バッドアート美術館展鑑賞

20181223 top
【ギャラリーアーモ前の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2018年は展覧会に行く機会が少なかったなあ。
最後に行ったのが、なんと6月!
約半年前のことになってしまうとは、近年稀にみる回数の少なさだよ。
特に引越し作業に追われている間は、とても展覧会情報を確認することもできなかったしね。

越してから約2ヶ月になろうとしているこの頃になって、ようやく時間的にも気分的にも余裕が出てきた。
何か面白そうな企画があれば良いのにね、とROCKHURRAHに話しかける。
「こんなのやってるよ」
と提案してくれたのが、東京ドームシティにあるギャラリーアーモで開催されている「バッドアート美術館展」だった。

バッドアート美術館といえば、2017年8月に「好き好きアーツ!#46 世界アート(仮)探訪」で紹介したことがある美術館のことじゃないの!
一生懸命描いたけど、方向性が違っていたり、技術的に問題がある作品ばかりを集めているボストンにある美術館(Museum of Bad Art)、通称MOBA。
「とほほ」な作品を一度鑑賞したいと思っていたんだよね!
ROCKHURRAHとSNAKEPIPEは、クリスマス前の寒い日に、後楽園へ向かったのである。

後楽園球場と後楽園ゆうえんちがある水道橋近辺、と書こうとしたら!
今は東京ドームと東京ドームシティアトラクションズって名前に変わっているんだよね。(情報古過ぎ!)
遊園地系も野球にも縁がないので、全然知らなかったよ。(笑)
今回の会場であるギャラリーアーモも、当然のように初めての訪問!
ドーム内に設置されている地図などを頼りに、そこまで迷わず会場に到着。
ドームシティの中にあることはわかっているので、迷うほうがおかしいか?(笑)

ギャラリーまでの道には、休日だったためかアトラクションに並んでいるお客さんの行列に驚いたけれど、バッドアート美術館展会場は、そこまで混雑していなかった。
フラッシュを使わなければ、全ての作品の撮影が可能であり、撮影した写真はSNSなどに投稿してください、とのこと。
最近は撮影オッケーな展覧会が増えて良かったよ!
琴線に触れる作品をバシバシ撮っていこうじゃないの。(笑)

会場入ってすぐに、バッドアート美術館についての説明がされていた。
今回は展示されていなかったけれど、最初にコレクションされたのが、「ルーシー・イン・ザ・フィールド・ウィズ・フラワーズ(花咲く野原のルーシー)」だという。
ゴミ箱に捨てられていた作品は、額縁目当てで救い出される。
そして後にバッドアート美術館を設立することになる人物により、作品も日の目を見ることになるのである。
作品に価値を見出す人物との邂逅が、MOBA設立のきっかけになるとは奇跡的だよね!
A4くらいの大きさにプリントされていた「ルーシー」だったけれど、十分なインパクトを感じることができたよ!
花咲く野原を散歩している途中で、めくれ上がったスカート。
可憐な少女を思い浮かべてしまうけれど、風貌はまるで「おっさん」!(笑)
よく見ると足の位置もおかしいように感じてしまう。
コレクション第1号を名乗るのにふさわしい作品だよね!

カナダのA・シュミットの作品「マナリザ」。
レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な作品「モナ・リザ」のパロディで、女装したバージョンだという。
髪型とポーズがなんとなく似てるから「モナ・リザ」を参考に描いていることはわかるんだけどね。
顔の崩れ方と稜線のぞんざいさは「とほほ」全開!(笑)
捨てられていたり、蚤の市で仕入れた場合、美術館側では作者を探すために手を打つらしい。著作権の問題があるもんね?
作者名が明記されているということは、本人がMOBAに売り込みに行ったのかな?

「沼ピクニック」と題された作品。
素人レベルではないほどの腕前じゃないかな?
木々や水の表現は素晴らしいよね。
目を引くのは、微笑み合っているカップル。
なんでこんな服着てるの?(笑)
作者であるテッド・ケイト・ジュニアに直接聞いたのか、想像なのかは不明だけど、この絵は近未来で、環境汚染により防護服を着ているとのこと。
現代のデート風景だったら、MOBAに展示されることはなかったはずなので、大成功かもしれないね? 

これは完全に「とほほ」だね!
シープドッグのチャーリーとシマリスのシーバを描いた作品だという。
チャーリーが鳴きやまないので、シーバが絆創膏で口をふさいだらしい。
右側、本当にシマリス???
謎の生き物にしか見えないんだよね。(笑)
この絵には人を惹き付ける力があるようで、SNAKEPIPEはなかなか絵の前から立ち去ることができなかったよ!
駄作なのに魅力があるというMOBAの信念がよく解る作品だね。

これもまた犬なんだけど。
人面犬といっても良いような顔立ちだよね。
恐らくプードルだと思うんだけど、かわいらしさの欠片もない!(笑)
観た瞬間に笑ってしまうほどだよ。
「青いタンゴ」と題された作品だけど、作者は不詳。
リサイクルショップに売られていたところを第三者が購入し、MOBAに寄贈したという。
作者本人が売り込みに来る場合には、 MOBAに受け入れてもらわなかったら「そんなに下手じゃなかったんだ」と自信を持ち、買い取られた場合には「展示してもらえるかもしれない」と期待するということでどちらに転んでも良い結果となるらしい。
このエピソードはとても興味深いよ。
どっちもオッケーなんてなかなかないからね?

1920年代に刊行されたパルプ・マガジンの挿絵のような作品。
「タイガー愛」と題されているんだけど、全く意味不明だよ。 
この画像の大きさだと分かりづらいけど、右の奥に午前3時を示している時計が描かれているんだよね。
男女の表情とトラのアップ。
そしてトラの目から出ているビーム!(笑)
強烈な印象を残すよね。

宗教を絵画の題材に取り入れることって多いよね。 
ROCKHURRAH RECOREDSにはあまり馴染みがないジャンルなので、今まであまりじっくりと鑑賞したことがないタイプの絵画だと思う。
ところが今回MOBAのコレクションの中に、目を奪われてしまった作品があったんだよね。
それがこちら「聖母子像」である。
マリアがキリストを抱いているシーンだと思うんだけど、赤ん坊の顔!
観た瞬間から目が釘付け!
作者は不詳とのことだけど、描いたのはキリスト教徒だよね? 
これで良いのか?(笑) 

どうしてこの題材を選んでしまったんだろうね。
タイトルは「ヨガ教室」で自撮りした写真を元に描いたのではないか、と推測されている。
作者が不詳のため本来の意図は不明だけど、本来は間違ってシャッター押しちゃった時の画像だよ、これ。(笑)
ミスショットをあえて選んで描こうとしたその心意気。
「なんで?」「どうして?」と謎を持つことができる絵画。
これこそがMOBAの真髄だよね!

2018年の最後は大笑いできる展覧会鑑賞で締めくくることができて大満足だった。
行ってみたいと思ってブログで特集した美術館の作品を実際に目にすることができるなんて最高だもんね。
終わりよければすべてよし!
笑う門には福来る!(笑)
来年はどんな展覧会に行かれるのか、今から楽しみだよ。

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