両大戦間のモダニズム:1918-1939 鑑賞

20240922 top
【版画美術館の入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2024年9月14日から町田市立国際版画美術館で開催されている企画展「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」が気になる、とROCKHURRAHから聞いたのは数週間前のことだった。
展覧会が始まる前だったので、連休を利用して鑑賞する計画を立てる。
9月は3連休が2回あるからね!
町田市立国際版画美術館といえば、2020年6月に「横尾忠則展」を観に行ったことを思い出した。
ものすごく急な坂を上ったり下りたりした記憶があるなあ。

ROCKHURRAHと町田で下車したのは、今回が初めてのこと。
町田市立国際版画美術館は駅からの道順を写真付きで教えてくれているので、迷わないで歩けるよ!
4年前に通った道とは違ったようで、森の中を通って美術館に到着。
町田駅から10分程度しか離れていないのに、森林浴できちゃうってすごいね。
坂道を使わないルートがあるのは良かった。(笑)

会場はそこまで混雑していなくて、ゆっくり作品鑑賞ができたよ。
撮影可能だった作品について感想を書いていこう。

chaper1:両大戦間に向かって:Before 1918

ベル・エポックというのは19世紀末から1914年頃の華やかだったパリの時代や文化を指す言葉だという。
その時代に活躍したヴァロットンの木版画だよ。
1893年の作品で、タイトルは「街頭デモ」だって。
日本では明治26年なんだね。
木版の多色使いが美しい浮世絵と比べると、モノクロームの作品は少し物足りなく感じてしまう。
人の動きを切り取ったスナップショット風の滑らかなラインが魅力的だね。

ガラスケースの中に収められていたのは、1901年から1912年に刊行された「L’Assiette au beurre(バター入りの皿)」という風刺雑誌だった。
アナーキストの編集者シュヴァルツは、ベル・エポック時代の貧富の差を批判し、市民に寄り添うテーマで雑誌を作っていたという。
1人の作家が各号を担当していたというのが画期的!
この雑誌は中断の後、1921年から1925年まで月刊誌として発売され、1936年には廃刊になったみたい。
総勢200人のデザイナーが関わっていたという雑誌、現代でも通用する素晴らしさだよね!

chaper2:煌めきと戸惑いの都市物語

続いての章では、パリ・モードやファッションについての作品が並んでいた。
1921年から1925年までフランスで刊行されていた「Gazette du Bon Ton( 良き趣味の新聞)」の1920年第10号に載っていたシャルル・マルタンの作品だよ。
素敵な配色や着物風のコート(ガウン?)がオシャレだね!
1920年代のモードは、2023年に東京都庭園美術館で開催された「交歓するモダン」などでも鑑賞したことがあるよ。
テキスタイルもデザインも、とてもカッコよくてうっとりしちゃったんだよね!
エレガント過ぎてSNAKEPIPEが着てみたい洋服ではないけれど、当時の女性たちが憧れたのはよく分かるよ。

第2章はパリのモード以外にアメリカや日本の女性向けファッション雑誌の紹介もされていたよ。
パリに追随する形で各国がこぞってモードを追い求めていたことが分かる。
載せた画像はドイツのマックス・ベックマンが手がけた1921年の版画集で「メリー・ゴーランド」という作品。
じっくり観ると縮尺がおかしかったり、不気味な様子も感じられるよ。
1918年から始まったベルリン・ダダの作品も展示されていて狂喜する。
2013年8月のブログ「SNAKEPIPE MUSEUM #22 Hannah Höch」で紹介したハンナ・ヘッヒの作品を直に観たのは初めてだからね!
シュルレアリスムの作品展は開催されても、ダダはなかなかお目にかかれないことを残念に感じていたので、とても嬉しかった。
撮影が禁止だったので記憶にとどめておこう。
この作品、どうやら町田市立国際版画美術館が所蔵してるみたいなので、また鑑賞できる機会ありそうだね。

ロシア・アヴァンギャルドの展示もあり、顔がほころんでしまった。
ROCKHURRAHもよだれを垂らしていたに違いない。(笑)
ロトチェンコ、マヤコフスキー、リシツキーらの作品は、ドキドキするほど魅惑的!
こういう作品に出会うと心が喜ぶよ。
載せた画像は、20年代から30年代の子ども向けの絵本だって。
教育や道徳などを絵本を通して伝えていたようだけど、ロシア語読めないので意味は不明だよ。(笑)
内容が分からなくても、絵とフォント、構図や色使いなど完成度が非常に高い絵本だったことは一目瞭然。
ロシア・アヴァンギャルドの素晴らしさを再認識したよ!

chaper3:モダニズムの時代を刻む版画

この章では、1910年代末から1920年代に登場した抽象表現主義の作品が展示されていた。
当ブログでは、今年に入って何度も1920年代というフレーズを書いているね。
きっとこれから先も書き続けるに違いないよ。(笑)
載せたのはピエト・モンドリアン、1927年の「色面によるコンポジション No.3」。
1957年に、モンドリアンの油彩画をシルクスクリーンとして複製したものだという。
この作品も町田市立国際版画美術館が所蔵しているというから、嬉しくなってしまうね!
ハンナ・ヘッヒの作品と共に、また鑑賞できる時があるはずだよ。
モンドリアンのコンポジションは、かつてSNAKEPIPEがオマージュさせてもらい、帽子やTシャツ作ったことがあるんだよね。(笑)
シンプルだけどインパクトがあって大好きなシリーズだよ。

第3章では「シュルレアリスム」の部屋もあり、ROCKHURRAHと2人で手を取り合って喜んだよ!
デュシャン、マグリット、マン・レイ、エルンスト、ダリといった錚々たる顔ぶれの作品が並んでいたからね。
すべて撮影禁止だったのが残念だけど、素晴らしいラインナップで大満足だったよ!

chaper4:「両大戦間」を超えて:After 1939

この章では亡命したアーティストを特集していた。
イギリス出身でニューヨークに移転したスタンレー・ウィリアム・ヘイターの作品が印象に残った。
ミロやエルンストに版画技法を伝え、ニューヨークではジャクソン・ポロックに影響を与えたアーティストだという。
作品の撮影ができなかったので、文章だけ書いたよ。
載せた作品は、1947年のイブ・タンギーの「棒占い」。
細いペンで線を描き水彩絵の具で淡く色づけたように見えるけれど、こちらはエッチングだって。
タイトルと作品の意味は分からないけど、不思議な雰囲気があるよね。

最後はフェルナン・レジェ、1950年の挿絵本「サーカス」が展示されていた。
レジェ晩年の作品だという。
載せた作品は「ヘタウマ」みたいで、おどけているように見える。
散文詩のような文章と共に、80点近いリトグラフが収められているという。
レジェといえば、2024年3月に「ポーラ美術館」で、力強いくっきりした線とポップな遊び心がある作品を鑑賞したことを思い出す。
マン・レイが撮影を担当した1924年の実験映画「バレエ・メカニック(原題:Ballet Mécanique)」などでも有名はレジェは、多方面で作品を残しているアーティストなんだね。

企画展「両大戦間のモダニズム:1918-1939 煌めきと戸惑いの時代」は雑誌の展示なども含めて、約120点ほどの見応えがある展覧会だった。
じっくり観ていたので、かなり時間がかかったよ。(笑)

常設展は「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」を開催している。
せっかくなので、こちらも鑑賞していこう!

月岡芳年というと、2012年10月に原宿の太田記念美術館で「没後120年記念 月岡芳年展」を鑑賞したっけ。
あの時は「無惨絵」を含め、月岡芳年が手がけた作品を十分に堪能させてもらったよ。
残酷なモチーフが多い印象だけど、今回は歴史をテーマにした展覧会なので「血みどろ」の作品はなかったよ。
載せたのは、明治18年(1889年)から明治25年(1892年)にかけて制作された「月百姿」シリーズの作品。
「つき百姿 千代能がいたゝく桶の底抜けて みつたまらぬは月もやとらす」とタイトルに書いてあり、どうやら鎌倉時代の安達一族の娘であった安達千代野をモデルにしているみたい。
月岡芳年の画力がもちろんだけど、錦絵の色使いは改めて素晴らしさを感じるね。
欧米の版画を観た後なので、違いが明確になったのかもしれないね。

町田市立国際版画美術館の企画展も常設展も、大満足だったよ!
坂道を通らなくていかれるなら、気軽に訪問できそう。(笑)
次の企画展も楽しみにチェックしていこう。
誘ってくれたROCKHURRAHに感謝だね!

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