時に忘れられた人々【10】情熱パフォーマンス編

【情熱あり過ぎ!アーモリー・ショウの元気ハツラツ・パフォーマンス】

ROCKHURRAH WROTE:

ミュージシャンにとっての表現方法は歌詞、楽曲、演奏、そしてパフォーマンスといった部類に大別出来るだろうが、1980年代に普及したプロモーション・ビデオによって、それらの魅力を余さず同時に伝える事が出来るようになった。
音楽を聴いて歌詞カード(あるいは訳詞)を読みながらミュージシャンが動いてる姿を想像する、といった70年代くらいまでの視聴方法と比べると格段にわかりやすい。ライブ映像を編集しただけのシンプルなものから映画、現代アートのようなものまで、進化をやめてしまった音楽(あくまで個人的感想)と反比例してプロモーション・ビデオの世界は新しい試みを次々と導入していった。

今回の企画はそういう前フリとは特に関係なく、簡単に言えばちょっと奇妙な情熱的表現方法に取り憑かれてしまった男達のヘンなプロモーション・ビデオ特集だ。このブログをご存知の方にとっては当然なんだが、相変わらず70〜80年代のパンク、ニュー・ウェイブ限定で、アナクロにやってゆこう。ものすごくヘンというほどの事はなくてたまたま観てて「変だ」とROCKHURRAHが思ったものだけを紹介するので、さほど期待しないで読んでつかあさい。

【迫る!】 Rich Kids / Marching Men
セックス・ピストルズの代表曲ほとんどを作曲したにも関わらず追い出されてしまったという不遇なベーシスト、そしてパンク界屈指のメロディメーカーであるグレン・マトロック。
彼がピストルズの後にに結成したのがスーパー・グループとも言えるリッチ・キッズだ。

  • ミッジ・ユーロ(元スリック、元PVC2、後のウルトラヴォックス、後のヴィサージ)
  • スティーブ・ニュー(ピストルズの2ndギタリスト他、パンク、ニュー・ウェイブの数々のバンドでプレイ)
  • ラスティ・イーガン(後のスキッズ、後のヴィサージ)

これにマトロックを加えた四人組なんだがパンクやニュー・ウェイブに詳しい人ならばすごいメンバーだった事はよくわかるはず。
このバンドは日本ではアルバム一枚発表したっきり、すぐに解散してしまったんだけど、ポップで素晴らしい名曲も残していて、個人的には大好きだった。
特に代表曲「Ghosts Of Princes In Towers」などは今聴いても気分が高揚するし、たぶん一生好きだと断言出来る。

さて、この「Marching Men」はアルバムには入ってるけど特に代表曲という事はないと思う。リリースした頃はまだMTVなどもない時代でPVを作るバンドも少なかったはず。さすが大手EMIだし元セックス・ピストルズだし、お客様感謝デー大売出し火曜市というワケかね?

このビデオの意図は不明だが見て頂くとわかるように、とにかくフロントの3人の表情、迫り具合が尋常じゃない。何だかわからんが迫力満点。 ミッジ・ユーロ(中央のギター男)と言えばジョン・フォックス脱退後のウルトラヴォックス、そして80年代のニュー・ロマンティック・ブームを支えたダンディ男の代表だよ。そうなる数年前はただの白いTシャツでこんなことやってたとは驚き。
しかもこの人は歌うときの大仰なシャウトっぷりがかっこ良くも情けない。 左側の化粧男スティーブ・ニューも負けず劣らずの形相。この人はギター・プレイも鮮やかな美少年という印象があったけど、リッチ・キッズ以外で目立ったパーマネントなバンドをやってないのが残念。去年ガンで亡くなったのだがずっと化粧男のままだったんだね。
そしてこのバンドの主役、グレン・マトロックはと言えばいい意味でいつも通り。確かに迫ってはいるが横の二人ほどのインパクトはなく、ここでも主役は取れないのか?いい曲を書くんだけどねえ。

【なりきる!】 Tenpole Tudor / Wunderbar
エドワード・テューダーポールはパンク初期から活動していて、ピストルズの映画「グレート・ロックンロール・スウィンドル」に出演した(掃除機を持って歌う映画館のモギリ役)事により注目されたパンク・コメディアンとも言えるべき人。
彼が率いるバンドがこのテンポール・テューダーだ。
このバンドはロカビリーやテディ・ボーイ(テッズ)風の要素とパンク・ロック、そしてスコットランド民謡の壮大さを併せ持つ「ありそうでない組み合わせ」が新鮮で素晴らしかった。ビリーもパンクもアイリッシュも大好きなROCKHURRAHにとってはドンピシャの理想バンドだったのだ。
同時代には海賊ルックで大ヒットしたアダム&ジ・アンツや壮大な応援団風+スコットランド民謡風パンクの王者スキッズなどと共に、この手の音楽好きを唸らせる男気あるロックを展開した。
そんな彼らのこだわりはある意味でのコスプレ精神に表れている。レコード・ジャケットのメンバー写真は中世の騎士であったり海賊であったり三銃士だったり、そのなりきり衣装は見ているだけで楽しい。そしてテューダーポールの身軽で大げさ過ぎる身のこなし、ステージ・アクションとしても派手の極み。そりゃいくら何でもオーバー過ぎでしょう、というくらいのシロモノ。

この曲は「Swords Of A Thousand Men(メンバーが騎士団になって大暴れするPVも必見)」と並ぶ彼らの代表曲で壮大かつコミカルな曲調、サビの「ブンダバー」という合唱では思わず拳を振り上げる事必至の大傑作だ。
今回は海賊に扮してるんだね。というか格好違うだけでコンセプトは騎士の時とほぼ一緒。ちなみにWunderbarはワンダフルと同じような意味のドイツ語だそうな。 先にも書いたがまだPVというものがあまりないくらいの時代にこの大掛かりなロケ、いっそのことテンポール・テューダー主演で映画にでもなってくれたら素晴らしいものが出来上がっていたろうに。

【踊る!】 The Teardrop Explodes / Treason
何だかウチのブログでティアドロップ・エクスプローズ率がかなり高いな。
そこまで命をかけて追いかけたバンドではないのに、何度も書いてる気がするよ。 その昔、70年代後半にエコー&ザ・バニーメンのイアン・マカラック、ワー!のピート・ワイリーと共に活動していたのがジュリアン・コープだ。
三人はそれぞれ別のバンドを始めて独自の活躍をしてゆくのだが、自身の音楽性に磨きをかけて正統派ネオ・サイケの代表格になったエコー&ザ・バニーメン以外の二つのバンドは、やってる事もやりたい事もその時によって違っていたという印象。

特にこのティアドロップ・エクスプローズの主人公、ジュリアン・コープは一番の問題児でクセモノだったな。
いわゆる美形ではないのだが80年代少女漫画に出てくるようなルックスで人気があってもおかしくはない素養はあった。がしかしその才能を昇華する事なく、総合的に見て意味不明の部分を数多く持っていた。ファンにとってはこの不安定さが魅力だったんだが、一般的にはかっこいい変わり者という意見が多い事だろう。

さて、このビデオ、彼らの代表曲でネオ・サイケの名曲と言われている曲なんだが、顔や体に不可解なペインティングをしたジュリアン本人が、まるで土方巽のような暗黒舞踏で踊りまくる。
売る気があって作ったプロモーション・ビデオとは思えない出来にファンも苦笑。カッコイイのを通り越してカッコ悪くさえある。
この後ソロとなって一時期は人気絶頂な頃もあったんだが、なぜか古代巨石文明に関する著作や日本のアングラなロックに関する著作など、方向性不明の活動が目立つ鬼才。相変わらず不可解な面が多いなあ(笑)。

【くねる!】 Der Plan / Hey Baby Hop
DAFやデイ・クルップス、フェールファーベン、ホルガー・ヒラーなどと並ぶジャーマン・ニュー・ウェイブ(ノイエ・ドイッチェ・ヴェレ)の代表格がデア・プランだ。
ドイツの老舗インディーズ・レーベルであるアタタック・レーベルの中枢としても有名だな。他のドイツのバンド同様、シンセサイザーがメインの三人組で「ドイツのYMO」と評される事も多い。確かに当時のテクノ・ポップという分野ではYMOは世界的に著名だったからね。
しかしデア・プランは単なる音楽にとどまらず、シュールレアリスム的アートやパフォーマンスの一環として音楽活動をやっているというスタイルだったかな?違う?

そんな彼らの奇妙でチープなパフォーマンスがこのPVだ。
素人目にはショッカーの怪人(仮面ライダー)と何ら変わらないかぶりものとタイツ姿で、くねくね気持ち悪いダンスを気持ち良さそうに踊っている。
どうやらロケ地には日本も含まれているようで、そう言えば80年代半ばにこのアタタック・レーベルを西武グループのWAVEがお気に入りで、しきりに招聘していたのを思い出す。しかしわざわざ日本までやってきて小学生をビビらせてどうする?という意図不明なパフォーマンスだな。

【走る!】 Belfegore / All That I Wanted
ベルフェゴーレもデア・プランと同じくドイツのバンドで、幾分ゴシック要素のあるダークな曲調を得意としていた。
元デアKFC(豪快デジタル・パンクの第一人者、トミ・シュタンフがやっていた伝説のパンク・バンド)のメンバーが中心人物との事で、見た目もパンクっぽくてなかなかカッコイイし、メンバーに黒人がいた事もあってリズムも良い。

こんなベルフェゴーレの代表曲が本作。
とにかくメンバーを含む老若男女、さまざまな業種の人々が海辺で走りまくるというもの。革大好きマッチョ野郎どもだし、体力自慢のバンドなんだろうが、その運動量がすごい。ここまで健康的な躍動感に溢れたゴシック・バンドは他にないだろうと思える。

というわけで情熱溢れる(一部勘違いの)パフォーマンスを紹介してみた。
完全な変質者でもお笑いでもなくて、やってる本人たちは大マジメだったりカッコイイと思ってたりするのが今回のポイントだな。その中途半端な世界をROCKHURRAHは愛してゆきたいよ。

SNAKEPIPE SHOWROOM 物件3 レジャー編

【おとぎの国に迷い込んだみたい!いつまでも子供でいられそうだよね。】

SNAKEPIPE WROTE:

2006年の12月に任天堂の大人気ゲーム「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」が発売されたと同時に出たのがWiiだった。
「風のタクト」で初めてゼルダに触れたSNAKEPIPEと違って、ROCKHURRAHは初代「ゼルダの伝説」からプレイしているというから、筋金入りのゼルダファンなのである。
そのため2006年12月の段階でWiiを買おうか、と真剣に考えたけれど「トワイライトプリンセス」はゲームキューブ版で購入した話は2007年1月のブログ「販売用PINK JACKET完成!」でも書いてるね。(笑)
あれから5年、ついに11月23日「ゼルダの伝説 スカイウォードソード」が発売される。
前作はゲームキューブ版の発売があったけれど、もうこれからはWii版のみ。
こうなったらついにWiiを買うか!と購入を決めたのである。
最近のWiiは、コントローラー2つとソフトまで付いてかなりお値打価格。
付いていたソフトは「Wiiスポーツリゾート」だったので、ほとんどスポーツに興味のないSNAKEPIPEには関係ないじゃん、と思いきや…
試しに遊んでみると、これがとっても楽しい!(笑)
Miiという自分を模したキャラクターを作り、そのキャラクターがスポーツをする、という仕掛けになっているため、自分そっくりなキャラクター作りからスタート。
ROCKHURRAHもSNAKEPIPEもかなり特徴があるタイプなので、笑ってしまうほど似ているキャラクターが出来上がったのである。
そしてこのキャラクターは自分が振り上げたコントローラーと同じ動きをするので、見ているだけでも面白い。
この段階ですっかり気に入ってしまった。
スポーツのメニューはいくつかあり、短いものなら10分もあれば充分楽しめる内容になっている。
中でもSNAKEPIPEの一番のお気に入りはゴルフ!
今までゴルフなんて見たこともやったこともないスポーツだったのに、これがなかなか難しくて面白いのである。
ゴルフゲームをやったことがある、というROCKHURRAHよりも良い成績だったりして、意外と素質がありそうと判ったことも驚き。(笑)
以前「モンスターハンター」で釣りに熱中したことがあるSNAKEPIPEなので、実際にはやらないことでもゲームだったら好きになるみたいね!

とても前フリが長くなってしまったけれど、今回のブログは「SNAKEPIPE SHOWROOM 物件3」をお届けしようと思う。
前述したように最近はゲームの中でスポーツを体験しているので、実際にレジャーを楽しめるような物件を探してみた。
またまた驚きの物件があったよ!

まずはモロッコからご紹介してみよう。
ベルベル語で「神の国」を意味するマラケシュにある、4つの寝室と4つの客室を備えた別荘である。
こちらの最大の特徴はなんと18ホールのゴルフコースがある点!(写真①)
うわっ、マイゴルフコースだって!
ゴルフ好きにはたまらない環境だよね。
かなたにそびえ立つ山を眺めながら、思い切りドライバーでナイスショットを決めたら気持ち良いだろうねー!
と、最近少し覚えた単語を使ってみたよ。(笑)
この別荘に関する説明があまり詳しく載っていなかったけれど、どうやら敷地内にはブティックホテルとスパなどもあるみたい。(写真②)
ゴルフコースの整備などは誰がやるんだろう、など疑問が残るけれど、こんな場所を購入できるお金持ちには小さな問題なのかもしれないね?(笑)
さて気になるお値段は348,331,936円!(2011年10月のレートでね)
はい、そうです、一十百千万と数えて頂くと…約3億5千万ってとこだね。
18ホール付き、と聞くと安いような気がしてくるけど、いかがなんでしょ?
ただし、モロッコの公用語はアラビア語、もしくはフランス語も使ってるみたいなので、まずは言葉の勉強が必要かもしれないね?


さて続いてはカンボジア・シアヌークヴィルに浮かぶKoh Rong 群島にあるプライベートアイランドのご紹介。
この島はシエムレアプから1日2回、約1時間のフライトで到着できるアクセスの良さ。(写真①)
目の前に広がる青い海を眺めながら、完全なプライベートな空間を体感できること間違いなし!(笑)(写真②)
こんなソファで寝転びながら読書してみたいなあ。
なんとも優雅でのんびり充実した毎日を過ごせそうだよね。
海辺の町まではスピードボートで約20分程度。
全く孤立した島、ということではないようなので、買い物なども問題ないみたいだね!
さて、この高級リゾートの気になるお値段は?
日本円でおよそ45,756,000円!
4500万円、と聞くとそんなに腰が引けるようなお値段じゃないよね?
現在建設中とのこと、気になる方はお早めにご予約を!(笑)


最後はニュージーランド、南島中央部に位置する農場と別荘付きの不動産販売!
この土地っていうのがなんと1131ヘクタール、東京ドーム約870個分の広大さというから驚いちゃうよね。(笑)
近くには川、湖、山があるので、釣り・ゴルフ・スキー・狩猟などありとあらゆるレジャーができる寸法!(写真①)
ちなみにシカが狩れるらしいよ。(笑)
そして川ではサケやマスが釣れるんだって。
今、ついレジャーの中に狩猟を入れてしまったけれど、レジャーで良いのかな?
狩猟が物件の条件の中にあるのがさすが、外国だよね!
とりあえず頭に浮かぶアウトドア関係は全て堪能できるみたい。
先日アウトドア専門店に行ってきたけど、ミリタリーと同じようにアウトドア関連っていうのも服飾からグッズに至るまでよく考えられていてとても面白い分野だよね。
SNAKEPIPE自身は全くスポーツもアウトドアもやらないけれど、見ているだけでワクワクする商品がいっぱいだった。
こんな物件を手に入れたら、山に登りたくなったり、必然的にスキーしたりするんだろうけどね?(笑)
農場も完備されてるから、自給自足生活も可能かも。(写真④)
さて気になるお値段は?
日本円で711,558,976円也!
そう、7億円超えてるんだよね。(笑)
ちょっと広過ぎる感じもするけど、雄大な自然と完全なプライベートを満喫するには良い物件だよね!

今回はSNAKEPIPEが今までやったことがなかったスポーツをゲームで始めたことから、それに関連したような物件を集めてみたよ!
広い土地がある国では広大な敷地を売りに出してるんだねえ。
調べてないけど、もしかしたら日本でも「山ひとつ売出し中」なんてあるのかもしれないね?
こんな場所に住んだら何して遊ぼう?と想像するだけでも楽しくなっちゃうね!
ってことでそろそろWiiで遊ぶかな。
今日はスカイダイビングに挑戦しよーっと!(笑)

畠山直哉展 Natural Stories

【東京都写真美術館入り口にあったポスター。ビルが写り込んでるところが良いね!】

SNAKEPIPE WROTE:

10月1日より東京都写真美術館で「畠山直哉展 Natural Stories」が開催されている。
畠山直哉氏といえば!
このブログの大好評シリーズである「好き好きアーツ!」の第一弾で特集した、SNAKEPIPE大のお気に入りの写真家なのである。
『「好きな写真家は?」と質問されたら「畠山直哉!」と即答する。
もちろん他にもたくさん好きな写真家はいるけれど、一番は畠山氏である。』
と書いたのが2008年8月のこと。
その中にも記述しているけれど、SNAKEPIPEは1996年頃から畠山直哉氏のファン。
とは言っても最近の活動についてはほとんど情報を得ていなかった。
もっとも畠山直哉氏だけに限らず、写真全体に関して興味を失っていた、というほうが正解なのかもしれない。
最近は全く撮影をしていないしね。
今は様々な作品を鑑賞することに興味が移っていて、展覧会情報をチェックし、面白そうな企画があったら足を運ぶことが楽しみなのである。

「畠山直哉個展開催」の情報はまだ暑かった頃に知った。
先のことで待ち遠しい、と思っていたのに…月日の経過の速いことよ。
あっという間に10月になってしまった。
秋晴れの少し汗ばむくらいの気温の日、恵比寿にある東京都写真美術館に足を運んだ。
この美術館に来るのはかなり久しぶりのことだ。
前回行ったのは川田喜久治の展覧会「世界劇場」だったかも?
調べてみたら2003年だって!ひゃあ~!8年も前か~!(笑)
毎回展覧会情報のチェックの中に写真美術館も入っているので、余程SNAKEPIPEの琴線に触れる企画がないってことなんだろうな。
もう少し頑張ってくれよ、写真美術館!

畠山直哉氏首都圏での初個展とのこと、かなりワクワクドキドキしながら会場へ。
「作品にはキャプションがありませんのでお持ち下さい」
受付で作品リストを手渡される。
ふーむ、キャプション無しって珍しいかも?
休日にもかかわらず、人の入りはまばら。
作品鑑賞するのには良い環境だね!(笑)

初めに目に飛び込んできたのは山の写真。
あれ?なんだか違う…?これではまるで山岳写真だ。
「畠山直哉ってこういう写真撮る人なの?」
とROCKHURRAHが怪訝そうに尋ねてくる。
「うっ、違うはず…なんだけど…」
前述したように最近の写真界、そして畠山直哉氏の動向について情報を得ていなかったSNAKEPIPEなので確実な答が返せないのがもどかしい。
「畠山直哉、変わっちゃったのかなあ?」
と首をかしげながら鑑賞している途中だったので、尚更である。

展示順に「もうひとつの山」「テリル」「アトモス」「シエル・トンベ」「ヴェストファーレン」と鑑賞し、撮影年度を確認するとやっぱりSNAKEPIPEが追いかけていた時代より後の外国で撮った写真である。
畠山直哉氏のその後をやっと知ることができたわけだ。(笑)
そしてやっと「ライム・ヒルズ」になり安心してしまった。
やっぱりSNAKEPIPEは「ライム・ヒルズ」のシリーズが大好き!
確かに見比べると「テリル」は雰囲気が似ているかもしれない。
けれども明らかに違うのはインダストリアルなオブジェクトの有無である。
「自然と都市」を表現していた写真集「ライム・ワークス」には工場写真が多く入っていたからね。
そこに魅力を感じていたんだな、と改めて気付く。
どの写真も畠山直哉氏らしい「静謐さ」を感じることはできるけれど、やっぱりなんとなく物足りなさを感じてしまった。
そして以前の写真ではあり得なかった「写真の中に人物が入っている」点にも驚いた。
人を風景の一部と考えて写り込んでも構わなかったのかもしれないけれど、「ライム・ワークス」と「アンダーグラウンド」でファンになったSNAKEPIPEには不満が残る。
SNAKEPIPEが持っている畠山直哉氏の印象は
・日本の風景なのにどこかの外国みたいにカッコ良い無人の風景写真を撮る
・だまし写真のように不思議な風景を切り取る写真家
・現代アートに通じる観念や理論を持ち、写真を語れるインテリ
である。
こんな3種の神器ならぬ、3本の金棒を持つ憧れの写真家のその後の活動が…今回の展示作品とは!
日本の風景を外国の景色に変化させてしまうマジシャン的魔力は、実際に外国の風景に対峙した時に発揮できなかったのだろうか。
今「好きな写真家は」と問われても「2003年頃までの畠山直哉!」という言い方になってしまいそうなのが残念である。
インダストリアル好き、というSNAKEPIPEの好みの問題なんだろうね。

以前から数枚の写真や情報だけ知っていた「ブラスト」のシリーズが連続写真、しかも大迫力の300インチ大画面で鑑賞することができたのは嬉しかった。
「ブラスト」というのは石灰岩の採掘の際、山を切り崩すために発破をかける現場を小型カメラで連続撮影した作品である。
畠山直哉氏は「光のマケット」など写真を使った現代アート、といったほうがしっくりくるような作品を今までに発表していて、「ブラスト」も勝手にそんな作品なんだろうと予想していたSNAKEPIPE。
今回のパラパラ写真(笑)を鑑賞して、その思いを強くした。
ダイナマイトの爆発により、岩が粉々にコマ送りのように砕け散っていく様子はまるでクレイ・アニメのようで興味深かった。
一羽の鳥が爆発現場から飛び去る最後の展示作品「ア・バード/ブラスト」は、アートとしても秀逸だと思うし、畠山直哉氏の思いを受け取ったような気がした。
このブログではあえて詳しく書かないけれど、畠山直哉氏は岩手県陸前高田の出身なのである。
地震後の地元の写真も展示されていたが、SNAKEPIPEには書くべき言葉が見つからない。

これからの畠山直哉氏がどのように変化していくのか。
また見つめていきたいと思う。

がっちりBUYましょう!vol.4 ミリタリー系ワンショルダー編

【おなじみのアウトドア・メーカーが出してる本気バッグ】

ROCKHURRAH WROTE:

このシリーズ記事も久々だなあ。
去年くらいからこのROCKHURRAHのブログでもしつこいくらいにミリタリー系の服装などについて書いてきた。ずっと前から好きだったジャンルではあるけど、ここ数年は特に動きやすくて機能的な服装の方が望ましいという職業についているので、ミリタリー好きの傾向に拍車がかかったというわけだ。一般的な街着よりは確かにポケットの数とか多いし、ハードな動きにも耐えられるし、機能美を突き詰めればここにたどり着くのも当然だと思える。

で、語るネタがなくなってきたから、というワケじゃないが、今回はそういうミリタリー系の服装に似合うバッグについて書いてみたい。

最近のミリタリー系と言えばアウトドア・ブランドやスポーツ・ブランドと密接な関係にあるという傾向にある。そういった事も踏まえて、今回は軍用もあるでよ、というアウトドア・メーカーのバッグに注目してみよう。
断っておくが今回紹介するのは軍用も出してるメーカーのバッグ、というだけで本当の軍用なわけではない。なぜならROCKHURRAHの使う用途と本物の軍用バッグの目的が全然違うから。
書き始めた当初から何とも中途半端な企画で申し訳ないなあ。


ARC’TERYX
ぱっと見た瞬間は何と読むのかわかりにくいが冷静に読めばそこまで特殊な読み方ではなかった。などと頭悪そうな事を書いてみたが、これはアークテリクスというカナダのアウトドア・ブランドだ。
元々は登山用のハーネスを製造していたらしいが現在ではアウトドア界のトップ・ブランドのひとつとなっている。このロゴ・マークに始祖鳥の化石が刺繍されたワンポイントを街中、あるいは山の上で見かけた人も多かろう。知名度がなかった頃はこのブランド名も一瞬では読めなかったし始祖鳥もトカゲか何かの刺繍だろうと勝手に思っていたものよ。ファッション雑誌も全く読まないし、予備知識も皆無だったからなあ。
さて、このアークテリクスは上から下まで身の回りのもの全部、というほどの幅広いラインナップはないんだが、特に有名なのは防水性の高い高級アウター・ジャケットやバックパックの類いだ。
ただ、背中に背負うバックパックやリュックの類いは個人的にあまり好きじゃなくて、それは何かを取り出す時にいちいち背中から降ろさないと開け閉め出来ないから。
やっぱり即座に中のものを取り出せる方が好きなので、そういうタイプをROCKHURRAHは選んでみた。

このミストラル・シリーズはアークテリクスの中では珍しいショルダー・バッグ・タイプで8、16,21という三種類の大きさがある。これは例えば8だったら「8リッターの容量があるよ」という意味なんだが、案外漠然とした表現ではあるな。だまされたというわけではないが、現物を見ずに通販で買った失敗例そのまんま。2リットルのペットボトル4本分の容量と言えばかなりあるように感じたんだが。つまり購入した8リッターがROCKHURRAHの用途には少し足りなかったわけだ。昔は手ぶら大好きでバッグをほとんど使わなかったのに、意外と持ち物が多くなってしまったもんだな。
と言うわけでミストラルを買おうかどうしようか悩んでる人は少し大きめを選んだ方がいいと思う。
ユニークな特徴としては、開口部にバネが入っていて荷物を入れた後で三回折りたたみ(クセがついている)、両側のストラップを引っ張ればキュッと締まる仕掛けになっている。文章で書くと何やら複雑そうだが、本当に一瞬であっという間に開け閉めが出来るのは素晴らしいし、そのギミックが面白い。ただし上の部分を三回も折り曲げるという事はそれだけ入る分量が少なくなるという事でもある。トートバッグのように口を開けっ放しにすれば多少の大物も入るんだろうけど、それもちょっとなあ。
容量以外は大層気に入っていて、表面のナイロンもきめ細かくて上質、小分けするポケットも豊富に付いているし、独特の丸みを帯びたデザインも大好きだ。機能性と曲線美が見事に融合された傑作バッグだと言えよう(大げさ)。さすが我が憧れのカナダ。

アークテリクスの品質に魅せられたROCKHURRAHはもう一つここのバッグを所有している。クイバーと呼ばれるワン・ショルダー・リュックだ。写真でわかるようにかなり湾曲した独特のデザイン、これまた見事なバランス感覚。一瞬、どっち側の肩にかければいいのか悩んでしまうよ。しかし見た目から考えられないほどの抜群の装着感があって、個人的には最強のワン・ショルダーだと思える。
欠点を強いて挙げればショルダーやリュックほどポケットがなくて、小分けして荷物を入れられないという点にある。メインとサブの2つと中にメッシュのポケットがあるのみ、かなりシンプルな作りになっているのだけが残念。しかし止水ジッパーと素材の防水性は申し分ない。先日関東地方も直撃したあの台風の中、このバッグで一番暴風雨だった時間帯に家に帰ったんだが、中身はほとんど濡れてなかったという事実が物語る。もっと防水性の高いバッグはあるんだろうが、たかがワン・ショルダーくらいでもこの水準。すげー!アークテリクス最高。
個人的には全く使うつもりはないがハイドレーション(背中に入れた水パックからチューブで水分補給するためのもの)用のチューブ通しの穴まで付いてて、意外と本格的。
こちらは11リッターとの事だが見た目よりは収納力もあって今では本当に欠かせない相棒のような存在。
探してたその日に偶然見つけて即買いしたという運命的な出会いもある(大げさ)。ネット通販とかでは品切れ続出らしいので、惚れた人は苦難の恋になるかも。

このアークテリクスは良い品質のものを作っているのが認められたからかどうかは知らないが、LEAFと呼ばれるハイスペックな軍用ラインも作っている。Law Enforcement & Armed Forcesの略だとの事。どこにでも売ってるものじゃないし値段もバカ高いので、さすがにそこまでマニアではないROCKHURRAHなどが気軽に買えるもんでもないが、金持ちになった暁には是非手に入れたいものだ。


Mystery Ranch/The Works
アウトドアのバックパックとして著名だったDana Designの創始者が作ったのがこのミステリー・ランチだ。バックパック業界に特に興味あるわけではないのでブランドの紆余曲折(一度Marmotに買収された後に復活)についても見てきたようには書けない。単にミステリー・ランチがミリタリーやタクティカル分野で素晴らしく良いバッグを作っているから、ROCKHURRAHはその点について興味があるのみだ。

上に書いたアークテリクスなんかよりも遥かに特殊部隊の人々に愛されてるっぽい見た目、機能、耐久力、豊富な種類と色。さすがバックパック作り続けて数十年のこだわりと職人気質が炸裂した格別の逸品ですな。特にこのブランドのお家芸(?)であるY字型のジッパーは素人には何だかわからんがすごいシロモノに思えてしまう。作るの難しそう。
まあ適当なミリタリー・ショップでも看板商品になるだろうしファンも数多いに違いない。んがしかし、最低でも4万円台後半から6万円くらいもする高級バッグなのは確か。本気の人以外はたかがナイロン・バッグにそこまで出せないのも確か。
アウトドアや本物ミリタリー・アイテムが高いのは下手したら命がかかってる世界だから当たり前なのかも知れないが、一般人であるROCKHURRAHはそこまで本気にはなれない。だからあのY字型のスタイルに憧れてはいても所有はしておりまっせん。

で、ここで浮上してくるのがThe Worksだ。これはそのミステリー・ランチの廉価版・カジュアル版というような位置づけで、一応Worksロゴの下にちっちゃくミステリー・ランチのロゴも付いてはいるが、主力商品とは全く別物と言ってもいいだろう。
高いのには手が出ないがちょっと憧れのブランド名も入ってる・・・というような卑屈さも感じられなくはないが、このシリーズは確かに手が届く価格。街着にはちょうど良いかな。

ROCKHURRAH所有のはこのトライゴンというモデル。これまたワン・ショルダー・タイプで三角形な型のもの。パタゴニアの大人気作Atomと似たデザインだな。アークテリクスのクイバーと3つ並べるとこの手のバッグ御三家という感じがする。アウトドア界の大御所であるグレゴリーやノースフェイスがあまりこの手の型を作ってないようなので勝手にROCKHURRAHがそう思ってるだけだ。
このトライゴンは表面が実に独特で、何とも言えないザラザラした質感が特徴。触った事はないがサイの肌とかそういうものを思わせる。この素材と裏がゴムっぽい伸びる素材を組み合わせて作った異色のバッグだと言える。防水性能に重点を置いたからなのか?
アークテリクスのクイバーより前から使っていて、雨にも濡れたはずだがどうだったろうか?台風とかそういう記憶に残る大雨じゃないから印象が薄いのかもね。
メッセンジャー・バッグのように大きなフラップ式になっていて、そこをめくるとメイン・コンパートメントという形式になっている。マチがあまりない流線型のバッグだから、伸びる素材はありがたいが大したものは入らない。中にもなーんも仕切りやポケットはなく、唯一フラップ部分がもう一つの収納になっているだけだ。
先ほどアークテリクスのクイバーをベタ褒めしたから何だか気のない表現に見えるが、収納力さえ抜きにすれば大変気に入ってるバッグなのだ。希少なのか廃版なのかわからないが、街で人とかぶる可能性が少ない事も良いね。リフレクター・テープ(反射板)もついてるから自転車の人もオススメ。写真では見えないがストラップの前の部分に小さなポーチが付いてて、これまた軍用Molleシステムのようでかわいい。
なぜか右上の方に三角形の矢印マークが付いているのも愛嬌。ここがジッパーの始点ですよ、という意味か?このROCKHURRAHをもうろく扱いするか?


5.11
警察や特殊部隊系装備とかに興味あってその名を知らない人はいないほどの著名なブランドがこの5.11だ。他のミリタリー系ブランドに比べると格安のイメージだが、一般の目線とは随分違った作りが面白く、ROCKHURRAHもいくつか愛用している。
ウエアやブーツなど身の回りのもの全般を扱っていて、バッグも多数出している。上記のアークテリクスやミステリー・ランチが街着にも合うバッグとして違和感ないおしゃれ心を持ってるのに対して、この5.11のはあくまでも「任務遂行に便利」という着眼点に基づいて作られた無骨な感じがする。
例えば5.11のジャケットにはFBIの潜入捜査官が(イザという時に身分を提示出来る)IDパネルを隠すためのポケットとか平気でついてるあたり、日本の街着としてはかなりの違和感があるもの。なぜか商品全てにタクティカルなんとか、と名前が付くのもすごい感覚。

そういう特殊な任務とは全く関係ないROCKHURRAHが選んだのはやはりワン・ショルダー型のRUSH MOAB 10というバッグだ。
Mobile Operation Attachment Bagの略だそうで、ふーむ、何だかわからん。

実は注文はしてるんだがまだ現物が手元に届いてない状態で、使用感とかは全くの未知数。背負った画像も用意出来なかったのでこれで許して。
見た感じは何ですな、ドンキとかに1980円で売ってそうな安っぽい雰囲気。しかし5.11お得意のこれでもかと言わんばかりの収納、ポケットの数、さすがその道のプロが選ぶだけの多機能さ、その辺に惹かれる人もきっと多いはず。ミリタリーのリュックでよく見かける3デイ・アサルト・パック、つまり三日間の作戦に必要な荷物が入る大きさのリュックをワン・ショルダー型にした感じだな。写真で大きさは全然わからないだろうけど、割と大きめで容量も問題なし。5.11が独自に開発したシステムでこれよりさらに大きなバッグとも連結出来るというから、容量に問題ある人は「親ガメの背中に子ガメ」状態で盛ればよろしい。

ふう、大した事も書かなかった割には長文になってしまったな。
今回はこれで終了するけど、また何か紹介出来るものがあったら書きます。