【デニス・ホッパー撮影のアンディ・ウォーホル。大好きな一枚だ!】
SNAKEPIPE WROTE:
「国立新美術館でポップ・アート展やってるよ」
長年来の友人Mから連絡があったのは、随分前のことだ。
展覧会は開催期間が長いので、どうしても絶対早く観たいと思うもの以外は、期間中に行かれたら行こうね、という約束をする。
8月中は夏休みのために入場者数が多く鑑賞しづらいだろう、というのが先延ばしにしていた理由になる。
そしてついに9月に入ってから、約束通りに六本木に繰り出したのである。
国立新美術館は、SNAKEPIPEにとっては「シュールレアリズム展」「マン・レイ展」に続く3回目の来館だったけれど、友人Mは初めてになるらしい。
そのためSNAKEPIPEが美術館までの道のりを案内するようなカタチになってしまった。
例の「大学院大学」が見えてきた時にはホッとする。
方向感覚に優れた友人Mから「信じられない!」と何度も言われた経験のある筋金入り方向音痴のSNAKEPIPEにとって、道案内することは大仕事だからね!(笑)
予想通り来館者は思ったよりも少なく、SNAKEPIPE命名の「国立系」もそれほど見かけない。
やっぱり8月を避けて正解だったようだ。
ここで少し「ポップ・アート」について書いてみようか。
「ポップ・アート」と聞いて誰もがまず一番初めに思い浮かべるのは、アンディ・ウォーホルだろう。
マリリン・モンローをモチーフにした作品やウォーホルが監督した映画だったり、もしかしたらヴェルヴェット・アンダーグラウンドを連想する人もいるだろう。
SNAKEPIPEもアンディ・ウォーホルについては以前より興味があり、ドキュメンタリー形式の本を読んだり映画を観たりしてウォーホルとは一体どんな人だったのか、何をしていたのかを知りたかった。
最も興味を持ったのは「ファクトリー」と呼ばれたウォーホルのスタジオに集まる人々とその行動かな。
ニコが一日バスタブに浸かって読書をしていた、なんて文章を未だに覚えているくらい。(笑)
ウォーホルと同じように銀髪にしたイーディ・セジウィックの可愛らしさ!
イーディのポストカードはずっと飾っていたっけ。
60年代は、なんとも言えない魅力にあふれた憧れの時代なんだよね!
他にポップ・アーティストといえば、ロイ・リキテンシュタインを思い出すね。
あれ?
もうこれ以上出てこない!
「ポップ・アート」と聞いて、ちゃんと認識できているアーティストが非常に少ないことに今更ながら気付き驚くSNAKEPIPE。
断片的に作品は鑑賞しているみたいだけど、どうやら「ポップ・アート」としてまとまった展覧会を観たことがないんだね。
これはやっぱり行って確認しないと!(笑)
「ポップ・アート展」は日本美術および現代美術の世界有数のコレクターとして知られている、ジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻のコレクションを展示しているとのこと。
パワーズ夫妻はポップ・アートがまだ評価を確立する以前からその真価を見抜き、作家を直接支援することによって、世界最大級のポップ・アート・コレクションを築き上げたらしい。
これだけの作品をプライベートでコレクションできるなんて余程の資産家だろうし、広大な敷地を持つ邸宅に住んでいるんだろうね!(笑)
夫妻の名前からして判るように、「キミコ」は日本女性なんだよ。
一体ジョンとキミコにはどんなロマンスがあったんだろうね?
そんなお話も聞いてみたかったなあ。(笑)
会場に入ってみると、「ポップ・アート展」はアーティスト別に部屋が区切られ、そのアーティストの全貌を知ることができるように配置されていた。
それでは気になったアーティストについての感想をまとめていこうか。
1. ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg)
1925年テキサス州生まれのロバート・ラウシェンバーグは、アメリカにおけるネオダダの代表的な作家として活躍し、のちのポップ・アートの隆盛にも重要な役割を果たす。
2008年、82歳で心不全のため死去。
実は今回の展覧会の中で、SNAKEPIPEが感銘を受けたのがロバート・ラウシェンバーグだったんだよね!
フォト・モンタージュを取り入れていたり、タイポグラフィも登場していたので、ネオダダと聞いて納得!
「コンバイン(結合)・ペインティング」と呼ばれる様々なオブジェの組み合わせに激しい筆触のペイントを加えた作品群は迫力があってカッコ良い!
上の作品「ブロードキャスト」も「コンバイン・ペインティング」で、中央辺りにラジオが内蔵されていて、実際に放送を聴くことができたらしいね。(笑)
ロバート・ラウシェンバーグの名前は耳にしたことがあるけれど、実際に作品を鑑賞するのは初めてだったのかも。
もっとロバート・ラウシェンバーグについて知りたいし、個展が開催されるなら是非鑑賞してみたいな!
2.ジャスパー・ジョーンズ(Jasper Johns)
ジャスパー・ジョーンズは1930年ジョージア州生まれ。
上述のロバート・ラウシェンバーグと同じようにネオダダやポップ・アートの先駆者として活躍したアーティストである。
wikipediaによれば、どうやらロバート・ラウシェンバーグと同じビルに住んでいたことから友人関係にあったらしい。
同じ方向を向いたアーティストが近くにいるってものすごい偶然だよね!
ジャスパー・ジョーンズといえば、アメリカ国旗やダーツの的をモチーフにした作品が代表作といえるだろうね。
もちろん代表作の展示もあったけれど、今回の展覧会では、左のような様々な色を使った線の絵が一面全てに展示されている部屋があり驚いてしまう。
友人Mと顔を見合わせ、首をひねる。
抽象絵画といったら良いのかすら判らないけれど、どうもSNAKEPIPEには理解できない世界観だなあ。
3.アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)
アンディ・ウォーホルは1928年ピッツバーグ州生まれ。
上述したようにポップ・アートといえばウォーホルというくらいの有名人だよね!
1987年胆嚢手術を受けるも、容態が急変し心臓発作のため58歳で死去。
今回の展覧会の目玉が「200個のキャンベルスープ缶」だった。
誰もが知っているというくらいの有名な作品だと思うけれど、SNAKEPIPEが知っていたのはどうやらシルクスクリーンで印刷されたものだったみたい。
今回展示されていたのは、印刷されたものではなく、描かれている作品だった。
近くに寄って鑑賞してみると、ちょっとフォントが歪んでいたり、一番下の列は同じ銘柄が並んでいるのを発見して楽しくなってしまった。
描き続けているうちに、少し飽きてきたのかも?(笑)
他にもマリリン・モンローだったり電気椅子などの有名な作品が展示されていたけれど、あまりにも見慣れすぎているためか確認作業をしている気分になった。
今回の展示で異質だったのは、スポンサーでありコレクターであるキミコ・パワーズの肖像が並んでいたこと。
なんと部屋の全てがキミコだったんだよね!
依頼をして作ってもらったのかもしれないけど、展覧会に自分の顔が並んでいる光景とはいかがなものか?(笑)
ウォーホルの作品には違いないけど、知らない家族のポートレートを無理矢理観させられてる気分になってしまったよ。
4.ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein)
1923年ニューヨーク州生まれのロイ・リキテンスタインも、アンディ・ウォーホルと同じくらい有名なポップ・アーティストだよね。
1997年肺炎のため73歳で死去。
漫画の一コマを印刷インクのドットを含めて描いた作品群は、非常にインパクトが強く印象に残りやすい。
今回の展覧会では、その細かなドットの一つ一つが描かれていることを実際に目にすることができて嬉しかった。
リキテンスタイン作のドットが描かれてたコーヒー・カップも展示。
黄色いカップに黒いドット柄。
この雰囲気、どこかで観たよねと友人Mと顔を見合わせる。
そうか!草間彌生のかぼちゃのシリーズにそっくりなんだね!(笑)
他にも数人のアーティストの作品が展示されていたけれど、作品数が少なかったし、ポップ・アートの範疇に入るのかよく判らない作品もあった。
ポップ・アートの定義って難しいよね。
wikipediaによれば
雑誌や広告、漫画、報道写真などを素材として扱い、
大量生産・大量消費社会をテーマとして表現する、
現代美術の芸術運動のひとつ
とのこと。
この文章読んでも、ウォーホルとリキテンスタインの作品について書いているだけで、充分に説明されているとは言い難いよね。(笑)
SNAKEPIPEがポップ・アーティストについて即答できないのも無理ないかも?
1950年代にイギリスでポップ・アートが始まり、1956年にリチャード・ハミルトンが雑誌や広告の魅力的な商品やゴージャスなモデル写真を切り貼りしたコラージュで、ポップ・アートの先駆的作品を制作していたとは知らなかった。
左に載せたハミルトンの作品「Just what is it that makes today´s homes so different, so appealing?」の中にはロリポップキャンディーの包み紙にポップの文字があるんだよね。
評論家であるローレンス・アロウェイが商業デザインなどを指して「ポピュラーなアート」という意味で使用したときに「ポップ・アート」という言葉が誕生したという話も今回初めて知ったよ!
前から知っていたはずのポップ・アートだったのに、意外と何も知らなかったことが判っただけでも新発見かな。(笑)
そしてネオダダからポップ・アートへ移行していった、ということについても知識がなかったんだよね。
現代アートに興味がある、と言っておきながらまだまだ未熟者のSNAKEPIPE。
もっと勉強が必要ね。(笑)