映画の殿 第05号 キャリー

【嬉し泣きしているキャリーなのに、どうしても幸せそうには見えないね】

SNAKEPIPE WROTE:

映画のリメイクが流行っているようだ。
例えばジョン・ウォーターズ監督1988年の作品「ヘアスプレー」は2007年にリメイク版が公開されたよね。
大好きな作品だっただけに、オリジナルを超えるはずはあるまいと思いながらも、一応は鑑賞することにした。
結果は予想通り、オリジナルを踏襲することに懸命だったようで、オリジナル以上の出来栄えではなかったと思う。
どうしてオリジナル以上の作品を作ることができないのにも関わらずリメイク版を作るのか。
単なるネタ切れということなのかもしれないけれど、全く理解できない現象である。
そしてまたリメイク作品の情報が入ってきた。
なんと今度は「キャリー」だという。
先日ブライアン・デ・パルマ監督のオリジナル「キャリー」を鑑賞したばかり。
今回の「映画の殿」はオリジナル版の「キャリー」を特集してみたいと思う。
2013年版「キャリー」と比較する記事ではないのでよろしく!(笑)

「キャリー」はスティーヴン・キングの小説を原作とした、1976年のアメリカ映画である。
上述したように監督はブライアン・デ・パルマ。
SNAKEPIPEが一番初めに「キャリー」を観たのは、日曜洋画劇場などのテレビだったな。
まだ義務教育を受けていた年頃で、観た翌日にキャリーのモノマネをして遊んだ記憶がある。
子供の頃はいろんなモノマネやってたんだよね。(笑)
「ホラー映画好き」を公言しているROCKHURRAHは、当然のように今まで何度も「キャリー」を鑑賞している。
今回初めて2人でものすごく久しぶりに鑑賞することにしたのである。
映画の殿 第3号」で特集した「悪魔の追跡」も同じなんだけど、70年代の映画には独特の雰囲気があって、魅力的だからね!

 主人公のキャリーが左の写真である。
そばかすだらけの顔。
いつもうつむき気味で、内気な様子。
高校生という設定なのに、朗らかに友人と語らうこともなく一人でいる少女。
クラスの中で浮いてしまうのも納得してしまう。
演じていたシシー・スペイセクはハマリ役だったと思う。
怒りを爆発させた後の、目を剥いた顔はまるで別人で、本当に怖かったからね!
シシー・スペイセクが1973年に出演した「地獄の逃避行」も鑑賞してるんだけど、やっぱりこちらでも一人行動する女の子の役!
きっとそれがシシー・スペイセクの個性なんだろうね。
「地獄の逃避行」も全く古さを感じさせない映画で、いつか特集記事を書いてみたいと思っている。
余談だけど、シシー・スペイセクは1974年に映画美術監督のジャック・フィスクと結婚している。
このジャック・フィスクって名前はどこかで…。
そうだ!デヴィッド・リンチの昔からの友人で、確か「イレイザーヘッド」で 惑星を回す役でも出てたし、リンチの映画の美術も担当していた人だったはず!
うわー!こんなところでリンチにつながるとはびっくりんこ!
Wikipediaに載っているシシー・スペイセクの説明の中には、アンディ・ウォーホルの映画にも出演なんて書いてあるよ。
アート寄りの女優なんだろうね。
シシー・スペイセク、良いねー!(笑)

キャリーの母親は狂信的な信者である。
特に性に関して厳しく、キャリーという子供を授かったことに対して未だに後悔するほどの徹底ぶり。
狂信的な母親というと「サンタ・サングレ」を思い出すね。(笑)
過去の行いを懺悔するよう娘にも強要する、かなり複雑な心境の女性を演じていたのがパイパー・ローリー
おや?パイパー・ローリーにも見覚えがあるよ?
そうだ!「ツイン・ピークス」の製材所にいた、所長の妹だったよね!
またもやここでリンチにつながってしまったよ。(笑)

他の出演者で特筆するならば、若いジョン・トラボルタを観ることができる点かな。
「キャリー」はジョン・トラボルタの映画出演2作目だったようだけど、かなり重要な役どころを見事に演じていたね。
「キャリー」の翌年に「サタデーナイトフィーバー」で世界的に有名になったよね。

「キャリー」の中でトラボルタの恋人役でキャリーをいじめる同級生を演じていたナンシー・アレンが、いかにもアメリカンな70年代のイカした女の子という雰囲気で良い味出してたね。
ナンシー・アレンは監督のブライアン・デ・パルマと結婚したようだけど、数年で離婚しているみたいだね。
ロボコップ」 ではアン・ルイスという名前の巡査役で登場!
なんとこの「ロボコップ」もリメイク版が来年公開とのこと。
ぎゃーーーっ!(笑)

「キャリー」の中で印象的だったのは、キャリーが怒りを爆発させ、超能力を発揮しているシーンの見せ方。
今となってはよく見かける「画面を2分割して同時に起こっている出来事を知らせる」方式を採っているんだよね。
キャリーが目を見開き視線を動かすことで、物を動かしたり扉を閉めたりする右の画面と、それによってどんな被害があったかを示す左の画面といった具合である。
名付けるなら「before_after戦法」といった感じか。(笑)
1976年より以前にこの撮影方法を実施していた映画があったのかどうかは検証していないけれど、「キャリー」での効果は絶大だったと思う。
Wikipediaによれば「分割画面や、長回し、スローモーション、目線アングルなどを使用し凝った画作りはデ・パルマ・カットと呼ばれる」とのことなので、やっぱりデ・パルマ監督考案の見せ方なのかもしれないね?
ブライアン・デ・パルマ監督作品は何本か鑑賞しているけれど、大いに語れるほどではないので、もっと勉強してから発言しようかな。(笑)

37年も前に制作された「キャリー」は、2013年の現代でも十分通用する強烈なインパクトのある映画だと思う。
もちろん登場人物のファッションは70年代だし、車の型などは当時の物だから年代を感じるのは当たり前のこと。
CGなどで加工しなくてもこんなにすごい映像を作り出すことができるんだなと感心してしまう。
まだまだ未鑑賞の素敵な作品はたくさんあるはず。
故きを温ねて、新しきを知る映画の探索は続くよ!

がっちりBUYましょう!vol.9 タクティカル・ブーツ編

【世界の平和を守るみたいな主旨で相変わらず大げさな5.11のプロモ】

ROCKHURRAH WROTE:

「がっちりBUYましょう!」のコーナーも随分久しぶりの気がする。
このコーナー、そもそもROCKHURRAHやSNAKEPIPEが買った何かを紹介(ずいぶん前に買ったようなのも含めて)するという主旨のモノなんだが・・・。
大昔のTV番組が元ネタというタイトルも古臭いし扱ってる題材も一般的でない、そして何よりROCKHURRAH家はあまり大した買い物をしないという点が致命的で、滅多に新しい記事が書けないのが難点という三重苦に満ちた企画なのだ。偶然この記事を読んで「うん、わかるわかるよ」」と同意してくれる人はほぼ皆無なんじゃなかろうかとさえ思えてくる。それでも何とか書けるものがあったら更新してやっとvol.9までこぎ着けたよ。
さて、今回はROCKHURRAH愛用のブーツについて。

自分の人生の大半はブーツを履いて過ごしていたというくらい根っからのブーツ好きなROCKHURRAH。当然、ブーツなら何でもいいというわけではなくて、こだわりを持ってさまざまなブーツを履きこなしてきた。
今ではパンクのパの字も知らないような女子でも履いてるドクター・マーチンを日本でも最も初期から履いていた一人だと豪語出来るくらいだ。

今の一文でわかり通り、ROCKHURRAHにとって一番馴染みのあるブーツはマーチンやゲッタグリップなどメイド・インUKのごつい編み上げブーツだった。これが一番好きな形だと言える。

その当時のROCKHURRAHと言えば年季の入ったマーチンに前ジッパーが壊れるまで穿き込んだリーバイスのブラック・スリム・ジーンズというのがトレードマークだったな。復刻もされたように記憶するが、今あるようなリーバイスとはたぶんちょっと違うシロモノ。股上が深いのじゃ。さらに前ジッパーが壊れて歩いててもすぐに下がってくるという恐ろしい事態になった(竹下通りを全開で歩いた経験あり)ので、取っ手の穴にゴムひもを通して、それを上のボタンに引っ掛けるというバカ情けない応急処置をして、カッコつけて歩いていたものだ(笑)。しつこく書くが最近じゃなくて1980年代の若き頃の話だからね。
当時好んで穿いてたリーバイスは当たり前のようにYKKとかリーバイスのオリジナルじゃなくてタロンのジッパーだったしな。
古着についてる外国製ジッパーはロックが効かなくなったものとかあるから要注意だね。
SNAKEPIPEと知り合ってからは彼女の影響で前ジッパーの総取替えくらいは何とか出来るようになったので、古着でたまに壊れたのを買って自分で修理とかして穿いている。当時よりは格段に技倆は上がっているはず。
ハイ、前フリがここまで。

しょっぱなから話が大きく逸れてしまったが、そういうブーツばかり履いてたという事が言いたかっただけだ。 ん?ブーツについてはあまり書いてないかな?なに、全然書いてない?

Bates Delta-8 Tactical Boots
長年ごついパンクなブーツばっかりだったROCKHURRAHだが、最近はライブに全然行かない事もあってタクティカル・ブーツばかり履いている。
ミリタリー系に興味ない人には「?」の名称だろうが、軍や警察などの特殊部隊が履いているようなブーツをタクティカル・ブーツと呼ぶ。ちなみに軍人が履いてる官給品のミリタリー・ブーツとはちょっと違うもの(最近では違いも少なくなったみたいだが)。

一般的なファッションのためだけのブーツとは大違いだが、要するに潜入だの制圧だの、そういう荒事に特化したブーツの事だ。
当然ながらソールは滑りにくくて足音がしない、長時間の着用でも疲れにくい&耐久力も優れた作りになっているのが特徴。
見た目は色々だけど、どちらかというと昔流行ったハイテク系スニーカーのハイカットに近いものがあり、今の尺度でいくとカッコ良くない系統のものが多いと思う。まず一番に機能性が来るので、これを履いておしゃれに見える人間はなかなかいないんじゃなかろうか?

やっとここまで話が進んだが、ベイツはそういうタクティカル・ブーツを作っているメーカーだ。主にバイク用のブーツ&軍用ブーツを作っていたので、その方面の人々には有名なブランドと言えるな。

ROCKHURRAHがなぜタクティカル・ブーツに興味を持つようになったのかは覚えていないが、数年前に急に思い立ってこのベイツを買った。普段履きに足が疲れなくてサイドジッパーだから簡単に脱ぎ履き出来るよのさ(ピノコ)というのが大きな理由だったと思う。
もう一つ、敢えて言うならミリタリー系どっぷりの人しか興味を示さないようなブーツでもっとおしゃれに出来ないか?という実験の意味もあった。
もっと以前に東ドイツ軍のサイドジッパー・ブーツを気に入って履いてて、これが非常に履きやすかったんだが、残念ながら履きこみすぎて底に穴が開いてしまった。それの代わりに脱ぎ履きがしやすいブーツを探しててタクティカル・ブーツに行き着いたというわけ。

ベイツはまだ値段も安く購入しやすい方で、例えばオークリーとかアディダスとかリーボックとかメレルとかもこういうタクティカル・ブーツを作っている。完璧なミリタリー系のメーカーだともっと高いから、今言ったようなブランドはまだまだ初歩用のもの。

しかし何でも手に入る東京でも、タクティカル・ブーツを存分に試着(試し履きと言うべきか?)出来て、買える店はそうそうないのは確か。
他のメーカーに興味はあっても現物を手に取ってみないとイメージ涌かないんだよなあ。ベイツの場合は中田商店あたりに行けばほぼ手に入るので「購入しやすい方」と書いたわけだ。

ROCKHURRAHも何年か前の夏、暑い時にわざわざ試着して買ったのを覚えてる。最初に見た印象は「カッコイイ」とは思わなかった。
ウチの長年の命題「パンクとミリタリーの融合」はアイテム選びを間違えると大失敗してしまう諸刃の剣だと最初からくじけそうになったよ(大げさ)。
ただしそう思っても初志貫徹で買う気の時は思い切って買ってしまう、それがROCKHURRAHというものだ。
結果としてこれは買って良かったシロモノだったと胸を張って言える。

このブーツはベイツ独自のシステムでインソールに特徴がある。外すと裏側に円形の歯車みたいな弾力のあるディスクが出てくる。
「円形じゃない歯車は滅多にないよ」という声がどこからか聞こえてきたが、それはさておき。
言葉では説明しにくいが、この歯車はゲル状のくさびのようなもの。これのポジションを変えて装着することによって靴底の反発力を調整したり歩く時のクセを補正してくれたりするという何だかすごいもの。
全部を試してみたかどうか覚えてないほどに違いについてはよくわかんが、そんな事は抜きにしてもこのクッション性の素晴らしさは抜きん出ている。ブーツが足と一体化したかのような抜群のフィット感なのだ。この履き心地にはショックを受けたよ。
ベイツのブーツよりもこのインソールだけが欲しくなってしまうほど。でも別売りはしてないんだよね。

最初はウォーキング・シューズのようで気に入らなかった見た目もそのうち気にならなくなってきた。鏡を見る以外は通常、自分の靴は真上から見下ろすもの。上から見るとそんなに違和感ないんだよね。何だかサメの一種のような戦闘的なフォルムは一般的なブーツでは得がたい迫力があるとさえ思える。
ソールのゴツゴツした雰囲気からは全然想像出来ないけど、かなり柔らかくて雨でも滑らないグリップ力も素晴らしい。
もう3年以上も乱暴に愛用しているが靴底の減りも少なく、まだまだピンピンしている。耐久性から言ってもかなりのコストパフォーマンスなのは間違いないよ。
ただひとつ残念なのはちょっとケチってゴアテックスじゃないノーマル・ヴァージョン(現在はたぶん廃版)にしたが、どしゃ降りの雨ではおそろしくびしょ濡れになってしまう。横がメッシュみたいな素材だから仕方ないけどね。参考記事
今はベイツのこのシリーズは大体ゴアテックスの内張りが付いてるから、もし次に買った時は雨の日のミッションでも大丈夫だね。

5.11 A.T.A.C.8” Shield CSA/ASTM Boot
お次はこれ、この「がっちりBUYましょう」のシリーズ記事でも何回も紹介したメーカー、5.11のタクティカル・ブーツだ。
5.11の製品はどこのミリタリー屋でも扱っているような商品ではないし馴染みない人も多いだろうが、アメリカのFBIや警察、パトロール関係で絶大な支持を受けているメーカーだ。
PMC(プライベート・ミリタリー・カンパニー)というのは民間軍事請負会社の事で平たく言えば傭兵派遣会社みたいなもんか。正規軍とは違った目的で行動するから特殊部隊と言えなくもないが、そういうのについてはROCKHURRAHのヘタな説明よりは自分で調べてもらった方が早かろう。いいかげん?
まあその辺の軍事エキスパートの人たちが装備するようなものを主に作っているのが5.11だったりブラックホークだったり、タクティカル系と呼ばれるメーカーなのだ。
前にも何回も書いたがROCKHURRAHは服装以外の軍事的なものにはあまり興味ない。しかしタクティカル系の装備について解説してるようなサイトはほとんどがマニア向けのものばかりで、ウチが書くような事とは随分温度差があるはず。
ROCKHURRAH RECORDSの主義というほどじゃないけど、パンクもミリタリーも単に雰囲気だけで済ませたくはないからある程度は深入りして、そこから自分なりに抽出したものを発信してゆきたいものだ。
あらら、ちょっと大層な事を言い過ぎたかな?

その5.11は軍事系の人が身につけるあらゆる装備を幅広く作っているメーカーなんだが、タクティカル・パンツと呼ばれる独自のカーゴ・パンツやブーツ、ソフトシェルの上着などがシロウトでも手を出しやすい分野かな。特にブーツはまだタクティカル系ブランドがあまりなかった頃から出してたから、かなりのロングセラーなのかも。
価格帯の面でもベイツと大体同じ「安いけど一応本格的」なクラスだから、この2つはある意味競合メーカーだと言える。
ベイツのブーツが軽量化と履き心地に重点を置いてるのが特色とすれば5.11のはそこまで特徴的なものはなく、総合的な完成度に重点を置いてるように感じる。全体的に丸っこいデザインが多いベイツよりは細身でスマートな印象を受ける。潜入捜査とかで使われるから街着とマッチした靴という印象にしたのかな?

5.11のブーツも試着出来て買える店は東京でも少ない。それでも他のタクティカル・ブーツよりは売ってるところも多いかな。
以前にSNAKEPIPEの誕生日にここのブーツをプレゼントしたんだが、そのお返しに同じくブーツをプレゼントしてくれたのが去年の事。同じ店で探した結果、ROCKHURRAHが選んだのが写真のCSM/ASTMブーツなのだ。カタログで見て何だかよくわからんがカッコ良く見えたので試着して、ちょうどいいのがあったから買ったわけだが、このブーツの名称CSM/ASTMというのが実はよくわからんまま購入したという始末。5.11の他のブーツのラインとは明らかに異質な気がするが。

後から調べてわかったんだが、これはアメリカ材料試験協会ASTMという安全規格に合格したものすごく安全な安全靴というようなものらしい。
軍モノにはミルスペックという規格があってその試験に合格したものしか納入出来ないが、5.11もViking Tactics(VTAC)という銃火器アクセサリーのメーカーと共同でフィールドテストした商品が出てたりする。まあプロ品質を売り物にしてるんだろうが、ミリタリーでもポリスでもなくて安全靴とは、我ながらちょっとウカツな買い物だったなあ。日本で言えば寅壱とかワークマンみたいなものか?

これは先に書いたベイツと違ってゴアテックスではないが防水透湿のライニング付きで耐油、抗血液由来病原体レイヤー搭載という凄まじいまでの安全性を発揮する、大げさな特徴を持った5.11の最高峰ブーツらしいよ。こりゃ確かに安全だわ。

ベイツのように履きやすくないしジッパーはややキツイし、重みもあるんだけど、確かに安定性は抜群でさすがにプロユースの逸品だと言える。 こちらはまだ1年ちょっとしか履いてないけど、耐久性についても全く問題ないと言える。ベイツのソールより硬いしね。

以上、今回は一般的なおしゃれな人は滅多に履かないと思えるタクティカル・ブーツについて語ってみた。何年か前にアウトドアなものとおしゃれなものが融合したような時もあったし、どこのブランドでもミリタリー ぽいものを出してた時もあった。ファッションの世界もネタ切れのような気がするから、まかり間違って空前のタクティカル・ブームになったりしたらどうしよう?

ビザール・ハット選手権!11回戦

【80年代には帽子をおシャレにかぶるアーティストがいっぱいいたね!】

SNAKEPIPE WROTE:

帽子をかぶる習慣はいつからだっただろう。
それがいつだったのかを忘れてしまうほど、SNAKEPIPEのファッションと帽子は切り離せないアイテムになっている。
あらゆるデザインや様々なカラーの帽子を求めて、いくつもの帽子屋を巡ったものだ。
そのため一時期は100個以上の帽子を所持し、毎日取っ替え引っ替え気分を変えて楽しんでいたものである。
SNAKEPIPEにとっては帽子が第一優先であり、まずは帽子が最初で次にそれに似合う洋服選びをしていたため、一般的な考え方とは違うのかもしれない。
あまりにも帽子が好きで、オリジナリティを求めるあまり、ついには帽子の学校に通って自分のための帽子を作るまでになってしまった!(笑)
この当時の目標は帽子デザイナー。
「なれたらいいな」程度の、夢見るだけの密かな願望ね。
実現させるためには生半可な覚悟では無理だし、技術的な問題も含めて当然ながら向き不向きもあるし、まずはなんといっても売れ筋が作れないとダメなわけで。
そんな現実的な話は全く無視して「デザイナー」などと夢見ていただけだから、かわいいもんだよね。(笑)
今ではもうそんな大それたことを考えることはなくなったけれど、帽子はやっぱり大好き!
外出の度に必ずコーディネートしているのも相変わらずである。

ROCKHURRAHもトレードマークは帽子とサングラスで、必ず帽子を取り入れたファッションにするほどの帽子好きである。
どんな帽子をかぶっているのかは「帽子男世界一決定戦」に書いてあるね。
帽子に対する熱い情熱話はここらへんにして。
今回はそんな大好きな帽子の特集をしてみたい。
ちょっとやそっとのデザインでは驚かない、SNAKEPIPEの腰を抜かす程の帽子はあるのかな?(笑)
ビザールな逸品を探してみたよ!

 大きな口を開けて笑っている初老の女性が大きな帽子をかぶっている。
かなりドレスアップしているようだけど…えっ!
帽子の上に鎮座ましますのは、まさかと思うけどフラミンゴ!
しかもまさしくピンク・フラミンゴ!(笑)
ここまでド派手な鳥を身に着けているのを見るのは、「東村山音頭」の「1丁目」を歌っている時の志村けんの白鳥以来かも?(古過ぎ!)
ところがなんとこの女性は、お笑いでやっているのではなく、ケンタッキーダービーに来ていたお客さんであることが判明。
ケンタッキーダービーとはアメリカクラシック三冠の第1冠として、ケンタッキー州ルイビルにあるチャーチルダウンズ競馬場で行われるレースであるとのこと。
アメリカの数あるレースとしても最高峰のイベントで、知名度も高く観客動員数もかなりのものらしい。
この大会では女性が着飾ってレースを鑑賞するのがならわしとなっているようで、このフラミンゴ以外にも奇抜な帽子を発見することができたんだよね。(笑)
お笑いなのかおシャレなのか不明に感じてしまうような境界ファッションを公式行事で容認する文化があるというのは、羨ましいね!

「あなたと私が夢の国〜
森の小さな教会で結婚式をあげました〜」
ん?チェリッシュの「てんとう虫のサンバ」じゃない?
どうしてこの歌が急に出てきたのかしら?
写真では小さくて判り辛いかもしれないけど、右の写真に「てんとう虫」がいるからなんだよね!(笑)
この女性も上のフラミンゴ・レディと同じくケンタッキーダービーの観客なのよ。
赤いドレスに合わせて、赤と黒の色使いのかぶりものをかぶっているんだけど、これってチューブだよね。(笑)
頭の部分にどうやって装着されているのかは不明なんだけど、良い家柄のレディ達が、こんなに奇天烈な帽子や「かぶりもの」を競うように身に付ける習慣があるなんて素晴らしいよね!
こういう帽子を依頼される帽子デザイナーは楽しいだろうなー!
「このドレスに合った、とにかく奇抜で誰も持ってないものをお願いね!」
なんて言われたら、ワクワクするだろうね。(笑)

続いては帽子デザイナーの登場ね!
上述した帽子を買い漁っていた頃に大好きだったイギリスの帽子デザイナー、スティーブン・ジョーンズが友人のためにデザインしたというのが左のモヒカンタイプの帽子。
正面に人形までくっついちゃって、インパクト大!
この帽子があったら、いつでもモヒカン女に早変わりできる逸品だね!(笑)
これ、欲しいなあ!
それにしても、このモヒカンも帽子と呼ぶのかしら?
調べてみると帽子の定義が「頭にかぶるもの」であるとのこと。
そうしたら例えばカチューシャや髪飾りなど頭に着けるものも広い意味では帽子の範疇になるのかな?
皇室の方などが使われるようなトーク帽やカクテルハットなども、帽子とヘアアクセサリーの中間みたいだしね。
今までよく考えないで使っていた言葉を深く考えるのも興味深いことだよね!

続いてもデザイナーの作品ね。
House of Architectsがデザインしたのが立体を組み合わせた帽子!
これも上のスティーブン・ジョーンズと同じで、ヘアアクセサリーといっても良い、乗っけるタイプね。 (笑)
高さもあるし、横にもはみ出しているので、外を歩く時には注意が必要だろうね!
何を素材としていて、重量がどれくらいなのかは調べてみたけれど出てこなかった。
そもそもこのデザイナーについての情報がないんだよね。残念!

最後はお笑い系で締めてみようか!(笑)
Costumes of Nashua で扱っているカニ帽子!
$6.99、日本円で約700円で販売されてる商品なんだけど、 SNAKEPIPEが注目したのはカニ帽子よりもマネキンの顔なんだよね。(笑)
ちょっとうつろで、やる気がなさそうな表情なのに、こんなカニ帽子をかぶっているアンバランスさに惹かれてしまう!
「なんでアタシがこんな格好して写真撮られなきゃいけないの」
なんて考えてるように想像しちゃうよ。(笑)
これはマサチューセッツ州にある、レンタルもやってるコスプレ屋さんで、他の商品の紹介の時にはちゃんとそれっぽく見えるモデルさんが着用してる写真が載ってるんだよね。
何故だかこのカニ帽子の時にはうつろなマネキン。(笑)
モデルさん達もかぶりたくなかったのかもしれないね?
それにしても、このカニ帽子、誰がどんな目的で使用するんだろうね?

ビザール・ハット特集は、帽子好きのSNAKEPIPEが「これは!」と思った逸品を選んで紹介してみたよ。
中にはハットのジャンルではないタイプもあったけど、まあいいか。
個性的で、かぶっていても人とかぶらない(プッ!)、あっと目を引くこと間違いなしの派手な帽子は他にもたくさんあったので、また機会があったら特集してみたいと思う。
もしかしたら検索しているSNAKEPIPEが一番楽しんでる企画なのかもしれないけど?(笑)

誰がCOVER・・やないねん2

【本文中に出てきたバンドをCOVER ART化してみたよ】

ROCKHURRAH WROTE:

いいかげん恥ずかしくなってきたこのタイトルだが、すでにシリーズ化してしまったから急にタイトルだけ変えるわけにもいかなくなってしまった。
現存するロック青少年のほとんどには意味不明だろうが、70年代にこのシリーズ・タイトル(誰がCOVERやねん)と似た名前のバンドがいて、このタイトル自身がパクリなわけなんだが、特に好きだったバンドのわけでもないし、まあどーでもいい話だな。

そういうわけで去年11月に書いたこの記事の第二弾を今回は書いてみよう。何と一年ぶり、間が開きすぎ。

カヴァー・ヴァージョンの一種ではあるけど、どちらのバンドにも著作権というか所有権がある曲を集めてみました、というパターンね。ネタ的には結構苦しいんだが、何とかまとめてみましょう。
ROCKHURRAH RECORDSのいつものお約束、70〜80年代の音楽限定でね。

Fehlfarben vs D.A.F.
1970年代のパンク誕生からニュー・ウェイブの時代、ドイツでも次々と新しい世代の音楽が生まれていた。
それらは英米の音楽からの影響も大きかったがドイツ独自のロック文化も取り入れたものが多く、だからというわけじゃないだろうがノイエ・ドイッチェ・ヴェレというドイツ語の一括りになって海外で紹介されていった。
わかりやすく言えばジャーマン・ニュー・ウェイブという事だが、ノイエ・ドイッチェ・ヴェレと言った方がしっくり来るのは確か。ヌーベルバーグとかと同じパターンで語感の問題ね。

ノイエ・ドイッチェ・ヴェレについて語るのが今回の目的ではないから、その辺の話はまた別の機会にしておこう。書き始めたらすごく長くなりそうだからね。

そういうドイツのニュー・ウェイブ・シーンで登場したバンドの中で早くから知られたのが通称ダフ(D.A.F)と呼ばれるDeutsch-Amerikanische Freundschaftだろう。
日本でも80年代はじめに数枚はレコードが出ていたはず。
このブログでも過去に何回かは書いた事があるかな?
初期はヒステリックなギターと重苦しいリズムによるインストの曲ばかりで聴く人をかなり限定するノイズ、アヴァンギャルドな要素満載の音楽だったが、2ndアルバムではちゃんと歌も入っていて、この時期は随分多くの人に理解されて、ドイツ出身ではかなり有名なバンドとなった。
その後は単調に反復するエレクトロニクスなビートと超大型マユ毛のいやらしい顔立ちの男、ガビ・デルガド=ロペスの執拗ないやらしいヴォーカル・スタイルを武器に知名度を上げていった。
まあマニアックな層には受け入れられるけど、一般的な音楽の世界では知らない人も多いでしょう、というくらいの知名度なんだけど。

そのDAFの代表曲とも言えるのがこの「Kebab Träume」だろう。
ああ、このタイトルならば語学力皆無のROCKHURRAHでも少しはわかるよ。
ケバブと言えば 中東圏の串焼きだな。今では日本でもメジャーな食べ物だと思うが、DAFが活躍してた頃はまだそんなにポピュラーではなかったかも知れない。トラウムはドイツ語で夢の事らしいが、いわゆるトラウマとは違うのか?
それで直訳すれば「ケバブの夢」というようなタイトルになるんだが、「少しはわかるよ」などと書いたけど、やっぱり何の歌だかさっぱりわからん。
歌詞をエキサイト翻訳したら最後に「私たちは明日のトルコ人です!」などと連呼してるようだが、ドイツ語わからんから余計に意味不明。一体何が言いたいのか?ガビ・デルガド=ロペス。
この曲はシングル・ヴァージョンの方が有名だが、こちらの「ドイッチェランド、ドイッチェランド」と合唱が入る方のヴァージョンが個人的に気分が高揚して好き。

ガビ・デルガドはDAFをやる前にMittagspauseというバンドに在籍していたが、そこでやっていたメンバーが中心になって結成したのがフェールファーベンだ。
1979年から現在でまでやってるというからかなりの長寿バンド。
前にROCKHURRAHが書いた記事「映画の殿 創刊号」でも少し取り上げたな。
日本では知名度はほとんどないが、ドイツでは国民的ロック・バンドだと思われる。
最初は結構ダークなパンクだったが途中でファンカ・ラティーナみたいになったり、ニュー・ウェイブのバンドとして進化していったらしい。
ROCKHURRAHはこのバンドのごく初期の頃しか知らないから、あまり詳しくは書けないのだ。
聴いてた頃はややファンキーな曲調とサックスとか絡む演奏でドイツ版のマガジン(元バズコックスのハワード・ディヴォートがやってたバンド)というような印象だったが。

ここでやっとDAFとフェールファーベンが繋がったわけだが、一応同じバンドの出身で共有してるのがこの曲「Militürk」だ。
タイトル後ろの方のtürkはトルコの事だからやっぱり「私たちは明日のトルコ人です!」という内容の歌なのか?
聴けばわかる通り、DAFの「Kebab Träume」と同じ曲なんだよね。
こちらの方はピーター・ヘインという一見マジメそうだが実はべらんめえ口調の豪快な巻き舌ヴォーカルが心地良いヴァージョン。

Bruce Wooley And The Camera Club vs The Buggles
80年代を生きてて洋楽好きでこの曲を知らない人は珍しいでしょうというくらいの超有名曲「ラジオスターの悲劇」、これも元ネタが一緒で別れた2人により個別に別ヴァージョンがリリースされたという例。

もちろん有名なのはニュー・ウェイブ界随一の超大型メガネ男、トレヴァー・ホーンによるバグルスのヴァージョン。
特に音楽好きじゃなくても聴いた事ある人は多いはず。

この曲はMTVの一番最初に流れた曲としても知られているな。
前にも書いたが70年代はビデオというものがなかった為、TVの音楽番組にでも出ない限り動いているミュージシャンを見れなかった時代。
それが80年代になってMTVとかの普及でその場にいないミュージシャンの動いている姿も全国で見れるようになって、プロモーション・ビデオがものすごく発達した、いわばその象徴がバグルスのこの曲というわけ。
ってほど大げさではないけど、レコード製作よりも遥かに金をかけて大掛かりなPVをしきりに作っていた時代だったよね。
しかしそういうビッグ・ビジネスと歌っている内容はおそらく裏腹で、テクノロジーの進歩で失われてゆく昔ながらの稼業の悲哀、といった感じなのだろうか。
かつてはみんなが集っていたレコード屋、CD屋も廃れゆくようなイヤな時代になってるな。
科学が発達するならもっと違うところで能力使えよ、と言いたくなる。

そのバグルスと共にこの名曲を作り上げた片割れがブルース・ウーリーだった。
キャッチフレーズは「三人目のバグルス」。
元々は3人で一緒にやってたんだが、バグルスの2人と別行動になってしまい(この辺の経緯は熱烈なファンじゃないから知らないが)自身のバンド、カメラ・クラブを立ち上げてみたものの、バグルス、イエス、アート・オブ・ノイズとヒット連発のトレヴァー・ホーンに比べると悲しいくらいに地味な存在だったな。
「ラジオスターの悲劇」はヴァージョンとしてはこっちの方が先だったような記憶があるが、世間ではすっかりバグルス版の方が定着してしまったからね。メガネのデカさでは互角と思えるが。

どちらのヴァージョンもそこまでニュー・ウェイブという感じはしないけど、バグルスの方がエフェクト使ったりでやや派手な印象。もしかしてじゃんけんで言うところの「あと出し」効果か?

ちなみにこのカメラ・クラブにはまだ駆け出しだった頃のトーマス・ドルビーも在籍していたな。
そのちょっと前のガールズ・アット・アワ・ベストというバンドにもいたし、彼が有名になる直前にはこういう地道な活動していたんだね。

The Teardrop Explodes vs Echo And The Bunnymen
1980年代はリヴァプール出身のバンド達が大躍進した時代で、デッド・オア・アライブやフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドなど誰でも知ってるメジャーなバンドを数多く輩出した土地だった。
リヴァプール勢が躍進するルーツになったのが70年代のデフ・スクールやビッグ・イン・ジャパンだったが、その辺についてもこの記事 やあの記事などで紹介したな。
この2つのバンドから多くの新たなバンドやプロデューサー、レーベルなどが生まれ、リヴァプールの音楽の中心になってゆくんだが、ちょうどその頃にデビューしたのがリヴァプール御三家と勝手にROCKHURRAHが吹聴している3つのバンドだ。

イアン・マカラック、ジュリアン・コープ、ピート・ワイリーの3人が元々同じバンドの出身で音楽活動を始めたのは上にリンク貼った「あの記事」で明らかな通り。
3人は分裂してそれぞれのバンドを始めるが、日本で知名度が高かったのは世界最大級のタラコくちびる男、イアン・マカラック率いるエコー&ザ・バニーメンだけだった。
ちょうどネオ・サイケと呼ばれる音楽がニュー・ウェイブの世界で脚光を浴びていた時期とバニーズ(当時はエコバニもしくはバニーズと略していた)が目指した音楽がドンピシャに合致していたため、彼らはまたたく間に人気バンドとなった。
このバンド名の由来はほとんど覚えてないんだが、使っていたドラムマシーンの名前がエコーというところからふざけてバンマスにした、という想像でよろしいか?ジャッキー吉川みたいなもんか?
彼らは1stアルバムの頃はすでにドラマーがいてエコーはバンマスの座を退いていたはずだが、その前のシングル曲では確かに活躍していた事が伺える。

デビュー・シングルの曲はアルバムとは全然違うヴァージョンでこのエコーの単調なビートにイアンの鼻にかかった歌声が展開するというシンプルながらも衝撃的だった名曲。
好き嫌いは抜きにして、この声を聴けばすぐにイアン・マカラックだとわかる、その個性が彼らの最大の武器だったなあ。

そのエコー&ザ・バニーメンがデビューする直前には御三家のもう一人、ジュリアン・コープとシャロウ・マッドネスなるバンドをやっていたんだが、この時に共作したのが上の曲「Read It In Books」だ。
結局、シャロウ・マッドネスは世に出る事はなかったバンドで、地元で同時代に関わりがあった人しかその存在を知らないという点で伝説のバンドみたいなものだが、2人が本当に一緒にやっていたという証がこの曲だと言える。

このバンドのドラムだった人のテープレコーダーに残っていたという伝説のデモ・ヴァージョンが流出していたので載っけてみたよ。
ヴォーカルはイアン・マカラックでやっぱりバニーズ版の方に近い出来なのがわかる。後にワイルド・スワンズをちょこっとだけヒットさせるポール・シンプソンもこのバンド出身らしい。ティアドロップ・エクスプローズにも少し在籍していたな。彼のオルガンのおかげでティアドロップ・エクスプローズの要素も充分に感じる事が出来る。
ジュリアン・コープは単なるベーシストに徹していて「らしく」はないけど、世に出なかったバンドのデモテープとしてはかなりドラマティックな部類で、マニアックなファンならば「さすが」と感心するに違いない。

ジュリアン・コープがバニーズと同じ頃に始めた自身のバンドがティアドロップ・エクスプローズだが、これも同時期のネオ・サイケに属する中では重要なバンドだと言える。
日本ではほとんど紹介されなかったのでそんなに有名にはならなかったけど、本国ではバニーズにもひけを取らないスター性のあるバンドだった。
バニーズがギター中心のシンプルな楽曲なのに対して、このバンドではオルガンやシンセサイザー、トランペットなども入り、より複雑な構成が特色となっている。
この時代にはまだイギリスのアーティストがあまりやってなかった中東風のエキゾチックなネオ・サイケにもアプローチしていたかと思うと、ものすごくポップな普通のヒット曲もやるという具合に正体がつかみにくい奥深さを持っていたな。
正体がつかめないという点で、ジュリアン・コープ自身の自由奔放なわけのわからなさも相当なもんだった。
バニーズの個性とはまた別の方向性を持った不思議な魅力に溢れていて、好き嫌いがかなり分かれてしまうジュリアン・コープのこもった歌い方も気に入っていた。

彼らもタイトルを「Books」とだけ縮めて同じ曲を録音している。
キーボードとベースラインのあたりが上に書いたシャロウ・マッドネスと同じようにドラマティックで壮大、曲としての完成度はこちらの方が高いと個人的には思うが、みなさんの感想はどうだろうか?

このティアドロップ・エクスプローズ版をプロデュースしたのが同郷リヴァプールのデフ・スクール出身の著名プロデューサー、クライブ・ランガー。 バニーズの方は確か初期は同じくリヴァプールのビッグ・イン・ジャパン出身のイアン・ブロウディ(キングバード)がプロデュースだったので、こちらのプロデューサー同士の同郷対決(?)も興味深い。
二人とも80年代ニュー・ウェイブ界屈指のヒットメーカーだからね。

今回は同じ楽曲を別れてしまった2人が別のバンドでそれぞれ録音というパターンだったが、偶然にも眉毛、メガネ、唇という部分で世界最大級を誇る人物が関わっていたな。いや、単なる偶然でオチは何もないんだけど。まあこんな感じで、これからも80年代をいつまでも引きずったままやってゆくのでよろしく。