ROCKHURRAH視察団/豪雨の古着屋倉庫編

【千葉の奥地(?)に突如として現れるアメリカ古着の殿堂】

ROCKHURRAH WROTE:

今年はいわゆるシルバーウィークがなかったので9月24日を無理やり休みとし、4連休となったのがちょっと嬉しい。その連休初日の秋分の日にかねてから行ってみたかった場所にようやく出かける事が出来たので書いてみよう。
それは千葉県にある古着屋の倉庫なんだが、一般にも開放していて普通に買い物が出来るという場所だ。前は近場に店舗があったので気軽に見に行く事はあったが、何と言うか・・・価格も品揃えも中途半端で、行った回数の割にはあまり買った記憶がないという店だった。ところが千葉県に数店舗あった店もいつの間にか閉店してゆき、現在はショップの方はひとつくらいしか残ってなくて、代わりにテナント料金や運営費を安く抑える事が出来るためか、辺鄙なところにある倉庫を開放してるというわけだ。

ROCKHURRAHもSNAKEPIPEも古着は大好きなんだが、上記の店よりはもっと近くにもっと安くて気軽に買える店があるのでちょっとした買い物はそこでばかり、というのがここ数年の傾向だ。しかもただでさえ安いのに、その店は毎月のようにセールのハガキを律義に送ってきてくれて、ハガキ持参だとさらに半額とかになってしまう。ちょっとしたアウターやパンツなど、ヘタしたら500円以下くらいで買えてしまうのは二人にとっては魅力だからね。ざっと計算してみても一年間でセールじゃない期間の方が圧倒的に少ないんじゃないかと思えるくらい(笑)。無理やり在庫一掃セールやってるけど、ここもいつ潰れてもおかしくは状況だな。
そのようにリーズナブルな店は近くにあるんだが、これは海外買い付けの古着屋とはやはり違っててあくまでも古着屋っぽいリサイクル屋の一種なんだと思える。だからたまにはちゃんとアメリカの匂いのする古着(?)を見にゆこうよ、と言うのが今回の古着屋倉庫に出かけた趣旨なのだ。

もう一年以上前だったか、ネットでこの古着屋倉庫を見つけたんだが、駅からかなりの遠さだったので「行ってみたいね」とは言ってたもののなかなか簡単に行ける場所じゃなかった。それが今年になって移転したとの事で、調べてみたら比較的行きやすそう。連休だし季節もようやく良くなってきたのでROCKHURRAH視察団も行動しやすい、こりゃ行くっきゃない(死語)。

さて、前日までは猛暑だったのに天気予報ではその日は雨、しかもかなり気温も低いじゃありませんか。暑さ嫌いのROCKHURRAHとSNAKEPIPEにはうってつけの天気だ。朝起きると確かに予報通り気温は低いし雨もポツポツ降っている。でも行くという予定だったので取りあえず秋物の装いで家を出た。最近の傾向で二人ともミリタリーの動きやすい格好ね。

その古着屋倉庫は千葉県船橋市と柏市の中間あたりに位置する鎌ケ谷市、新鎌ケ谷というところにあるらしい。船橋から東武野田線という電車に乗って10分程度だ。千葉在住歴が長く’I Love 千葉’のSNAKEPIPEと違ってROCKHURRAHは千葉でも行った事ある場所はほとんどなくて、土地勘も全くない。知り合いの会話などで鎌ケ谷とか鎌ケ谷大仏とかの単語は知っているが、それがどこにあるのかさえ今日まで知らなかったよ。

冒頭で「ようやく出かける事が出来た」などと書いてる割には非常にあっさりと新鎌ケ谷に着いてしまった。普段どんだけ腰が重いんだよ?と突っ込まれてしまうね。
しかし駅の改札を出た途端に雨は本降りどころかどしゃ降りになってしまい、いきなりの挫折。待ってれば弱くなるのかさらに強くなるのか?この辺の状況判断は難しいところ。取りあえず駅前のショッピング・センターに行って雨宿りすることにした。この天気だし駅前も当然のようにひっそりとしていたんだが、ショッピング・センターの中は思ったよりもにぎやかで少しビックリした。この辺りは車を持ってないと生活が大変不便な地域らしく、自宅から車でほとんど濡れずに来れるこういう場所は大雨でも関係ないんだね。
しばらく雨宿りすると雨はさっきより弱くなったかのように感じた。今がチャンスと外に出て、これから徒歩15分の道のりを歩くことに。がしかし、ほんの少し歩いただけでさっきの雨を遥かに凌駕する大雨、風も台風並みでとてもじゃないが歩いてられない。下半身が完全にびしょ濡れのイヤな状態で目の前にあったユニクロに避難する。と言うかそこ以外避難出来る場所がなかった。
この日の千葉は最高気温25℃との事で前日よりマイナス7℃の予報だったんだが、雨に濡れた事もあり体感はそれよりもずっと寒い。朝にECWCSゴアッテックス・パーカーを着て行こうかどうか悩んで「大げさだから」止めたのが悔やまれて仕方ない。ユニクロにも「水を防いで汗などの水蒸気を逃す」というゴアテックスと似たような素材のパンツが置いてあり、ただこの雨のためだけに買おうかとさえ思ったほど。SNAKEPIPEも寒いのか、もこもこ素材のフリースなんか見てるよ。

やっと少し小降りになったかのように見えたので再び歩き始める。あのまま歩き続けてたら絶対に風邪を引いたに違いない。
古着屋倉庫があるのは国道464号線の鎌ケ谷霊園の裏手だそうだからその国道沿いを歩く。駅からさほどの距離でもないのに広がる森林地帯。歩道もちゃんとあるんだが横はほとんど山の中というすごい風景だ。福岡のど田舎生まれのROCKHURRAHだからこういう風景は割と見慣れているはず。しかし千葉県の中でも比較的都会の船橋と柏の間にこんな原生林が広がっているとは予想外だ。人っ子一人もいない(この天気じゃ当たり前)大雨の中を二人で歩いていると何だか現実離れした感覚に襲われる。大雨もずぶ濡れも大嫌いなんだが、ここまで凄いともう笑うしかない。

ようやく辿り着いたのが一番上の写真にある「古着ファクトリー」なるお店なんだか倉庫なんだかわからないところ。向かいは何と海上自衛隊下総航空基地。直訳すれば古着倉庫ではなく古着工場となり少し意味不明なんだが、新品の服を古着加工する機械が置いているわけではない。単なる普通の倉庫だ。思ったほど巨大倉庫ではなく膨大な古着が山のように積まれているわけでもない。ちゃんとハンガーに整然とかけられて値札も付いている。薄暗い店内にはメンズ、レディース、キッズのコーナーがあり、ボロの山の中から掘り出し物を探し当てるというような苦労は全然なさそう。それはそれで楽しそうだけど、この大雨で全身水浸しの体じゃそんな事は不可能だからね。取りあえず一番奥の一角にミリタリーのコーナーを発見して真剣に探し始める二人。本当の本物かどうかを完璧に見極めるのは難しいがそれなりの品質(割と良い民生品)のものはすぐに見つけられる。現行ACU迷彩の納入メーカーである米国PROPPER社製のものとか、これは他所よりかなり安いんでないか?と思えるものを早速手に入れた。ん?これ古着とは言えない?
そのすぐ近くになかなか格好良くてデザインが変わってるシングル・ライダース・ジャケットを発見し、袖を通してみる。うーん、惜しい。丈や袖はピッタリなのに前のダブルジッパーがきつくて閉められない。悔しがるROCKHURRAHを尻目にSNAKEPIPEが試着してみると丁度良いではないか。名誉のために言っておくが決してデブなわけではなく、これは実はレディースのライダース・ジャケットだったのだ。一応袖が通せるだけでもROCKHURRAHのスリムさがわかってもらえよう(笑)。普段はあまり見向きもしないブランドだがハーレー・ダビッドソン製で柔らかく分厚い本革で何と5800円。古着のライダース特有の硬さや汚さもなく裏地もきれいな逸品。こりゃかなり安いと思えるので購入決定。
しかしこの日の大雨で気温がかなり肌寒い事もあって、二人ともほとんど冬物、防寒着あるいは雨をしのげるようなモノばかり探しているありさま。着ていったナイロンの上着が濡れたままで寒いためにその場しのぎの着て帰れるものまで購入してしまった。

来た時にはほとんどいなかったお客だがいつのまにか大盛況の店内となっている。非常に不便な場所で地元住民以外はほとんど知られてないような倉庫なのに。正体不明の悪そうなアジア人の集団とかもいてデンジャラスな雰囲気たっぷり・・・かと思いきや人の前を通る時は軽く会釈して意外と礼儀正しい若者たち。日本人の子連れ主婦とかの方がよっぽどマナー悪いよ。敬愛する鳥飼否宇先生の著作じゃないが「このどしゃぶりに古着ファクトリーは」予想外の繁盛だったと言える。

しかしまたしても歴史に残るほどの超大雨(大げさ)。倉庫の床にまで外からの雨が侵入してこりゃ半端じゃないよ。屋根を叩く激しい雨音、遠くで雷鳴も轟いている。そろそろ帰ろうかと思った矢先にこれじゃ出るに出られなくなってしまった。すでに見るものもなくなったSNAKEPIPEは疲れた様子で佇んでいる。そこまで広い倉庫じゃないし二人にとって関係ないジャンルの古着も多数だから確かに手持ち無沙汰にもなるわな。

辛抱強く待ち続けた甲斐もあって遂に、遂に雨が小降りになったので意を決して外に出る。来たのが昼くらいで3時間以上もこの倉庫に居続けた事になるのか。二人ともお疲れ様。
帰りは道もわかってるので随分速く駅前に戻る事が出来た。しかし昼も食べずにもはや夕方、遅過ぎる昼食にやっとありついて生き返った気分になった。家に帰った後で知ったのだが何とこの日の雷雨で千葉県の祭会場、みこしに落雷、34人が重軽傷という事故があったらしい。

やたらに「やっと」とか「ようやく」という言葉が多かった今回の記事だが、すんなり行き帰りが出来なかったので仕方なくこういう表現ばかりになってしまった。

今回はあまりに天候が悪過ぎてかさばりそうなものは買わなかったが、この薄暗い倉庫自体は非常に魅力的な場所で、また違う機会に行ってみたいと思った。表の旗に「古着お売り下さい」などと書いてるからリサイクル的古着も多いんだろうが、本格的なアメリカの古着ブランドも多数なので目利きさえ出来れば掘り出し物も見つかるだろう。
前日まで猛暑日だったからかどうかは不明だが、冬物がもう少し多くなれば個人的には嬉しい。もう少し寒くなったまた行ってみよう。I Shall Return.
しかし天候に恵まれないROCKHURRAH一家の事、今度はよりによって大雪の日に出かけたりしてね。

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