【Art in Box入り口を撮影】
SNAKEPIPE WROTE:
アーチゾン美術館で開催されている「Art in Box マルセル・デュシャンの《トランクの箱》とその後」に行ってみよう、とROCKHURRAHからの誘いを受ける。
アーチゾン美術館といえば、ジャム・セッションというアーティストとのコラボ企画を何度か鑑賞しているんだよね。
昨年の11月は「M式『海の幸』ー森村泰昌 ワタシガタリの神話」だったっけ。
その前は10月で「鴻池朋子 ちゅうがえり」だったので、ジャム・セッションは秋口に開催されるものと思っていたSNAKEPIPE。
今年はどうなってるんだろう、と調べてみると「セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」は7月に終了していたよ。
情報を入手していなかったのは残念だね!
来年はマメにチェックしておこう。(笑)
1年ぶりのアーチゾン美術館は、「パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂」が始まる前だったので、全体的に「ひっそり」したムード。
チケット料金が500円というのも納得だね。(笑)
会場に入ると、まずは美術館所蔵作品から展示が始まる。
アーチゾン美術館は、マネもモネもピカソも、ほとんどの作品が撮影オッケー!
この太っ腹には拍手を贈りたいね。(笑)
気になった作品をいくつか紹介していこう。
「馬の頭部のある静物」はポール・ゴーギャンの作品ね。
SNAKEPIPEが高校生だった頃、一人でゴーギャン展を観に行ったことがある。
今から思えば竹橋の東京国立近代美術館だったように記憶しているけど、どうだろう。
タヒチの女性を描いたポスターを買って帰ったけど、飾った覚えはないなあ。
今回観た作品は、馬の左上に中国風の人形があり、中央と右には日本の(?)うちわが飾ってあり、奇妙な印象を受ける。
特に人形の顔が不気味で、そこが気に入ったんだよね!(笑)
藤田嗣治、1940年の作品「ドルドーニュの家」。
FUJITAといえば、美術館でお目にかかるのは、女性を描いた作品がほとんどなんだよね。
今回目にした油絵は、室内をモノトーンで描いていて新鮮だよ。
壁に銃が下がっているところに、戦争の暗い影が見え隠れする。
前年から第二次世界大戦が勃発していることを思い出すね。
Wikipediaによれば、その頃日本に帰国しているようなので、もしかしたらこの作品は日本で制作されたのかもしれない。
ジャン・フォートリエという名前に聞き覚えがないよ。
「旋回する線」という作品も初めて観たかもしれない。
どうやら2014年に東京ステーションギャラリーで展覧会が開催されていたようだけど、未鑑賞。
抽象絵画に興味を持つようになったのは割と最近だからね。(笑)
少ない色で、何を意味しているのか不明な絵だけれど,抑えた色調とボールペンの試し書きみたいな線が面白いよ。
他にどんな作品を残しているのか、検索しておこう。
いよいよお目当てのマルセル・デュシャン「Art in Box」の会場へ。
企画展とは言っても、常設展の片隅に「こじんまり」と設けられている。
そして撮影可能とそうではない作品が半分ずつくらい。
会場で渡された冊子に、全ての展示作品が載っていたので、撮影できなかったものに関しては、その冊子から転載させていただくことにした。
右の画像はフルクサスという1960年代に起こった芸術運動の作品をトランクに収めたもの。
どんな内容だったのか気になるよね!
こちらもフルクサス。
30周年記念のサウンド・アンソロジーだって。
Eric Andersen、Marcel Alocco、Giuseppe Chiariらの名前がタイピングされているカセットテープ。
イベント開催のチラシなのか、悪魔みたいな人影が描かれた色紙がある。
1962年からの音源をまとめているようで、一体どんな音が奏でられていたんだろうね?
デュシャンの「グリーン・ボックス」。
通称「大ガラス」と呼ばれる「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」を制作するためのメモやスケッチ、ノート類をボール紙の箱に収めた作品だという。
1934年に、どうやって複製を作ったのか不明だけど、通常版を300部、豪華版を20部制作したとのこと。
展示されていたのは通常版だったのか?(笑)
展示されていたデュシャンの箱の中で、一番気に入ったのはこれ。
「携帯できる美術館」として、自らの作品の複製をミニチュアにしてまとめているという。
言ってみれば「デュシャン・セット」ってことだよね。(笑)
中央左に小さな便器が見えるし、髭のあるモナリザまであって、このトランクの複製があったら欲しくなっちゃうよね!
デュシャンのホワイト・ボックス。
ニューヨークの画廊と提携して出版されたという。
メモや冊子が入っているので、デュシャンが何を思ったり気に留めていたのかを知る手がかりになりそう。
コレクターなら手に入れたい逸品だろうね!
先日出かけた川村記念美術館にもデュシャンの作品あったんだよね。
箱に「ローズ・セラヴィ」と書いてあって、とても字が上手かった!
川村記念美術館の作品リストには「大ガラスと関連作品」と書いてあるよ。
意外と日本にも入ってきてるんだね。
デュシャンについて書かれた書籍の外観デザインをデュシャンが担当したもの。
デュシャンの経歴に加え、予備資料として作品目録を付けてあるんだとか。
紙がベコベコになっていて、手作り感満載の雰囲気が良かったよ!
中身を観てみたかったなあ。
土色と黒のコントラストも素敵だったよ。
箱を作品制作に取り入れるといえば、ジョゼフ・コーネルだよね!
川村記念美術館ほどの規模ではないけれど、アーチゾン美術館にもコーネル作品がいくつか並んでいたよ。
1949年の作品「見棄てられた止り木」。
鳥は飛び立ってしまったのか、姿が見えないよね。
床には鳥の羽とおぼしき物体が残されている。
分かりやすいタイプの作品だけど、コーネルの箱って可愛くて好きなんだよね!
コーネルのコラージュも展示されていた。
先程の鳥はここに登場したのかもしれないね?
「衛星の観測 I」は、スノードームのような形状のガラスに、ベラスケスの有名な「ラス・メニーナス」とハチドリが入っている。
空には宝石のような立体が浮かんでいて、これも可愛らしいよね。
他の作品もポストカードになっていたらほしい、と思ったよ。
残念ながらミュージアム・ショップが開いてなかったので販売されていたのかどうかは不明!
日本人のアーティストの作品もあったよ。
デュシャンと交流があった瀧口修造や、フルクサスのメンバーとして活動していた塩見允枝子などの作品展示もあり、「こじんまり」しているけれど、充実したコレクションだったね。
載せた山口勝弘の「ヴィトリーヌ」(1955年)も箱の作品といえるかも。
見る角度によって変化するガラスを前面に使用した作品は、紹介したコーネルのコラージュと同時代の制作なんだね。
白髪一雄が具体に参加したのも1955年なので、1950年代の日本について調べてみようと思ったよ。
アーチゾン美術館で「ご自由にどうぞ」と積まれていた「Art in Box」の冊子が素晴らしいの!
撮影できなかった作品も含めて画像が載っていて、詳しい説明まで書いてある。
この冊子は、ほとんどカタログ並のクオリティだよ。
アーチゾン美術館、ありがとう!(笑)
来年のジャム・セッションを楽しみにしよう。