宮永愛子展 くぼみに眠る海 鑑賞

20220731  top
【ギャラリー入り口のポスター】

SNAKEPIPE WROTE: 

ミヅマアートギャラリーで開催されているのは「宮永愛子展 くぼみに眠る海」。
季節が良い頃はウォーキングで横を通っていたけれど、さすがに最近の暑さでは歩くのを躊躇してしまう。
一番近い市ヶ谷駅から向かうことにする。

前回ミヅマアートギャラリーを訪れたのは、2022年5月「パンとサーカス展」だったね。
あの時、感じの悪い受付に不快だったことを思い出しながら、勇気を出してギャラリーに入る。
チラ、と受付を見ると、前回の男と同じじゃないの!
ところが今回は、にこやかな笑顔を見せながら「どうぞどうぞ」とウェルカムの姿勢。
まるで別人のような対応に驚いてしまう。
今回は気持ちよく鑑賞できそうで良かったけどね!(笑)

宮永愛子について全く知識がないSNAKEPIPEなので、少し調べてみようか。

1974 京都市生まれ
1999 京都造形芸術大学芸術学部美術科彫刻コース卒業
2006 文化庁新進芸術家海外留学制度によりスコットランドのエディンバラに1年間滞在
2008 東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程修了
2011 第22回五島記念文化賞美術新人賞を受賞 
アメリカを拠点に活動する

東京と京都の美術大学2つを卒業しているんだね。
イギリスに留学したり、アメリカを活動拠点にしていた国際派。
現在は神奈川県在住のようだね。
作品は金沢21世紀美術館にもコレクションされているらしい。
それが画像の「waiting for awakening -chair」(目覚めを待って-椅子)で、2012年の作品だという。
今回の展示品ではなかったのが残念!
椅子はナフタリンで作られていて、周りを樹脂とミクスト・メディアが覆う。
作品に貼られたシールを剥がすと、ナフタリンが固体から気体に昇華し、椅子がなくなっていく仕組みなんだとか。
朽ち果てる前の造形を保存している、まさに「時間よ止まれ」状態の作品なんだね。
観た瞬間のインパクトに加え、理解しやすいコンセプト。
これはなかなか良いね!(笑)

今回の展覧会は4つのインスタレーションで構成されていたらしい。
ミヅマアートギャラリーには、作品ごとのキャプションが提示されていないので、SNAKEPIPEの推理が間違っていたらごめんなさい!(笑)
画像は「ひかりのことづけ」で「東京ビエンナーレ2020/2021」に出品されたみたい。
オシャレなホテルやレストランにディスプレイされていたら似合いそう。
ミヅマアートギャラリーでは、床に直置きされていたけどね。
ぶつかったり踏んだりしないように、気を付けて歩いたよ。(笑)

かわいい動物が並んでいたせいか、SNAKEPIPE以外にもお客さんがいたんだよね。
1人で来ている女性が2名、熱心に鑑賞していたよ。
これらの作品が、展覧会のタイトルになっている「くぼみに眠る海」なのかな。
ガラス製とのことだけど、SNAKEPIPEには墓地近くに点在する石屋が店先に飾っている置物と同じように見えたよ。
次の画像は最初はなんだか分からなかったけれど、いくつも展示されているうちに石膏型だと気付いたよ。
かわいい動物たちは、この型から制作されたんだろうね。
「くぼみに眠る海」は、この石膏型も含んだインスタレーションとされていた。
正式名称東山窪セーブル式石膏型だって。
宮永愛子の曽祖父が1929年頃、陶彫制作のために使用していたものだという。
京都の実家で、それら石膏型を改めて見つめ直し、もう一度作品に仕上げたという。

今回の展示の中で、一番気に入ったのがこれ。
革製トランクの中に鮎が泳いでいるんだよね。
恐らくこれは、一番最初の画像である椅子と同じように、ナフタリンで鮎が作られていて、周りが樹脂なのかもしれない。
水や自然の一部を切り取り、生命を瞬間冷凍したような感じ。
この作品はちょっと欲しくなったよ。(笑)

今回の展覧会は曽祖父へのノスタルジーがテーマだったので、全体的にロマンチックな少女趣味だった。
SNAKEPIPEは、少し居心地が悪くなったんだよね。(笑)
宮永愛子の違うタイプの作品も観てみたいよ。

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