【これが紀元前3000年の作品「Guennol Lioness」。素晴らしい出来にうっとり】
SNAKEPIPE WROTE:
先日テレビで「最も値段の高い写真」が紹介されていた。
オークションで付いたお値段が3億3千万!
ほー、写真にもそんなに高いお値段がつくんだなあと感心してしまった。
「写真は芸術ではない」
という風潮が昔にはあって、複製できる写真は一枚しか現存することがない絵画に比べると軽く見られがちだからね。
またいつひっくり返るのか判らないけれど、今のところの写真部門第一位の最高値を付けた写真がこちら。
1955年ドイツ生まれのアンドレアス・グルスキーの作品「Rhein II」(1999)である。
スティッチング技法という聞きなれないテクニックを使用して制作されているとのこと。
これは何枚もの写真をつないで一枚の写真にする方法なんだって。
そのためキメの細かい、大きな作品に仕上げることができるそうである。
今回の作品もかなり大きく81 x 140インチ…ってことは205.74 × 355.6cmとのこと。
そうね、写真としてみるとかなり大型作品になるんだろうね?
恐らくほとんどの人がこの作品を観ても意味不明だと思うけれど、観る人によっては高い価値を持つ作品なんだろうなあ。
きっと実物を鑑賞しないと解らないような気がするよ
なーんて観ても解らなかったりして?(笑)。
アンドレレアス・グルスキーという写真家は2007年にも「高額写真ランキング1位」になったことがあったらしく、その時は「99 Cent II Diptychon」という作品で2億5千万円也!
ひゃー、すごいねこの5年間で6億近くを手にするとは!
写真家ってなかなか金持ちになれないと思うんだけど、グルスキーは別格なのかな。
写真家というよりも現代アートに近い感じがするしね?
写真家で2番目に高い値が付いたのはシンディ・シャーマンだって。
1981年に制作された「アンタイトルド」シリーズ、例のシンディが女優みたいに自身を着せ替えてるセルフポートレートね。
これが今年の5月に$3,890,500、ということで2億9千800万、ほとんど3億円の値が付いてるとはすごいねえ!
やったね、シンディ!(笑)
高額写真のリストを見ると、エドワード・スタイケン、アルフレッド・スティーグリッツ、リチャード・アベドンやアッジェなどの大御所写真家の名前もあってちょっと驚き。
現代アート寄りの写真が高額、と決まってるわけじゃないんだねえ。
ふーむ。
では絵画部門はどうなってるんだろう?
これまたいつ順位が変わるのか判らないけれど、現段階での一位はジャクソン・ポロックの「No. 5, 1948」で、お値段なんと140ミリオンダラー!
ってことは…ひゃっ、107億!!!
しかもこれ、現在のレートで計算してるからねえ。
ここまでの円高じゃなかったらもっとお高いんだろうね。
見慣れない桁数でパッと金額がでてこないよ。(笑)
2位はデ・クーニングの「Woman III」で137.5ミリオンダラー、105億円也!
1位と2位の差がたったの2億か、と思ってしまったSNAKEPIPEがおかしいのかな?
金額が巨大すぎるから、1、2億の違いじゃ驚かなくなってくるから不思議だよね。(笑)
はい、続いて3位はグスタフ・クリムトの「Portrait of Adele Bloch-Bauer I 」、135ミリオンダラー、103億ね。
2億ずつの違いだから、きっと近い将来また順位の変動がありそうだよね!
その昔、調べてみたら1987年だったけど、安田火災海上が「ゴッホのひまわり」を当時の金額にして58億で購入というニュースを聞いた時には「すごい金額!」って思ってたけどねえ。
ちなみに日本人で高額落札者として名前があるのが大昭和製紙(現・日本製紙)代表取締役名誉会長だった齊藤了英って方。
1990年ゴッホの「Portrait of Dr. Gachet」を125億円で、ルノアールの「 Bal du moulin de la Galette」を119億円で落札してるんだねえ。
しかもこの2枚を買ったのが2日違い!
3日間で240億円を使うってすごいよね。
なんてバブリーな話題!(笑)
続いて彫刻部門!
10位以内に3つの作品が入っているのはジャコメッティ!
104、53、27それぞれミリオンダラーってことで総額約140億円。
さすがジャコメッティ、知名度が違うよね。
彫刻部門は他にピカソやマティスが入ってることにちょっと驚き。
更に驚いたのが紀元前の作品が2つも10位以内にラインクインしているところ。
当然ながら「作者不詳」の作品なんだよね。
美術館で所蔵されていたけれど、オークションにかけられたみたい。
美術館とか博物館に展示されていたような歴史的にも美術的にも価値がある作品を自分のモノにするってどんな気分だろうね?
「Guennol Lioness」という名前で呼ばれているメソポタミア文明(紀元前3000年)の彫刻は、人間のようにも見える不思議な動物をイメージしているようだ。
写真で観るだけでもその作品にはとても強い力を感じることができる。
恐らく岡本太郎が目指していたモノに近いんじゃないかな?
現代人にはとても真似ができそうにない、ピュアな作品だと思った。
美術品の値段というのは、恐らく買い手が決めることがほとんどで、その買い手側の何かしらの事情によって高額で売買されたり、されなかったりするんだろうね。
好事家が「絶対この作家の作品買う!」って決めたら、相手が「うん」と言うまでお金を積み上げるだろうし。(笑)
時代の変化が作家の評価に影響する場合もあるしね。
デパートで売られているような物品と違うから、コストに対しての利益を考えて値段が決められる種類のものでもない。
それなのに億単位のお金が動く世界、すごいよね!
世界中にたくさんのコレクターがいて、お金持ってるんだなーと改めて知ったSNAKEPIPE。
特に2000年を過ぎてから余計に高額出費に拍車がかかっているからね。
このコレクター関係の企画、また書いてみたいと思う。