時に忘れられた人々【13】パワーポップ編2

【私的パワーポップを表現して作ってみたが、意味不明】

ROCKHURRAH WROTE:

前回は特に詳細な解説を書いたわけでもないのに、たった4つのバンドしか紹介出来なかった。一体どんなところに無駄な文章を費やしているのか検証してみたが、自分の欠点は自分ではわからないもんだな。特に問題ないという事で今週も進めてみよう。

というわけでパワーポップ編の第2部だ。とは言ってもWikipediaの「パワーポップ」の項で述べるようなバンドはROCKHURRAHとしてはほとんど興味ないような部類が多いね。世間一般もROCKHURRAHもどっちも勘違いはしてないと思うけど、自分がそう思うようなバンドだけをピックアップしてゆきたい。

Skids / Charade

この「時に忘れられた人々」の第1回でも特集したスキッズ。前回の最後に書いたレジロスと同じくスコットランドのバンドだ。彼らがデビューしたのはロンドン・パンク第2世代くらいの77年なんだが、もう初期の頃からパワーポップと紙一重の音楽を完成させていた。だからパワーポップ編にエントリーしててもおかしくはないだろう。今回はスキッズだけを深く掘り下げて書くつもりではないから、どんなバンドか知らない人はこちらを読んでみてね。

スキッズの最大の武器で特徴はいかにもスコットランドのバグパイプ風曲調をギターで演奏する雄大なスケールの曲なんだが、こちらの方はパワーポップというニュアンスよりはもっと正統派のロックな感じがするので、今回は敢えてもっと80年代ポップ風の曲を選んでみた。スキッズのアルバムは3枚目までが大体同じ路線でこういうパワーポップ風の曲、ちょっと陰影のある壮大な曲、そして応援団風の元気ハツラツな曲がバランス良く収録されていて、どのアルバムを聴いてもハズレなしの完成度だ。4枚目だけが異質で通常のロック要素がない、トラッドに傾倒した円熟の世界が展開するもの。パンクとかパワーポップ目当ての人がいきなりこのラスト・アルバム「Joy」を買うと吃驚仰天なのは間違いない。

さて、この曲は個人的に最も好きな2ndアルバム「Days In Europe」に収録のヒット曲だ。最初はビー・バップ・デラックス、レッド・ノイズのビル・ネルソンがプロデュースしていて、シンセサイザーが入りすぎ=スキッズっぽくないとの事で後にミック・グロソップがプロデュースし直したのが一般的に普及している。けど、オリンピックなレトロ・ジャケットとビル・ネルソン色が濃いアレンジはやっぱり素晴らしい。 プロモもちゃんとあるんだけど、今回は「トップ・オブ・ザ・ポップス」出演時の映像。これがリチャード・ジョブソン自慢の黄色いジャンプスーツ(宇宙服?)だ。「宇宙家族ロビンソン」もビックリ。そして注目すべきは2ndアルバム時のドラマー、ラスティ・イーガンだろう。リッチ・キッズ、そして後のヴィサージでも活躍するニュー・ロマンティックの重要参考人なんだが、この時の髪型が「ヤンキー烈風隊」を彷彿とさせるもの。70年代後半の小倉(ROCKHURRAHの出身地)には服装だけパンクでこういう髪型のがいっぱいいたなあ。 この曲以外にも元気になれる名曲がたくさんあるバンドなので興味ある人は調べてみてね。

Fingerprintz / Tough Luck

スコットランドばかり続くけど、こちらのフィンガープリンツもまたまたスコティッシュ。 後の時代のネオアコ、ギターポップでもスコットランドは産地だったから、良質なポップが生まれやすいのかもね。 こちらは日本ではほとんど無名に近いバンドだけど、いつもビックリしたような顔をしているジミー・オニールによる70年代後期のバンド。後にサイレンサーズというバンドが少しヒットしたから、その関係で知られる程度。

前回XTCの項でも書いたけど、70年代後半、ニュー・ウェイブ初期の頃のヴァージン・レーベルは良質のバンドをたくさんリリースしていたものだ。その中でもROCKHURRAHが勝手に御三家だと思ってるのがXTC、マガジン、スキッズなんだが、このフィンガープリンツもヴァージン・レーベルで御三家の牙城を崩すべく頑張ってきた中堅バンドという印象がある。ただし知名度ないって事はそれら御三家には全然及ばなかったというわけだが。 聴いてわかる通りジミー・オニールの歌はヴォーカルに個性と魅力ある上記のバンドと比べるとはなはだ頼りなく、今の言葉で言うならヘタレという形容がピッタリのもの。以前に当ブログ「軟弱ロックにも栄光あれ」という記事で紹介した時に「曲はすごく良くてパンクというよりはパワー・ポップ系なのにパワーないぞ、というところが魅力」と書いたが、まさしく言い得て妙。うまいなあROCKHURRAH(自画自賛)。

この曲は彼らの1stアルバム「Very Dab」に収録された代表曲。世紀の名曲「Hey Mr.Smith」もこのアルバムに収録されているからどちらにしようか悩んだが、よりパワーポップっぽいこちらを選んでみた。何度聴いてもヘナチョコな声がたまらんなあ。

The Undertones / My Perfect Cousin

あれ、また「軟弱ロックにも栄光あれ」で書いたのと同じバンドが出てきてしまった。パワーポップと言いながらも違う路線に行ってるんじゃないか? アンダートーンズはアイルランド出身のパンク・バンドだが、見た目や声がパンクの典型的なものとはずいぶん違うから、パンクとして語るよりはパワーポップの方が違和感ないような気がする。 いつも中途半端な7:3の長髪と60〜70年代の大学生(もしくは予備校生)っぽいファッション・センス、そして甲高いヴォーカルが最大の特徴であるフィアガル・シャーキーを中心としてパンク第二世代で大ヒットしたから、知ってる人も多いだろう。 短くてキャッチーな名曲はどれもポップ・ソングの見本のようだし、後にソフトなサイケデリックっぽくなってゆく過程もファンが多い。

この曲は彼らの2ndアルバム「僕のいとこはパーフェクト」に収録されている。初期に代表曲が多いからこの2ndはそんなにシングル・ヒットはないんだが、後のギターポップのファンが聴いても納得出来る良質な曲がギッシリ詰まっている。しかし改めて見るとよくこの風貌でトップ・バンドになれたな。クラッシュやピストルズとかが持ってるオーラとは全く別次元でロック・スター要素は皆無、隣の普通のお兄さんが売り物だったのか?

The Neighborhoods / Prettiest Girl + No Place Like Home

よし、最後はこれ。今回の企画で初めて書くアメリカ、ボストンのバンドだが、この後にレモンヘッズやチューチュー・トレイン、ヴェルベット・クラッシュあたりに続いてゆくアメリカン・パワーポップについて書く気はまるでないから、これだけで許してね。

ネイバーフッズ、知ってる人は少ないと思えるが70年代後期にデビューしたバンドだ。ROCKHURRAHも大昔に偶然手に入れただけのただの通りすがり。このバンドについては初期の頃の印象しか知らないが、実は長く続けてるようでちゃんと公式サイトもあったから逆にビックリ。 ジェットコースターに乗ってバンザイしてる子供っぽいジャケットだったからなめてかかったが、音を聴いてガツンときた。初期のジャムを聴いた時のような勢いのあるタイトな演奏と曲。ジャムと同じく3人組なんだが、まさかアメリカのバンドとは思えなかった。

シングル1枚所持していただけで、その後自分の音楽志向も変化していったから追い求める事はなかったが「No Place Like Home」はよく人に作ってあげたベスト盤に入れてたもんだ。その時の映像がこれなんだが、当時は動いてる姿も知るはずもなく、数十年経って久々にこの曲に再会したわけだ。 まるでギター初心者用セットみたいな水色ストラトキャスター、ベースの軽薄なシマシマ、そして盛り上がった変な髪型。映像だけ見るとかなり素人っぽいが実は場馴れした演奏で、初期ジャムが好きな人なら感銘を受ける事間違いなし(特に2曲目)。最後のドラムを蹴倒すところもカッコイイね。髪型とベースのシマシマがなかったらもっと点数高かっただろうに。

今回もやっぱり4バンドか。一言コメントじゃないから一日にかけるのはこの程度が限度だね。書いてる本人が飽きてきたしパワーポップはここまで。多くの人々が語るパワーポップとは少し違っていただろうし、大半が単なるポップなパンク・バンドなんじゃなかろうか?とも思った。無理やり捏造したパワーポップという曖昧なジャンルだから記事も無理やりだけど、こういう路線が好きな人には少しはタメになったんではなかろうか。 ではまた、サバラ(古い)。

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