装いの力 ー 異性装の日本史 鑑賞

20221009 top
【松濤美術館入り口の看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE: 

面白そうだから行ってみない?とROCKHURRAHから誘われたのは、渋谷区立松濤美術館で開催されている「装いの力 ー 異性装の日本史」という展覧会だった。
何年か前、松濤美術館のフランシス・ベーコン・デッサン展を見逃していたことを思い出す。
松濤美術館は、今回が初めての訪問になるね。

早速WEB予約を済ませ、晴れて暑いくらいの日、ROCKHURRAHと渋谷に向かう。
Bunkamuraを過ぎてから、更に奥へと歩みを進めると「こじんまり」した建物が見えてきた。
想像よりは小さめの館かもしれない。
受付でチケットを購入すると、地下の会場から進むように指示される。
会場前にあった張り紙には「撮影禁止」の文字が!
載せた画像は、展覧会で唯一撮影が許可されたもの。
フラッシュで撮影すると顔が変化するドラァグ・クイーン達なんだよね。(笑)
撮影がこれだけとは、とても残念だけど仕方ないね。

会場にはすでにたくさんのお客さんが列をなして鑑賞している。
古い時代からスタートしているので、全体的に作品が小さめなんだよね。
加えて説明書きが目線よりも下のほうにあり、文字が小さい。(笑)
お客さん達は、その説明を一つ一つ丁寧に読みながら鑑賞しているため、牛歩の行列ができているんだね。
観られるところは先に観て、また牛歩に戻って、などを繰り返しながら進む。

展示は8つの章に分かれていたので、気になった作品の感想を書いていこう。
先にも書いたように撮影は禁止だったため、購入した図録から載せているので4649!(笑)

第1章 日本のいにしえの異性装

「いにしえ」と書かれている通り、「古事記」や「日本書紀」の中に登場する異性装について展示されている。
ヤマトタケルノミコトが女装していた記述が「古事記」にあるということに驚く。
天皇の命を受け、討伐のためとはいえ、どうやら女装が似合っていて、可愛かったらしいんだよね。(笑)
載せたのは三重県の加佐登神社にある絵馬で、熊襲に襲いかかっているところが描かれている。
説明を聞かなかったら女性にしか見えないよね。
更に驚くのは、ヤマトタケル女装の話をROCKHURRAHが知っていたこと。
SNAKEPIPEは、その博識ぶりに尊敬の眼差しを送ったけれど、一般的に有名な話なのかなあ?

第2章 戦う女性-女武者

描かれたのは神功皇后で、日本の第14代天皇・仲哀天皇の皇后だった女性なんだよね。
ちなみに仲哀天皇は、ヤマトタケルの子供だって。
神功皇后は、西暦にすると169年から269年頃の人物らしい。
夫である仲哀天皇が亡くなった後、九州熊襲征伐に成功したという。
そんな時代に、皇后が自ら戦いに挑むとは驚き!
勇ましい姿を描いたのは歌川国貞。
江戸の時代にも、浮世絵のモデルになっていることにもびっくりだね。

日本の異性装として最初に思いつくのは歌舞伎だけど、展覧会でも展示品の約半数は歌舞伎に関する浮世絵だったよ。
予想通りだね。(笑)
第3章から第5章は飛ばして次にいってみよう!

第6章 近代化社会における異性装

ROCKHURRAHとSNAKEPIPEが反応したのは高畠華宵の作品!
大正から昭和初期に活躍していた画家とのことだけど、絵だけ観たらまるで丸尾末広か花輪和一だよね。
Wikipediaにも丸尾末広が影響を受けていることが書かれていて納得。
漫画や本などに詳しいROCKHURRAHも知らなかったという。
弥生美術館に作品が残されているというので、一度訪れてみたいよ。
今回の展覧会では1番の収穫だったかも。(笑)

第7章 現代の異性装

2階の会場では映像が流れていた。
何かと思ったら、松本俊夫監督作品「薔薇の葬列」を編集した物だった。
「薔薇の葬列」については、当ブログで何度か文章にしているけれど、特集したことがなかったんだね。
トレイラーがあったので載せておこう。

ピーターのデビュー作!
やっぱり好きだわ、この映画!

1994年のアマチュア女装交際誌「QUEEN くいーん」やアマチュア女装者情報誌「ひまわり」に目を奪われる。
どちらもまるで70年代かと思ってしまうような化粧や髪型なんだよね!
「アマチュア」という括りも気になるところ。
「交際誌」と「情報誌」の違いはあるけれど、写真投稿や交際希望欄、発展場情報などが載っていたのかもしれないね。
表紙を飾った方は、今はどうしていらっしゃるのかしら?

第8章 現代から未来へと続く異性装

やっぱりこの方に登場いただかないと!
現代美術家の森村泰昌!(笑)
マリリン・モンローやブリジッド・バルドーに扮した作品が展示されていた。
モデルを森村泰昌、撮影は篠山紀信という大型の作品もあったね。
森村泰昌といえば、2021年11月にアーティゾン美術館で「M式「海の幸」ー森村泰昌 ワタシガタリの神話」を鑑賞したっけ。
先日は浄瑠璃の人形になるドキュメント番組を観たばかり。
異性装を追求するアーティストなので、今回の展覧会にぴったりだね!

女装や男装という観点からの企画とは、とても面白い。
日本の歴史を通して、ということなので広く浅くといった、SNAKEPIPEには少々物足りない展示だったけどね。
ピーターは展示されたのに、どうして丸山明宏はいないんだろう、みたいな感じ。(笑)
漫画の展示では「リボンの騎士」「ベルサイユのばら」、そして「ストップ!! ひばりくん!」を久しぶりに観て、懐かしかったよ。
そしてROCKHURRAHは気付いていなかったようだけど、お客さんの中に女装者がいたことも付け加えておこうかな。(笑)
観に行って良かった展覧会だったよ。
また面白い企画誘ってね、ROCKHURRAH!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です