中野信子『数学的崇高』についての脳科学的考察/細谷巖 突き抜ける気配 鑑賞

20220925 09
【銀座 蔦屋にあるギャラリーの壁を撮影】

SNAKEPIPE WROTE: 

ROCKHURRAHの影響でタイポグラフィに興味を持つようになったSNAKEPIPE。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催される企画展情報は、マメにチェックしているんだよね。
今回は「細谷巖 突き抜ける気配」だって。
日本の広告デザインの第一人者として活躍してきたらしいけれど、SNAKEPIPEはよく知らないよ。
銀座だったら、他にも面白そうな展覧会があるはずなので、検索してみよう。
銀座 蔦屋書店のアートギャラリーで開催されている脳科学者である中野信子の『数学的崇高』についての脳科学的考察」ってどんな展覧会だろう?
中野信子は、NHK BSで放映されている「英雄たちの選択」のコメンテーターとして出演しているので、ROCKHURRAH RECORDSではお馴染みの人物なんだよね。
せっかくなので2つの展覧会を「はしご」してみることに決定!

ROCKHURRAHと一緒に銀座に向かった日は、湿度が高く日差しもあって、とても暑かった。
少し歩くだけで汗だくになるほど。
まずは銀座シックスの蔦屋に向かう。
今までも何度か訪れたことがある銀座シックスだけど、服飾の店舗はいつでもガラガラ。
SNAKEPIPEが心配することはないけれど、売上取れているのかなあ?
蔦屋書店が入っている6Fへ。
中央にあるイベントスペースでは、複数人のアーティストによる「Since 1989 NOMART -アーティスト×工房展-」が開催されていた。
名和晃平の作品も展示されていたよ。

中野信子の展覧会は、FOAM CONTEMPORARYという、別の会場で開催されていた。
扉を開けて中に入り、受付の女性に撮影について尋ねるとオッケーとのこと。
そして観賞用の「特別なスマホ」を手渡してくれる。
中野信子は東大で工学部応用化学や大学院では医学系研究科脳神経医学などを専攻し、現在は東京芸大の大学院で科学とアートの研究を行っているという。
この展覧会は脳波を使った作品とのことなので、今まで観たことがないタイプの作品に出会うはずだね!

脳波を可視化したという作品。
「3種類の波動が交錯する様子を1画面に収め、2.5次元のプリント技術で作品にした」
という説明がされているよ。
会場では、訪れた人の脳波をスクリーンに映し出すイベントが行われていた。
それが上の画像なんだけど、自分の脳波なんて見たことないもんね。(笑)
どうやら脳波の活動パターンというのも、指紋や声紋などと同様に、個人個人に違いがあるんだって。
この形の人はこんな性質、みたいな分析もできるのかなあ?

壁には、複数のQRコードが印字されているキャンバスが展示されていて、受付で渡された「特別なスマホ」をかざすことで作品が浮かび上がる仕掛けになっていた。
ROCKHURRAHにかざしてもらって、SNAKEPIPEが撮影してみたよ!
中野信子の脳波パターンが出現する。
解説によれば「中野信子のポートレート」とのこと。
まるで脳核だけを残して、全身義体化した「攻殻機動隊」の世界じゃない?
ってことは、このポートレートは中野信子のゴースト、といえるのかもしれない。

AIを使った作品もあったよ。
載せた「mandala」というシリーズは、AIに抽象概念を入力して得た結果を蓄積したものだという。
AIと抽象という相反する企画自体が興味深いよね。
「AIは時間を16分割、もしくは32分割する」という解説が面白かった。
合理的な考えでは16時間になるのかもしれないね?
何をどのようにしたら、こんな図が完成するのか不明だけど、とても美しい作品だったよ!

脳波やAIとアートの融合は、これからどんな形に発展していくのか楽しみ。
頭が良い人は発想力があるからね!
中野信子の旦那様は大阪芸術大学アートサイエンス学科の准教授だとか。
まさに、アートと科学の融合なのね。(笑)
お互いに刺激し合って、楽しそうな関係と想像するよ。
中野信子の本も読んでみたいね!

続いて向かったのは、ギンザ・グラフィック・ギャラリー。
2021年1月の「石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか」を鑑賞した時以来だね。
ROCKHURRAHは2020年3月の「河口洋一郎 生命のインテリジェンス」から2年半ぶりになるのかな。
ちょうどその頃からコロナの影響が出てきていたので、仕方ないね。

細谷巖について少しだけ書いておこうか。
1935年、神奈川県生まれ。
1953年、高校卒業後、ライトパブリシティ入社以来、69年間同じ会社に勤めているという。
現在は取締役会長だって。
1955年、日宣美展特選以降、数々の栄冠に輝く。
画像後ろに写っている「オスカー・ピーターソン」が受賞作のようだね。
2001年、紫綬褒章。
2014年、旭日小綬章を授与されている。

代表作とされる「男は黙ってサッポロビール」やキューピーマヨネーズの広告が展示されていないのが不思議。
あまりにも有名だから省かれてしまったのか?
できれば「全仕事」として一緒に並べて欲しかったな。
展示されていた作品は、ズバッとクローズアップ、もしくは顔のアップが多様されていて、インパクトの強さを感じるよね。

50年代から日本の広告業界を牽引したグラフィック・デザイナーということが分かる。
業界では知らない人はいないほどの有名人のはずなのに、今回の展覧会の展示方法はシンプル過ぎて、展示数も非常に少なくて残念だった。
ギンザ・グラフィック・ギャラリーで鑑賞した中では、最も面白みに欠ける展覧会だったかもしれない。
無料とは思えないほど充実している展覧会を行う場所と認識しているので、ガッカリしてしまった。(笑)
次回はもっと満足のいく展覧会をお願いしたいね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です