対峙する眼/2021年宇宙の旅 鑑賞

20210307 09【岡本太郎記念館の入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

3月6日は我らが鳥飼否宇先生のお誕生日!
鳥飼先生、おめでとうございます!
SNAKEPIPEも先日、誕生日を迎えましたよ。(笑)

月に一度は、長年来の友人Mと約束をして、何かしらの展覧会を一緒に回っている。
今回はどこに行こうかと相談したところ、
岡本太郎記念館に行きたい」
という提案があった。
岡本太郎の展覧会といえば、2011年に東京国立近代美術館で開催された「生誕100年 岡本太郎展」で感動したことを思い出す。
今から10年も前のことだったとは、月日が経つのは早いものよ。
青山にある記念館のカフェに行ったことはあるけれど、内部は初体験なんだよね!
せっかくなので、表参道のジャイルギャラリーも観ることにする。

夕方からは雨になるけれど、気温は高いという予報の日、ジャイル前で待ち合わせる。
気温が高いは嘘でしょ、というくらいの寒さ。
友人Mも服装を失敗した、と嘆いている。
建物に入れば寒さがしのげるよ、とジャイルに入ろうとすると
「OPEN 11:00」
の看板が出ていて、ドアが閉ざされている。
10時からのオープンだとばかり思っていたのに、勘違いだったか?
岡本太郎記念館を先に鑑賞することに決め、少し早足で歩いて向かうことに。
こちらは10時開館だったからね!

岡本太郎の伝記ドラマ「TAROの塔」を見ているSNAKEPIPEは、アトリエの様子などをある程度は知っていた。
実際に岡本太郎が活動していた場所に足を踏み入れることができるなんて、嬉しい限り!
ドアを開けるとチケット売り場があり、その後方にはグッズが並んでいる。
靴を脱いでスリッパに履き替え、入館する。
そうだよね、ここは岡本太郎の家なんだもんね。

2階の会場へ階段で上る。
まず目に飛び込んできたのは、「太陽の塔」の縮小版彫刻。
そして少し照明を落とした会場に並んでいたのは、「対峙する眼」という展覧会名通り「眼」をモチーフにした作品群だった。
載せた画像は「顔の花」。
まるでメラメラと燃える炎のように見えるけど、花だったんだね。
どの作品も勢いがあって、一目で「岡本太郎だ」と分かるインパクトの強さだよ。

会場の中央に置かれていた作品「愛」。
とても抽象的だけれど、男性(左)と女性(右)だと分かるね。
岡本太郎の顔がない作品をあまり見たことがないような?
それでも特徴的な曲線で、やっぱり岡本太郎だなと気付く。
エネルギッシュな作品が多い中、この「愛」という作品には穏やかな眼差しを感じたSNAKEPIPE。
静と動でいうと、静なんだよね。
岡本太郎の別の側面を見た気がしたよ。

かわいい立体作品群に目が釘付け!
「ひゃーかわいい!」
友人Mと叫んでしまう。
ユーモラスな表情を見て、思わず笑顔になる。
「午後の日」と題された頬杖をついた右奥の作品は、ミュージアム・ショップでペンダント・ヘッドとして販売されていたんだよね。
本気で購入を考えてしまうほど、気に入ってしまった!
ただしシルバー製なので、お値段約3万円ほど。
もう少しお値打ちだったらなあ!
作品の下に敷かれている布も素敵なんだよね。
スカーフにしたいくらい。

1階に戻り、別の会場に入る。
「ギャッ、びっくりした!」
まさか岡本太郎自身がお出迎えしてくれるとは思っていなかったので、非常に驚いてしまったよ。(笑)
庭に面した明るい部屋には、所狭しと岡本太郎の手によるありとあらゆる物があふれていた。
どれか一つ欲しいと思ってしまうよ。(笑)
こんな部屋で庭を眺めながらお茶を飲んだら、リラックスできるだろうね。

ミュージアム・ショップで散々迷った末、友人Mとお揃いでキー・カバーを購入。
これは「太陽の塔」の顔が裏と表になっているタイプで、とてもかわいい!
玄関の出入りの度にご対面できるのは嬉しいね。(笑)
最後に庭を散策してみる。
大きなバナナの木に負けないくらいの存在感を示す彫刻が、あちらこちらに点在している。
植物の影に隠れているのを見つけるのが楽しい!(笑)
ここにもいるよ、などと声を掛け合いながら作品を鑑賞する。
作品数はそんなに多くなかったけれど、建物内部に入っただけでも貴重な体験だったよ。
今度はまたカフェでお茶も良いな!

ランチ後、再び表参道ジャイルに戻る。
友人Mと約束すると、長い時間歩くことが多いんだよね。
デスクワークのSNAKEPIPEには、良い運動かも。(笑)
今回のジャイルギャラリーは「2021年宇宙の旅 モノリス_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ」という非常に長いタイトルの展覧会を開催中。
企画はリンチアン(デヴィッド・リンチ愛好家)の飯田高誉さんなので、期待してしまうよ!

タイトルを見て分かる通り、今回の展覧会はキューブリック監督の「2001年宇宙の旅(原題:2001: A Space Odyssey 1968年)」を意識した展覧会なんだよね。
入り口入ってすぐの左手には、ドーンとモノリスが!
もし触ったら、何か変化が起きたのかも?(笑)
展覧会のサイトには、飯田高誉さんが難解な文章で、展覧会の趣旨について説明しているよ。
「人類の膨大な記憶を蓄えた装置」がモノリスだって。
つまりアカシックレコードってことなのかな。

続いてはアニッシュ・カプーア の「Syphone Mirror Kuro」。
このアーティストについては、2008年の「ターナー賞の歩み展」で、感想を書いているSNAKEPIPE。
作品の前に立った時、吸い込まれそうな不思議な感覚になったんだよね!
そして鳥飼否宇先生の「中空」について感想を書いた時、その作品の画像を載せたことがあったっけ。
今回は日本の漆を使った作品だったんだよね。
以前鑑賞した時とは違って、漆の光沢のせいで自分や後方の景色が映ってしまい、幻惑させられることがなかった。
「ターナー賞」の時みたいな感覚に陥らなかったのが、非常に残念だよ!

森万里子の作品「トランスサークル」は、淡い光の色合いがとても美しかった。
時間の経過で色が変化していく。
たまに全く光を発してないこともあるので、写真を撮るタイミングに注意が必要だよ!
縄文と太陽系惑星群の運行や輪廻転生などの説明がされている作品だけれど、そうしたことを理解しなくても、印象に残る作品だね。
森万里子はあの森ビル創設者を祖父に持つ、森一族のお嬢様なので、その出自が羨ましいと友人Mと話す。
お金には全く苦労しないアーティストだろうと想像できるからね!

2019年12月の「未来と芸術展」で印象的だったのは、火星に移住するためのシミュレーション動画だった。
中でも3Dプリンターを使って、住居を組み立てるシーンは、観ているだけでワクワクしてしまったSNAKEPIPE。
3Dプリンターが欲しくなっちゃたもんね。(笑)
ネリ・オックスマンの作品「流離う者たち」も、地球以外の惑星で生活するための人工臓器を3Dプリンターで作成するシミュレーション動画だった。
なんでも作れちゃうんだね!
そしてこのネリ・オックスマンという方の経歴がすごい。
イスラエル出身の女性で、ヘブライ大学医学部、イスラエル工科大学建築学科、英国建築協会付属建築学校、マサチューセッツ工科大学で博士号取得、同大学で准教授として勤務、現在はメディアラボで研究を続けながらアーティスト活動をしているというスーパー・ウーマン!
医学と建築とアートを結びつけることができるんだもんね。
違う作品も観てみたいよ。

プロトエイリアン・プロジェクトの「FORMATA」という作品。
エイリアンを作ってみよう、という企画なんだって。
地球外生命体と聞くと、UFOに乗った宇宙人を作るのかと想像してしまうけれど、それは違うんだよね。(当たり前か)
水や酸素がない実験装置の中で、液状物質の状態変化の観察と考察がテーマらしい。
こうした試みをアートとして発表するのが最近の流行なのかな?
2020年7月に鑑賞した「ヒストポリス」も、飯田高誉さん監修で、似た雰囲気の展覧会だったもんね。
今回もやや観念的な展覧会だったけれど、鑑賞できて良かったと思う。
次はどんな企画なのか、楽しみだよ!

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