【ギャラリーの入り口を撮影】
SNAKEPIPE WROTE:
先週書いた「トム・サックス ティーセレモニー 鑑賞」 の続きである、もう一つの展覧会についてまとめていこう。
東京オペラシティのある初台より新宿に出た長年来の友人MとSNAKEPIPEは、池袋方面を目指す。
山手線の内回り・外回りって未だに分かってないんだよね。
特に池袋方面に行ったことがほとんどないので、降りたことがない駅ばかり。
目的地は「日暮里」!
以前「日暮里繊維街」を歩いたことがあるけれど、ほとんど知らない場所と言って良いね。
友人Mも全く土地勘がないらしいけど、地図が読めるため不安はないらしい。
そのため一緒にいるSNAKEPIPEも安心なんだよね。(笑)
日暮里駅から目指していたのは「SCAI THE BATH HOUSE」。
元は銭湯だった建物を改装したギャラリーで、1993年の開設だという。
銭湯を改装して店舗にしたというと、「まい泉」青山本店などを思い出すよね。
それにしても25年もの歴史があるギャラリーなのに、SNAKEPIPEは名前も知らなかったよ。
今までの開催された展覧会について調べていると、面白そうな企画がたくさんあるんだよね。
気付いていなかったとは、残念なことをしたなあ。
そのSCAI THE BATH HOUSEでは、「B29と原郷 -幼年期からウォーホールまで」というタイトルで横尾忠則の展覧会が開催されている。
この展覧会については、以前よりROCKHURRAHから誘いを受けていたSNAKEPIPE。
友人Mからも誘われるとは、びっくり!
ROCKHURRAHから先に誘われていたのに、友人Mと鑑賞してしまい申し訳ない。
今度また一緒に行こうね!
横尾忠則についてSNAKEPIPEが書いた記事はいくつもあるんだけど、横尾愛を熱く語っているのは、2009年5月の「好き好きアーツ!#07 横尾忠則」だね。
昨年までの事務所には横尾忠則のポスターを壁に飾っていたので、いつでも身近に作品があったっけ。
個展の鑑賞は、2002年に東京都現代美術館で開催された「横尾忠則 森羅万象」まで。
それ以降グループ展での展示は観ているけれど、個展には行っていないみたいだよ。
久しぶりの横尾忠則、どんな作品が並んでいるんだろうね?
日暮里駅南口を降りて、谷中墓地を抜けていく。
名前は聞いたことあるけど、これがその墓地なんだね、と喋りながら歩く。
SCAI THE BATH HOUSEは墓地を抜けた先にあるようだ。
どんどん道幅が狭くなって、自転車用道路と歩行者用通路が重なるくらいの狭い道に出た時、「元銭湯」だったギャラリーが見えてきた。
ギャラリー前で写真を撮っている人、屋根を見上げている人などがいる。
SNSなどにアップするためなのかな?
SNAKEPIPEも、最近Instagramを始めた友人Mも負けじと撮影。
引き戸をガラガラと開け、中に入る。
ここって無料なの?
受付には女性が座っていて、特にチケット販売をしていない。
おー!無料とは嬉しいね!
小さな声で撮影について尋ねると、オッケーとの返事が。
やったー!これでまた写真が撮れるよ!(笑)
バシバシ撮影させていただこう。
気になった作品について感想をまとめていこうか。
作品は全部で16点展示されていた。
全体的に、かなり大きさがある作品が多い。
「エジソンと点滴」は2018年の作品で、大きさは60号。
女性の顔に巻かれたリボンの中央にエジソンがいるのが分かるね。
点滴されている黄色い腕が、女学生(?)に迫っている。
指の色が黄色、オレンジ、白、黒という4色に染まっているのは、人種を表しているのかな?
左上の文字が「45」となっているので、1945年を意味しているのかなと想像する。
今回の展覧会は、横尾忠則の個人的な思い出を表現しているようなので、解釈は人それぞれで良いのかな、と思ったよ。
「戦争の涙」は2009年の作品ね。
右にはマッカーサー元帥、左は渡辺はま子だね。
マッカーサー元帥を知らない人は少ないんじゃないかな。
そのマッカーサーが大粒の涙を流し、「Ah,SO」と文字があるのは謎だよ。
そして1/4アメリカの血が入っている渡辺はま子の存在は、更に分からないね。(笑)
渡辺はま子といえば「蘇州夜曲」!
横尾忠則は、憧れの存在や夢に出てきた人物を作品に登場させることがあるので、意味を考えるのをやめようか。
この2枚セットの配置も謎だけど、強く印象に残る作品だよ!
「 T+Y自画像」は2018年の作品とのこと。
口元に手を置いた、あまり横尾忠則らしくない作風に驚く。
まるで岸田劉生の有名な自画像みたいじゃない?
横尾忠則の、ここまでストレートな「自画像」を観たのは初めてかも。
SNAKEPIPEの勉強不足かもしれないので、断言はできないけどね。
何か心境の変化があったのかな。
左上に描かれている「首をくくるための縄」が、横尾らしいアイテムだよね。
この縄は1965年に制作された横尾忠則自身を宣伝したポスターに描かれている、横尾忠則本人が首を吊っている、あの縄から来てるんじゃないかな。
SNAKEPIPEの記憶によれば、横尾忠則は自分が短命で30歳まで生きられないだろうと思い込み、29歳の自分の姿を登場させたポスターだったはず。
現在、横尾忠則82歳!
「死なないつもり」なんて著作もあるほど、現役で活躍してるよね!(笑)
「3つの叫び」は2019年の作品。
横尾忠則はモチーフを反復させることが多く、今回もターザンが登場しているよね。
ターザンの絵を初めて観たのは「ムー」のタイトルバックだったかな。(古い!)
真ん中はターザンの連れ、ジェーン?
そして右の子供は、幼少期の横尾忠則だろうね。
またもや右上に首縊り用の縄が描かれているよ。
様々な禁止マークも謎だけど、もっと不思議なのは、左下の3人の足。
まるでターザン達の幕の後ろに隠れているような感じ。
横尾忠則の作品は、個人的な要素が含まれているので、謎解きしても意味がなさそうだよね。
展示されている作品にタイトルが付いていなかったので、これが「原郷」なのか自信がないんだけど。
もし間違っていたらごめんなさい!
また同じ服装の横尾少年が描かれている。
椅子の背を持ち、ポーズを決めているので、写真館で撮影された記念写真を元にした自画像なのかもしれないね?
そして中央には女性を描いている現在の自画像。
戦闘機とパイロット、空虚な目で空を見上げる群衆、 意味不明の道路標識。
黒っぽいバックが、より一層混濁した印象を残している。
夢うつつの状態を描いたら、こんな感じになるんじゃないかな。
「白浜-喜びも悲しみも幾歳月」は2006年の作品。
左は横尾忠則の結婚写真を、右側にはY字路が描かれている。
この順番でいくと、左が「白浜」で右が「喜びも〜」かな。
タイトルの白浜は和歌山県白浜町で、灯台は「潮岬灯台」?
左の奥に親族の方々のモノクロームが写真が貼り付けられているように見えたよ。
横尾忠則らしい、複数の要素が散りばめられている作品だよね。
どうして右側に夜のY字路が配置されているんだろう。
横尾忠則は一目惚れした女性と21歳という若さで結婚している。
その時点では、ここまでのアーティストになるとは思ってなかったんだろうね。
家庭を持つことに少し不安があった、ということかもしれない。
最後は60点の作品群「A.W.MANDARA」、2019年の作品である。
A.W.とは、展覧会のタイトルにもあるアンディ・ウォーホルのこと。
商業デザイナーとしてスタートしたキャリアを持つウォーホルと、グラフィック・デザイナーから画家に転向した横尾忠則は経歴が似ているよね。
そんなウォーホルに対して、横尾忠則はどんな思いで曼荼羅を作成したんだろう。
尊敬の念なのか、ある種の仲間意識なのか。
それにしてもウォーホル曼荼羅とタイトルには書いてあるけど、1996年の映画「バスキア(原題:Basquiat)」で、ウォーホルを演じたデヴィッド・ボウイに似た肖像画もあったような?
SNAKEPIPEの勘違いかもしれないけどね!
横尾忠則の新作を鑑賞できて良かった!
前述したように個展の鑑賞は2002年までだったため、17年のブランクがあるSNAKEPIPE。
それでもあまり変わっていない横尾忠則を確認できたかな。
子供っぽさが健在だな、という意味なんだけど、褒め言葉だから!(笑)
思い出や、好きだったこと(物や人も)を 、いつまでも同じ気持ちで大切にしているってことなんだよね。
そして年齢を重ねて、更に作品の自由度が高まったように感じたよ。
もっと新作を観たいね!
元銭湯だったという面白いエピソードを持つ、SCAI THE BATHHOUSEを初めて訪れた。
すっきりとした会場には、とても無料とは思えないほど充実した数の作品が展示されていて驚く。
お気に入りの場所が増えるのは嬉しいね。
また企画をチェックして、足を運んでみよう!
次回は是非、ROCKHURRAHと一緒にね。(笑)