ベストオブ2014

【SNAKEPIPE撮影のホドロフスキー監督講演会の様子】

SNAKEPIPE WROTE:

早いもので今年もこれが最後のブログ。
今日は毎年恒例の(?)1年の締め括り企画、ベストオブ2014にしよう!
毎年特別なことがあるわけではないけれど、今年1年を振り返り、来年の抱負を語りたいよね。(うそ)

昨年の2013年からすっかりスペインに魅了されているROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
最初はアルモドバル監督の映画鑑賞から始まり、今ではかなりの本数のスペイン映画を観ている。
新作のチェックもしてるしね。(笑)
スペインに対する情熱は映画だけにとどまらず、今年はスペイン料理にまで拡大!
食べに行くだけではなく、自分で作るようになっているのである。
そこまでバリエーションがあるわけではないけれど、パエジャやアヒージョは何度もトライし、満足のいく出来映えになっている。
ワインもなるべくスペインの物、おつまみもハモンセラーノを探したり。(笑)
まだまだスペイン熱は続きそうだ。

今年の旅行は日光だったね。
関東地方で育ったSNAKEPIPEは、どうやら小学生の時に遠足で行ったようだけど、全く記憶にない。
お土産として、猿の置物を買ったことをかろうじて覚えているくらいだ。
映画でも本でも、数年を経てから観直したり、読み返したりすると印象が変わっていることが多いけれど、日光に関しては以前の記憶が欠落しているため初めて行った場所と言って良いだろう。

霧がかかった幻想的な華厳の滝については、旅行記を書いたブログに詳細を載せているのでご参照下さいませ!(笑)
左の画像は華厳の滝右手にある、見事な岸壁が霞んでいるところ。
晴れた日にくっきり見えるのも絶景だけど、この風景も風情があるよね!
きちんと認識ができる今の年齢になって、滝の圧倒的な存在感や素晴らしさに気付かされた。
えっ、やっとこの年で認識できるとは遅い?
ほとんど旅行らしき経験をしていないから、仕方ないかもしれないね。
これからも色んな場所に出かけてディスカバリージャパンしてみたいね!

昨年熱中して観ていたのはアルモドバル監督の作品で、当ブログでも驚きの4回連続特集記事を書いたことは記憶に新しいよね。
今年、2014年も実は似たような驚きの連続特集をしている。
それはアメリカが誇る人気コメディアンであり、俳優のウィル・フェレル!
最初に観たのが「俺たちサボテン・アミーゴ」。
ボッサリした木偶の坊のような冴えない俳優と思っていたSNAKEPIPEは大間違いだったね。
次に観た「俺たちフィギュアスケーター」で一気に株が上がり、それからはウィル・フェレルが出演している映画をかたっぱしから鑑賞したのである。
そしてウィル・フェレルを最初に観た「俺たちサボテン・アミーゴ」まで再鑑賞。
どれだけ好きになったんだ?(笑)

ウィル・フェレルがラス・メイヤーの自伝映画に監督役で出演するかもとの情報をキャッチ。
ラス・メイヤーといえば、巨乳女優が大好きなポルノ監督だよね。(笑)
SNAKEPIPEも「ウルトラ・ヴィクセン」は映画館で観たなあ。
ウィル・フェレルがラス・メイヤーとはピッタリだよね!
今からとても楽しみだ。

2つをハシゴしたのが、リンチの展覧会だったっけ。
渋谷と六本木をハシゴすることになるとは!
どちらの展覧会でもリトグラフの作品が展示されていて、力強い黒々とした太い線に魅了された。
独特の雰囲気があるんだよね!
最近は撮影オッケーな展覧会もあり、六本木のイメージメーカー展では撮影しまくり。
ただしどうしても縦横比が狂った写真になってしまうのは仕方ないだろうね。
それでもリンチの作品と記念撮影できるのはファンにはたまらない。

更にファンが待ち望んでいたニュースが飛び込んできた。
なんと25年後の世界として、「ツイン・ピークス」の続編が製作されるらしい!
今まで何度観たか覚えていないくらい鑑賞したパイロット版のラストが事件の25年後だったのを思い出す。
幾何学模様の床、赤いカーテンの部屋にデイル・クーパーとローラ、そしてダンスする小人。
ローラがクーパーに耳うちし、小人は踊り続けているあのシュールなシーンである。
公開は2016年とのこと。
公開前には観直しが必要だね!
嬉しいサプライズに踊りだしたくなる気分だ!

2014年の大事件といえば、やっぱり23年ぶりの新作と共に来日したホドロフスキー監督だね!
来日に合わせて映画を初公開、更に監督の講演会があることを知ったのは、チケットが完売した後だった。
ショックを受けたけれど、情報通である長年来の友人Mが当日券があることを調べてくれる。
そしてチケットまで取ってくれるとは!
本当に友人Mには感謝だね!

まさか目の前にいるホドロフスキー監督を自分のカメラに収めることができるとは思わなかったよね!
この時のことを書いたブログでは撮影した写真だけを載せたけれど、実は約20分くらい動画も撮影していたSNAKEPIPE。
ほんの一部だけど、ベストオブ2014では載せてみよう!
トップにあるのがその動画なんだけど、ROCKHURRAHが1分程度に編集してくれた。
とても85歳とは思えない元気ハツラツのホドロフスキー監督を見ることができるよ!
ホドロフスキー監督の次回作はすでに進行しているようなので、今から本当に待ち遠しい!

大ファンの作家、鳥飼否宇先生の新作「迷走女刑事」を年内に読むことができたことも書いておきたいね。
更に来年早々には、またもや鳥飼先生の新作が読めるなんて、本当にHAPPYだよね!
2015年も映画にアートに忙しくなりそうなROCKHURRAH RECORDSである。

今年も残すところあとわずか。
年末年始は例年より寒くなると言われているので、皆様も体調管理にお気をつけ下さいませ!
それでは良いお年を!

がっちりBUYましょう!vol.11 SUBDUED編

【地味で目立たないサブデュードな部隊章たち。派手好きは一流兵士になれないのか】

ROCKHURRAH WROTE:

何とこのシリーズ記事も本当に一年ぶりとなるので、書く前から自分で呆れ返っている。
これはウチが買ったさまざまなアイテム(主に着用するものが多いな)について割といいかげんな紹介をするというシリーズなんだが、わざわざ書けるようなシロモノをあまり買わないので、そこまでの頻度で書けないのが弱点。にしても一年も放ったらかしにしておくとは。
質素倹約で何も買わないわけでもなく、むしろ一般的には無駄なんじゃないか?と思えるようなアイテムを奇妙なこだわりで増やし続けてるというのに、人様に紹介出来るようなのは本当に少ないなあ。

そんな中、少しでも何か書けそうなものをピックアップしてみたよ。
今回もまたまたタクティカル系になってしまった。
知らない人は一生知らずに済むジャンルだが、ミリタリー系の中でも近代的なもの、特殊部隊や傭兵が着てるようなものをこの手の世界ではタクティカル・ウェアという呼び方をする。

世界的に有名なウッドランド迷彩から発展して現代では一般的な人が知らない迷彩がウヨウヨ蔓延しているという時代。ROCKHURRAHは近年の主流だったマルチカムはいくつか着用したりするが、それより後の時代のはほとんど着ない。というより似合わない。例外的にイギリス軍のDPM迷彩は割と似合うと自分では思っているが、基本的には迷彩服はあまり着ないことにしている。
だからその手のタクティカル・ウェアーを買う時も街着で違和感ない無地のオリーブドラブや黒のものを選んでしまう。

今回はたまたまファントム秋葉原ラジ館店で買ったものを紹介してみよう。ファントムと言えば東京のミリタリーショップでも大手、昔から渋谷にもあったし横田基地のすぐ近くにもある。東久留米とかになるとウチからかなり遠いので(横田も遠いが)なかなか足を運ぶ事ができないけど、それがROCKHURRAH家の最寄り駅から電車で一本で行ける秋葉原に2店舗もあるから「今度行ってみよう」と夏くらいから話していた。しかし秋葉原に行くような機会がそれからなくて、やっと今頃行って来ましたよ、しかもまんまと物欲に負けて買ってしまったよ、というのが今回の品物。

季節柄、二人ともクリスマス・プレゼントを考えていて、SNAKEPIPEにあげるものは実は事前にあっさり良いものが見つかっていたのだ。
しかしROCKHURRAHの方が案外難しく、直前に考えていたものが全然雰囲気に合ってなかったのでキャンセルして、何か他にないか考えていた。
探していてたまたま見つけたのがこれからの季節に重宝しそうな防寒ジャケットだった。
それがファントムのサイトで大々的にプッシュしているサブデュードというメーカーのもの。うーん、今まで全然聞いたことないメーカーだけど、商品紹介のページを見ていると、なかなか良さげに見える。
ファントムだったら近くにあるから見に行って試着してみよう、という事でやっと秋葉原に出かけたわけだ。

サブデュードはまだ新しいブランドで作ってるアイテムも少ない。
大まかに書くとゴアテックスっぽいハードシェル防水ジャケットとソフトシェル、中綿入りのジャケットの三種類がメインだ。
ROCKHURRAHがいいと思ったのはプリマロフトと呼ばれる中綿が入ったダウンジャケットっぽいもの。
英国軍御用達のSNUGPAK(スナグパック)というメーカーの薄手の中綿ジャケットはかなり前から愛用していて、防寒性抜群なのは実証済みだった。このメーカーのはソフティという中綿だったが、プリマロフトは米軍の要請で開発された人口羽毛でダウンの8倍も暖かいとのこと。本当かよ。
ソフティはかなりマイナーだがプリマロフトの方はワイルドシングスやヒステリック・グラマーが好んで採用しているな。
軍用や宇宙開発とこういった新素材の発明は密接な関係にあって、世界のあったか衣料や防水衣料が進化したのもそういう開発のフィードバックなんだろうね。何はともあれ、昔よりは格段に選択肢が多いのは歓迎するよ。

さて、ファントム内部の事とか途中を全部省略してしまったが、試着してみて気に入ったのがこの写真のもの。AMBUSH(待ちぶせ)などという名前がついたジャケットで石川ひとみの顔が脳裏を横切る。
持ってるSNUGPAKのパーカと似たような感じだが、こちらの方が分厚くて丈も長い。ダウンでパンパンに膨れ上がったのは嫌いだから、割とスマートなシルエットなのが気に入ったよ。同じSNUGPAKの最強防寒ジャケット、サスカッチはマイナス10℃までの寒さに耐えられるというけど、昔試着した時は一番小さいサイズでもブカブカでかなりデブに見えてしまったからな。このサブデュードのものはどれくらいの寒さに耐えられるか不明だったが、この肉厚さなのに比較的細身という作りは本格的ミリタリー・ウェアにはない魅力だから、すぐに購入(というかプレゼントで買ってもらったわけだが)を決めたよ。

ポケットも豊富で両方の胸に縦のジッパー・ポケット、ハンドウォーマーと合わせて外側に4つ、内ポケットも両サイドに大きめのがついてて、脇の内側にはカイロポケットまである。この辺は日本のメーカーっぽいな。
残念なのはハンドウォーマー用のポケットが予想より小さくて深さもあまりない事。さらにジッパーが女性用のジャケットに多いまっすぐ縦向きについてる事。
タクティカルやアウトドア系ではここのポケットは斜め向きのものが多いと勝手に思っている。縦一直線ではジッパーを閉めない時は中のものが落ちてしまう場合があるんだよね。
深みのあるスナグパックのものを参考にして欲しかったよ。ジッパー自体ももうちょっと強力そうな方が良かったかな、ちょっとレディースっぽいな。

買ってすでに何度もかなり寒い日に着たが、防寒性防風性は申し分なし、前のジッパーも首の上の方まで閉まって良いね。表面もダウンでよくあるペラペラの光沢ナイロンではなく、ちゃんとリップストップ・ナイロンになっていて、この辺がただのダウンと違うところ。撥水性も多少はありそうだし、質感もいいよ。
街着のダウンともう一つ違うところは、タクティカル系ジャケットではおなじみの腕から脇にかけてジッパーが付いていて、これを開けるとベンチレーションが出来るという点か。防寒ジャケットは室内に入るととたんに汗だくになる欠点があるけど、そういう時の換気が出来るという機能ね。ただし閉め忘れて全開のまま電車の吊革につかまると内側が丸見えでちょっと変態っぽくなってしまうから注意。 裸にAMBUSHジャケットはやめよう(当たり前)。

今年の冬は寒い日が多いけど、これを着てる時の安心感は素晴らしい。
本来は毎日同じ上着を着ない事で一部有名なROCKHURRAHなんだが、寒さに耐えられず続けて同じジャケットを着てしまうくらい気に入ったよ。暖かくていい感じのジャケットをプレゼントしてくれてありがとう、SNAKEPIPE。

余談というか何と言うか、ここで話が終わらないのがROCKHURRAHのいつものパターン。
サブデュードのウェブサイトを見ていた時に発見したんだが、このメーカーはタクティカル系では珍しく、レディースのソフトシェル・ジャケットも販売している。
例えばアメリカだったら女性兵士も女性FBI捜査官もいるし、需要があるからその手のメーカーも女性用を作っているのは確か。タクティカルの大手5.11でも必ず女性用はカタログに載っている。しかし日本ではそういう需要もない=売ってないという事で華奢なSNAKEPIPEはいくら自分の好みがあっても男物のブカブカな服しか手に入らなかったのが現状。本格的な服でレディース出してるだけでも拍手ものだよ。これは試着してみるしかない。
そしてSNAKEPIPEが試着してみたところ、確かにソフトシェルとしてはかなり細身、それでもちょっと着丈は長いが、メンズを着るよりはずっと良いと思える。

実はアークテリクスの細身ソフトシェルを持ってて、その防風性、実用性は良く知ってた。が、やっぱり本当にタクティカル・ジャケットのディティールで作られたものじゃなかったから、これを見て一目惚れする気持ちはよーくわかるよ。遂に誘惑に負けてしまって、プレゼント用と自分用のまでお買い上げとなったわけだ。

Bellatrix(女戦士)というそのまんまな名前がついたジャケット、これは細身の男性用ではなくて、本当にレディース仕様のソフトシェルだ。ROCKHURRAHが買った中綿タイプではなく伸縮性がある生地で裏側が薄いフリースというもの。防寒性はそこまで高くないが暖かいものと重ね着することにより威力を発揮する。夏以外の3シーズンは着用出来るという高機能上着なので真冬しか着れないROCKHURRAHのよりは汎用性が高い。いいなあ。

アウトドア系のソフトシェルではおなじみの胸の縦ポケットはついてないが、その代わり大きく斜めに切れ込んだメインのポケットが結構な容量があり、さらに内部もコンパートメントがある。いいなあ。
TAD GEAR(この手のソフトシェルの元祖的存在)やコンドルなどの典型的ソフトシェル・パーカーと同じように左袖に小さなポケットもある。ROCKHURRAHにとってはほとんど実用性はなかったが、こういう意味のない小さなポケットが「かわいい」とのこと。リップクリームなどを入れるのにちょうど良いらしい。おお、実用性あるではないか。いいなあ。

そしてやっぱりお約束、腰の後ろ側両サイドにジッパーがついてて、これと両サイドのメインポケットを開けるとベンチレーション機能もバッチリ・・・とカタログには書いてあったが、これは本当に開くと内側丸見えで、女性で開く人は滅多にいないでしょう、の世界。
上記のTAD GEARタイプの(全く同じデザインのものが多数出回っている)ものはこの部分がちゃんと手袋などを入れるポケットになっていて、意外と役に立ってたのに、この辺はメッシュ張るとかもうちょっと考えて欲しかったね。
内側にはポケット類もなく「女性はポケットにじゃらじゃらものを入れない」ってことはわかってても、あるとないとではやっぱり大違いなんだよな。使うとか使わないではなくてね。

欠点はあってもSNAKEPIPEもとても気に入ったようで良かった。
ROCKHURRAH家は二人の趣味がほぼ一緒ということもあって服装もいつも似通っている。実は意外とお揃いの服が多く、ペアルック率も高いのだ。今回も一緒に着れて良かったね。

関係ないけど、買ってはじめてわかったこと。
SUBDUEDタグの裏側にKIWAの文字があり、どこかで見たことがあったと思ったら際コーポレーション、つまりはファントムの親会社でないの。ここが新しく作ったブランドだったわけね。ファントムで一押しするわけだ。

ただ褒めるだけなら誰でもできるから敢えて厳しい点も書いたが、開発者が謎の元米兵とかじゃなくて、日本人ならどこかでこの記事が目に入る事もなくはないだろう。
これを踏まえて改良して来年にはもっとより良い本格派タクティカル・ウェアを開発して欲しい・・・というのは建前で、本心は改良されてるのがすぐ出回ったら自分たちがかわいそうだもんな。何年かして新しいのを買いたくなった頃にはより良い品が手に入ればいいな。

ではみなさんも楽しいクリスマスになりますように。

好き好きアーツ!#27 鳥飼否宇 part6–迷走女刑事–

【「迷走女刑事」の中で店名として登場したソフト・マシーン】

SNAKEPIPE WROTE:

大ファンの作家、鳥飼否宇先生の新作が発売される情報をもたらしてくれたのはROCKHURRAHだった。
Kindleのような電子書籍を読むための端末が人気のご時世だからなのか、鳥飼先生の新作はハードカバーではなく新刊として文庫本で登場!
実際SNAKEPIPEも通勤電車で読むのはスマートフォンに落とした電子書籍だもんね。
でもこれって、新作じゃなくて前に発表した作品の文庫化じゃないの?
だってタイトル同じじゃない?
おや?よく読んでみると「迷走女刑事」!
2012年に発表されたのは「妄想女刑事」!
鳥飼先生のファンと言っておきながら、読み違えるとはファン失格‥‥‥。
いやいや、しょんぼりする必要なし!
鳥飼先生の新作が読めるんだもんね!(笑)

近所には本屋が何軒もあるので、発売日当日に出向けば問題なく手に入ることは分かっていたけれど、発売の情報を知ったその時にネットで予約注文した。
確実に入手できることがはっきりしないと安心できないんだよね。(笑)
あとは到着を待つのみ!楽しみだ。
お待ちかねの発売日当日。
郵便ポストにメール便が到着!
やったー!
慌ててページをめくるSNAKEPIPE。
早速読み始めたのである。

前作では妄想し、本作では恐らく(?)迷走するであろう主人公の宮藤希美と、前作でコンビを組んでいた荻野正則が居酒屋で飲んでいるシーンから小説が始まる。
キュートなルックスに似合わず酒豪の宮藤に付き合うように、下戸の荻野が烏龍茶を飲んでいる。
どうやら本作では、宮藤と荻野がペアで捜査しているのではなく、それぞれが新しい相棒を得ているという。
ここで新しい登場人物の紹介だね。
宮藤の相棒は甲賀忍者の末裔で、武芸十八般に通じているという望月暁子。
武芸十八般とは弓・馬・槍・剣・水泳・抜刀・短刀・十手・銑鋧(しゅりけん)・含針・薙刀・砲・捕手・柔・棒・鎖鎌・錑(もじり)・隠(しのび)のことらしい。

そして暁子が得意としているのが手裏剣、鎖鎌、十手とのこと!
2012年に行った明治大学の博物館で実物を観たっけ。(笑)
常にこれらの武器を携帯してるんだろうか?(笑)
宮藤と同い年だけれど、ノンキャリアのため刑事歴は宮藤より長い。
「踊る大捜査線」でもよく出てきた構図だね。
そんな叩き上げで、ルックスも男まさりの力強い女だからこそ宮藤に反感を抱いてしまうのも仕方ないのかもしれない。
本作でSNAKEPIPEが1番注目したのは彼女!
友達になりたい、というよりは見ていたいんだよね。
ネタが豊富そうで。(笑)

そして荻野の相棒になったのは、宮藤の場合と同じように荻野とは正反対の特徴を持つ三谷浩二朗。
女性に人気がありそうなルックスの新人だというから荻野は完全な引き立て役になっちゃうね。
でも実は三谷は‥‥文章にするのは差し控えておきましょ。(笑)
本作は2組のペアが難事件に挑むお話なのである。

事件ファイル1 三人の数学教師の問題

大学の数学教師の死体が河川敷で発見されるところから話が始まる。
調査をする宮藤と荻野。
テンポの良い二人の掛け合いは相変わらず面白いね!
趣味全開の荻野の発言は刑事らしくないし。(笑)

SNAKEPIPEが大注目だったのはやっぱり望月暁子だね。
灯火目付という視力の鍛錬法により、視力が3.0あるという。
いつの間にか視力が0.02くらいになっているSNAKEPIPEには信じられないよ!
灯火目付、本当に効果あるんだろうか?
今からでもやってみようか!もう遅い?(笑)

数学教師の事件なだけあって「フェルマーの最終定理」についての説明がされていたね。
「ドラゴン・タトゥーの女」で主人公リスベットが夢中になっていた問題だったことを思い出したよ。
実は最近になって理数系の面白さに気付いたSNAKEPIPE。
学生の頃から好きだったら良かったのに!
きっと「ブレイキング・バッド」を見てから、化学に興味を持つ人もいるだろうね?
えっ、動機が不純?(笑)

宮藤は自慢の妄想がなかなか発揮できない様子。
まだ本人は何が理由だったのか気付いていないんだね。(笑)
ところがヒョンなところで、またもやロッターズクラブのバーテン・御園生独、登場!
宮藤にヒントを与えてくれるのである。

めでたく事件は解決。
まさかそんなことだったとは!
「んなバカな!」と叫んでしまったSNAKEPIPE。
こんな事件は前代未聞だよ。(笑)

事件ファイル2 三枚の天狗の面の問題

代議士の子供が誘拐される事件が発生する。
ところが宮藤希美は相棒である望月暁子と共に、誘拐事件とは別の骨董品を扱う「夢幻堂」の壺盗難事件の捜索に駆り出されたのである。

この「夢幻堂」のオヤジが良い味出してるんだよね!(笑)
宮藤希美をクドミ、望月暁子をモチコと勝手に名付けてしまう。
実際に関わると面倒なタイプだろうけれど、本当は誰かに構って欲しくてたまらない孤独な老人なんだろうと推測できるよね。
この古物商で望月暁子が棒状の手裏剣に見惚れるシーンが良かったね。
あまり手裏剣に詳しくないSNAKEPIPEなので調べてみると、武術の世界での手裏剣とは棒状のタイプが一般的らしい。
忍術について勉強になるなあ。(笑)

この事件の中で最も興味を感じたのは、話の中に登場する油絵!
青系の暗い絵の具が塗り重ねられ、まるで子供の落書きのような人物や動物が描かれている絵とは?
人物が死にかけのアザラシやトドとかセイウチに見えてしまう具象画ってどんなだろう?
SNAKEPIPEが思い浮かべたのはリンチの油絵だね。
最近のリンチはリトグラフで作品を制作することが多いみたいだけど、80年代後半から90年代に描いていたのが、まさに大人の落書きのような油絵!
参考にした画像は1996年の「Dr. Howl’s Philosophy」という作品ね。
こんな雰囲気の絵だったら、観てみたいな!

事件に関しては読んでいる途中で、
「もしかしたら?」
と真相を予想したSNAKEPIPE。
そして結論は当たっていたんだけど、理由までは推理できなかった。
そして更にまさかそんなことだったとは!(笑)

事件ファイル3 三体の不明死体の問題

続いはゴミ屋敷で発見された男性の全裸死体にまつわる事件である。
確かにゴミ屋敷というのは、どこに何があるか判別できないだろうから、死体の隠し場所としては最適かも!(笑)
捜索にはものすごく時間がかかるだろうからね。
この小説の中でも、捜索は難航していて、何が物証なのかを判断するのにも苦労している様子。
こんな舞台を事件現場に設定されるとは、さすがは鳥飼先生!
何が出るかな?何が出るかな?(ごきげんようのサイコロ風)

3つ目の事件の頃には、宮藤と望月はそれなりに意気投合しているようで安心した。
お互いの役割を認識したということかもしれないけれど、1番近くで長い時間を過ごす同僚とは気持ち良く付き合えるほうが良いからね!

この事件で望月暁子が使用したのが、直径4センチほどの中央の輪に長さ35センチほどの3本の分銅鎖が付いた微塵と呼ばれる武器である。
扱い方次第では敵の骨を木っ端微塵に打ち砕く威力をも発揮することから「微塵」と名付けられたというから恐ろしいよね!
そして金剛力士像のように憤怒の表情を浮かべている記述もあったので、本当に敵に回すとロクなことがない女性なので、宮藤希美は仲良くなれて良かったよね。(笑)

事件には驚くべき真相が隠されていて、SNAKEPIPEは横溝正史を思い出したよ!

事件ファイル総括 三件の重大事件の問題

タイトル通り3つの事件の締め括りである。
もうそれぞれの事件は解決してるじゃない?
そう、もう事件は解決してるんだけどね。
宮藤希美の元にまたもやバーテン・御園生独が登場する。
そして宮藤希美は「世界の真理」を知るのである。

最後の最後まで「やられた〜!」って感じだったね。
大満足のSNAKEPIPEである。(笑)

ミステリー小説でキモになる部分は書きたくないので、核心に触れないような感想しか書けないのがもどかしいね。
鳥飼先生の魅力を充分お伝えできていない気がして残念だけど、非常に楽しい読書時間を過ごせて嬉しかったな!
そして来年、2015年1月10日にはまたまた鳥飼先生の新作が発売だよ!
死と砂時計」なんて、タイトルだけでもワクワクしちゃうよね。
早速予約しないと!(笑)

時に忘れられた人々【19】70’s & 80’s愛護週間編1

【おっちゃん、おばちゃんになってしまったデフ・スクールの週末感あふれる名曲】

ROCKHURRAH WROTE:

このシリーズ記事も遂に20回目前まで書いたな。
実際は同じテーマの記事をパート1、パート2みたいに書いてるから20以上は書いてるんだけど、ブログを始めて8年間もよく頑張ったよ。

何の制約もなしに書きたい事を日記のように書く、というスタイルではなくて毎週必ず日曜日に何かのテーマに沿った内容の記事を書く、というのがウチのやり方なので、割と考えたり下調べが必要になってくるからね。毎回、けっこう手間はかかってると思う。
ROCKHURRAHはあまり書いてないけど、自分が書く時以外の週は全てSNAKEPIPEが一人で書いてくれてる。本当に感謝してるよ。

さて、今回思いついたのが一週間の曜日がタイトルについた歌特集というもの。言うまでもなく2014年にROCKHURRAHが鳴り物入りで始めた新企画のくせに、まだたった4回しか書いてない「ロックンロール世界紀行」と着眼点はほぼ同じ。世界の国名や地名がついた曲の代わりに曜日がついた曲についていいかげんなコメントをつけるだけという安易な発想で書いてみようと思う。ん?もういいかげん飽きた?

このブログでは相変わらずだが、70年代80年代のパンクとかニュー・ウェイブ限定でずっとやってきたので今回も古いものを思い出してみよう。

70〜80年代のパンク、ニュー・ウェイブ限定だから案外範囲は狭いぞ。決して誰でも思いつくような「Sunday Morning」とか「ビューティフル・サンデー( 田中星児)」などはここでは取り上げない方針。

そんな頑固一徹なROCKHURRAHが選んだのがこれ、シャム69の1978年に発表された代表曲シングル「If The Kids Are United」のB面である「Sunday Morning Nightmare」だ。

シャム69はピストルズやクラッシュよりも少しだけデビューが遅れたが、熱血漢ジミー・パーシィの男気のある力強い歌で多くのパンクスに愛された素晴らしいバンドだ。特に80年代に盛んだったOi!、スキンズと呼ばれたようなバンド達の元祖的な存在として有名。

この曲は2ndアルバム「That’s Life」にも収録されているが、曲と曲の間に全て日常の会話や雑音のようなものが入っている一種のコンセプト・アルバムだったな。今は波形編集ソフトで簡単にフェイド・インなど出来るが、まだカセットテープの時代だと全部の曲の切れ間がないタイプのレコードは一曲だけ録音するのが大変だったという思い出がある。頭出し出来るのが当たり前の現代とは大違いだったな。
そんな個人的な話はどうでも良かったか。
この曲もシャム69らしいエネルギッシュで粗野な魅力にあふれているが、日曜の朝に悪夢を見るとは、彼らに安息はあるのか?

月曜日を歌った曲の80年代三大ヒットと言えば「哀愁のマンデイ(ブームタウン・ラッツ)」「マニック・マンデー(バングルス)」とニュー・オーダーのこの曲がすぐに思い浮かぶ。なぜか月曜日は邦題でもマンデー、何でだろうか?

イアン・カーティスが自殺して途方に暮れたジョイ・ディヴィジョンの残りのメンバーだったが、ニュー・オーダーとして再起、見事に方向転換して立ち直った。そのきっかけとなる大ヒット曲が「ブルー・マンデー」だった。これはイアンの死について歌ったシリアスな内容の曲だったが・・・などと見てきたように書いてみたがROCKHURRAHは実は彼らのレコードを一枚も持ってなくて、知ってる曲も数曲のみ。
ジョイ・ディヴィジョンは今でも愛聴しているのに。

何で聴かなかったのか答えは明確で、そこにイアン・カーティスのヴォーカルがなかったからだ。
結局、ROCKHURRAHは曲も歌もヴィジュアル(レコードジャケット)も全て含めての総合的なバンドとしてジョイ・ディヴィジョンを評価していて、イアン・カーティス抜きでは満足出来ないという「ないものねだり」なんだろうな。

この曲は1983年に大ヒットしたが88年にもリミックス盤が出ていて、かなりの長期間に渡ってリスナーの支持を集めた名曲。
しかしニュー・オーダーをぜーんぜん知らない会社員のおっさんでもブルーマンデー症候群などという言葉を使ったりする。この言葉のネーミングの由来がどこからなのか知らないが、自分の後ろでそんな会話が聞こえたら少しビックリしてしまうよ。

火曜日から木曜日まではあまり歌にするような題材がないためかそのタイトルがついた曲が少ない。

ROCKHURRAH自身も火曜日火曜日などと心の中で唱えてみても、「イオンの火曜市」くらいしか思い浮かばない始末。しかもちょっと安いだけでわんさか人が押しかけるからウチは嫌いなんだよね。
うーん、見事にロック的詩情からかけ離れたコメントで申し訳ない。

そんなネタのない曜日である火曜日、パンクやニュー・ウェイブ限定ではやや苦しいが、何とか見つけたのがこの曲。
看板ヴォーカリストだったシェインがアル中ひどすぎてクビになった後のポーグスの曲だね。彼らが全盛期の頃にはシェインの横で笛吹いてるくらいで割と暇そうだったスパイダー・ステイシーがメイン・ヴォーカルとなった後の作品。ポーグスの中で一番チャラチャラしてた奴と勝手に思い込んでるんだが、うーむ、歌は全然良くないなあ。

ニップル・エレクターズもポーグスも大好きなバンドだったが、シェイン抜きだと全然物足りない。あの歌声と投げやりなパフォーマンスでへべれけなダメ男、シェインだからこそのポーグスだったんだね。
上に書いたイアン・カーティスがいないジョイ・ディヴィジョン=ニュー・オーダーと一緒の感想だな。

今ここではじめて気付いたが、今回のシャム69、ニュー・オーダー、ポーグスの3つとも人気キャラクターだったヴォーカリストがいなくなった状態でしばらくはバンドが存続していた、という偶然が重なったね。
ニュー・オーダーの場合はジョイ・ディヴィジョン時代よりも遥かにヒットしたわけだから、過去にしがみついてたわけじゃないけど。
シャム69なんかはジミー・パーシィが出戻ったとたんに代理のヴォーカリストが追い出され(?)、そちらの方もシャム69を主張しているという、いわゆるまんじゅう屋の「本家・元祖」みたいな争いをしていて、両方ともシャム69を名乗っているらしい。

水曜日も少ないな。ウチはテレビも見ないので特定の曜日に関する習慣みたいなものがほとんどないしな。

我が家で水曜日と言えば週の後半の買い物をする日と決めていて、最近ではイオンではなく西友によく行っている・・・うむむ、ますますロック的詩情とかけ離れてしまったな。
そんな何事もない水曜日を果敢にタイトルにつけて歌ったのがアンダートーンズのこの曲。

アンダートーンズについてはウチのブログでも何回かは登場した事があるが、北アイルランドの出身。
この地は宗教や独立を巡っての紛争が絶えなかった政情不安定なところで、U2の一番の名曲だと個人的には思っている「Sunday Bloody Sunday」でも歌われた血の日曜日事件というのが起こった事などでも有名。

がしかし、そういうシリアスな要素がこのバンドには全然見当たらないところが逆にすごい。ビデオ見てもこれが60年代ではなくパンクの時代のバンドだとは思えないルックス。後の時代のギター・ポップなどに通じる曲調だな。

当初の予定では一週間まるまるひとつの記事にまとめるつもりだったが、案外長くなったので一旦中断としよう。 木曜以降はまた今度ね。
See You Next Week !