ヴォルフガング・ティルマンス Moments of Life展  鑑賞

20230528 top
【エスパス ルイ・ヴィトンの看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週書いたジャイル・ギャラリーで鑑賞した「超複製時代の芸術」で表参道を訪れたROCKHURRAHとSNAKEPIPE、もう一箇所立ち寄った場所があるんだよね。
それはエスパス ルイ・ヴィトン東京、ハイ・ブランドであるルイ・ヴィトンが主催しているヴォルフガング・ティルマンスの「Moments of Life展」だよ!
2019年8月にクリスチャン・ボルタンスキーの「ANIMITAS II 」、2021年10月にはギルバート&ジョージ の「Class War, Militant,Gateway」を鑑賞したことがあるSNAKEPIPE。
ROCKHURRAHは今回が初めてのエスパス東京なので「ルイ・ヴィトンのお客さんじゃないのに、入って良いのか」と悩んでいる様子。(笑)
ドアマンが扉の前に立っているので、ちょっと緊張するのは確かだよね。
にこやかに出迎えられ「いらっしゃいませ、どうぞ!」と案内されエレベーターに向かう。

今回の展覧会は、事前に計画していたわけではなく、ジャイル・ギャラリーに向かう道沿いのポスターを偶然目にしたために行くことにした。
かつて写真に興味があったSNAKEPIPEには、ヴォルフガング・ティルマンスの名前は聞き馴染みがあったからね。
どんな写真と聞かれたら「雰囲気写真(SNAKEPIPE命名?)」と答えたくなるんだけど、ちゃんとした説明になってないか。(笑)
ここで簡単にヴォルフガング・ティルマンスの経歴を書いてみよう。

1968 ドイツ、レムシャイト生まれ
1990-92 ボーンマス・アンド・プール・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで学ぶ
1992-94 ロンドン在住
1994-95 ニューヨーク在住
1995 「ベッヒャーシュトラーセ美術賞」
「アルス・ヴィヴァ賞」受賞
1996〜 ロンドン在住
1998-99 ハンブルク美術大学客員教授を務める
2000 「ターナー賞」受賞
2001 ボーンマス・アート・インスティテュート美術名誉研究員を務める
2003〜 シュテーデル美術大学教授を務める
2015 「ハッセルブラッド国際写真賞」受賞

68年生まれということは、現在55歳かな。
ロンドンとベルリンを拠点に活動しているんだって。
教授になっているとは知らなかったよ!
2000年にターナー賞を受賞しているということは、2008年の「ターナー賞の歩み展」でも作品を観ていたんだね。
ちゃんと記事にも書いているね。(笑)
SNAKEPIPEが最初にヴォルフガング・ティルマンスを知ったのは、90年代だったはず。
その当時話題を集めていた若手写真家として紹介されていたように記憶しているよ。
何気ない日常と友人達を作品にしていて「オシャレな写真」の代表格だったね。
それ以降、日本の情報雑誌などでもヴォルフガング風の写真が載っていたっけ。
ヒロミックスや蜷川実花、ホンマタカシなどが出てきたのもこの頃だったかな。
似た雰囲気だなと思ったSNAKEPIPEだよ。

会場に入ると、複数のお客さんが鑑賞していた。
撮影オーケーとのことなので、バシバシ撮らせてもらったよ!
2005年から2020年までに制作された21点が、大小様々なサイズで展示されていた。
これがヴォルフガング・ティルマンスの特徴らしいね?

室内の様子が撮影されている。
ロンドンとベルリン、2つのスタジオ兼自宅の様子かな、と勝手に想像する。
窓が広くて日当たりが良さそうな一室と、雑多でガランとした部屋は倉庫っぽくて良い感じ。
2011年5月のブログ「SNAKEPIPE SHOWROOM 物件1 世界3大都市編」に「SNAKEPIPEの最も理想に近いのはガレージや倉庫みたいなガラーンとした、だだっ広い空間が広がるだけの家」と書いているね。
ティルマンスの写真が、まさにこれ!って思ったよ。(笑)

植物をモチーフにした作品。
ティルマンスは静か動か、といえば静だと感じる。
見過ごしてしまいそうな瞬間や光を捉えているんだろうね。
載せた2枚は、どちらも大きく引き伸ばされた作品で、クリップで止められていただけ。
額に入れる場合との違いはなんだろうね?
作者にしか分からない心理的なものかもしれないけど、想像すると面白いかも。(笑)

人物を被写体にした作品もあったよ。
ティルマンスはゲイであることを公言しているらしい。
そのせいなのか、モデルは全員男性だったよ。
セルフ・ポートレートも含まれていたみたいだけど、どの作品だったんだろう。
被写体を正面から撮影して、モデルと写真家の視線が交わる作品がなかったところがポイント。
ゲイ・コミュニティのメンバーへの配慮なのか、ティルマンスのスタイルなのか?

ここでようやく、人の顔が見える「Summer party」があるんだけど、まるで覗きみたいな撮影なんだよね。
草むらから隠し撮りしてると感じたSNAKEPIPEには、「マネの名作『草上の昼食』を彷彿させる」という文章には首をかしげてしまうよ。
『草上の昼食』で思い出すのは、アルバム・ジャケットでパロディやってたバウ・ワウ・ワウ
ヴォルフガング・ティルマンスもニュー・ウェイヴを聴いていたかもしれないね?

「Osaka still life」と題された2015年の作品。
なんで大阪?と思ったSNAKEPIPEだけど、どうやら2015年に国立国際美術館で大規模な個展が開催されていたらしい。
東京にも巡回したのかなあ?
これはその来日時に撮影された作品なんだろうね。
桃を一個食べ終わったみたいだけど、美味しかったかな。(笑)

ヴォルフガング・ティルマンス以降、写真界の流れが変わったと言っても良い程影響を与えた写真家だと思う。
先にも書いた「何か雰囲気がある」「オシャレな」写真の先駆けだからね。
若者文化を発信する写真家と言われたティルマンスも、もう50歳超え!
活動の幅を広げ、映像や音楽などにも挑戦しているみたいよ。

映像も音もヴォーカルもティルマンスが担当してるって、マルチだね!
これはまるでデヴィッド・リンチみたいじゃないの。(笑)
年齢に関わらず、エネルギッシュに創作活動を続ける大人がいっぱいいるのは嬉しいね。
行って良かった展覧会だったよ!

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