パラサイト/パッション20 鑑賞

20191229 top
【近代美術館工芸館のポスターを撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

展覧会や映画の鑑賞など、何かしらのイベントを共有することが多い長年来の友人Mと、年内最後に会うを約束をした。
何か行きたいところはないか尋ねると、映画と展覧会の提案を受ける。
さすがは情報収集能力に優れた友人M!
ここに行きたい、と即答できるんだよね。

友人Mから誘われた映画は「パラサイト 半地下の家族(原題:韓: 기생충、英: Parasite 2019年)」だった。 
ポン・ジュノ監督の作品はほとんど鑑賞済のROCKHURRAH RECORDS。
主演のソン・ガンホについては、以前より「ラフィン・ノーズのポンに似てる!」と注目していて、出演作を好んで観ているんだよね!(笑)
「パラサイト」は、第72回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞している話題作! 
公開は2020年1月10日だけれど、先行上映されることになったとのこと。
TOHOシネマズ 六本木ヒルズでは、12月27日に舞台挨拶付プレミア上映を行うという。
監督のポン・ジュノと主演のソン・ガンホが舞台挨拶を行う特別プログラムだというので、本当はその回に行ってみたかったけれど、席順の予約ができないという点がひっかかる。
監督と俳優の実物を目にできるのは魅力だけど、やっぱり映画を好きな席で観たいんだよね。(笑)
そのため都内で先行上映をすることになったTOHOシネマズ 日比谷で、座席を予約して観ることにする。
3日前から予約できるので、友人Mがその役割を買って出てくれた。
SNAKEPIPEが予約するのでは不安があるらしい。(笑)

無事に席の予約をしてもらい、日比谷に向かったのである。
TOHOシネマズ 日比谷は2018年3月にできたばかりの劇場なので、とてもキレイだった。
恐らくどのシートに座っても、快適に映画が楽しめそうだよ。
「パラサイト」のトレーラーを載せておこうか。

簡単にあらすじを載せておこうか。

全員失業中で、その日暮らしの生活を送る貧しいキム一家。
長男ギウは、ひょんなことからIT企業のCEOである超裕福なパク氏の家へ、家庭教師の面接を受けに行くことになる。
そして、兄に続き、妹のギジョンも豪邸に足を踏み入れるが…。
この相反する2つの家族の出会いは、誰も観たことのない想像を超える悲喜劇へと猛烈に加速していく。(Filmarksより転記) 

恐らく東京で一般公開された「パラサイト」の初回になるんじゃないかな?
話題作なだけあって、劇場は約8割ほど席が埋まっていたよ。
「ネタバレ厳禁」とされているので、詳しく話せないのがもどかしい。(笑)
まだ鑑賞していないROCKHURRAHにも話せないのが辛いところ。
意外な展開に驚いたり、大笑いしたり、人によって感想が違うんじゃないかなと予想する。
それにしても、昨年パルムドールを受賞した「万引き家族」に似せた副題を付けなくても良いのになあ。
機会があったら、是非鑑賞してみてね!(笑)

続いて友人Mと向かったのは竹橋にある東京国立近代美術館工芸館
ここでは「所蔵作品展 パッション20 今みておきたい工芸の想い」が開催されている。
東京国立近代美術館には何度か足を運んでいるけれど、工芸館は初めてかも?
この日は晴れていたけれど、風がものすごく強かったので、少しの時間を外にいるだけでも冷えてしまうほどだった。
もう少し風が弱ければ、北の丸公園を散策するのも楽しかったかもしれない。
工芸館はこちら、の案内に沿って歩くことおよそ10分。
見えてきた工芸館はレトロでオシャレだったよ!
調べてみると、明治43年に建築された旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したものらしい。
2020年のオリンピックを目処に石川県に移転予定の情報を目にして驚いた!
移転前に来て良かったね、と友人Mと話す。
チケット料金、250円にびっくり!
近代美術館のチケットも同時に購入し、工芸館の後で行くことにする。
それでは工芸展で気になった作品の感想をまとめていこうか。

宮川香山作「鳩桜花図高浮彫花瓶」の実物を目にできたのは嬉しかった。
1871年〜82年の作品とキャプションが付けられていたけれど、今から140年程前にこんなに斬新な陶器を制作していたなんてね!
2016年10月に鑑賞した「驚きの明治工藝」でも香山の作品を目にしているはずだけど、ここまで立体が貼り付いているものではなかったような?
その時の記事にも香山について触れているので、今回鑑賞できて良かった!(笑)

小名木陽一の「赤いてぶくろ」は1976年の作品だという。
このサイズ感は作品と対峙する必要があるかもしれないね?
画像では分からないかもしれないけれど、実際には手の中に人間がすっぽり収まってしまうほどの大きさなんだよね。
説明文によれば、この作品は織物なんだって。
小名木陽一が独自に考案した立体織の手法により、これほどまでに大きな作品が可能になったという。
これぞ現代アート!という観た瞬間の驚きが素晴らしい作品だったよ。

鈴木長吉「十二の鷹」の見事なこと! 
本物の鷹がいるかのような圧倒的な存在感なんだよね。
1893年の制作だというから、これも香山と同じように明治時代の作品ってことになる。
鈴木長吉は実際に鷹を飼って、習性や骨格を観察したと説明されている。
ここまでの立体作品を作ることができる技術の高さが認められて、帝室技芸員になったという鈴木長吉。
帝室技芸員って何だろう?
wikipediaによると「帝室技芸員とは戦前の日本で宮内省によって運営されていた、日本の優秀な美術家・工芸家に、帝室からの栄誉を与えてこれを保護し、年金や制作費を与える制度」とのこと。
宮川香山も任命されていたようだね。
香山の陶器も、長吉の鷹もSNAKEPIPE MUSEUMにコレクションしたい逸品だよ!(笑)

磯矢阿伎良の「花文棚」は1930年の作品とのこと。
漆、蒔絵と説明されている。
蒔絵とは「漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を蒔くことで器面に定着させる技法(wikipediaより)」とのこと。
黒い漆をバックに、赤と金の模様が映える逸品!
和風というよりはアラビア文字のように見える柄に強く惹かれたSNAKEPIPE。
棚とされているけれど、中がどうなっているのか観てみたかったよ。

内藤春治は東京芸術大学名誉教授の鋳金家だという。
「壁面への時計」は1927年の作品で、青銅を材料にしていると説明されている。
文字盤の美しさはもちろんだけど、周りを囲むアール・デコを取り入れたフォルムに目を奪われる。
右上に突き出たパーツが、斧のようにも見えて、ロシアっぽい雰囲気も感じるんだよね。
実際に時計として機能するのか、オブジェなのかは不明だよ。
1920年代といえば、シュールリアリズム、ロシア・アヴァンギャルドやバウハウスなど、ROCKHURRAH RECORDSが大好きなアート真っ盛りの時代。
日本にもこんなに素敵な作品があったことを知って、嬉しくなるよね!(笑)

関谷四郎の「赤銅銀十字線花器」を観た瞬間「PUNK!」と思ったSNAKEPIPE。
だってピラミッド型のスタッズが並んでるんだもんね。
しかもシルバー色!(笑)
赤銅と銀を使用した1975年の作品なんだけど、持って帰りたくなるほど気に入ってしまった。
花器と書かれているので花瓶なんだろうけど、 どんな花が似合うんだろうね?
関谷四郎は秋田生まれの鍛金家で、昭和52年に人間国宝に認定された人物だという。
他にはどんな作品を制作していたのか、観てみたいよね!

川口淳の「箱」は1991年の作品。
どんどん時代が現在に近づいてきてるね。(笑) 
磁器とアルミ板を使用した作品なんだけど、 基盤や模造の宝石が側面に貼り付けられていて、なんともキッチュな装い。
そのオモチャっぽさが、非常に魅力的なんだよね!
秘密の宝物入れに欲しくなる逸品!
他人から見たらガラクタなのかもしれないけど、自分には非常に大事な物って意味の宝物が似合いそう。
川口淳の磁器は販売されているようで、カラフルで良い感じだよ!

「パッション20」の最後に展示されていたのは四谷シモンの「解剖学の少年」だった。
四谷シモンについては、2011年10月に「SNAKEPIPE MUSEUM #12 Hans Bellmer&四谷シモン」として記事にしているね。
友人Mは四谷シモン主催の人形学校、エコール・ド・シモンに通うかどうかずっと考え続けているほどの大ファン!
この展覧会に作品が出品されていることも知っていたという。
四谷シモンの少年の人形は、どのタイプも美しい顔立ちなんだよね。
この人形は臓器が露わになっていて、美とグロテスクが共存しているのにも関わらず、静謐な雰囲気を持っているところが不思議だよ。

東京近代美術館工芸館を初めて訪れて、レトロな雰囲気の建物にも満足だった。
目黒の庭園美術館に似ているように感じたけど、建造された年代が近いんだね。
どちらの建物にも、当時のモダンさと独特の良さがあるので、是非良い状態で保存されると良いな!

工芸館を鑑賞した後、近代美術館にも足を運んだ友人MとSNAKEPIPE。
この続きは来年まとめる予定だよ!

2019年も残りわずか。
今年は様々な展覧会に出かけたり、トレッキングの真似事をしたり、外出する機会が多かったROCKHURRAH RECORDS。
来年はどんな記事を書いていくことになるのか、お楽しみに!
どうぞ来年もよろしくお願いいたします。
皆様、良いお年を!(笑)

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