【世界の果てまで俺を連れてってくれるか?】
SNAKEPIPE WROTE:
今日のSNAKEPIPE MUSEUMはマイケル・ケンナを取り上げてみたいと思う。
マイケル・ケンナは風景写真家だからSNAKEPIPEが好きなのは珍しい、と思われる方も多いだろうね?
確かにマイケル・ケンナは自然写真が有名だもんね。
ただ写真の中には無機物と自然の調和、のようなモチーフもあるんだよね。
無機物も自然の一部と考えてるように感じられるのだ。
その点がSNAKEPIPEと同じ!(笑)
以前洋書で写真集を観た瞬間に「いい!」と思い、即決で買ってしまったことがある。
お値段は確か1万円近かったから高額だったのに…。
決してお金持ちとは言えないSNAKEPIPEに購入決断させるとは!
恐るべし、マイケル・ケンナ!(笑)
マイケル・ケンナは1953年イギリス生まれ。
現在はワシントン州のシアトル在住とのこと。
世界中を旅して風景を撮影している写真家である。
ハッセルブラッドの6×6カメラを使うことが多いらしい。
世界的にもかなり有名で、いくつか賞も受賞しているよう。
日本では北海道を撮影していて、写真集「HOKKAIDO」(まんま!)を出しているみたい。
撮影された特徴的なミズナラの木は「ケンナの木」としてファンが多かったとか。
ミズナラ?
おおっ!我らが鳥飼否宇先生の「樹霊」の中にも出てきたね!
残念ながらその「ケンナの木」はもう伐採されちゃったらしいけどね。
マイケル・ケンナの写真の特徴はなんといっても圧倒的な静謐感。
音のない、シーンとした世界。
人が登場しないため、未来的な印象を受ける。
それは人類が滅亡した後の終末的未来?
言うなればSFの領域になるのかもしれない。
マイケル・ケンナがいわゆる一般的な風景写真家と違うのはここなんだろうね。
燃えるような緑がキレイとか咲き誇る美しい花などという風景写真ならば、誰でもある程度の撮影はできるだろう。
そして実際に「〇〇フォトサロン」みたいなギャラリーではその手の写真展が今でもたくさん開催されているし。
撮影側も鑑賞側のどちらにとっても「最も害のない」ジャンルだろうね。
カレンダー用の写真を観ても、だいたい似た雰囲気だし。(笑)
観て癒しを感じる写真というのは人それぞれなので、上に書いたようなカレンダー的風景写真を観て清々しい気分になる人も多くいるだろう。
SNAKEPIPEだったら、と考えてみるとパッと浮かんだのは例えばマイケル・ケンナの空っぽの風景なんだよね。
なんにもなくてガラーンとした、人のいない場所。
以前取り上げたスティーブン・ショアーの時にも似たような文章を書いていたけれど、どうやらSNAEKPIPEは人がいない風景が好きなんだね。(笑)
同じように「空っぽ」の写真家とはいっても、スティーブン・ショアーの写真にはノスタルジーがあるけれど、マイケル・ケンナにはない。
人を寄せ付けない、いやそれ以上に拒絶しているような冷たさがあるんだよね。
何百年後なのか何千年後なのか分からないけど、かつて人類がいて文明があった形跡だけを撮影した写真という感じ。
だからといって世紀末的な絶望感は持たない。
一回りして、またスタートに戻ったような気分である。
これってもしかしたら輪廻転生?
はたまた雑念のない忘我の境地?(笑)
そんなことを考えながら、癒されるSNAKEPIPEなのである。