映画の殿 第05号 キャリー

【嬉し泣きしているキャリーなのに、どうしても幸せそうには見えないね】

SNAKEPIPE WROTE:

映画のリメイクが流行っているようだ。
例えばジョン・ウォーターズ監督1988年の作品「ヘアスプレー」は2007年にリメイク版が公開されたよね。
大好きな作品だっただけに、オリジナルを超えるはずはあるまいと思いながらも、一応は鑑賞することにした。
結果は予想通り、オリジナルを踏襲することに懸命だったようで、オリジナル以上の出来栄えではなかったと思う。
どうしてオリジナル以上の作品を作ることができないのにも関わらずリメイク版を作るのか。
単なるネタ切れということなのかもしれないけれど、全く理解できない現象である。
そしてまたリメイク作品の情報が入ってきた。
なんと今度は「キャリー」だという。
先日ブライアン・デ・パルマ監督のオリジナル「キャリー」を鑑賞したばかり。
今回の「映画の殿」はオリジナル版の「キャリー」を特集してみたいと思う。
2013年版「キャリー」と比較する記事ではないのでよろしく!(笑)

「キャリー」はスティーヴン・キングの小説を原作とした、1976年のアメリカ映画である。
上述したように監督はブライアン・デ・パルマ。
SNAKEPIPEが一番初めに「キャリー」を観たのは、日曜洋画劇場などのテレビだったな。
まだ義務教育を受けていた年頃で、観た翌日にキャリーのモノマネをして遊んだ記憶がある。
子供の頃はいろんなモノマネやってたんだよね。(笑)
「ホラー映画好き」を公言しているROCKHURRAHは、当然のように今まで何度も「キャリー」を鑑賞している。
今回初めて2人でものすごく久しぶりに鑑賞することにしたのである。
映画の殿 第3号」で特集した「悪魔の追跡」も同じなんだけど、70年代の映画には独特の雰囲気があって、魅力的だからね!

 主人公のキャリーが左の写真である。
そばかすだらけの顔。
いつもうつむき気味で、内気な様子。
高校生という設定なのに、朗らかに友人と語らうこともなく一人でいる少女。
クラスの中で浮いてしまうのも納得してしまう。
演じていたシシー・スペイセクはハマリ役だったと思う。
怒りを爆発させた後の、目を剥いた顔はまるで別人で、本当に怖かったからね!
シシー・スペイセクが1973年に出演した「地獄の逃避行」も鑑賞してるんだけど、やっぱりこちらでも一人行動する女の子の役!
きっとそれがシシー・スペイセクの個性なんだろうね。
「地獄の逃避行」も全く古さを感じさせない映画で、いつか特集記事を書いてみたいと思っている。
余談だけど、シシー・スペイセクは1974年に映画美術監督のジャック・フィスクと結婚している。
このジャック・フィスクって名前はどこかで…。
そうだ!デヴィッド・リンチの昔からの友人で、確か「イレイザーヘッド」で 惑星を回す役でも出てたし、リンチの映画の美術も担当していた人だったはず!
うわー!こんなところでリンチにつながるとはびっくりんこ!
Wikipediaに載っているシシー・スペイセクの説明の中には、アンディ・ウォーホルの映画にも出演なんて書いてあるよ。
アート寄りの女優なんだろうね。
シシー・スペイセク、良いねー!(笑)

キャリーの母親は狂信的な信者である。
特に性に関して厳しく、キャリーという子供を授かったことに対して未だに後悔するほどの徹底ぶり。
狂信的な母親というと「サンタ・サングレ」を思い出すね。(笑)
過去の行いを懺悔するよう娘にも強要する、かなり複雑な心境の女性を演じていたのがパイパー・ローリー
おや?パイパー・ローリーにも見覚えがあるよ?
そうだ!「ツイン・ピークス」の製材所にいた、所長の妹だったよね!
またもやここでリンチにつながってしまったよ。(笑)

他の出演者で特筆するならば、若いジョン・トラボルタを観ることができる点かな。
「キャリー」はジョン・トラボルタの映画出演2作目だったようだけど、かなり重要な役どころを見事に演じていたね。
「キャリー」の翌年に「サタデーナイトフィーバー」で世界的に有名になったよね。

「キャリー」の中でトラボルタの恋人役でキャリーをいじめる同級生を演じていたナンシー・アレンが、いかにもアメリカンな70年代のイカした女の子という雰囲気で良い味出してたね。
ナンシー・アレンは監督のブライアン・デ・パルマと結婚したようだけど、数年で離婚しているみたいだね。
ロボコップ」 ではアン・ルイスという名前の巡査役で登場!
なんとこの「ロボコップ」もリメイク版が来年公開とのこと。
ぎゃーーーっ!(笑)

「キャリー」の中で印象的だったのは、キャリーが怒りを爆発させ、超能力を発揮しているシーンの見せ方。
今となってはよく見かける「画面を2分割して同時に起こっている出来事を知らせる」方式を採っているんだよね。
キャリーが目を見開き視線を動かすことで、物を動かしたり扉を閉めたりする右の画面と、それによってどんな被害があったかを示す左の画面といった具合である。
名付けるなら「before_after戦法」といった感じか。(笑)
1976年より以前にこの撮影方法を実施していた映画があったのかどうかは検証していないけれど、「キャリー」での効果は絶大だったと思う。
Wikipediaによれば「分割画面や、長回し、スローモーション、目線アングルなどを使用し凝った画作りはデ・パルマ・カットと呼ばれる」とのことなので、やっぱりデ・パルマ監督考案の見せ方なのかもしれないね?
ブライアン・デ・パルマ監督作品は何本か鑑賞しているけれど、大いに語れるほどではないので、もっと勉強してから発言しようかな。(笑)

37年も前に制作された「キャリー」は、2013年の現代でも十分通用する強烈なインパクトのある映画だと思う。
もちろん登場人物のファッションは70年代だし、車の型などは当時の物だから年代を感じるのは当たり前のこと。
CGなどで加工しなくてもこんなにすごい映像を作り出すことができるんだなと感心してしまう。
まだまだ未鑑賞の素敵な作品はたくさんあるはず。
故きを温ねて、新しきを知る映画の探索は続くよ!

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