【ROCKHURRAHが80年代PVっぽく制作してくれたよ!いいね!(笑)音が出るので注意!】
SNAKEPIPE WROTE:
先週予告していた通り、「好き好きアーツ!貴志祐介」の第二弾を書いていこうか。
では「青の炎」(1999年10月 角川書店 / 2002年10月 角川文庫)からいってみよう!
主人公はロードレーサーで学校に通う17歳の高校生である。
幼い頃に父親を亡くし、母と妹との3人暮らしをしている。
そこへ10年前に離婚した養父が現れ、まるで我が家のように傍若無人なふるまいをする。
つつましやかだけれど、幸せだった3人の生活を取り戻すために主人公が考えたのは養父殺害の完全犯罪だった。
「青の炎」は2003年に蜷川幸雄監督作品として映画化されている。
この映画はかなり原作に忠実に作られていて、良い出来映え!
キャスティングが良かったんじゃないかな。
主人公を演じたのはジャニーズ事務所所属「嵐」の二宮和也。
ウチのブログの中でジャニーズ系の名前が出てくるのは初めてじゃないかな?(笑)
二宮和也は、原作通りの印象で主役を演じきっていた。
これを観た時にはちょっとびっくりしたSNAKEPIPE。
ジャニーズ=アイドルしか知らない世代だから許してね。(笑)
最近のアイドルは芸達者なのね!
「鉄コン筋クリート」の声優としての技量もなかなかだったしね!
この主人公が自宅のガレージを改造して、自室にしているところが羨ましかった。
自慢のロードレーサーもそのまま部屋に入れて、まるでアジト!
あの環境はみんな憧れちゃうよね。(笑)
酒飲みで暴力をふるう養父役として出演していたのが山本寛斎。
何故世界的に有名なファッションデザイナーであるKANSAIが出ることになったのかは不明だけど、その演技力には目を見張るものがあった。
「蛇の道は蛇」じゃないけど、やっぱり「芸事」に通じている人というのは、何をやっても上手なんだね。
他にも俳優として活躍しているのかと思いきや、映画出演はこの一作だけみたい。
悶絶死の様子はものすごい迫力だったね!
もう一人気になる俳優は中村梅雀かな。
昔大竹しのぶと共演していたドラマを観たことがあり、強く印象に残っていた人物だった。
大竹しのぶ!
先週記事にした「黒い家」での主演女優の名前がここでも出てきたね。
あの時のドラマ、なんだっただろうと調べてみたら「存在の深き眠り」という1996年に全6回シリーズでNHKで放映されたドラマだったよ。
ぎゃっ、16年前っ!(笑)
そのドラマの中で大竹しのぶと中村梅雀が夫婦役を演じ、なんと大竹しのぶは多重人格の役どころだったんだよね。
大竹しのぶ、多重人格、ってそんまんま貴志祐介につながるよね。(笑)
多重人格は病気だから治療しよう、と暖かく見守る優しい夫役が良く似合っていた中村梅雀。
あのドラマ、もう一回観たいな。
中村梅雀は「青の炎」で刑事役で出演していた。
完全犯罪を目論む主人公の気持ちが解るので、ちょっと主人公に肩入れして「できればこのまま完全犯罪として成立して欲しい」と思ってしまった人が大多数じゃないかな。
「太陽がいっぱい」の時にも同じような感想を持ったSNAKEPIPEだけれど、それを許さなかったのがこの刑事。
とても良い味出してたね。
これで貴志祐介の「黒」「クリムゾン」「青」の色シリーズ(勝手に命名)は終わるのかな?
また違う色で書いて欲しいよね!(笑)
続いては「新世界より」(2008年1月 講談社【上・下】 / 2009年8月 講談社ノベルス / 2011年1月 講談社文庫【上・中・下】)。
SNAKEPIPEが読んだのは文庫版だったので、上中下巻という3冊だったよ!
いやあ、長編好きのSNAKEPIPEでも「な、長いっ」と思ってしまう程の長編SF。
と、簡単にSFと書いてしまったけれど、「1000年後の世界」を舞台にしているからSFとされているだけじゃないかな。
SNAKEPIPEだったら「空想未来小説」とジャンルにしたいけどね。(笑)
でもこれ、2008年の日本SF大賞受賞だって。
やっぱりSFで良いのか?
1000年後の日本、神栖66という利根川近くのコミュニティが舞台になっている。
その時代には、全員が「呪力」と呼ばれる、いわゆる超能力を使うことができ、例えば重たい物を持ち上げる時には呪力を使用するのが当たり前。
呪力に関する部分だけが未来的で、それ以外は通信手段がなかったり、奴隷制度が復活していたり、全ての情報が手に入らなかったりする、今よりも不便を感じるところも多い世界なのだ。
そして遺伝子操作を行なうことで現代には存在していないような生物や、自然に進化(もしくは退化?)した聞いたこともない動物が登場する。
見聞きしたことのない生物や動物についての記述は詳しくされていて、ある程度の想像はできるんだけど、やっぱり荒唐無稽な感じはしちゃうよね。(笑)
そして絶対服従を誓っていたはずの奴隷的存在が、クーデターを計画し戦争が勃発。
小さなコミュニティは存続の危機に陥いるのである。
・全ての情報を管理する世界になっていて、少しでも管理に不都合な情報は人の目にふれさせないように封印。
・人間のことを子供時代から徹底的に監視し、社会的に不適合だと判断した場合には排除。
・人が人を攻撃すると最終的には死に至るように遺伝子組み換え操作を行い、殺人を防ぐ。
人に管理番号付けて、生まれた時から死ぬまでその番号で管理しようとするような話は聞いたことがあるし、映画「未来世紀ブラジル」を思い出す。
絶対的に服従する立場だったはずなのに、いつの間にか知能が高くなっている動物が登場する部分は「猿の惑星」を思わせる。
そしてもう一つ特徴的だったのは「同性愛が奨励」されていた点かな。
管理されている社会だから、勝手に子供を作るのもタブーなんだよね。(笑)
1000年後の世界なので、ありそうな部分と「?」の部分の両方がありSNAKEPIPEは混乱することも多かった。
そして前述したように現代と比べて進化と退化の両方が描かれていて、その点もちょっと解り辛かった。
長かった割には…イマイチ…だったな、SNAKEPIPEにはね!(笑)
やっぱり貴志祐介は次に紹介するような「本当にありそうな話」のほうが好きみたい。
「悪の教典」(2010年7月 文藝春秋【上・下】 / 2011年11月 文藝春秋ノベルス)は、そのブックデザインを見た瞬間に上下巻共すぐに買ってしまった。
カラスと目が合ったもんで。(笑)
あ、カラスとだけ書くと観察者・鳶さん(鳥飼否宇先生著作の登場人物)に叱られてしまうけど、種類が判らないから許して!
「生徒に絶大な人気を誇り、
PTAや職員の間でも抜群に評判のいい教師が
反社会性人格障害(サイコパス)だったとき、
惨劇へのカウントダウンが始まった。
英語科教諭・蓮実聖司、32歳。
暴力生徒や問題父兄、淫行教師など、現代の学校が抱える病理に
骨まで蝕まれた私立高校で、彼は何を行ったのか。
高いIQをもつ殺人鬼は、“モリタート”の旋律とともに
犯行を重ねていく。 」
と特設サイトにあらすじが載ってるよ。
「サイコパス」は「黒い家」の菰田幸子、「高いIQを持つ」主役は「青の炎」の櫛森秀一を思わせるキャラクターなんだよね。
そうね、櫛森秀一が完全犯罪を計画通りに進めて、そのまま大人になったとしたら蓮実聖司みたいになったかも?
「外面が良い人」っていうのはどうも昔から信用できない、と考えるSNAKEPIPEにとっては「やっぱりね」って感じなんだけどね。
「表面的にはニコニコしている人」が「裏では何やってるか知れたもんじゃない」ということが多いような気がするのはSNAKEPIPEだけじゃないんじゃないかな?
だから「悪の教典」は「ありそうな話」だと思うし、後半が支離滅裂になる部分も逆にリアルな感じがしたね。
「もうこうなったら全員殺っちゃえ」みたいな心理ね。
この小説に関して批判的な意見を書いている人も多かったみたいだけど、SNAKEPIPEは夢中になって読んだ。
「マック・ザ・ナイフ」も効果的な使い方されててナイス!
特設サイトには「映画化決定」って書いてあったんだけど、大丈夫なのかな。
何故ならこの小説ってスプラッター映画になっちゃうだろうからね。
やっぱり監督は三池崇史かなあ?(笑)
主役を誰が演じるのか、などの詳細はまだ発表されていない模様。
そしてどうやら「悪の教典」の続きもあるみたいね。
いいね!いろいろ楽しみ!(笑)
そして貴志祐介にはまだもう一冊読んでない本があることを知ったよ。
「ダークゾーン」があるんだね。
これも入手して読んでみよう!