【念力で人を吹き飛ばすソッコン】
SNAKEPIPE WROTE:
Netflixを堪能している話は、前回の「映画の殿 第41号 Netflixドラマ編」で語っている。
ドラマを鑑賞することが多いけれど、映画も観てるんだよね。
今回紹介するのは日本未公開で、Netflixだけで公開されている「サイコキネシス -念力-(原題:염력 2018年)」 という韓国映画。
今までにもポン・ジュノやパク・チャヌクなどの作品をはじめ、俳優であるソン・ガンホが出演している韓国映画はかなりの本数観ている。
ROCKHURRAH RECORDSでは、韓国映画がスペイン映画の次に来たブーム、という感じかな?(笑)
タイトルだけ見るとオカルト系の話なのかなと思いながら観始めた「サイコキネシス」は、SNAKEPIPEの予想を大きく裏切ってくれた。
もちろん良い意味で、ね。(笑)
どんな映画なのか、トレイラーを載せてみよう。
簡単にあらすじを書いておこう。
突然超人的な能力に目覚めた父親と、大切なものを守るため必死で戦う娘。
頼りない中年男はスーパーヒーローになれるのか。
すべてを賭けた戦いがいま幕を開ける。(Netflixより)
ここからは感想をまとめていこう。
ネタバレしていますので、未鑑賞の方はご注意ください!
警備員として生計を立てている、しがない男やもめのシン・ソッコン。
出勤前、公園で水を飲むのが習慣のようで、その日も水を口にする。
映像だけが流れ詳しい説明がないけれど、どうやら宇宙から落ちた隕石から出た何かが混ざった水だったようで。
ソッコンは飲んだあと、「腐っている」と表現している。
その水が不思議な力を習得する原因になるんだよね。
これが主人公シン・ソッコン。
寝起きの村上龍か蛭子能収か、といった雰囲気なんだよね。(笑)
演じているのはリュ・スンリョン。
この俳優が出演している他の作品は観たことないかも。
勤務先で備品をちょろまかしたりする、器の小さい男。
ひとり暮らしを良いことに布団は敷きっぱなしで部屋は荒れ放題。
こういう生活送ってる人、多いのかな?
横着して寝たままタバコを吸おうとした時、初めて自らの超能力に気付く。
シン・ソッコンの娘、ルミ。
演じているのは、まるですっぴんの荻野目洋子かといった風貌のシム・ウギョン。
両親は離婚しているので、母親と一緒に暮らしている。
激辛チキンの店を成功させ、テレビ取材を受けるほどの人気なんだよね。
ところが、ルミの店がある商店街一帯が、再開発地域に指定されてしまう。
中国人観光客向けの免税店を作る、というのがいかにもありそうな話だよね。
立ち退きを迫る建設会社と、反対する商店街の人たちとの攻防が繰り広げられることになる。
その攻防の真っ只中、母親が巻き込まれて死亡してしまう悲劇が起こる。
地上げ屋を雇っている建設会社の社長と部下。
利益を得るためなら何でもやる、といったズルそうな人相なんだよね。
左にいる社長は、間延びした五木ひろしといった雰囲気だよね。(笑)
社長なのに小心者。
汚れ仕事は人任せ、自分は動かないんだよね。
こういうタイプも現実にいそうだよ。
母親が死亡したことを知らされ、葬式に顔を出したシン・ソッコンとルミは何年ぶりの対面だったのやら。
ルミは父親に対して、自分を捨てた人という認識を持ち、今更父親面をされることが許せない様子。
それでもソッコンは、ルミの状況を知り、商店街の攻防に力を貸すことにする。
暴力を振るう地上げ屋に対して、超能力を使っているシーンがこれ。
見て、この顔!
思わず吹き出してしまうほどの面白さよ。(笑)
ルミの驚いた顔も良いよね。
続いての念力シーンがこれ。
リュ・スンリョンの顔芸とでも言おうか、 変顔の連発に大笑いしちゃうんだよね!(笑)
このシーンでは、手にとどまらず、膝や舌まで使って物を動かしている。
手からパワーを出すのは漫画だったり、Netflixのドラマ「ストレンジャー・シングス」でも見るけれど、ここまでおバカな方法を使うのは初めてだよ。
いや〜、最高!(笑)
おバカな顔ばかりじゃなくて、娘のために闘う決意の表情がこれ。
この時にはニコラス・ケイジに似てるな、と思ったSNAKEPIPE。
ニコラス・ケイジもおバカなキャラクターからハードボイルドな役までこなす俳優だから、雰囲気が近いのかもしれないね。
リュ・スンリョンの他の作品も観たくなったよ!
ソッコンの超能力はなんでもアリで、自分が欲したことができちゃうみたい。
人や物を投げ飛ばすし、空を飛ぶことも可能!
こんな能力あったら良いだろうね。(笑)
ルミを救うため、スーパーマンのように飛んで助けるシーンがこれ。
父と娘に絆が戻った瞬間といえるだろうね。
建設会社や地上げ屋の執拗な立ち退き話は現実的なのに、ソッコンの超能力が加わると途端に荒唐無稽になるところが秀逸だと思ったよ。
筋自体は単純なのに、強い印象を残すのはやっぱりリュ・スンリョンの顔芸のおかげだね。(笑)
ウィル・フェレルのおバカ映画が大好きなSNAKEPIPEなので、「サイコキネシス」も非常に気に入ったよ!
監督は「新感染 ファイナル・エクスプレス(原題:부산행 2016年)」のヨン・サンホ。
「新感染」は鑑賞済で、電車の中というシンプルな設定なのに、スリルのある目が釘付けになる映画だったことを思い出す。
元がアニメーション監督だというので、「何でもアリ」の発想ができる人なのかなと推測する。
「ソウル・ステーション/パンデミック」 はこれから鑑賞するので、とても楽しみ!
「新感染」の続編である「新感染半島 ファイナル・ステージ」もいつか観たいと思う。
楽しみが増えて嬉しいね!