佐伯祐三 自画像としての風景 鑑賞

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【東京ステーションギャラリーに行く道沿いにあったポスター】

SNAKEPIPE WROTE: 

東京ステーションギャラリーで開催されている「佐伯祐三 自画像としての風景」の情報を、「日曜美術館 アートシーン」で知ったSNAKEPIPE。
佐伯祐三はSNAKEPIPEの父親が好んだ画家だったため、実家にあった画集を幼少の頃から鑑賞していたんだよね。
構図や色彩に魅力を感じたものだよ。
学生時代に美術部だったSNAKEPIPEは、美術部担当の教師とも佐伯祐三について話をしたことを思い出す。
「佐伯祐三の絵は、モノクロになっても黒が潰れてないんだよ。すごいよ」
とその教師が感嘆の声を上げたことまで覚えているよ。(笑)

恐らく今までどこかの美術館で、佐伯祐三の作品は鑑賞したことがあるはずだけど、東京での大回顧展は18年ぶりとのこと。
およそ100点以上の作品を鑑賞することができる展覧会、行くしかないよね!
早速チケット予約をしたのである。

ここで佐伯祐三の経歴を書いておこう。

1898 大阪生まれ
1918 東京美術学校(現・東京藝術大学)西洋画科に入学
1924 パリへ渡航
1926 日本に帰国
1927 2回目の渡仏
1928 死去

わずか30年の生涯だったとは!
そして1920年代に佐伯祐三がパリにいたということも、今回初めて知ったよ。
SNAKEPIPEがその時代に憧れを持つのも、子供の頃に佐伯祐三作品を観た記憶によるのかもしれないね?

3月後半、久しぶりに東京ステーションギャラリーに向かう。
前回は2020年7月の「開校100年 きたれ、バウハウス」だったので、約2年半ぶりになるんだね。
少し早めの時間に到着すると、ギャラリー前には大行列ができてるじゃないの!
こんな光景は初めてかも。
コロナに対する規制が少しずつ緩和されたせいなのか、予約枠を広げているのかもしれない。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHも行列の最後尾に並ぶ。
周りの観客チェックをすると、7〜8割が高齢者に見えたよ。
SNAKEPIPEの父親もファンだった画家なので、高齢者が多いのも納得だけどね!

ようやく順番になり、入場できることになった。
会場に向かうエレベーターに、身動きが取れなくなるほどお客さんを詰め込むスタッフの対応に驚いてしまう。
他の人たちも「まだ乗せるの?」と声を出していたよ。
コロナの時には、ソーシャル・ディスタンスが取れていて良かったのにね。
会場に着くと、多くのお客さんでごった返している。
初期の作品にはあまり興味がないので、少し足早に観て回ったよ。(笑)
気になる作品を紹介していこう。
東京ステーションギャラリーは撮影禁止なので、SNAKEPIPEが撮った画像ばかりではないことを書いておこう。

1924年に渡仏した佐伯祐三は、フランスの画家ヴラマンクに作品を見せ、罵倒されたことで作風を変えたとされている。
そして代表作とされているのは、パリ時代に描かれたものなんだよね。
今回の展覧会でSNAKEPIPEにとっての一番は、1925年の作品「靴屋(コルドヌリ)」。
載せた画像は、アーチゾン美術館が所蔵している「靴屋」。
会場には隣に、もう少しクローズアップした「靴屋」が並んで展示されていて、そちらは茨城県近代美術館の所蔵作品だという。
この作品には震えが来るほど、強烈に興奮したSNAKEPIPE。
大好きな作品だよ!(笑)
会場を出たところに大型ポスターが貼ってあったので、撮影できたんだよね。

佐伯祐三は、フランスの画家であるユトリロの影響を受けているといわれる。
1914年に描かれたユトリロの「ベルリオーズの家」を載せてみたんだけど、確かに雰囲気近いよね?
この家は、モンマルトルのランドマークだったらしいけれど、そう聞かなければ殺風景な建物の絵、としか思わないかも。
壁の色味が非常に好みだよ!

更に時代をさかのぼり、ユトリロに影響を与えていた写真家の話ね。
アッジェは1890年代後半から、パリの街を撮影し、画家や舞台美術家、パリ市歴史図書館などに資料として写真を売っていた人物。
アッジェの写真をユトリロも買っていたらしい。
参考に画像を載せてみたけど、ユトリロよりも佐伯祐三の作品に影響を与えてるように見えるね。
ずっと昔に、SNAKEPIPEの父親と「アッジェすごい」と話したことを思い出したよ。
アッジェ自身はアートのための撮影じゃなかったようだけど、マン・レイに価値を見出されて有名になったらしい。
佐伯祐三が最初にコンタクトしたヴラマンクも同様、アッジェも経歴が面白過ぎ!(笑)
いつか詳しく調べてみたいと思ったよ。

上のアッジェ作品にも見ることができるように、店の看板を多く作品に取り入れたのが佐伯祐三なんだよね。
「佐伯フォント」と名付けたくなる、独特のタイポグラフィが魅力的!
1927年の「ガス灯と広告」は、左に人物が2人いるけれど、主役は壁一面に貼られたポスターだよね。
1920年代のポスターといえば、2017年3月に鑑賞した「カッサンドル」の作品も貼られていただろうと想像する。
きっと佐伯祐三も目にしていたはずだよね。(笑)

佐伯祐三を知らなかったROCKHURRAHだけれど、鑑賞していくうちに興味を持ったようで、「これ好き!」と言うほどになる。
1925年の「壁」は、トマス・ルフの作品のようだよね。
タイトル通り、キャンパスいっぱいに描かれた壁と小さな窓。
「佐伯フォント」ではないけれど、タイポグラフィも入っている。
「こんなに日本人離れした画家がいたとは!」とはROCKHURRAHの言葉。
パリにはたったの3年ほどしか滞在していないのに、一体何枚描いたのかというほど多くの作品を残しているんだよね。

ROCKHURRAHが一番気に入ったのが、「ピコン」という1927年の作品だという。
黒と強い赤が印象的で、右側にある街路樹は、ほとんど一筆描きのような線だけで表現されている。
「ピコン」とは、フランスで歴史のあるオレンジ・リキュールらしいね。
ほろ苦い味わいでクセになるんだとか。(笑)
ほとんどの佐伯祐三作品は、美術館に所蔵されている中で、この「ピコン」は個人蔵と書かれているよ。
ピコンを使ったカクテルを片手に、作品鑑賞と洒落込んでいるのかもしれないね?(笑)

1928年の「モラン風景 」は、雲の表現が特徴的な作品なんだよね。
絵の具を直接キャンパスに塗ったのではないかと思える大胆さ!
親戚の誰かが、佐伯祐三本人に聞いたような解説が書かれていたように記憶しているけど、どうだっただろう?(笑)
一枚をモノクロにしてみたのは、前述した美術教師の言葉を思い出したから。
元がそんなに黒っぽい作品ではないけど、黒色の中にも濃淡があることが分かる。
美術の先生が言った通りだわ。(笑)
最晩年の、まさしく命を削りながら描いた鬼気迫る作品と知ると、より一層感慨深いよね。

展覧会のミュージアム・ショップには必ず立ち寄るROCKHURRAH RECORDS。
佐伯祐三展のチラシにも採用されていた「郵便配達夫」が、キャラクター化されてTシャツやバッグにプリントされているじゃないの!
原画のままプリントではなく、完全に漫画になっているところに驚いてしまう。
これではまるで「アルプスの少女ハイジ」のおじいさんじゃないの!(笑)
見た瞬間に「なんだ、これは!」と声を出したSNAKEPIPE。
夭折の画家として太く短い生涯を送った佐伯祐三、のようなキャッチコピーとは裏腹なオリジナル・グッズに唖然としたよ。

ミュージアム・ショップにはがっかりしたけれど、多くの佐伯祐三作品を鑑賞することができて本当に良かった!
筆使いやキャンパスのひび割れなど、間近で観ることで細かいディテールを確認できたことも嬉しかった。
改めて佐伯祐三のファンになったし、1920年代のフランスにも一層強い憧れを持ったよ!
一緒に行ってくれたROCKHURRAHにも感謝だね。(笑)

収集狂時代 第20巻 ウォッチ編 #2

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【時計で思い出すのはやっぱりこの絵だね】

SNAKEPIPE WROTE:

2019年7月のブログ「収集狂時代 第13巻 ウォッチ編」の最後に「時計はまだ他にも素敵なデザインがあるので、またいつか紹介してみよう! 」と締めくくっていたSNAKEPIPE。
今頃になって続きを書いていなかったことを思い出したよ。(笑)
早速紹介していこう。

一番最初に注目したのはこれ!
カルティエのドラゴン・ミステリー・ウォッチだよ。
龍が手に玉(如意宝珠というらしい)を持っているのは見たことあるけれど、こちらは龍が時計を抱きかかえているんだよね。
なんという美しいフォルムなんでしょ!
龍の顔立ちもキュートだし、一目惚れしてしまった。
ホワイト・ゴールドを使用した、高級感あふれる逸品!
お値段はなんと140万ドル、現在のレートでいくと1億8,400万円だよ。
最初から高額品になってしまったね。(笑)
土台をシルバーかステンレスにして、同じデザインだったらおいくら万円かなあ。
SNAKEPIPEでも手が出せるかも?(笑)

今度は小鳥がモチーフの時計だよ。
ジャケ・ドローのバード・リピーターね。
かわいい小鳥と雛がガラスケースの中に収まっているだけかと思いきや、手巻きで動くオートマタとは驚きだよ。
アオガラのつがいが雛に餌を与えたり、翼が広がったり、滝の水が流れたり、卵が孵化するというから見てみたいよね。
世界に8本しか存在しないという、この時計のお値段は?
$472,500、日本円で約6,200万円!(笑)
カルティエに比べるとお手頃に感じてしまう自分が怖い!
動いている動画はこちら。

オートマタを持ち歩けるなんて素晴らしいよね!
とてもかわいらしくて、動画だけでも満足だよ。(笑)

冒頭に載せたのはサルバドール・ダリの「記憶の固執」。
ダリといえば、ぐにゃりと曲がった時計が有名だよね。
その時計をモチーフにしたのが、これ。
オリジナルは1990年代に限定品として販売されていたらしい。
デッドストックのお値段は高くて38万円ほど。
現在は、3万円程度で手に入る模造品も多いみたいね。
画像で比較しただけでも、オリジナルの存在感が抜群!
やっぱり真似は駄目だよね。(笑)

ロジェ・デュブイの「Excalibur Roundtable」は、近付いて見る必要があるよ。
文字盤のアップが右側なんだけど、時刻を示す位置に12体の騎士がいるんだよね!
テーマは「アーサー王と円卓の騎士」とのこと。
騎士はわずか7mmなのに、細部にまでこだわり表情の違いもあるというから、実物を拝見したくなるよ。
ただし、この時計はわずか88本のみ作られたというから難しいかな?
そして気になるお値段は、$161,000、日本円で約2,100万円だって!
今回は高額商品を多く紹介してるね。(笑)

フィオーナ・クルーガーのスカル・ウォッチはインパクトあるよね。
スコットランド出身のフィオーナは、子供の頃には3年間メキシコに滞在し「死者の日」という祭りを体験したという。
確かにこれは、メキシコのスカルだもんね!
メカニカルなデザインのスカル・ウォッチ、SNAKEPIPEも欲しくなっちゃった。
載せた画像は限定12本で完売なので、別バージョンのお値段を調べてみたよ。
日本円で約400万円くらいのようだね。
いつか手に入れてみたいと思う。(希望)

今回はアート寄りの時計を特集してみたよ!
個性的で素晴らしいデザインを堪能できたよね。(笑)
また世界の逸品探しを続けていこう。

合田佐和子展 帰る途もつもりもない 鑑賞

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【展覧会のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE: 

「この展覧会に行きたい」
ROCKHURRAHから誘われたのは三鷹市スポーツと文化財団で開催されている「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」だった。
合田佐和子の名前は聞いたことがあるけれど、作品については覚えがないSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHは音楽雑誌「ROCK MAGAZINE」の表紙や、山崎春美がやっていたタコのレコード・ジャケットなどで馴染みがあるという。
会場である三鷹市美術ギャラリーは三鷹駅直結の、非常にアクセスの良い場所なので、まるで土地勘がないROCKHURRAH RECORDSにも安心。(笑)
そもそも三鷹駅で降りたことないんだよね。

SNAKEPIPEの誕生日である3月4日は、晴れてお出かけ日和だった。
この日に「合田佐和子展」を鑑賞したんだよね!
三鷹駅に降り立ち、周りを見渡すと、駅周辺にスーパーやドラッグストアなど、こじんまりとまとまっていて便利が良さそう。
「住みやすそうな街だね」
と話しながら会場へ。
開館したばかりだけれど、すでに数人のお客さんが会場入りしていたよ。
非常に残念なことに、作品の撮影は禁止。
そのため当ブログで使用している画像は、購入した図録からなので、ご了承ください。

まずは合田佐和子の経歴をまとめてみよう。

1940 高知県高知市生まれ
1959 武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)本科商業デザイン科に入学
1963 同校卒業後、唐十郎主宰の劇団状況劇場・唐組、寺山修司主宰の天井桟敷の宣伝・舞台美術などに参加
1965〜 各地で個展・オブジェ展を開催
1971 独学で油彩を始める
1980〜 ポラロイド、パステル、鉛筆、写真、ビデオ、エッチングを発表
2003 渋谷区立松濤美術館にて「合田佐和子 影像 絵画・オブジェ・写真」展を開催
2016 心不全のため死去、享年75歳。

唐十郎の状況劇場や寺山修司の天井桟敷といったアングラ演劇との関わりについても経歴に載っているところからも分かるように、いわゆる正統派じゃない女性なんだよね。(笑)
合田佐和子が作品と共に写っている画像がこれ。
1969年に発行された雑誌の表紙だって。
いかにも60年代後半といった雰囲気!
これを観ただけで、面白そう。(笑)

会場は年代順に作品が展示されていた。
1964年頃、合田佐和子は作品を入れたダンボール箱を抱えて、美術評論家の瀧口修造を訪ねたらしい。
載せた画像の「Watch-Angels」のような作品を瀧口修造に見せたんだろうね。
シュルレアリスムやダダイズムの情報を知らず、自発的にこうしたオブジェを制作していたとは驚いてしまう。
小さな人形があちらこちらに散りばめられていて、とてもキュートだね!(笑)
そして瀧口修造から個展の開催を後押しされたんだとか。
スタートから「御墨付き」だったんだね。

「イレイザーヘッドだ!」
思わず叫んでしまったのは、1966年の「幼きものへ」。
実際には、合田佐和子は蛇をモチーフにしていたらしいし、制作年もリンチの「イレイザーヘッド」より10年も前だけど。
素材は、紙粘土や布を使用しているという。
1967年に開催された個展の案内文に、白石かずこは「異色」という言葉を書いている。
「異形」や「異端」など、「異」という漢字は、どうしてSNAKEPIPEを魅了してしまうんだろう。(笑)

1969年に銀座の画廊で開催された個展の様子。
人形のインスタレーションだという。
かなり不気味な「頭部人形」が目を引く。
江戸川乱歩の「芋虫」を連想してしまうよ。
カラーの作品は「イトルビ」と名付けられた女の顔。
ガラスケースの中で、横向きに転がされた状態の「イトルビ」を観て「欲しい!」と思ったSNAKEPIPE。
大きさは、ほんの10cm程度なのに、存在感が抜群!
表面は滑らかで、とても美しい女の顔だったよ。
これらの作品を観た寺山修司が関心を寄せたというエピソードは納得だね!

1971年から、独学で描き始めたという油絵で、最も有名なのはマレーネ・ディートリッヒをモチーフにした作品かもしれないね。
スーパー・リアリズムというのか、精緻な出来にうっとりしちゃう。
何枚もディートリッヒを描いているのに、合田佐和子自身は「ディートリッヒはあまり好きではない」と語っていたらしい。
好みの女優ではないけれど、題材としては良いということなのか。(笑)
このキャプションを読んでから、ディートリッヒの作品を見つける度に「あまり好きではないけど」と口に出しながら鑑賞したSNAKEPIPEだよ。(笑)

1974年の作品「猫眼の少女」のようなシュールな作品もあったよ!
元々暗い色調が好きなSNAKEPIPEにとっては、よだれが出そう、いや、出てしまったのがこれ。(笑)
不気味さと可愛らしさが混在していて、素晴らしいよ!
今回の展覧会は三鷹市の施設での開催だったため、カタログの販売のみで、グッズなどはなかったんだよね。
この作品を使ったグッズがあったら、絶対買ってたよ。
前述の「イトルビ」のレプリカとかも欲しかったなあ。

経歴に書いていなかったけれど、合田佐和子は1971年に渡米してるんだよね。
海外の経験があることと、洋画のスターを描く画家ということで来日したミュージシャンとの対談をしていたとか。
そしてファンだった、ルー・リードのインタビューをして、アルバム・ジャケットまで手掛けたというから、ファン冥利に尽きる経験をしてるよね。(笑)
ルー・リードといえば、ベルベッド・アンダーグラウンド!
やっぱり合田佐和子は、サブカルチャーの女性なんだね。

かつてROCKHURRAHも所持していたという「ROCK MAGAZINE」の表紙を集めたもの。
先に書いたルー・リードの一件からも、合田佐和子自身ロック好きだったみたいだよね。
「ROCK MAGAZINE」は、音楽のみならずアートや文学などにも造詣の深かった、音楽評論家の阿木譲による、かなりマニアックな音楽雑誌だったとROCKHURRAHが語る。
北村昌士の「Fool’s Mate」と共にROCKHURRAHが最も影響を受けた雑誌なんだとか。
確かに、この表紙を見て手に取る人は、ロック好きなだけじゃなくてアートにも興味がある人だろうね。
SNAKEPIPEも読んで見たかったな!

最後に紹介するのは、天井桟敷のポスターね。
これは1977年に初演された「中国の不思議な役人」。
美術は合田佐和子、衣装はコシノジュンコと書かれているよ。
これだけでも豪華なのに、出演は伊丹十三、山口小夜子って、どんな演劇だったんだろうね?(笑)
カタログに舞台のスチール写真が載っていて、いかにも天井桟敷っぽい雰囲気だったことが分かるよ。
きっとSNAKEPIPEの好みに違いない。(笑)

200点以上も作品が展示されていて、非常に見応えのある展覧会だった。
合田佐和子についてほとんど知らなかったSNAKEPIPEの心を「わしづかみ」にする、大好きな作品群に感激したよ!
そしてこの展覧会に誘ってくれたROCKHURRAHに感謝だね。(笑)

SNAKEPIPE MUSEUM #65 山本タカト

20230305 08
【ビアズリーを彷彿させるデカダンスが見事!】

SNAKEPIPE WROTE: 

3月4日はSNAKEPIPEの誕生日!
ROCKHURRAHが企画を立ててくれて、お出かけした話は次週に書く予定だよ。
そして3月6日は、我らが鳥飼否宇先生のお誕生日!
一日早いおめでとう!と言わせていただきます!(笑)

今回のSNAKEPIPE MUSEUMは、日本人アーティストについて書いてみよう。
たまたま目にした海外のサイトで紹介されていて知った名前だけど、きっと大変有名な方なんじゃないかな?
山本タカトは、1960年秋田生まれ。
東京造形大学絵画科卒業後、アルバイトでイラストを描き生計を立てていたという。
「浮世絵ポップ」や「平成耽美主義」と銘打った画風が特徴とのこと。
SNAKEPIPEは作品を目にした時、丸尾末広かと勘違いしてしまったんだよね。(笑)
美少年と残酷、というテーマや絵柄が似ていると思って。
Takato Yamamotoと書いてあったので、興味を持ったよ!

山本タカトは、ドラキュラが好きで、10代の頃に影響を受けた漫画は萩尾望都の「ポーの一族」だという。
永遠に少年や少女のまま生きていくところに魅力を感じたらしい。
作品に、その永遠性が反映されていて、描かれているのは少年や少女。
日本画や浮世絵のような背景に、美少女と残酷が加わって、凄絶な美を感じる。
落合芳幾月岡芳年などに代表される「血みどろ絵」同様、残酷なのに美しいという相反する要素が混在していて、とても好み!
内蔵や骨まで露出した、かなりグロテスクな作品なのにね。

オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」は、読んだことがなくても皿に載った首は知っている人が多いんじゃないかな。
オーブリー・ビアズリーが描いた挿絵が有名だよね!
こちらは山本タカト版のサロメ、といったところかな。
2013年4月に書いた「映画の殿 第02号 オフィスキラー」の中で、日本映画「桜の森の満開の下」について触れている。
美しい岩下志麻が「首遊び」をするために、人間の首を持ってくるように命令するんだよね。
処罰としての斬首と、人形遊びのように玩具として扱う場合があることを思い出したよ。
山本タカトは、どんな意図で描いたんだろうね?

おかっぱ頭の美少女とドクロや花のモチーフは「アリ」だけど、どうしてそこにクマのぬいぐるみが入るんだろうね。(笑)
そのミスマッチが面白くて選んだ画像だよ。
ユーモアがプラスされた作品なんだね!
山本タカトの精密な筆致と色彩感覚、そして独特の雰囲気は、海外でも人気だろうなあ。
昨年は原画展を開催していたようなので、今後また展覧会があったら行ってみたいと思う。
画集も観てみたいね!