イサム・ノグチ 発見の道 鑑賞

20210704 top
【イサム・ノグチ展のフライヤー】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mから展覧会鑑賞のお誘いを受けたのは、1ヶ月以上前のことだ。
「イサム・ノグチ観たい!」
東京都美術館で開催されている「イサム・ノグチ 発見の道」は、2021年4月24日から8月までだけれど、松濤美術館での苦い経験から、早目にチケット予約をする。
鑑賞前にイサム・ノグチについて少し予習しておこうかな。(笑) 

1904 米国ロサンゼルス生まれ
父親は詩人の野口米次郎、母親は作家で教師のレオニー・ギルモア
1907 母レオニーと来日
1918 単身で米国に戻る
1923 コロンビア大学医学部に入学。
夜間はレオナルド・ダ・ヴィンチ美術学校で彫刻を学ぶ
1927 グッゲンハイム奨学金を獲得し、パリに留学する。
彫刻家コンスタンティン・ブランクーシに師事してアシスタントを務める
1935 日系人強制収容所に志願拘留されるも、芸術家仲間フランク・ロイド・ライトらの嘆願書により出所する
1951 山口淑子(李香蘭)と結婚(56年離婚)
1968 ホイットニー美術館で回顧展を開催
1987 米国国民芸術勲章受勲
1988 心不全により84年の生涯を閉じる

かなり端折って経歴を書いたけれど、イサム・ノグチがとてもドラマチックな人生を送っていたことが分かるね。
2019年3月の当ブログ「EAMES HOUSE DESIGN FOR LIVING」 にも、イサム・ノグチとイームズ夫妻の交流について書いているね。
「この人のことをもっと知りたいと思った」なんて書いておきながら、友人Mに誘われるまで展覧会に気付いていなかったとは!(笑)

予約した日は、どんよりしたくもり空。
久しぶりの上野公園は、人が少なめで歩きやすかった。
東京都美術館といえば、思い出すのが2016年5月の「若冲展」での大行列! 
あの時はもっと向こうのほうまで並んだよね、などと話ながら歩く。
現在は日時指定のチケット販売になっているので、もうあの時のように2時間待ちの行列を体験することはないだろうね。(笑)
当然ながらチケット販売枚数も制限されているので、会場内でも快適に鑑賞することができる。
美術館関係者の人数がお客さんより多いのではないかと思うほど、密が避けられていないのが不思議でならないよ。

早速会場に入ってみよう。
今回は撮影不可の3階展示場以外は、フラッシュや動画撮影をしなければ撮影オッケー!
バシバシ撮っていこう!

「わー!」
会場に入った瞬間、思わず声が出る。
イサム・ノグチの代表作の一つである光の彫刻「あかり」。
和紙を使用した「ぼんぼり」なんだけど、空間一面を覆う圧倒的な数は、とても迫力があるよ。
シンプルなのに、非常に美しくて幻想的だったね。

中央の「あかり」をぐるりと囲むようにブロンズの作品が展示されている。
画像は1945年の作品で「グレゴリー(偶像)」だよ。
イサム・ノグチの作品のタイトルは、「見たまま」の場合もあるけれど、意味不明のことも多いように感じる。
もしかしたら近所に住んでいるグレゴリーさんのイメージで制作されたのかもしれない。
ブロンズの色合いや全体のバランスが好き!と思ったSNAKEPIPEだよ。(笑)

地下から1階の会場に入ると、所狭しと作品が展示されている。 
正面に強い存在感を示しているのは、1958年から59年にかけて制作された「黒いシルエット」。
陽極処理をされたアルミニウムとのことだけど、それは一体なんだろう。
アルミニウムを陽極(+極)で電解処理して人工的に酸化皮膜(アルミの酸化物)を生成させる表面処理することだって。
鈍い黒色が好みで、欲しくなった作品だよ!

こちらはブロンズで、「2=1」というタイトルなんだよね。
♪君と僕は二人で一人〜(にしきのあきら)
SNAKEPIPEには、抱き合っている2人に見えるので、このタイトルには納得しちゃったけど?
抽象的な絵画や彫刻は、観る人によって解釈が違うだろうね。
2021年3月、岡本太郎記念館の「対峙する眼」で鑑賞した「愛」に似た雰囲気だと思ったよ。
シンプルな形なのに、色々な想像ができるのが楽しいね。(笑)

「レディ・ミラー」は1982年から83年にかけて制作された作品。
鏡に光が反射したように輝いて見えて、とても神々しい。
角度を変えて、鏡部分を観ると、濁った金属にしか見えないところが不思議だよ。
素材は溶融亜鉛メッキ鋼版だって。
様々な金属を使用して作品作りをしていたことが分かるね。
太古の祭祀で使われていた、と言われたら納得しちゃうかも。(笑)

変則的な形の「あかり」シリーズと、右手前に「びっくり箱」という作品が展示されている。
「あかり」は、丸い形以外のデザインも素敵なので、自宅に飾りたくなるよ。
ミュージアム・ショップで少し小型の「あかり」が販売されていたけれど、割とお手頃価格だったのが意外だった。
「びっくり箱」もオブジェとして欲しいなあ。
どこに飾るか?(笑)

展示は2階に続いていて、石の彫刻が展示されていた。
金属の彫刻は撮影オッケーだったのに、石はNGだって。
鑑賞だけで満足したよ。(笑)

東京都美術館では「都美セレクション グループ展 2021」が開催されていたので、せっかくなので鑑賞する。
とても好みだったのが千葉大二郎の「八犬伝」シリーズだった。
大きな作品だったので、画像は部分のみ。
デジタル処理された迷彩をバックに、漢字が見えるんだよね。
タイトルを見て納得。
八犬伝に出てくる、玉に書かれた「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の文字なんだね。
調べてみると千葉大二郎は1992年鹿児島県奄美大島生まれ。
多摩美術大学卒業後、東京藝術大学大学院修了とのこと。
他の作品も観てみたいね!

アーティスト名が分からなかったんだけど、ドラマ「ハンニバル」に出てきそうな猟奇的な作品もあったよ。
椅子にかけられている茶色い布みたいな物が、まるで人間の皮膚に見えてしまったのはSNAKEPIPEだけかしら?(笑)
大きな貝殻も不気味で、ギョッとさせることに成功している作品だと思う。
グループ展は複数人が参加しているので、できればもっと分かりやすくキャプションをつけておいて欲しいな!

上から会場を見下ろした時に、最初に目に入ったのがこの作品だった。
キラキラ光っていて、気になったんだよね。
イサム・ノグチの作品に時間をかけていたので、「グループ展」はサラッと観ようとしていたけれど、できれば近付いて観たい!
例えばデオキシリボ核酸などの生体物質から着想を得たような形状は、金属と透明プラスチックの歯車みたいな素材で組み上げられている。
少しずつ増殖しているかのようで、ある種の生命体に見えるところが面白かった。
この作品も作者が分からず、残念だよ。

「イサム・ノグチ」も「都美セレクション グループ展 2021」もじっくり鑑賞できたよ。
イサム・ノグチの作品は、例えば横浜美術館の所蔵作品として鑑賞したことがあったけれど、個展は初めてだからね。
スケールの大きさと迫力に大満足だった。
抽象的な彫刻も魅力的だね!
鑑賞して良かった展覧会だったよ。

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