収集狂時代 第15巻 Hermès編

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【エルメスのスカーフを頭にかぶるブリジッド・バルドー】

SNAKEPIPE WROTE:

今回は「収集狂時代」のHermès編を書いてみよう!
2016年10月の「収集狂時代 第6巻 Louis Vuitton編」から始まったハイ・ブランドの特集は、ChanelGucciへと続いていった。
(ここからカタカナ表記)エルメスにも驚くようなデザインはないかな、と探してみる。
エルメスというのが、元々馬具を扱っていたため、由緒正しく格式のあるデザインが多いのではないか、と予想していたSNAKEPIPE。
グレース・ケリーやジェーン・バーキンなど、女優の名前が付いたバッグが有名で、人気が衰えないブランドだからね!
検索を始めるSNAKEPIPEは、予想と違ったデザインに遭遇する。
驚きのため口が半開きになっていた。(大げさ!)

エルメスはバッグと共にスカーフが有名だよね。
SNAKEPIPEが連想するエルメスのスカーフといえば、画像のようなゴールド色が使用されたゴージャスなデザイン。
先に書いたように馬具メーカーだった名残で、馬に関するモチーフも多いイメージだよ。
セレブが愛用することで、更にエレガントさがアップする。
日本でも「いいとこのお嬢さん」や「お金持ちのマダム」が使用している印象があるよ。
SNAKEPIPEには、全く縁がない世界の話だと思っていたのに。

エルメスのスカーフ、と検索して出てきたのがこれ! 
まるでゴジラが東京を襲っているようじゃない?
じっくり見るとヒョウかチーターのような大型動物もいるし。
右端にはシロクマかパンダ?
これって本当にエルメスなの?(笑)
更に検索すると、これは正真正銘エルメスの商品で、「Animapolis」という名前だという。
こんなに遊び要素が入ったスカーフを販売してるんだ!
ちなみにデザインを手がけたのはJan Bajtlikというワルシャワ生まれのグラフィック・デザイナーとのこと。 
こんなにポップなデザインを採用しているなんて、エルメスのイメージがガラリと変わったよ! 

他にも面白いデザインはないか、と期待に胸を膨らませるSNAKEPIPE。
いや、大してバスト、膨らんでませんけど!(笑)
次に発見したのがこちら。
日本の鎧兜じゃないの! 
飾り紐や家紋があしらわれ、純和風なのにエルメス製品とは驚いちゃうね。
デザインしたのは、Aline Honoré。(読めん!)
ダラスにいるアート・コレクターであるAnn & Gabriel Barbier-Mueller夫妻のコレクションがもとになっているというから、想像して描かれたものじゃないんだね。
このスカーフも、海外セレブが使用すると、異国情緒あふれてオシャレなんだろうなあ。(笑)

鎧兜を見た後には、これも和風に見えてしまったSNAKEPIPE。
なんだかまるで伊藤若冲が描いたみたいじゃない?
7羽のオウムが俯瞰図となっているんだけど、色合いのためか日本画に見えるよ。
SNAKEPIPEは勝手に「エルメスのスカーフはシンメトリー」と思っていたけれど、違うデザインも多いんだね。
ちなみにこのオウム・スカーフは1980年代の物とのこと。
お値段は$425、日本円で約4万5,000円。
実際に使用するのも良いけど、額に入れて飾るのも素敵かもね?

これもエルメス?
まるで曼荼羅だよね!
色合いが華やかなので黒づくめの服装でも、このスカーフ1点で印象が変わりそうだよ。
これはMusée des Arts Décoratifs(パリ装飾芸術美術館)と共同で制作されたという。
中国の明王朝と清王朝の七宝焼のデザインからインスパイアされているらしい。
ヨーロッパ諸国ではシノワズリーと呼ばれる美術様式まで生まれたほど、中国美術に関心が高まっていたため、コレクターが集めた美術品が大量に美術館に寄贈されているという説明があったよ。
前述した鎧兜もコレクションされていたというので、海外の方から見るとアジア系の美術というのは魅力的だったんだろうね。
ちなみにこの曼荼羅スカーフは$350、日本円で約3万7,000円だよ!

異国情緒というところでは、このスカーフも同じ趣向かも。
これはエジプト・モチーフなんだよね!
古代エジプトで、聖なる虫としていたスカラベをデザインに取り入れている。
左を向いた鷲は、エジプトを象徴するシンボルとのこと。
鷲はエジプトの国旗にも描かれているんだよね。
首に巻いてしまうと、昆虫が描かれていることが分からないかもしれない。
このスカーフは1970年、Caty Lathamによってデザインされ、1999年に再発売されたというから、人気の商品なんだね。
お値段は中古品で$320、日本円で約3万4,000円だって。
エルメス・ファンなら1枚は持ちたいスカーフかも。(笑)

さて、SNAKEPIPEだったらどんなスカーフにしようか?
レアだったりヴィンテージ物も素敵だけど、現在販売している中から選んでみることにしよう。
大胆な構図で目に留まったのは、3匹のキリンが描かれた物。
「The Three Graces scarf(三美神)」と名付けられているという。
ロンドンのイラストレーター、Alice Shirleyによるデザインだって。
キリン以外にもエルメスのスカーフに採用されているデザインがあって、どれも素晴らしいんだよね!
すべて動物をモチーフにしているんだけど、目移りしてしまうほどだよ。(笑)
気になるお値段は90cmサイズで$420、日本円で約4万5,000円。
140cmサイズでは11万8,000円。
本気で購入を考えてしまうね!

最後はこちら!
まるで構成主義かバウハウスか、という雰囲気のデザインだよね!
この色合も1920年代を彷彿させ、その時代に憧れを持つSNAKEPIPEにとっては垂涎モノ。
エルメスの頭文字である「H」 をモチーフにしたシンプルさに潔さを感じるよ。
特にデザイナーの記載はないので、エルメスでは伝統的に使用しているのかな。
カシミア70%シルク30%とのこと。
サイズが大きめの140㎝なので、「くるまる」こともできそうだよ。
お値段は$950、日本円で約10万2,000円ほど。
どれにしようか迷ってしまうね。(笑)

今回はエルメスのスカーフを特集してみたよ!
SNAKEPIPEには全く縁がない世界だと思い込んでいたけれど、欲しくなってしまうデザインがたくさんあったね。
エルメス・ファンの皆様からみたら「何をいまさら」と思われるだろうけど。(笑)
手が出せない金額ではなかったのも意外だった。
いつか手に入れたいな、と思ったSNAKEPIPEだよ! 

映画の殿 第38号 ハネムーン・キラーズ

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【ハネムーン・キラーズの犯人と俳優をコラージュ】

SNAKEPIPE WROTE: 

1947年、今から70年以上前のアメリカでの出来事である。
1通の手紙から男女が知り合う。
今で言うところの「出会い系サイト」だろう。
女はすっかりのぼせ上がるけれど、男の正体は結婚詐欺師!
それでもいいわ、一緒にいたいから。
女は男の「仕事」を手伝うことになる。
そんな2人は、いつしか殺人まで犯すことになっていた。
当時のアメリカを震撼させたシリアルキラーが誕生する。
男はレイモンド・フェルナンデス、女はマーサ・ベックという。
載せた画像は本物の犯人2人なんだよね。

その2人を主人公にした映画が1970年に製作される。
タイトルは「ハネムーン・キラーズ(原題:he Honeymoon Killers)」。
当初はあのマーティン・スコセッシが監督する予定だったはずが、早い段階で解雇されてしまう。
撮影したフィルムを確認したいというスコセッシの主張が認められなかったのが理由みたい。
スコセッシが監督していたら、また違う雰囲気だったのかな?
後任として監督したのが、オペラ作曲家のレナード・カッスル。
後にも先にもカッスルが監督したのは「ハネムーン・キラーズ」一本のみ、とのこと。 

トレイラーを載せてみたよ。
1970年というと、「2001年宇宙の旅(原題:2001: A Space Odyssey)」の2年後、「ピンク・フラミンゴ(原題:Pink Flamingos)」より2年前ということになるね。
この比較はSNAKEPIPE独自のものなので、気にしないでね!(笑)
1940年代を設定しているから、あえてモノクロームにしたのかもしれない。
「ハネムーン・キラーズ」はWikipediaなどには「カルト映画」と書かれているけど、どうだろう。
SNAKEPIPEの持つ「カルト」のイメージとはちょっと違うんだけどね。
フランスの映画監督であるフランソワ・トリュフォーが「favorite American film(お気に入りのアメリカ映画)」と言ったとか?
トリュフォーが好きなら、カルトじゃないわ。(勝手な思い込み!)

それでは感想を書いていこうか。
※ネタバレしているかもしれないので、未見の方はご注意ください!

トリュフォーにも大絶賛された「ハネムーン・キラーズ」の成功は、配役にあると思うよ。
先に載せた実物のマーサ・ベックを見て、どんな印象を持ったかな?
マーサはかなりの肥満体だったため、職に就くのもままならないほどだったという。
強いコンプレックスを持っていたようなんだよね。
実際には未婚で1児もうけ、別の男と結婚し更に1児をもうけた後、離婚しているらしいので、全く男性に縁がなかったわけではないみたい。
結局シングルマザーとして生きていたというマーサが「lonely hearts(私寂しいの!)」という文通クラブに入会するのはうなずける。
映画でのマーサは、未婚で子供がいない設定になっていたよ。

実際のマーサが看護婦だったので、映画でも同様に婦長として登場する。
マーサを演じているシャーリー・ストーラーは、この映画がデビュー作だというから驚いちゃうね。 
これ以上ない、というほどピッタリの役どころ。
この女優なくして、映画の成功はなかったんじゃないかな?
肥満によるコンプレックスの強さから、他人に厳しく、打ち解けて話せる友人は数少ない。
「失うものはないじゃない。試してみたら?」
その友人から勧められて文通を始めることになるマーサ。

一方こちらがレイ・フェルナンデスです!(笑)
どうしても「メガデスです」などと言いたくなるんだよね。
「ハネムーン・キラーズ」のすごいなあ、と感心するところ『その1』は、話の展開が早いところ。
2人が手紙を書いているシーンに、かぶせるようにセリフが入り、あれよあれよと言う間に実際に会うことになってるんだよね。
ここまでで映画が始まってから、たったの5分!
昔の映画は説明が長いと思ってたのは、SNAKEPIPEの偏見なのかな?(笑)

レイ・フェルナンデスを演じたのはトニー・ロビアンコというイタリア系アメリカ人俳優。
実際のフェルナンデスはハワイ生まれのスペイン系アメリカ人だったらしい。
いかにも女性をだます詐欺師らしい風貌で、役にぴったり!(褒め言葉だよ)
トニー・ロビアンコは俳優でもあり、ボクサーでもあったというので、肉体派なんだね!
「情熱のラテン男」とマーサの母親から呼ばれ、まんざらでもなさそう。

恐らく最初はマーサのことも、金を巻き上げるカモと考えていたに違いないレイ。
マーサの「あなたがいないと死ぬわ!」という肉弾攻撃に心が揺らいだのかな。
それともレイも本気でマーサを好きになったのか?
「実はたくさんの女性を騙して金儲けしてて」
とマーサに告白!
画像は、かつてのお相手女性だろうね。
最初に書いたように、マーサは事情を承知し、仕事を手伝うことにしちゃうから驚くよ。
そこまでレイにぞっこんで、善悪なんか二の次だったんだろうね。
同居してた母親のことも置き去りにして家を出ちゃうし。

そして早速2人でターゲットとなる女性に会いに行く。
映画では5名の女性が登場したけれど、お金だけ取って帰してしまったこともある。
全員を殺害したわけじゃないんだよね。
次々と登場するレイのお相手に、どれだけ結婚を夢見ている妙齢女性が多いかを知る。
文通だけのやり取りで、初めて会ったのにすぐに結婚を口にするんだもんね。
同行しているマーサのことは妹とか姉などと偽り、堂々と部屋に連れて行くところに違和感があったSNAKEPIPE。
まず似てないし。(笑)
それでも文通だけの知り合いであるレイ以外に、同性がもう一人いる、ということが安心感につながったらしい。
本当はレイの愛人で、共犯者なのにね!
画像は結婚できるとウキウキの女性(ややマライア・キャリー似)を、冷ややかに見つめる怖いマーサの姿だよ。

「一緒に行く」「手伝う」と決意した時点で、マーサは腹をくくる必要があったはずなのに。
胸をかきむしられるほど嫉妬するタイプのマーサには、苦しい時間だったはず。
女性を相手にする職業、例えばホストクラブに勤務する恋人や夫がいるとしたら、「仕事中の顔」は見ないほうが良いように思うんだよね。
自分以外の女性に優しくしている恋人(夫)を見て、平気な顔をしていられる女性なら問題ないけれど。
それでもマーサを同行させていたレイの気持ちが不明だよ。
レイもマーサと一緒にいたかったのかな。

避暑地で民宿を営んでいる女性もターゲットだったね。
ちなみにこの女性はローラ・ダーン似。(笑)
この時、レイはボクサーらしく自慢の肉体を披露していたよ。
腕立て伏せもやってたしね。
ターゲット女性とレイが良い感じになっているのを見て、マーサは「死んでやる!」とばかりに海に飛び込み、遠泳により溺れることになる。
マーサ、肉弾攻撃得意だなあ。(笑)
助けに行くレイの様子を見ると、やっぱり本当にマーサのことを愛していたようだね。

「ハネムーン・キラーズ」で最も印象に残るターゲットがこの方かな。
帽子を作るのが趣味の、御年66歳。
かなりの節約家なので、そのため貯蓄がある。(笑)
結婚相手のレイを完全に信用できなかったことが、命を縮めることになる。
この女性については、SNAKEPIPEもイライラさせられたので、映らなくなったらホッとしてしまった。
ギャーギャーうるさかったんだよね、なんて書くとシリアルキラーを擁護してるみたいに聞こえてしまうかな?

最後は子持ちの女性だったね。
この人はかとうかず子似だった。(笑)
みんなある程度裕福なんだよね。
だからこそターゲットになっちゃうんだけど。
実はこの方とレイは一線を超えてしまったらしく、マーサは激怒!
マーサの嫉妬心により犠牲者となってしまうんだよね。
その犯行の時、カメラは女性の目線だけを追う。
ここが「ハネムーン・キラーズ」のすごいなあ、と感心するところ『その2』。
レイとマーサはこの時、一切写ってないの。
女優さんの演技もさることながら、的確に恐怖を表現しているからね!
かなり印象的なシーンだったよ。

ROCKHURRAHは「ハネムーン・キラーズ」と聞くと、1980年代前半に日本でも少し話題になったベルギーのニュー・ウェイブ・バンドを真っ先に思い出すという。 

The Honeymoon Killersの「Decollage」だよ。
きっとマーサとベックに影響されたバンド名なんだろうね。

話を映画に戻そうか。
マーサ・ベックとレイモンド・フェルナンデスを主人公にした映画は、実は「ハネムーン・キラーズ」だけではない。
何本も同じテーマの映画が作られているらしいけれど、ROCKHURRAH RECORDSが注目したのは、「地獄愛(原題:ALLELUIA  2014年)」である。

「地獄愛」ではマーサはグロリアに、レイはミシェルと名前が変更されている。
この映画はベルギーのファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督作品なので、設定が少し変わったんだね。
グロリアを演じているのは、アルモドバル監督作品の常連、「スペインの室井滋(SNAKEPIPE命名)」ことロラ・ドゥエニャス
どちらかというとコミカルな役が多い印象なので、「地獄愛」でのグロリアはイメージと違うような?
しかもフランス語だよ!
ロラ・ドゥエニャスの新たな挑戦だったのかもしれないね。

ミシェルを演じたのは、フランス人俳優ローラン・リュカ。
同じ監督の作品「変態村(原題:Calvaire 2004年)」でも主演していることが有名らしいけれど、SNAKEPIPEは未見なんだよね。
この作品の存在は知っていたけれど、あまりに邦題がえげつなくて…。
タイトルが違ったら見ていたかもしれない人、大勢いるんじゃないかな?

実は「地獄愛」の後に「ハネムーン・キラーズ」を鑑賞したROCKHURRAH RECORDS。
ロラ演じるグロリアの存在が鬱陶しいし、何故ミシェルと惹かれ合うのか理解できず。
単なる猟奇的な映像が撮りたかったのかな、という感想しか持たなかった。
どうしてもロラ・ドゥエニャスがグロリアを演じる必要もなかったように思ったし。
「地獄愛」の元祖である「ハネムーン・キラーズ」を鑑賞するのに躊躇したほどである。
ところがぎっちょん!(笑)
「ハネムーン・キラーズ」の素晴らしい出来に大満足だよ。
この映画の監督であるレナード・カッスル、どうして1本しか作らなかったんだろうね?

実際の事件では、近隣住民の通報によって逮捕されたという。
映画では、その部分は違っていたね。
電気椅子による死刑が1951年3月8日に執行された、と映画でクレジットが出ていたよ。
マーサとレイは同日に死亡したんだね。
20人以上が犠牲になったとも言われているけれど、有罪が確定したのは3人の殺害だったという。
「ハネムーン・キラーズ」はかなり忠実だったわけだ。
今から50年前の映画だけど、カットやセリフなど、古さを感じなかったよ。
そして見方によっては「純愛映画」とも言える。
2008年11月の「DOUBLE MAX」や2018年5月に書いた「映画の殿 第30号 Pedro Almodóvarマタドール」と同じ理由でね!

ふたりのイエスタデイ chapter18 /JAPAN

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【JAPANのアルバム 「Tin Drum」】

SNAKEPIPE WROTE:

2020年2月に「ふたりのイエスタデイ chapter17 /Sigue Sigue Sputnik&RUN DMC」 を書いてから、
「一番最初に行ったライブはなんだろう」
と思ったSNAKEPIPE。
先週書いた「ROCKHURRAH紋章学 アルコール・ボトル アーティスト編」でも、POGUESのライブに行ったことを思い出したり、過去には意外と「来日公演」に行っていたからね。
じっくり考え、遠い記憶をたどってみる。
「そうだ!JAPANだ!」

動画を載せたのは、恐らくSNAKEPIPEが一番最初にJAPANを見たであろうプロモーション・ビデオ。
「Life In Tokyo」は1979年の曲だって?
今から何年前かと考えると恐ろしい。(笑)
2015年2月に書いた「ふたりのイエスタデイ chapter07 / Duran Duran」でも登場した「火曜日だったか水曜日の夜7時から始まるローカル番組」で、見たんだよね!
この番組は司会者が進行役となり、独自のセレクションでプロモーション・ビデオを流していた。
リクエストにも応じていて、JAPANはよく流れていたっけ。
このちょっとモヤがかかったような白っぽいバックに、ハレーションが起きているような強いスポットライトに浮かび上がる前髪長めのヴォーカリストの映像は、何度も見たよ。
いつもリクエストが一番最後だったので
「それでは皆さん、また来週!」
と司会者が言った後、ほんの何十秒かだけ映像が続き、CMで終わってしまう。
そのため、今回初めて全編を視聴したよ。(笑)

ここまで「JAPAN」と何度も書いているけれど、「日本がどうしたって?」と思う人も多いかもね?(笑)
「JAPAN」というのは、1974年にヴォーカルのデヴィッド・シルヴィアンを中心にイギリスで結成されたバンドなんだよね。
「なんとなくJAPANという響きが浮かんだだけ」(Wikipediaより)という、あまり意味のない理由により、バンド名を決めたというデヴィッド・シルヴィアン。
イギリスではパッとしなかったのに、日本では大人気!
バンド名も親近感を増す要因だったのかもしれないけど、なんといっても女子が好んだのはそのルックス。
まるで少女漫画に出てきそうだもんね!
JAPANの曲はほとんどデヴィッド・シルヴィアンが作詞・作曲していたことも、今回初めて知ったよ。
ギターもピアノもこなすし、天は二物も三物も与えてるじゃないの!
何故か写真家・作家の藤原新也と親交があり、以前藤原新也のHPで一緒にモーターボートに乗っている画像を見たことがあるよ。
アルバムのジャケットに藤原新也の写真が使用されているんだって。
バンド名だけじゃなくて、実際に日本との関わりも深いみたいだね。

JAPANのベースはミック・カーン。
ミック・カーンのベースは、一度聴いただけで特徴をつかむことができるほど。
うねるような音なんだよね。
何か奏法名があるのかもしれないけど、ミック・カーン以外でこんなベースは知らないよ。
ジャズとかフュージョンで使われることが多いフレットレス・ベースをロックの世界で個性的に使ったのがミック・カーン、ということになるみたいだね。
真っ赤な髪で真っ赤なスーツ、ギロギロした目!
一見強面に思えるのに、実は猫好きだって。(笑)
さすが猫がいっぱいいるキプロス出身だけあるよね。

上に載せた「Visions Of China」が発表されたのが1981年。
同じ年に日本で出版された「MUSIC LIFE」新年号の表紙を飾るJAPANのメンバーだよ。
メンバーについて、ヴォーカルとベースしか書いていなかったけれど、この画像をもとに少し説明してみよう。
上の左がドラムのスティーブ・ジャンセン。
中央にいる金髪のデヴィッド・シルヴィアンの実弟なんだよね。
並んで写っている画像によっては、似て見えることもあるよ。
言われないと分からないことが多いかも?(笑)
上の右はミック・カーンでしょ。
下の左がキーボードのリチャード・バルビエリ。
モノトーンの服装が多い印象があるよ。
口紅も黒かったしね?
下の右がギターのロブ・ディーン。
2015年8月にROCKHURRAHが書いた「ロックンロール世界紀行 Transit05」によれば、この頃の「MUSIC LIFE」にJAPANが登場することが多かったという。
表紙だったりグラビアで特集される、とかね。
そうしたことも日本での人気につながったんだろうね。

JAPANの初来日は1979年で、最初から日本武道館で公演を行っている。
恐らく当時の最大収容人数を誇る会場が日本武道館だったんじゃないかな?
チケットが完売できるほどの人気だったってことだもんね。
SNAKEPIPEは、その時代より少し後輩にあたるので(笑)、ライブを観たのは1982年の武道館だよ。
チケットが余ったから誰か行かない?と学校の先輩から誘われ、実はあまりJAPANを知らないのに思わず手を上げてしまったんだよね。
そのチケットはとても良い席で、1階席の前から数えたほうが早いようなステージに近い席だった。
曲を聴くというよりも、 メンバーの顔を見に行った、という感じかな。(笑)
一番人気はヴォーカルのデヴィッド・シルヴィアンだけれど、実際にステージを観たSNAKEPIPEに強いインパクトを与えたのはミック・カーンだった。
笑いながら瞬きをしない鋭い目つきで軽いステップを踏み、ベースを弾く。
ステージを右に左へとカニ歩きする様は、今でもはっきり覚えているよ。
そのミック・カーンは2011年にガンのため亡くなっている。
52歳じゃ若過ぎるよね。

今回JAPANについて調べていたら、思っていたよりも多くの曲を知っていたことが分かったよ。
そのうちの1曲がこの「Adolescent Sex」(1978年)だった。
曲は聴いたことがあったのに、JAPANだとは知らなかった。
初期の頃はロック色が強かったんだね。

JAPANは1982年に解散している。
SNAKEPIPEが武道館に行った翌年ということになるね。
一度でも実物を観られて良かったよ!

JAPANは、遅過ぎたグラム・ロック、早過ぎたニュー・ロマンティックという微妙な立ち位置のバンドだったのかな。
デヴィッド・シルヴィアンの知的さと美意識のためなのか、ヒット・チャートを独占するようなキャッチーな代表曲には恵まれなかったのかもね。
ただし、それは音楽性の高低についての話ではない。
恐らくJAPANは様々なミュージシャンに影響を与えているバンドには違いないし、いわゆる美形ビジュアル系バンドの元祖だろうね。
今回改めて振り返り、そんなことを思ったSNAKEPIPEだったよ!

ROCKHURRAH紋章学 アルコール・ボトル アーティスト編

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【ジョージ・ダイアーとお酒を楽しむフランシス・ベーコン】

SNAKEPIPE WROTE:

「これ、知ってる?」
ある時、知人よりもたらされたのは、「ロック酒」についての情報だった。
なんとスターリンがラベルになったお酒があるというのだ!
販売しているのは、ロックバンドが製造工程にまで関わり、バンド名を冠することが許された公認のお酒を輸入している都商会
「遠藤ミチロウオフィス公認スピリッツ」って書いてあるよ!
このお酒はアルコール度数96%、つまり「ほとんどアルコール」という世界最高の度数を誇る、ポーランドのウォッカなんだって。
スターリンだけにウォッカ、とは、なかなかやりますな。(笑)
それにしても、どうして「trash*」のジャケットをラベルに採用したんだろう?
「trash*」には「ワルシャワの幻想」入ってないのにね。
スターリンをイメージしたウォッカだったら、「STOP JAP」で使用されたロゴのほうが良かったような?
「ワルシャワの幻想」も収録されてるし、インパクトも強いように思うけど。
どちらにしても、ファンだったら欲しくなること間違いなしだよね!
河内屋でも買えるみたいだから、行ってみようか。
お値段は税込2,178円とのこと。
もちろん飲む時に聴くのは、この曲に決まりっ!(笑)

都商会では、他にもロック酒を扱ってるんだけど、ほとんどがハードロック系なんだよね。
気になったのはポーグスのウイスキー。
ポーグスは80年代に活躍した大所帯のバンド。
アイリッシュ・トラッドをパンク風に歌って、大人気だったんだよね。
実はSNAKEPIPE、ライブ行ってたわ。(笑)
ヴォーカルのシェインが、あまりの酒飲みのせいで首になったという逸話が残っているくらい、ポーグスといえば酒、とイメージされてしまうバンドだったよ。
そんなポーグスがウイスキーのラベルになってるなんて、気になるじゃない?(笑)

  • シェリーオーク樽で熟成させた10年物のシングルモルト・アイリッシュ・ウイスキー
  • バーボンオーク樽で熟成させた7年前のアイリッシュ・ウイスキー
  • バーボンで熟成させた4年前のアイリッシュ・グレイン・ウイスキー
  • これらをブレンドしていると海外のページに説明されているよ。 
    都商会にある文章と違うんだけど、手間をかけて美味しく作っていることに間違いはないね!
    「POGUES」とだけ書かれたボトルも美しいんだけど、アイリッシュ・ウイスキーだったら、クローバーのロゴを使用しても良かったのでは、と思ってしまうね。
    ROCKHURRAHがスコッチ・ウイスキーを好んでいるので、今度はポーグス・アイリッシュ・ウイスキーも飲んでみたいね!(笑)
    お値段は現在セール中で、税込3,500円。
    2本購入でTシャツも付いてくるらしいよ!

    世界にはどんなロック酒があるのかと探してみたけれど、ROCKHURRAH RECORDSらしいバンドが見当たらなかったため、「アーティスト」のラベルを検索してみた。
    まず最初に「DISARONNO」(ディサローノ)が発売した限定ボトルから見ていこうか。
    1525年からイタリアで作られているリキュールだというディサローノ。
    ちょっと待って、それって今から約500年前ってことだよね!
    さすがイタリア、歴史があるわ〜。(笑)
    遥か昔からイタリア人に愛されてきた「ディサローノ」が、イタリアのファッション・ブランドとコラボしたのが画像のボトルだって。
    左からベルサーチ、モスキーノ、エトロ、とブランドが一目で分かるデザインが使用されているね。
    デザインによって値段が違うけど、3,000円以内で購入可能みたい。
    リキュールって飲んだことがないので、おしゃれなパッケージで試してみようかな? (笑)

    もしかしてこれはバスキア?
    1800® Tequilaは、メキシコのテキーラ・ブランドであるホセ・クエルボ社が手がけているプレミアム・テキーラだそうで。
    上に書いた「ディサローノ」同様、毎年限定ボトルを発売していて、バスキアは第6弾目だったんだね。
    他にもキース・ヘリングなど、どちらかというとポップな印象のアーティストが多いみたい。
    オンライン・ショップで値段を確認すると$34、日本円で約3,700円くらいだね。
    テキーラって飲んだことがないので、一度試してみたいな!
    残念ながらオンライン・ショップでは日本への配送は行っていないようなので、限定ボトルを手に入れるのは難しいかもしれないね?

    ちょっとアルコール度数を下げてみようか。
    アーティストの作品からインスパイアされたワイン・ラベルを使っているんだね。
    左からジャクソン・ポロック、モンドリアン、ピカソ、ウォーホル、カンディンスキーだって。
    こんなオシャレなワイン・ボトルだったら、並べてコレクションしたくなるよね?
    デザインを手がけたのはドイツのLinkupDesignというデザイン事務所とのこと。
    商品化されているのかどうは不明なので、お値段までは調べられなかったよ。

    最後はこちら!
    アーティストをモチーフにしたラベルの使用を1924年にスタートさせているというChâteau Mouton Rothschild(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)。 
    一番初めにラベルを手がけたジャン・カルリュは、シュールレアリスムと構成主義の影響を受けているように見受けられる素晴らしい作品を残している。
    そして1945年から毎年、アーティストの作品がラベルを飾っているという。
    名だたるアーティスト達の名前が出てきて、見ているだけでうっとりしちゃう。(笑)
    そんな中、SNAKEPIPEが是非ともコレクションしたいと思ったのは、ゲルハルト・リヒター(画像左)とフランシス・ベーコン(画像右)!
    どうやら日本でも扱っている店舗があるようでリヒターは約88,000円、 1990年物のベーコンは127,000円で購入可能だよ。
    2本合わせて215,000円!
    宝くじが当たったら絶対買おう。(笑)