【毎度お馴染み、ジャイルギャラリーの入口を撮影】
SNAKEPIPE WROTE:
2024年9月の「ヨーゼフ・ボイス ダイアローグ展」以来、約9ヶ月ぶりにジャイルギャラリーに行ってきた。
現在開催されているのは「創造と破壊の閃光」展で、企画と構成を担当しているのは飯田高誉さん。
飯田さんの企画は難解で観念的なものが多いけれど、デヴィッド・リンチ好きという共通項があるため、できるだけ足を運ぶことにしてるんだよね!
よく晴れた真夏並みに暑い日、ROCKHURRAHと表参道を闊歩したのである。
表参道を原宿方向に歩くと、いつもより少し人が少ない気がする。
GYREに到着し、ギャラリーに向かうと一人もお客さんがいないよ。(笑)
いつも通り撮影許可をもらい、鑑賞しながら撮影していく。
ゆったり観られて良かった!
今回は4人の女性アーティストの作品が展示されているんだよね。
4人の中で最も知名度が高いのは、世界のクサマ、ご存知、草間彌生!(笑)
遠くからでも草間彌生の作品は目立つよね。
美しいブルーがバックの「永遠の希望」(画像左上)や、ピンク色が鮮やかな「求道の輝く星は宇宙のかなた、求めれば求めるほど光り輝くのだった」(画像右下)など、大型の作品が展示されている。
制作年が2015年から2020年になっていて、90歳を超えても精力的に活動していることが分かり嬉しくなるよ。
「かぼちゃ」や「ドット」はグッズになっているのを見かけるけど、こうした作品をテキスタイルにしてくれたら良いのにね?(笑)
三島喜美代の作品は、2021年7月の「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力」で鑑賞したことがあり、感想を書いているね。
「アナザー・エナジー展」は、長年作品制作を継続している世界の女性アーティストを知ることができた素晴らしい企画だったっけ。
そこで宮本和子や三島喜美代という日本人アーティストを初めて知ったSNAKEPIPE。
三島喜美代の作品は、消費社会で出たゴミを陶にシルクスクリーン印刷して制作しているんだよね。
じっくり近くで観ても本物と区別がつかないほど、精巧に作られているよ!
三島喜美代のコラージュ作品も展示されていた。
「アナザー・エナジー展」でも1960年代の作品を鑑賞したよ。
今回展示されていたのは、いつ制作されたものだったんだろう。
黒色がシャープで、カッコ良い作品だね。
残念なことに三島喜美代は、2024年6月に91歳で亡くなったという。
革新的な作品を制作している日本人女性アーティストの訃報は悲しいね。
坂上チユキは、極細の筆で描かれた水彩や顔彩を使用したドローイングが特徴のアーティストだという。
ものすごく細かく線が描かれているよ。
色調をドギツくしたら、サイケデリック・アートのような雰囲気。
「5億9千万年前プレカンブリア紀の海に生を受けた」という坂上チユキは、その後大気が形成された、シルル紀時代の鮮烈な空と海の青の記憶を描いているらしい。
古代生物や神話に登場する幻獣などがモデルだと説明しているサイトを知ると、謎めいた流線型のヒントになりそうだね。
展示作品にはキャプションがなかったけれど、載せた画像は恐らく「辺境にて」という遺作の油彩画。
2017年に制作されたみたいだね。
青色の濃淡を繰り返し少し盛り上がった細かい点描は、執拗なほどだよ。
古代の海に海洋生物の細胞を一つ一つ描き出しているような感じかな?
点を繰り返すところは、草間彌生に通じる雰囲気だね。
初めて坂上チユキの名前を知り、作品を鑑賞することができて良かった!
ジャイルギャラリー入口入ってすぐに展示されていたのは、「方舟はもう現れない」というタイトルの作品。
谷原菜摘子も初見のアーティストだよ。
1989年埼玉県生まれで京都市立芸術大学でアカデミックな教育を受けているという。
ベルベットの布地に油彩やアクリルなどを使用して、作品を制作しているんだとか。
少女マンガみたいに、お目々キラキラの少女たちが不気味に見えるのは、バックの黒の効果かもしれないね。
笑みを浮かべながら水没していくように見える少女(もしくは人形?)たち。
抱きかかえられているのは、もしかしたらアーティストご本人で、自画像かもしれないと思ったよ。
展覧会の最後に展示されていた2枚は、物語性があり想像力を刺激してくれる。
SNAKEPIPEが作るお話なんて、陳腐で大したことないけどね。(笑)
展覧会のサイトによれば「谷原の絵は日本近代絵画史の『くらい絵』の系譜を受け継いでいる」んだとか。
「自身の負の記憶と人間の闇を混淆した美」を描くという谷原菜摘子は、日本画家の松井冬子が持つネガティブなエネルギーに似たものを原動力にしているように感じたよ。
違う作品も観てみたいと思ったアーティストだね!
草間彌生を中心に、3人の女性アーティストの作品を鑑賞することができた豪華な展覧会だった。
感想をまとめるために1人ずつ紹介していたけれど、実際は画像のように4人の作品が入り乱れて展示されていたんだよね。
いつも以上に空いていたので、ROCKHURRAHとSNAKEPIPEの特別室みたいな環境で観ることができたのも良かった。
やっぱり飯田さんの企画はできる限り観に行かなければ、と改めて思ったSNAKEPIPEだよ!(笑)