高木由利子 カオスコスモス 壱 氷結過程 鑑賞

20221127 top
【ジャイル・ギャラリーの入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

表参道のジャイル・ギャラリーで開催されている「高木由利子写真展 カオスコスモス 壱 氷結過程」が非常に気になったSNAKEPIPE。
友人Mを誘って行ってみることにする。

高木由利子ってどこかで聞いたことあるような?
自宅にある写真集などをひっくり返してみると、1990年6月に発行された「NHK趣味百科 近未来写真術」に名前があるじゃないの!
この雑誌については2021年11月に鑑賞した「M式『海の幸』ー森村泰昌 ワタシガタリの神話」の中でも書いていたっけ。
この時掲載された高木由利子の作品は「ラフたち」という外国人をモデルにしたファッション・フォトのような作り込み写真だよ。
高木由利子とは、どんな人物なのか調べてみよう。

1951 東京生まれ
1969 武蔵野美術大学商業デザイン科に入学
1972 ポルトガルに渡る
1973 イギリスのTrent Polytechnicにてファッションデザインを学ぶ
1976 フリーランスのファッションデザイナーとして、8年間ロンドン、パリを中心に、モロッコ、イタリアなどを飛び回る。
モロッコにて写真に興味をもちはじめる
1985 現代アーティスト、クリストの作品Surrounding Island(Miami)などの撮影に参加。
ロンドン、パリ、インドネシア、東京にて、アーティストである友人や親しい人々のヌードを、彼らの生活空間で撮影しはじめる。
1990 オリエンタリズムのプロジェクトで東京をはじめとしてバルセロナ、イスタンブール、ロンドン、パリへの撮影旅行をする
1993-1996 ケニア、タイ、トルコ、インド撮影旅行
1996 三宅一生のプリーツ100着をインドに持ち込み2ヶ月間に渡り撮影する
1997-1999 三宅一生のプリーツ100着をKENYA、中国、モロッコに持ち込み撮影旅行をする。

ヨーガン・レールのテキスタイルを、日本、インドネシアで1年間かけて撮りおろし、作品集「ころも」が出版される。
1998-2006 「混乱する引力」ヌードのプロジェクトを、インドネシア、ハワイ島、南米、南アフリカ、日本、中国、インドで行う。

1951年生まれということは、今年71歳!
ムサビ入学後にロンドンでデザインを勉強し、デザイナーとして海外で活動していたとは驚き!
ファッションと写真が結びついた作品を作っているのは納得だよね。
SNAKEPIPEが所持している雑誌に載っているのもヌードなので、ジャイル・ギャラリーで展示されている作品とは雰囲気が全然違うよ。

では今回の展覧会をまとめてみよう。
ジャイル・ギャラリーは撮影オッケーなので嬉しいね!
撮影した写真と共に感想を書いていこうか。

「始まり」と題された作品からスタート。
高木由利子本人の文章が載っているんだけど、どうやら寒冷地で氷を作ったらしい。
「始まり」は四角い箱のような氷の中に、凍った葉(のように見える)が入っている作品。
凍っていても、葉は生きているんだろうね。
これこそ生命力!
だから始まりなのか!(陳腐)

「地上絵」と第された横幅420cmの大型作品。
年表の中に現代アーティスト、クリストの名前があったよね?
クリストの作品は、島をまるごとラッピングするような環境アートなので、俯瞰で撮影された画像で作品を知ることになる。
地上絵も同様に、遥か上空からでないと作品の全貌を知ることが出来ない点が共通してるよね。
「地上絵」のお値段、500万円だって!
オシャレなビルに飾ってあったら、より高級感が増しそう。

次の会場に入った瞬間、友人Mと同時に声がでる。
「カッコいいーーー!」
「標本箱」と第された作品群が並んでいる。
写真なのにアブストラクト、しかもモノクロームというのが斬新で。
氷の形状に加え、氷に当たる光の反射が漆黒に近い黒色に映える。
額縁もオシャレで、「標本箱」シリーズ全体をSNAKEPIPE MUSEUMに保管したくなるね。

「標本箱」全体を写したところ。
壁一面に横幅150cmの大型写真が展示され、下には高さがマチマチの立方体の上に幅38cmの小型写真が配置されている。
なんともいえない重厚さ!
大型2枚と小型3枚だとバランス良いかも。
このセットだと約200万円!(笑)
額縁も素敵だったので、全部合わせて欲しくなったよ!

「脳内過程」というタイトルのリトグラフ作品もあった。
恐らく同一図版を使用した作品に見えたけど、黒色の濃淡で印象が全く違って面白かった。
こうして並べて見せるのが良いんだろうね。
写真製版を外国人から提案された、といった文章が展示されていたよ。
高木由利子は国際派だから、様々な国の人と交流があるんだろうね。

アクリルで作られているような月に見える球体。
この素材を使って写真撮影していたんだろうね。
横から見ると、球体だと思っていた形が平面に見えてくる。
不思議な造形だよね!
先日の皆既月食に限らず、月を見上げるのが好きなSNAKEPIPEにとっては、この立体は垂涎物!
これが部屋にあったら、ずっと眺めているだろうなあ。(笑)

「すごく良かったね」と感想を言いながら、ギャラリーをあとにする。
MOMAショップをうろついて、面白い箸置きを興奮気味に買ってからエスカレーターに向かう。
吹き抜け部分に高木由利子の作品が吊るされていた。
上を見上げるように撮影。
だってほら、月は見上げるものでしょ?(笑)

観念的で難解な解説を好むジャイル・ギャラリーだけど、好みの展示が多いんだよね。
マメにチェックして、また出かけよう!

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