ゾンビが鷹を生んだ?

【タイトルにちなんでこの映像  ↑クリックしてみてね(音が出ます)】

ROCKHURRAH WROTE:

ちょっと過ぎてしまったが6/13は金曜日ということで安直ではあるがホラーな話題にしてみようか。
元々ROCKHURRAHは「映画と言えばホラー」というくらいに結構この手の映画を好んで見ていて一時期はかなりのめり込んでいたんだが、SNAKEPIPEが怖いの苦手、なので最近はとんとご無沙汰のジャンルでもある。そしてやっぱりROCKHURRAH RECORDSの音楽ジャンルと同じく70〜80年代のものを最も好んでいる。

その中でも最も好きな作品は意外な事に本格派王道ホラー映画の代表、ジョージ・A・ロメロ監督のいわゆるゾンビ三部作だ。あまり人が知らないようなB級ホラーをどこかから見つけて来たりはしなかった点が自分で少し「らしくない」と思うけど、メジャーだろうが何だろうが好きなものは仕方ない。
今年はちょうどロメロ監督のデビュー40周年(だと思う)なので話題としてはちょうどいいかな。

ホラーに詳しくない人はこの監督の名前聞いてもピンと来ないだろうけど、簡単に言えば誰でも知ってる単語、ゾンビ(Zombie)を世の中に知らしめた人だ。他のジャンルの映画も撮っているけど、ロメロと言えばゾンビ映画の第一人者として圧倒的に有名だ。
それ以前に「ふたりのシーズン」などのヒット曲で有名なゾンビーズという英国バンドがあったけども、これは名前だけなので割愛。

このロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/Night Of The Living Dead(1968年)」「ゾンビ/Dawn Of The Dead(1978年)」「死霊のえじき/Day Of The Dead(1985年)」が70〜80年代にうじゃうじゃと量産されたゾンビ映画の中でも燦然と輝く金字塔である事は間違いない。

デビュー作である「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のイントロ部分、墓参りにやって来た兄妹の後ろに隠しもせずに堂々とゾンビは現れ、そして襲う。
ただの酔っ払いや与太者と違うのはからんで襲うだけでなく食いつく事にある。
「何か起こりそう」というようなホラー映画にありがちな演出がないところがまずは個人的に好ましい。
ロメロ作ゾンビの共通点でもあるのだが、あまり科学的説明はなくて「何だかよくわからないけど至る所で甦ってしまった」というような部分が怖い。例えるならば新種の伝染病みたいなもので、どういう原因で発生してどういう対策を取ればいいのかまだわからないという過程ね。
わからないながらも登場人物は建物の中に逃げ込み、ひとまずはゾンビどもの来襲を避ける。が、この中でもさまざまなエゴによる対立や差別などが起きてうまく纏まらないのがもどかしい。
結局は人間側の団結は崩壊、最後に生き残った主人公は・・・これはもうテーマといい映像といい、ホラー映画の名画とされるのがわかる作品だね。
オリジナルはモノクロだから直接的なスプラッター描写もあまりなく、出てくるゾンビも妙にスタイリッシュだったり(笑)小粋なホラーなので万人にオススメ出来る作品?

それから約10年後、やっと夜明けがやって来る。
世界中の人々を怖がらせた衝撃の大作「ゾンビ」の登場だ。
「ナイト・オブ〜」に比べると格段にスケールアップした舞台設定、そしてロメロ監督のゾンビにリアリティを与えた世界一の特殊メイク・アーティストであるトム・サビーニ(「ゾンビ」以前の吸血鬼青春映画「マーティン」も必見!)の参加により、前作ではなかった直接的スプラッター描写のオンパレード。気の弱い人は見ないで下さいという映像がこれでもか、という位ふんだんに使われていて、これは凄過ぎる。
・・・と思ってさっきまた観賞したんだが、そこまでグロくはなくて血みどろ描写も控えめ。
ロメロの場合は恐怖の表現というよりはシチュエーション作りのうまさが光っている。この作品で好きなのはゾンビ対人間の攻防というよりも、生き残った人間がほとんどいない巨大ショッピング・センターで極限状況の中でも楽しんでしまう主人公たち、という部分だ。その裏側に救いようがない状況があるだけに、余計リアルなものがあるし、共感も出来る。タフで頼りになるSWAT隊員二人と一般人の男女カップルという奇妙な組み合わせも効果的だ。そしてこの映画のラストも言うまでもなく救いようがない。

この後、ロメロの影響を受けたゾンビ映画がたくさん生まれるが、これを超えた作品は出る筈がないとさえ思える大傑作だ。

そして三部作の中では最も評価が低い「死霊のえじき」となる。これはゾンビが遂に世の中の大半になってしまい、生き残った人間の方が隠れて暮らすという逆転の世界でのお話。ちょっとだけ進化して知能と感情があるように見えるバブというゾンビ、それを飼いならしてゾンビとの共存をはかる博士、でも飼いならす為にはえさの人肉が必要という「歩み寄る事は出来なさそうな設定」は面白かったが、前2作と比べるとキャストがイマイチだという印象がある。それでも二番煎じのその辺のゾンビ映画よりはずっと出来はいいんだけど。

ジョージ・A・ロメロ以外のゾンビは認めないかと言うと、そうでもなくて、総合的に欠点は多くても何となく気に入った作品は他にもある。少しだけついでに書いておくか。

サンゲリア/Zombie2(1979年)」
イタリアン・ホラーの巨匠(?)ルチオ・フルチの有名なゾンビ映画。
このゾンビはロメロ版のと比べるとかなり汚いのが特色であまり新鮮さはないが、ロメロのように人間ドラマといった部分はほとんどなく、ひたすら残酷さのみを追求している。ある意味こちらの方が王道かも。
死にそうな目に遭って助かったけど帰って来たらビックリというパターンもいかにも。関係ないが主役俳優の名前がイアン・マカロック(笑)。エコバニかよ。

ゾンゲリア/Dead & Buried(1981年)」
邦題からしてウソくさいが実は意外と好み。
これは見た事ない人が多いだろうけど田舎町で起こった殺人事件、謎の解明というような部分もあり、なかなか面白いストーリーで少しオススメ。いわゆるゾンビ風のゾンビは出て来ないのでホラーと言うよりはミステリーとかサスペンスっぽいのかな。

バタリアン・リターンズ/Return Of The Living Dead3(1993年)」
これはゾンビ青春映画というようなノリでこれまでのホラー女優のイメージを覆すパンク(と言うよりはゴシック&ポジパン系?)な雰囲気のミンディ(メリンダ)・クラークが熱演。後に「キラークイーン 舌を巻く女」という怪作でも主演していたな。

ホラー映画の中でも特にゾンビ物はROCKHURRAHの好きな音楽、サイコビリーにも多大な影響を与えている。ROCKHURRAH自身もホラー好きからサイコビリー好きになった一人だから、そっち方面からもまた書きたいと思っている。
ではまた来週来襲します(ウソ)。

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