小谷元彦「SP4」と「万華鏡の視覚」展

【Paul Pfeifferのマイケルに対抗できるのはロッキーホラーショーだけ?SNAKEPIPE制作】

SNAKEPIPE WROTE:

久しぶりに長年来の友人Mから
「面白そうな展示を観に行かない?」
と誘いの電話があった。
この友人Mは松井冬子展やターナー賞の歩み展などに一緒に行く、アートや映画を一緒に鑑賞する仲なのである。
そして非常に情報収集能力に長けているため、誘いの電話をかけてくるのは専らMの役割になっているのである。

今回誘われたのは「山本現代」というギャラリーで開催されている「小谷元彦」というアーティストの彫刻展。
恥ずかしながらSNAKEPIPE、小谷元彦という名前は初耳で一体どんな作品を制作しているのか全く知らなかった。
そうは言ってもSNAKEPIPEの好みを熟知している友人Mのことだから、的外れの誘いでないことは間違いない。(笑)
一応「山本現代」のホームーページで数点の作品を観ることができたので、なんとなくの雰囲気はつかむことができた。

そしていざ「山本現代」へ。
今回のタイトルは「SP4」で、どうやらSPECTERシリーズの4回目、ということになるらしい。スペクターって…。
デイヴ・スペクター?(笑)それとも007シリーズ?(笑)あ、暴走族!(笑)
と、ふざけてる場合じゃないか。
今回の展示は恐らく実物大の馬の上で刀を持った筋っぽい骸骨(人体の不思議展を思い出した!)、これまた実物大の心臓を手にした裸婦像、頭蓋骨、海綿(スポンジみたいな)をかたどったような壁掛けタイプの黒いスクエア型彫刻が数点、とちょっと品数が少なめ。
「うそ!これだけ?」
とびっくりするSNAKEPIPEに
「きっと奥に別会場があるんだよ」
と返したMも唖然。別会場はなかった。(笑)
白を基調とした空間にそれらの彫刻が割と無造作に置いてあるだけ。
触らないで下さい、などと注意をする係員もいない。
ほんの数点しか展示品がないし、なにせ今回が初めてなので感想を言うことが難しいなあ。
「山本現代」のホームページの中で「キーワードはゾンビ」なんて書いてあったけれど、最近ゾンビ映画を観ているSNAKEPIPEにはピンと来なかった。
今までの作品全ての展示があったら是非観てみたいし、それから感想をまとめたいなと思った。

この日は「小谷元彦」だけでは物足りなくなってしまい、もっと何か観たくなってしまった。
「そういえば森美術館で面白そうなのやってるよ。確か万華鏡がどうのって」
と急に思い出したように言うM。
万華鏡!まるで乱歩じゃん!
俄然元気が出てきたSNAKEPIPE。
行こ、行こ!六本木!(笑)

さて森美術館では「万華鏡の視覚」と題した、ウィーンにあるティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションからセレクトされた現代美術展が開催されていた。
うん、うん。なかなか面白そうな感じ。
わくわくしながら会場へ。
おや、目玉の作品として大きく写真で扱われてるCarsten Höllerのぐるぐる電球いっぱいの作品、まるで今年のウチの年賀状
ドイツのアーティストと感覚が似てるなんて非常にウレシイ!(笑)
作品の中を歩ける仕掛けになっているので、体験してみた。
感想は「サーカスの火の輪をくぐる動物になった気分」である。
個人的には作品の周りが全部鏡だったら、もっと視覚の幻惑や空間の広がりにとまどいを覚えたりして不思議感覚が味わえたのに、と少し物足りなさを感じた。
電球ももっとピカピカに明るいほうがクラクラして楽しかっただろうし。(笑)

以前「ターナー賞の歩み展」の時にも書いた、
"現代アートというと前述したように、理念や思想のような「難しい」と感じてしまう要素が多いけれど、SNAKEPIPE流の鑑賞法としては「かっこいい!」「ウチに持って帰りたい」などの感覚的なものでいいかな、と思っている"
の精神そのままに今回も鑑賞したSNAKEPIPE。
今回のSNAKEPIPEの一番はLos Carpinterosというキューバのアーティストの作品。
崩壊したブロック塀、飛び散ったブロックをテグスで空中に吊り、時間の停止した様子を立体で作っちゃいました、という作品。
まるで畠山直哉の「BLAST」の実物版という感じで最高に好みである。(笑)
「カッコイイ!」と作品の前に立つSNAKEPIPEに
「1人1本テグスを切っていい、とかだったらもっと面白いのにね!」
と感想を言ってたM。
それじゃあ「時間の停止」にならなくなっちゃうじゃん。(笑)

印象に残ったのはPaul Pfeifferというハワイのアーティストが「Live Evil 」という頭のない踊るマイケル・ジャクソンを鏡で左右に映したビデオ作品。
頭がなくてもマイケルと分かるところもすごいけれど、マイケルの映像をこんな形で使っていいんだろうか、とヘンな心配をしてしまった。
ほら、肖像権とかね。(笑)

他はいかにも現代アート風というか、観念と理屈と言葉が必要な作品が多かったように思えた。
そういう作品はさらっと流して観ることが多いので、会場を回っている時間は非常に短かったかな。(笑)
また「ウチに持って帰りたい」ような作品にめぐり合いたいものである。

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