超複製時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか? 鑑賞

20230521 top
【ジャイル・ギャラリーの入り口を撮影。いつも通りだね(笑)】

SNAKEPIPE WROTE:

表参道にあるジャイル・ギャラリーで開催されているのが「超複製時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?ー分有、アウラ、国家権力ー」という長〜いタイトルの展覧会。
これだけでも難しそうに感じてしまうよ。(笑)
実際、今までジャイル・ギャラリーで2021年3月には「2021年宇宙の旅 モノリス_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ」、2022年6月に鑑賞したのは「世界の終わりと環境世界」というように、タイトルから観念的な展覧会だと想像できる企画が多いんだよね。
好みのアート作品かどうかは別として、アート・シーンの潮流を知りたいという気持ちから出向くことが多いギャラリーになるよ。

今回の企画展のキーワードは「NFT」とのこと。
「NFT」って一体なんだろう?

NFTはNon-Fungible Tokenの略語で、これは非代替性トークンを意味するという。
ブロック・チェーン技術を活用することで、デジタル作品にオリジナルの価値や著作権を持たせ、固有の資産にできるんだとか。
具体的な技術面のシステムはよく分からないけれど、デジタル・データが一点物として証明できるというのは画期的だよね。
画像や音声、動画など大抵のデジタル・データはコピーが可能で、複製や改ざんが可能と認識していたからね。(笑)
更にNFTアートは販売後も著作権は作者に帰属し、二次流通時にも収益の一部が作者に還元されるというのも、新しい試みなんじゃないかな?
自分で作った作品をNFTアートとして販売することもできるというのも面白い。
ブロック・チェーン技術の部分は、NFTマーケットプレイス側で暗号化してくれるというので、安心、安心!(笑)
SNAKEPIPEはその技術から学ぶ必要があるのかと思っていたからね。

載せた画像は75億円で落札されたBEEPLEのNFTアート作品「Everydays: The First 5000Days」だって。
BEEPLEとはマイク・ウィンケルマンというアメリカ人で、グラフィック・デザイナーであり、10年以上毎日3Dアート作品をアップしているという。
落札されたのは、アップした自身の作品を一枚にまとめた作品なんだね。

ここで思い出すのは、かつて写真もアートとして認められていなかった、という事実。
複製が可能だからというのが理由だったはず。
いつの頃からか、一枚一枚の写真にも価値が見出され、アートになっていたっけ。
デジタル・データも同様の道を歩むことになるのか。
まだ開発途上で、様々なことが実験段階だというNFTアート、ROCKHURRAHと一緒に行ってみたよ!

元々、外国人観光客が非常に多い原宿だけど、ジャイル・ギャラリーに行った日も見渡す限り外国人だらけ。
ジャイル・ギャラリーがあるのはMOMAデザイン・ストアやコム・デ・ギャルソンのショップと同じフロアなので、ここにも外国人ツーリストがいっぱい!
ショッピングが目的のようで、ジャイル・ギャラリーに入ってくる人はいなかったよ。
画像はチーム・ラボの「Matter is Void」。
作品は誰でもダウンロードして所有できるけれど、文字の書き換えができるのは作品所有者のみだという。
「所有者と作者の垣根がなくなり、複数人の共創により作品は変化し続ける」
というのがテーマらしい。

レア・メイヤーズの「Certificates of Inauthenticiy(非真正性の証明)」を観て「ジェフ・クーンズのバルーン・ドッグじゃないの?」と言ったのはROCKHURRAH。
この時は分からなかったけれど、後から知ったのは「ジェフ・クーンズのバルーン・ドッグを3Dデータ化し、誰でもダウンロードしてプリントできるようにした」んだとか。
作品の真贋はNFTが販売する証明書の有無で変化するという点がポイントなんだって。
他にマルセル・デュシャンの「泉」データもあるというので、いつか3Dプリントしてみたいよね。(笑)

今回の展覧会で一番のビッグ・ネームはダミアン・ハーストだよね!
カラフルな水玉が描かれたペイントとデジタル両方の作品が展示されていた。
これだけ観ても意味不明。(笑)
2021年にデジタル化した水玉を1万点発行し、1点を約20万円で販売したという。
所有者は、1年後にNFTか絵画のどちらかを選択する必要があり、選ばれなかった絵画4851点が焼却されたという。
実際にハーストが消防服を着て、約10億円相当を燃やしたというから驚くよね。(笑)
SNAKEPIPEが最も驚いたのは、この水玉作品を1万点描いたところかな。
燃やすために描くって行為がすごい!

鎌谷徹太郎の「The Dream of Butterfly」は色鮮やかで目を引く作品だった。
タイトルは訳すと「胡蝶の夢」だよね。
周りを取り囲んでいる建築は京都の平等院とのこと。
髑髏に花とは、そんなに目新しい題材ではないかもしれないけど?
説明を読んでびっくり!
なんと5万匹の蝿を樹脂で閉じ込めた上に描かれていたんだって。
これは作品観た後で知って良かったかも。(笑)
そして隣にはNFTが並んでいて、絵画と2つでワンセットの作品だという。
所有者が変わるとNFTが変化するらしいけど、どういう仕組なんだろうね。

ルー・ヤンの「マテリアルワールドの大冒険」というゲーム映像作品は、実際にコントローラーが接続されていて、鑑賞者がゲームできる仕掛けになっていた。
8つのエピソードがあり、アイデンティティを変容させていく内容らしい。
ROCKHURRAHにコントローラーを操作してもらい、少し動かしてもらったけれど、画面に登場する人物の顔が気になって仕方なかった。
画像下に見える男、狂気を孕んでいて、ものすごく怖いんだよね!
それにしてもルー・ヤンが女性とは思わなかったよ。
自身のサイトでは、コスプレして踊っているので、気になる方は訪れてみてね!

森万里子は、ジャイル・ギャラリー参加率が高いアーティストだよね。
今までいくつかの作品を鑑賞したSNAKEPIPEだけれど、今回展示されている「Eternal Mass」は、最も難しいコンセプトに感じるよ。
「空間と時間という4次元に加え、人間に知覚できない次元が6つ存在する」と説明する超弦理論を可視化したという。
「すべての粒子には同じ質量と反対の電荷を持つ反粒子が存在する」という量子物理学の理論に着想を得たとのこと。
パール状の粒で構成された仮想生命体を対にした、森万里子初のNFT作品なんだって。
説明聞いてよく分かったよね!(笑)

施井泰平の「IT II」は、文庫本の背表紙を切り取り、キャンバスに貼り付けた作品なんだよね。
本棚に見せかけた偽物というのが面白い。(笑)
解説には「情報の絵画」なんて表現がされているよ。
難しい文章を読まなくても、観た瞬間に驚きがある作品は良いね!
施井泰平は2001年から「インターネット時代のアート」をテーマに作品制作してきたという。
2014年には東京大学大学院在学中に、大学構内で起業するという経営者の顔を持つアーティストとは気になる人物だね!

作品だけ観ても意味が分からなかったけれど、解説を読むととても興味深い展覧会だったことが分かった。
今後NFTがどうなっていくんだろう?
今まで知らなかった考え方やアーティストを知ることができて、有意義だったね!

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