたのだ。
警察は他殺と失踪の両方の可能性を探るが、次第にアリバイが不自然な夫ニックへ疑いの目を向けていく。
新妻失踪事件によってミズーリ州の田舎町に全米の注目が集まり、暴走するメディアによってカップルの隠された素性が暴かれ、やがて事件は思いもよらない展開をみせていく。
完璧な妻、エイミーにいったい何が起こったのか?

トイレに行くこともなく無事に鑑賞し終わる。
友人Mが言うように、それほど上映時間の長さは気にならなかった。
最初に持った感想は、夫ニックを演じたベン・アフレックにぴったりの役!だった。
実はそれほどベン・アフレックについて知っているわけではないし、出演してる作品より監督している作品のほうを観ているようだ。
そのため俳優として、他の作品との演じ方に違いがあるのかは不明だけど、「ゴーン・ガール」でのベン・アフレックは「こういう男いるよね!」と信じてしまうほどのリアリテイがあって良かったと思う。
妻エイミー役の女優、ロザムンド・パイクは「美しく聡明な妻」という役どころだと思うんだけど、SNAKEPIPEもROCKHURRAHも、どうしてもこの女優さんが好きになれなくて。
友人Mも「まゆげが嫌い」だという。(笑)
「きょとん」とした上の写真をみても、愛らしいとは感じられないし、たくさんの人から愛されるような存在とは思えなかったところが、映画の真実味にマイナスだった気がする。
「あの人がまさか!」にならないんだよね。(笑)

ネタバレしないように書きたいけれど、あえてキーワードを並べるとすれば、「ステレオタイプ」と「演技」かな。
「こうあるべき」という強迫観念で上辺だけを繕う生活は、自分自身のたためじゃなくて、世間体や人の目だけを気にして生きるってことなんだろうね。
「結婚しているカップルにとっては怖い映画」のような感想をどこかで読んだけれど、この映画を観て「妻が怖い」という感想を持つ男性がいたら、「ゴーン・ガール」みたいな夫婦関係なんだろうな。(笑)
宣伝だけの情報でSNAKEPIPEが勝手にイメージしていた映画とは違っていたけれど、鑑賞して良かったかな。

もう1本気になる映画があるから観に行こうよ、と友人Mから誘われる。
デヴィッド・クローネンバーグ監督の「マップ・トゥ・ザ・スターズ」はROCKHURRAHからも「面白そうだよ」と聞かされていた映画だった。
どこの映画館にしようか調べてみると、驚くことに近くでは新宿武蔵野館しか上映していないことが判明。
武蔵野館は何度か足を運んだことがある映画館なので問題ないんだけど、渋谷や有楽町では公開されないとは!
クローネンバーグ監督の前作「コズモポリス」も確か武蔵野館での鑑賞だったっけ。
日にちを決め、友人Mと武蔵野館で待ち合わせる。

予想はしていたけれど、80席のうち埋まっていたのは30席程度。
これでも主演のジュリアン・ムーアがカンヌ国際映画祭女優賞を獲得しているためなのか「コズモポリス」の時より入りがあったのかな。(笑)
ほとんどが一人で観に来ているお客さんだったので、お付き合いではなく本当に観たいと思って来ている人なんだろうね。
では簡単にあらすじを。

ワイス家は典型的なハリウッドのセレブファミリー。
父のワイスはセレブ向けのセラピストとして、TV番組も持つ成功者。
13歳の息子ベンジーはドラッグの問題を乗り越え、超有名子役としてブレイク中。
そして母親のクリスティーは、ステージママとして息子の出演作の物色にいとまがない。
一見なんの不自由もなく、富も名声も手に入れたワイス家。
しかしこの一家には封印された秘密があった。

ワイスのセラピーをうけている落ち目の有名女優ハバナは、知人の紹介で顔に火傷の跡がある少女アガサを個人秘書として雇うことにする。
アガサ出現から、周囲の人々の歯車が狂い始める。(公式サイトより)

髪をブロンドにしたジュリアン・ムーアがマドンナに見えるんだよね。
年齢的にも近いから余計なんだろうけど。
母親も有名な女優でその子供という設定だから、いわゆる2世タレントってことになるんだね。
役を取るために必死な姿は、かなり真に迫っていたよ。

ついに役をGETした時に歌いながら踊っていたのが、バナナラマの「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye(邦題:キスしてグッバイ)」だったのが懐かしかった。(笑)
恐らくオリジナルはSteam、カヴァーはシュープリームスもやってるみたいなんだけど、SNAKEPIPEにとってはバナナラマの曲!なんだよね。


火傷の跡がある不思議な少女の役を演じていたのがミア・ワシコウスカ
初めて観た女優だと思っていたら、2012年の「欲望のバージニア」で観ていたみたい。
あんまり覚えてなんだけどね。(笑)
リンチ評論家滝本誠氏はツイッターに「ミア・ワシコウスカは<あるテイスト>を求める監督にはミューズだ」 と載せている。
彼女の出演作を調べれば<あるテイスト>についてなんとなく解る気がするけど、「マップ・トゥ・ザ・スターズ」を観ただけではファンにはなれないなあ。(笑)
変わった顔の女優だな、という印象を持った。

「マップ・トゥ・ザ・スターズ」はとても簡単なキーワードで説明したい映画なんだけど、その漢字四文字を書いてしまうと完全なネタバレになってしまうので書くのはやめておこう。
どうして武蔵野館だけでしか公開されなかったのか理解できてしまった。
「ハリウッドの闇に迫る」というような謳い文句は大袈裟だし、闇を描いた作品といえばリンチの「マルホランド・ドライブ」や「インランド・エンパイア」の方に軍配が上がる。
ジョン・ウォーターズ監督が選ぶ2014年のNo.1が「マップ・トゥ・ザ・スターズ」で「大笑いするほど面白い。そしてあえて言わせてもらうが悪質。自分のヒゲよりもこの映画が好きだ」とコメントしているらしい!
SNAKEPIPEからみると、そこまで悪質とも思えなかったし、ハリウッドに限らず芸能関係ってあんな世界じゃないの?って感じだったけどね。
誰にでもお勧めはしないけれど、ジョン・ウォーターズの感想に興味を持つ人なら観ても良いのかも?

クローネンバーグ監督作品は「コズモポリス」と「マップ・トゥ・ザ・スターズ」共に劇場で鑑賞したけれど、次回作が発表されたら迷いそう。
クローネンバーグ監督作品って結構観てるんだけど、なんで観てしまうのか思い返してみると「戦慄の絆」が大好きだったからなんだよね!
次回作があの雰囲気だったら、また行くんだろうな。(笑)

今回は2人のデヴィッド、デヴィッド・フィンチャー監督とデヴィッド・クローネンバーグ監督の新作映画について書いてみたよ!
SNAKEPIPEにとって最も大事な3人目のデヴィッド、リンチ監督の作品はいつなんだろう?
まずは2016年公開の「ツイン・ピークス」を楽しみにしていよう!

ミシェル・ゴンドリーの世界一周 鑑賞

【「ムード・インディゴ うたかたの日々」のトレイラー】

SNAKEPIPE WROTE:

皆様明けましておめでとうございます。
今年も趣味全開の記事を書き続けて参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます!

夏の終わり頃から、長年来の友人Mより「行こうよ」と誘われていたのが、東京都現代美術館で開催されている「 ミシェル・ゴンドリーの世界一周」展であった。
そもそもミシェル・ゴンドリーについてほとんど知識のないSNAKEPIPEなので、実を言うとあまり気乗りしなかったんだよね。(笑)
Wikipediaで読む限りではミュージック・ビデオからキャリアをスタートさせ、有名なのはビョークのビデオとのこと。
細菌、じゃなくて(笑)最近はミュージック・ビデオを観る機会もないし、ビョークの音楽も聴いたことないし!
そのため鑑賞の予定は延ばし延ばしになってしまっていた。
ようやく2014年末に友人Mと都合を合わせ、久しぶりに木場に向かったのである。

どんな展示の時でも大抵はゆっくり鑑賞できる余裕のある美術館なのに、珍しく年末は人が多かった。
SNAKEPIPEが知らないだけで、ミシェル・ゴンドリーって人気あるんだね。(笑)
動画の撮影はNGだけど、それ以外は撮影して良いとのこと。
面白いのがあったら撮ろうね、と言いながら最初に入った部屋が素晴らしかった!
天井までみっちりと貼付けられているのは、1000人分のポートレイト。
ミシェル・ゴンドリーが出会った人々の似顔絵を描いたものだという。
あまりの数の多さに初めは驚き、続いて一枚一枚に目を転じると、その完成度の高さに再度驚かされる。
まるで今そこにいるかのように、生き生きとした表情をみせているのだ。
その人物の人柄や趣味などが手に取るように判る気がするんだよね。
構図や色使いなども斬新で、ものすごく好きなタイプの絵!
20ドル払って描いてもらいたかったな!(笑)
「1000 portraits」という画集になっているのが展示会場に置いてあるじゃないの!
「欲しい!」
「買って帰ろうね」
今回の展覧会には来られなかったROCKHURRAHへの良いお土産になるな、とほくそ笑むSNAKEPIPEだったけれど、残念ながらミュージアム・ショップでは既に完売してしまったとのこと。
9月から始まっていた展覧会を12月に鑑賞してるんだもんね。
仕方ない、と今回は諦める。(涙)

次の展示はミシェル・ゴンドリーが手がけたミュージック・ビデオを、音楽と共に鑑賞するコーナーだった。
入り口で渡されたヘッドホンを装着し、大きなスクリーンのある地点に立つと音が聴こえる仕組みになっている。
多くの人が1つのスクリーンに集まってしまうと、音が全く聞こえなかったり雑音が混ざった音が聞こえてしまうのが難点だったね。
ビデオは冒頭にも書いたビョークやローリング・ストーンズなど様々なアーティストの作品がミックスされて再生されている。
19のスクリーンを順路通りに歩くと、ビデオの内容も順路と平行して進んでいるようだ。
「この方法新しいよね」
と友人Mが言うけれど、2011年11月に鑑賞した「ゼロ年代のベルリン展鑑賞」でのミン・ウォンの作品「テオラマ」も複数のスクリーンでの上映だったことを思い出す。
あの時に画期的!と感じてしまったSNAKEPIPEなので、今回は驚かなかったなあ。(笑)

次は映画の撮影でよく使用されるスタジオが展示されているコーナーだった。
ワークショップとして、実際に来場者が映画を作ることもできる仕掛けになっているとのこと。
路地裏や電車の中など、簡単にシチュエーションがイメージできるような場面がいくつか設定されている。
友人Mと「こんな感じはどお?」と言い合いながら、お互いに役割を決めて撮影し合う。
その時に着ていた服装によっても違ってくるのかもしれないけど、そこまで奇想天外なアイデアはパッと浮かばないなあ。(笑)
それにしても映画の撮影には、このような場面設定に合わせて、美術の人が作ったり、小道具を揃えたりする裏方の存在が解るのが面白かった。
映画鑑賞している時には気にしていないからね。
これで少し映画の観方が変わるかも?(笑)

最後はミシェル・ゴンドリー監督の作品「ムード・インディゴ うたかたの日々」 で使用された小道具の展示だった。
冒頭にも書いたように、SNAKEPIPEはミシェル・ゴンドリーについての知識が少なくて、当然のように(?)映画も鑑賞してないんだよね。(笑)
本当は映画を鑑賞してから展覧会に行くべきだったんだろうなあ。
そうしたら「あのシーンで使われれた!」などと違う感想を持ったんだろうね。

全く勉強しないで行ってしまったけれど、小道具の面白さは充分伝わってくる。
小道具はフエルトや布で人体を表現したり、食材を作っていたりして、とても興味深かった。
映画の中ではどんな風に映っているのか分からないけれど、近付いてじっくりみると手縫いの糸が見える、手作り感満載の小道具だったんだよね。
ここでもまた小道具を手作業で創作する人の存在を感じることができた。
順番は逆になってしまうけれど、近いうちに「ムード・インディゴ」観てみよう! (笑)