映画「BECK」観てべっくり!

【Beckのメンバー+1名紹介】

SNAKEPIPE WROTE:

ハロルド作石原作の漫画「BECK」の映画公開情報は知っていたけれど、映画館まで足を運ぶところまでには至らなかった。
日本映画を映画館で観た記憶があまりないなあ。
「BECK」は原作の漫画も全て読み、TVアニメ版も観てたことから実写版にも興味があった。
2月に入り、ついに待っていたDVDレンタル開始。
早速観てみたのである。

「BECK」は1999年から2008年まで月刊少年マガジンで連載されていた漫画。
どこにでもいる普通の高校生・田中幸雄(コユキ)は、帰国子女・南竜介(リュースケ)と偶然出会う。
リュースケは、アメリカを代表するバンド「ダイイング・ブリード」のリーダー、エディとは子供の頃からの親友であり、現在でも親交があるというスゴ腕ギタリスト。
コユキはリュースケ、そしてダイイング・ブリードの影響で、音楽に目覚めギターを習い始める。
そのリュースケがギターを担当し、千葉(ヴォーカル)、平(ベース)が加わりBECKというバンドが誕生。
そしてコユキ(ギター・ヴォーカル)と、コユキの同級生・サク(ドラム)が加入し5人編成のバンドになり、更にパワーアップ。
意外にもコユキにはヴォーカリストとして天性の素質があり、バンドは知名度を上げていく。
ライブハウスでの動員数がどんどん増え、自主制作でのCD発売、そして「フジロックフェスティバル」みたいな音楽の祭典「グレイトフルサウンド」に出場するという大きな目標を持つまでに至る。
リュースケがニューヨーク時代に起こした犯罪に関連したエピソードが加わったり、アメリカの音楽業界を牛耳る人物(レオン・サイクス)が登場したり、プロモーションなどの裏事情など本当にありそうな話が盛り込まれる。
「頑張れば道が拓けるんだ」という教訓的な部分も含まれている、サクセスストーリーである。

ROCKHURRAHは元々ハロルド作石のファンで、主要長編である「ゴリラーマン」「バカイチ」「ストッパー毒島」を所持していたらしい。
ところが肝心の「BECK」は全然読んだことがなかったとのこと。
勝手に「BECK」は少年向けの、イマドキのバンドを描いたものだと思っていたらしい。
「BECK」といえば90年代に大ヒットした、あのBeck(ROCKHURRHAが全然興味ないタイプ)を連想してしまったのも足が遠ざかる原因だったよう。
確かに本来の音楽の好みとはちょっと違うかもしれない「BECK」だけど、初めは何気なく観たアニメがとても面白かったので、コミックスも全巻揃えてしまった。(笑)
いわゆる少年熱血漫画とは違って、脇役に個性があったところが良かったね。

漫画版とTVアニメ版には大きな違いがなく、2004年から2005年にかけて放映されていたTVアニメでは「グレイトフルサウンド」の後でアメリカに旅立つところまでで完結。
アメリカでどうなるのか気になって仕方なかったから、コミックス買ったんだけどね。(笑)
今回の実写版では「グレイトフルサウンド」までの物語になっていた。

去年9月公開時のプロモーション映像を観た時から、漫画と実写のギャップのなさにびっくりしていた。
みんなすごく良く似ている!
BECKのメンバー5人は言うまでもなく、アニメや漫画の時から気になっていた脇役もかなり似て蝶!(笑)
なんで「あまりに似ている人(もしくは状態など)」を観た時に笑ってしまうんだろう?
SNAKEPIPEは最近はほとんど見なくなってしまったけど、「そっくりさん大集合」とか「ものまねグランプリ」みたいな番組が大好きだったなあ。
いつも大笑いして涙を流していたっけ。
バンドの5人については割と簡単に比較画像が観られるようなので、ROCKHURRAHブログらしく脇役の特に目を引いた3人について比較してみようか。

一番初めはコユキのギターと水泳の師匠として登場する斉藤研一。
漫画/アニメ版での斉藤さんは「元水泳五輪強化選手だったけれど挫折し夢破れる。その時の斉藤さんを慰めてくれたのがブリティッシュ・ロックだったことからギターを始める」という説明が詳しくされていた。
映画版では水泳に関する説明はほんの少ししかされていなかったので、競泳帽とゴーグルを付けた水着姿でのギター演奏(写真左)に違和感を感じるかもしれないね?
漫画/アニメ版にはもっといっぱい登場する斉藤さんだけど、映画での出演はやや少なめ。
この人がいなかったらコユキは成長できなかっただろう、と言える恩人中の恩人なんだけどね!
コユキの高校の先生を好きになっちゃうエピソードや風俗好きの部分は、映画版では完全にカットされてたのがちょっと残念。
「グレイトフルサウンド」のシーンでの水着で大はしゃぎ、に少しだけ出てたのかな。
実際に近くにいたらかなり欝陶しい人なのかもしれないけど、いい味出してるよ、斉藤さん!(笑)
カンニング竹山の起用はバッチリで、似過ぎてて大笑いしてしまった。
ギター演奏は本当に本人が弾いてたみたいだったけど、上手だったね!

次はアメリカで有名なバンド、として登場する「ダイイング・ブリード」のヴォーカル・マット。
確かにヴォーカルでスキンヘッド+サングラスって良く見かけるよね?
R.E.M.のマイケル・スタイプ 、ミッドナイト・オイルのピーター・ギャレット、日本だったらやはりこの方、サンプラザ中野くん!(笑)
軽く思い出しただけでこれだけいるんだもんね。
マット、の設定自体が割と簡単に「いかにも」な雰囲気だったのかもしれないけど、さすがに実写版も良く似ている方がキャスティングされてたね。
漫画/アニメ版と全く同じ、ステージからコユキに呼びかけ手を差し出すシーンも忠実に再現されていて、ますますマットらしさが出ていた。
あまりセリフがない役柄だから、逆に演技が難しそうだよね。

3人目はアメリカのレコード業界を牛耳るドン、レオン・サイクス。
漫画/アニメ版だと、この人の髪型ってもっこり膨らんだハート型になってるんだよね。
強力な威圧感を漂わせ、「金のためなら殺しもやる」というほどの拝金主義なのに、頭がハートというギャップ!(笑)
そんな「漫画以外有り得ないよね」と思っていたレオン・サイクスだったのに、実写版を観てたまげた人多いと思うなー!
SNAKEPIPEも一目見た瞬間に抱腹絶倒!(笑)
よくもここまでやってくれた!と拍手したくなるほどのクリソツ加減。
どこから見つけてきたんだろうねえ?
このキャスティング、最高だったね!

他にSNAKEPIPEが個人的にとても気になったキャスティングはもたいまさこ
「グレイトフル・サウンド」の創設者という設定で、なんと出演はこの左の写真一枚だけ!
いかにも時代を感じさせるようなサングラスとジャケット。
もたいまさこが髪をひっつめてない姿ってあまり見たことないSNAKEPIPEだったので、これはかなり衝撃的!
しかも漫画で出てくる創設者とも全然違うんだよね。(笑)
全く似てないのにこのインパクト!
さすがだね、もたいまさこ!(笑)

「原作が漫画」という実写映画があることは知ってたけど、ここまでこだわってキャスティングしてる映画って他にあるのかな?
読んだところでは、漫画と全く同じ洋服や靴、小物に至るまですべて調達するか、なければ作ったとのこと。
そのこだわりは完全に成功してたと思う。
もう一点、漫画と同じだった「こだわり」はコユキの歌声が聴こえなかったこと!
これはどうやらハロルド作石本人の希望によるものだったらしいね。
コユキの歌を聴いて、観客が驚愕し、目を瞠るという映像も同じ。
口をポカンと開けて、何が起こったのか分からない、というあの顔ね。(笑)
かなりいろいろな点で忠実だった実写版はとても面白かった。
「グレイトフルサウンド」以降の続編が制作されないのか気になるところである。

正直言ってBeckの目指している音楽については、それほど興味があるジャンルではないROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
恐らく実際にBeckの演奏やコユキの歌を聴いても、原作に出てくる観客のような反応を示さないだろうなあ。(笑)
読み物や鑑賞物としてはとても面白いと思うので、勘違いをして食わず嫌いをしている方にもお薦めしたい「BECK」である。

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