ギルバート&ジョージ Class War, Militant,Gateway 鑑賞

20211031 top
【エスパス ルイ・ヴィトン東京の壁を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

長年来の友人Mから表参道に行きたいと連絡が入る。
なんとエスパス ルイ・ヴィトン東京ギルバート&ジョージ の作品が展示されているという。
表参道のルイ・ヴィトンといえば、およそ2年前の2019年8月にもボルタンスキーの「ANIMITAS II」を鑑賞したっけ。

エスパス ルイ・ヴィトン東京には、ドア・マン対策を強化してから出かけよう。(笑)

もう一度この記事を読み、対策していけば良かったSNAKEPIPE。
自分で書いていたことをすっかり忘れ、小雨の中、友人Mとルイ・ヴィトンに向かったのである。
開店に近い時間だったせいか、ドア・マンが3人いたんだよね!
そして折りたたみ傘を畳みながら入ろうとすると、
「その傘お預かりします」
なんとドア・マンがSNAKEPIPEの傘を手に取り、わざわざ袋に入れてくれるじゃないの!
「自分でやりますよ」「いえいえ、こちらで」
なんて押し問答めいたやり取りの末、傘袋に入った傘を渡され終了。
買い物に来たわけじゃないから、本当に申し訳ない気持ちになるよ。(笑)

最上階に上がると、受付には女性2名がいて、満面の笑みを浮かべウェルカム状態!
念の為に撮影できるか尋ねるとオッケーとのこと。
上に載せた壁の撮影をしてから会場へ。
会場には壁一面に大型の作品が展示されている。
「うぉー!すごい!」
歓声を上げた時、受付にいた女性が「かなり大型の作品ですよね」と声をかけてくる。
「今までギルバート&ジョージの作品は観たことありますか」
と質問されたので「ターナー賞の歩展で観てますよ」と答えるSNAKEPIPEと友人M。
観たことは覚えていたのに、作品を忘れてしまったので載せてみたよ。
友人Mは「確か黒人の写真じゃなかった?」と口にしていたので、正解だったね!(笑)

今回の展示は「Class War(階級闘争)」、「Gateway(入り口)」、「Militant(闘争家)」という1986年の作品で、日本初公開だという。
同年、ギルバート&ジョージはターナー賞を受賞しているんだよね。
特徴的な格子とフォトモンタージュは、ギルバート&ジョージの代名詞。
画像は「Class War(階級闘争)」で、横幅は10mを超える大きさだよ!
モデルになっているのはいわゆるブルーカラーの若者たちみたいね。
丸い窓?から覗いているのはギルバート&ジョージ。

こちらは「Gateway(入り口)」で、まるで寺院の阿吽像のように仁王立ちしたギルバート&ジョージ。
自らの作品に登場するのが作風であり、流儀なんだよね。(笑)
若者達は、皆何かを見上げていて、階級闘争の時には全員が持っていた棒の数が少なくなっているよ。

「Militant(闘争家)」になると、若者は4人に減り、ギルバート&ジョージも見えなくなっている。
ルイ・ヴィトンの解説によれば「棒(自由)を手に入れ、自己肯定を経て、自分の居場所を見つける」ことに成功した若者たち、らしいよ。
ギルバート&ジョージ風の十牛図みたいだよね。
本人たちの姿がないから余計にそう感じるのかも。(笑)

天気が悪かったせいか、友人MとSNAKEPIPEだけの特別展示場になっていて、とても嬉しかった。
一瞬でも作品を独り占めできた気分だからね!(笑)
2年前のインタビュー動画も流れていて、80歳になろうかという年齢でも、未だにスーツ姿でギルバート&ジョージの健在を観ることができた。
そして感じが良い受付の女性2人と少しおしゃべりして、会場を後にしたよ。
こんな展覧会を企画してくれるルイ・ヴィトンに感謝だね!

こっそり帰りたかったけれど、やっぱりドア・マンの前を通る必要があり
「傘袋お預かりします」
としっかり最後までサービスされてしまったよ!(笑) 
次はどんな企画をしてくれるのか楽しみだね。

大人社会科見学—りっくんランド—

20211024 top
【りっくんランドの入口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

2021年6月に靖國神社の遊就館を訪れたROCKHURRAH RECORDS。
かなりボリュームのある展示に驚いたり、特攻隊員に思いを馳せた記事を書いたよね。
他にも軍事関係の展示がされている施設はないかとROCKHURRAHが探してくれた。
埼玉県朝霞市に「陸上自衛隊広報センター」、通称「りっくんランド」という陸上自衛隊の見学できる施設があるんだって。
陸上自衛隊の歴史や戦車などが展示されているという。
和光市駅から徒歩25分という立地であれば、公共交通機関を利用して行かれるもんね!
現在はコロナウイルスの影響で、事前予約制が採用されているんだけど、他とは違うのはメールで住所や名前等を書いて申し込むこと。
訪問が可能かどうかは抽選結果による、というもの。
希望日の2日前に、「当選した人にのみ」メールの返信が来るという。
セキュリティのためなのか、入館時に身分証明書の提示が必要だというから、気軽に入れる施設じゃないんだね。 
横田基地でも身分証明書を見せてから入ったっけ。 
希望日の2日前、ドキドキしながら待っていると、無事に当選!(笑)
雨の予報だった当日、和光市駅に向かったのである。

埼玉県に足を踏み入れるのは、2019年3月に「インポッシブル・アーキテクチャ」を鑑賞するために北浦和に行った時以来かな。
ほとんど馴染みのない土地なんだよね。
「りっくんランド」がある和光市駅は初めての場所だけど、そこまで難しい道のりじゃなくて良かった!
到着すると、すでに20名ほどのお客さんが列を作っている。
後に続いて待ってればいいのかな、と敷地内に入ると、ニコニコ笑いながら、自衛隊員が近寄ってきて名前の確認と身分証明書の提示を要求する。
確認が取れたところで、体温測定と手指の消毒を促され、開館まで並んで待つ。
前方に列を作っている人を観察すると、ほとんどが家族連れ。
ROCKHURRAH RECORDSの2人組みたいなのは珍しいのかも。(笑)

開館となり、早速入場。
先に進もうとするとROCKHURRAHが見当たらない。
記念スタンプを押している子供の後ろで、順番を待ってるじゃないの!
スタンプが欲しかったみたいだよ。(笑)
無事に入手し、1階の展示室に入る。
この日は、「ヘリコプター搭乗」「3Dシアター」「射撃シミュレーター」が体験できることになっていて、先に入場した人は「ヘリコプター搭乗」に列を作っている。
誰もいなかったのが「射撃シミュレーター」だったので、やってみることにした。
説明がなかったのにもかかわらず、ゲームが得意なROCKHURRAHは、次々と敵を爆破!
20機を超える戦車をやっつけていたよ。(笑)

続いて向かったのが「ヘリコプター搭乗」。
この頃には列が少なくなっていたので、並んで待つことにする。 
画像にある対戦車ヘリコプター AH-1S(通称コブラ)の操縦席に座り、写真を撮ることができるんだよね。
順番が来て、ROCKHURRAHと交互に座ってみる。
一人乗りのヘリコプターなので、同時には座れないんだよね。
操縦席が思った以上に狭くて、体が大きな男性には座るのだけでも辛いかも?
今でも現役で活躍している機種だというので、少しは改良されているのかな。
2010年の「横田基地日米友好祭2010」で、ROCKHURRAHはSH-60シーホークに搭乗してるので、今回で2回目。
貴重な体験ができたね! 

1階には他に、16式機動戦闘車の展示や実際に活動している自衛隊員の動画が流されていたよ。
戦闘機は何度か見ているけど、戦車はあまりじっくり見たことないからね。
敷地内広場には、もっとたくさんの戦車が並んでいるようなので、あとのお楽しみだよ!

偵察用オートバイの展示もあった。
あまり乗り物に詳しくないSNAKEPIPEなので、他のバイクとの違いはよく分からないけど、カッコ良かったよ!
何か偵察に特化してる機能があるんだろうね?

これが戦闘装着セットだって。 
説明を見ると、「戦闘防弾チョッキ」や「戦闘つりバンド」「戦闘水筒」など、全てに「戦闘」の文字が付いている。
ちなみに靴は「戦闘靴一般用」となっていたので、一般じゃない特殊な靴もあるんだろうね。
自衛隊員の服装は、国産だけじゃなくて海外メーカーの逸品もあるのかと思っていたけど違うのかな。
自衛隊員がウーリープーリー着てる写真を見たことがあったので、採用された服装かと思っていたけど、私物だったのかもしれないね。

自衛隊員はどんなことをやっているのかを教えてくれる一覧もあったよ!
朝の6時に起きてから23時に眠るまでのスケジュールの中で、いわゆる日勤帯にあたる時間はほとんどが訓練なのね。
オフィスワークで座ってる時間を全て、体を動かすことに充ててたらマッチョなボディになるだろうな。(笑)
じっと見ていると、にこやかに近寄ってくる自衛隊員がいる。
丁寧に説明を始めてくれるじゃないの!

「戦闘糧食」とは、野外地において温めて食べる食事だという。
3年保存できて、簡単に食べられる優れもの。
隊員が飽きないように、味にバリエーションがあるという。
画像にもあるように「かつおカレー煮」や「中華風カルビ」など、試してみたくなるメニューが並んでいるよ。
「おいしいですよ!」と隊員の方からの感想もあったので、食べてみたくなるよね。
残念ながら、お土産ショップでは販売されてないんだって。
きっと欲しい人多いと思うけどね?(笑)

3Dシアターは抽選を外れてしまったので、2階にあるVR体験コーナーに行ってみる。
今から10分後に開始します、という絶好のタイミングで到着し、一番で会場入りしてしまった。
これはVR用の装置を装着し、自衛隊の一員となって疑似体験ができるというもの。
メニューがいくつか用意されていて、体験したいコースをセレクトするシステムになっている。
SNAKEPIPEは高所恐怖症の上、めまいを感じやすいため、戦車に乗る体験を選んでみたけれど、ちっとも面白くなかった。(笑)
車に乗っている感覚と変わらなかったからね。
ROCKHURRAHはパラシュート降下や小型艇に乗るコースなど、いくつか体験して楽しそうだったよ。
このVR装置、ROCKHURRAHが似合い過ぎててびっくり!(笑)
VRではこんな映像を体験できるよ、というサンプルがこちら。 

うーん、やっぱり落ちるのは怖そうだよね。(笑)

施設の見学は1時間半だったので、あっという間に時間が経過していた。
残り時間が少ない中、施設内広場に展示されている戦車を見にいくことにする。
「87式 自走高射機関砲」「89式 装甲戦闘車」「74式戦車」「90式戦車」「10式戦車」などが展示されていて、圧巻だよ!
それにしても、日本の戦車の名前って、型番だけで全然面白くないんだよね。 
ドイツのティーガー(タイガー)やアメリカのシャーマンのような愛称があったら、もっと戦車の人気も出るように思うけど?
VRのインストラクターをされていた女性隊員が「戦闘機が人気ですけど、戦車もカッコ良いですよ!」とアピールされていたので、ニックネームをつけることをお勧めしたいね!(笑)

曇天で雨が降りそうな天気だったけれど、帰る頃には晴れ間が見えてきた。
「りっくんランド」入口付近に展示されていた軽装甲機動車を撮影し、およそ1時間半の見学を終了したROCKHURRAH RECORDS。
見応え充分の施設で、とても楽しかった!
なんといっても施設の隊員達の愛想が良くて、丁寧なことに驚いてしまった。 
すぐにでも接客業に転職できそうだったよ!(笑)

子供から大人まで楽しめる施設なので、当選してよかったよ!(笑)
コロナのせいで開催されていないコーナーがいくつかあったのが残念だったけどね。
土産物コーナーに、もう少し頑張ってもらいたいと思ったのはSNAKEPIPEだけかなあ。
ミリタリー好きをうならせたり、記念に欲しくなるような商品が見当たらなかったからね。
ROCKHURRAHに缶入りキャンディ買ってもらったけど。(笑)

またどこか見学に行ってみたいな。
ROCKHURRAHに探してもらおう。(笑)

好き好きアーツ!#55 鳥飼否宇 part24−指切りパズル-


【「指切り」から連想してROCKHURRAHが制作したイメージ・ビデオ】

SNAKEPIPE WROTE:

ついに待ちに待った我らが鳥飼先生の新作が発売された!
タイトルは「指切りパズル」。
事前に得た情報では発売日が9月29日だったため、「整形水」を観に行った池袋で新刊を手にする予定だったんだよね。
ジュンク堂の検索機で確認すると「発売前 10月1日発売予定」になってるじゃないの!
Amazonの嘘つき!とブツブツ言いながら、書店を後にしたSNAKEPIPE。
10月1日に、まずは電子書籍を手に入れたのである。
あとで保存用に書籍も手に入れる予定だよ!

まずは出版元である南雲堂のサイトから、あらすじを転載させて頂こう。 

綾鹿市動物園で行われるチタクロリンのコンサート。
予想以上の集客で混乱する中メンバーの飯岡十羽が撫でようとしたレッサーパンダに指をかみ切られてしまう。
チーフ警備員の古林新男は綾鹿署の刑事・谷村の聴取に応じるうちになし崩し的捜査に協力していく。
そして関係者次々に襲われて指を切断される事件が続いていく。

今回の舞台は綾鹿市!
やったー!「綾鹿市シリーズ」だ!(笑)
 2018年の「隠蔽人類」以来になるんだね?
あらすじには、谷村警部補の名前もあり、ますます嬉しくなってしまう。
寝る間も惜しみながら、一気に読み進めたSNAKEPIPE。
ページをめくるごとに、顔がニヤニヤしてしまう。
なぜって、デヴィッド・リンチが「ストレイト・ストーリー」の後、「マルホランド・ドライブ」を発表した時みたいな感じだから!(笑)
分かりづらい例えかもしれないけど、一言でまとめると「戻ってきた!」かな?
ROCKHURRAH RECORDSでは、鳥飼先生の小説を2倍以上楽しむ秘訣があることは、今までまとめてきた「トリカイズム宣言」でも実証済。
鳥飼先生の小説に登場する人物名が、実在するミュージシャン(主にニュー・ウェイヴ系、ノイズやアヴァンギャルド、プログレなど)からの名前のパロディで、解明することに喜びを感じているんだよね。(笑)
「指切りパズル」では、「名前ミステリー」が数多く存在していたので、「戻ってきた!」という第一声が飛び出した、というわけ。
ここまで「名前ミステリー」があったのは、2008年の「爆発的」以来かもしれないね? 

鳥飼先生の小説は、章ごとに感想を書くことが多かったけれど、「指切りパズル」は登場人物ごとにまとめていこうかな。
そして「名前ミステリー」の解読も併せて書いてみよう!
ROCKHURRAHが解いたので、SNAKEPIPEはお役に立ってないんだけど。(笑)
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未読の方はご注意ください! 

「指切りパズル」 の舞台となるのは、綾鹿市動物園。
チーフ警備員である古林新男(こばやしあらお)の目線で話が進められていく。
58歳の古林はいたって真面目な性格で、趣味は推理小説を読むこと。
特徴的なのは、「笑っていいとも」にクイズに出演していた佐野量子みたいに「人を動物に例えて」表現するところじゃないかな?(笑)
そして古林自身はラクダ、もしくはロバに似ているらしい。
今回は、古林が例えた通りの動物画像を載せながら、人物をまとめていこうと思っている。
そして古林新男を「こりん」と読み、新しい男を「ニューマン」にすると、ワイヤーのコリン・ニューマンになったよ!(笑)
ワイヤーってどんなバンドなの?とROCKHURRAHに聞いてみようか。

ワイヤー(WIRE)は、70年代パンクの時代に出てきたバンド。
パンクから初期ニュー・ウェイヴに移行していく時に重要な役割を果たし、数多くのミュージシャンや後に出てくる音楽ジャンルに多大な影響を与えたユニークな存在。
同時代の日本ではそこまで有名な人気バンドではなかったけれど、独特のセンスがある曲が多く、ROCKHURRAHも大好きだったという。
そんなワイヤーのメンバーの名前がパロディとなっているなんて、嬉しくなっちゃうね。(笑)

デビュー当時の珍しい動画があったので、載せてみようか。 

荒削りでパンクっぽいよね!
さすが1977年のイギリスだね。 

動物園関係者で進めていこう。
綾鹿市動物園の園長である田名仁久(たなひとひさ)は、ヒグマに似ているらしい。
こぐまちゃんたち、なんてかわいいんでしょ!(笑)
田名園長も動物の赤ちゃんをSNSで配信するなど工夫をして、動物園の集客に努め、成功しているという。
動物アイドルグループ、TiCrP(チタクロリン)を綾鹿市動物園に呼び寄せたのも園長とは、勉強熱心さに恐れ入るよ。
チタクロリンについての説明はあとにして、田名仁久の名前を解読してみようか。
仁久を音読みして「にく」にすると、ホークウィンドのニック・ターナーになるよ!(笑)

再びホークウィンドってどんなバンド?とROCKHURRAHに聞いてみる。
1970年にデビューしたイギリスのバンド。
なんと50年以上経った現在でも活動している長寿バンドなのだ!
極悪レミーでお馴染み、モーターヘッドのレミーが元在籍していたことでも知られている。
サイケデリックやスペース・ロックなどと呼ばれているけれど、ヌードダンサーがステージで踊ったりパフォーマンス的な要素のあるバンドとしても有名。
ではホークウィンド、1972年のヒット曲「Silver Machine」をどうぞ!(笑)

この曲は割とポップで聴きやすいロックだね。
途中のギター・ソロがサイケっぽいのかな。

手足をバタつかせながら話をする様子がペンギンに似ているというのは、飼育員の霧師レミ(きりしれみ)。
慌てふためく、ちょっとおっちょこちょいな雰囲気がよく分かるよね。
名前については、前述したホークウィンドのレミー・キルミスターで間違いないでしょう。 
レミは、そのまんまだしね。(笑)
霧師レミはレッサーパンダの世話をしている。
その時、事故が起きてしまうのである。

ひゃー!かわいいっ!(笑)
鳥飼先生の「パンダ探偵」にもレッサーパンダのミンミンが登場したっけ。 
綾鹿市動物園のレッサーパンダは3匹いて、名前がルイス、グレイ、ギルバートなんだって。
なんと、これがワイヤーのメンバーであるグレアム・ルイス、ロバート・グレイ 、ブルース・ギルバートから来ているんだね。
コリン・ニューマンは人間だったけど、他の3人はレッサーパンダとは!(笑)
こんなにかわいいレッサーパンダでも、人間の指を食いちぎることができるんだね。
調べてみると食肉類とのことなので、撫でたりするのは厳禁だよ!

動物園の警備員である泥部武六(どろべたけろく)は、精悍な顔立ちでジャッカルのようだという。 
警察官や警備員のような人を守る職業の人は、強そうな顔だと安心感が増すよね。
制服というのも武器の一つだと思うけど、体格とか顔も重要なポイントだから。
それにしても名前で「泥部」っていうのはあるのかな?
どうやら山形県に「どろぶ」と読む村があったようだけど、現在は廃村となっているようだね。
 泥部を音読みすると「でいぶ」で武六は「ぶろく」。
ホークウィンドのデイヴ・ブロックのでき上がり!(笑)
このパロディ、すごく好き!

もう一人の警備員はティモシー・ブレイク。
イギリス人で、今年採用になったばかりの新人警備員だという。
どういう経緯で日本に来ていて警備員になったのか不明だけど、意思の疎通に全く不便がない流暢な日本語を話しているよ。
ラブラドールレトリバーに似ているらしいので、ブレイクも見た目、合格だね!(笑)
ブレイクは、ホークウィンドのティム・ブレイクでどうだ!
同じイギリス人なので、さほどの違和感もなかったね。

ロシアのフィギュアスケート選手である、ザギトワが溺愛していることで有名になった秋田犬。
その秋田犬に似ているのは、綾鹿市動物園の副園長である一日市愛(すていちあい)。
一日市は地名で新潟や岡山に「ひといち」や「していち」として存在するようだけど、「すていち」は珍しいんじゃないかな?
この名前には頭を悩ませたROCKHURRAH。
そしてついに解答を発見!
なんと先に載せたホークウィンドの動画で、前衛アートのパフォーマンスみたいなことをやってる女性の名前がステイシアと気付いたらしい。
「すていちあい」とステイシア。
いい線いってるんじゃないかな?(笑)

綾鹿市動物園の創設者であるムアコック博士の銅像は、正門に建っているという。
ムアコックとは、イギリスの有名なファンタジー・SF作家であるマイケル・ムアコックで間違いないね。
エルリック・シリーズなどで日本でも人気だけど、ホークウィンドのメンバーとしても活動していたロック好きの作家なんだとか。
二足のわらじ、今だったら二刀流と言うべきか?(笑)

続いて動物アイドルグループ、TiCrP(チタクロリン)のメンバーを紹介しよう。
メンバーそれぞれのイニシャルからチタクロリンというグループ名ができているとのこと。
Tiは飯岡十羽(いいおかとわ)、ニックネームはトワワ。
元素記号ではチタンを意味し、そこから連想される動物としてTiger(トラ)をマスコットに設定してるんだとか。
最近のアイドルだったらこうした「こじつけ」での命名もしてるのかもしれないね?
それにしても飯岡十羽という名前は、何かのパロディなのかな。
トワワと聞いて連想したのは、テイ・トウワとか、トワ・エ・モワくらい。(笑)
どちらも違うだろうなあ。
ROCKHURRAHも思いつかないと言う。

ハーフで帰国子女である六本木キャサリンのイニシャルはCr。
元素ではクローム、マスコットはCrocodile(ワニ)とは!
ワニをペットにしていたのは「コインロッカー・ベイビーズ」のアネモネだったね。(笑)
六本木キャサリンにいたっては、参考にする人名すら思い浮かばないよ。
そもそも名字で六本木ってあるのかな?(笑)
調べてみたら、全国に2400人実在するとは驚き!
いるんだね、六本木さん!

丹波凛(たんばりん)の愛称はリンリン。
これはもうリンリン・ランランしか浮かばないよ。(古い!)
調べてみると、実在している丹波凛さんが複数人いて、びっくり!
丹波凛の場合はイニシャルを無視し、リンの元素記号であるPが採用されている。
そのためマスコットはパンダなんだって。
パンダといえば、「パンダ探偵」のナンナン、元気かなあ?  
最近話題の上野動物園の双子のパンダ、シャオシャオとレイレイもかわいいよね。
映像が流れると、顔がニンマリしちゃうもん。
動物の癒やし効果は絶大だね!

チタクロリンのマネージャーは、スローロリスに似ている出口美紅(でぐちみく)。
スローロリスというのはリスではなくて、ロリスという夜行性の猿の一種なんだね。
えっ、わざわざ書かなくてもみんな知ってるって?(笑)
出口美紅は、ホークウィンドのディック・ミックのパロディで間違いないでしょう!

チタクロリン(通称チタクリ)は以上3名で構成されるアイドル・グループなんだよね。 
全国の動物園でプロモーション活動を行い、ファンを増やしているという。
チタクリには「ピンクの旗」「消えた椅子」「わたしはハエ」などの曲があるようで、これらは全てワイヤーの曲やアルバムのタイトルなんだよね。
ROCKHURRAHはこれらの曲から即座にワイヤーを連想し、そこから「名前のパロディ」を解明していったらしいよ。

チタクリには熱狂的なファンがいるので、続けて紹介していこう。

マレーグマに似ているとされたのは多門悦治(たもんえつじ)。
トワワのファンらしい。
声が野太くて顔がコレとは、あまり関わりたくないタイプに見えるよね。
それでアイドルの追っかけとは、ちょっとびっくり。
多門悦治は、クロームのダモン・エッジだろう、とROCKHURRAHが言う。
ここで3つ目のバンドが登場したよ。

クロームは1970年代後半に登場したサンフランシスコのバンドで、暴力的で歪んだノイズが散りばめられたような音楽を得意としていた、とはROCKHURRAHによる説明ね。
SNAKEPIPEもインターネット・ラジオで聴いて「この曲いいね」と話すと、「クロームだよ」と教えてもらったことがあるよ。
ガレージとインダストリアルのミクスチャーみたいでカッコいいんだよね!(笑) 

ファンのもう一人はコモドドラゴン似の栗戸縁男(くりどへりお)。
獰猛そうで、危険な雰囲気を感じる男なんだろうね。
実際コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)は、強力な歯を持ち歯の間から毒の注入ができる構造を持っているらしいよ。
コモドドラゴンには出会わないほうが良いね!
栗戸縁男も上述したクロームのメンバーであるヘリオス・クリードのパロディで良いみたいね?

綾鹿中央病院の看護師長は西紋菫(さいもんすみれ)。
画像はマヌルネコで、寒冷地に住む野生のネコとのこと。
スナネコは知っていたけれど、マヌルネコは見たことないかも。
この動物に似てると言われても、即座に「あの雰囲気ね!」と反応できないなあ。(笑)
そしてこの西紋菫、音読みにすることで謎解きできたよ。
「さいもんきん」にすると、ホークウィンドのサイモン・キングのパロディと判明!
スミレの漢字がこの字とは知らなかったなあ。

義指製作者の針金一五四(はりがねいつよ)はコツメカワウソに似てるんだとか。
とてもカワイイ動物だけど、人間の顔になったらどうなんだろう?(笑)
最近はペットとしての人気もあると聞くけれど、同時に密輸事件も摘発されているよね。
密輸の途中で死亡する報道もあり、聞くたびに怒りがこみ上げてくる。
本当にこんなことはやめて欲しいよね!
話を針金一五四に戻すと、「これはそのままワイヤーだね」とROCKHURRAHが言う。
針金がワイヤーで、一五四はワイヤーの3rdアルバム「154」とのこと。
それにしても針金さん、実在する名字なのね。(笑)

「綾鹿市シリーズ」で、以前より馴染みのある綾鹿警察署の谷村警部補も登場する。
古林から見た谷村警部補は、笑っているように見える顔から「世界一しあわせな動物」と呼ばれるクオッカに似ているそうだよ。
クオッカ、とてもカワイイね!
逆説的」では、谷村警部補はキューピー人形に似ている、とされていたっけ。
どっちにしても童顔の「とっちゃん坊や」(死語?)ってことだね。
だみ声が特徴とされていた点が、「指切りパズル」には書かれていなかったよ。
かわいい顔でだみ声っていうギャップが面白かったんだけどね。(笑)

谷村警部補とコンビの南巡査部長も登場してるよ!
赤ら顔をした南巡査部長は、ニホンザルにされてしまった。(笑)
この特徴は「逆説的」にも描かれているね。
谷村警部補と南巡査部長は、動物園のチーフ警備員である古林に捜査の協力を求め、事件の解決に挑む。
チタクリがアイドル3人組なら、こっちはおっさん3人組ってとこだね。(笑)

「指切りパズル」は、連続指切断事件という猟奇的な題材を扱っているけれど、「親指がなくなったらヒッチハイクできない」や「中指がなくなったらファックサインができない」などの例えに笑ってしまう。
残酷な事態なのに笑いが出る、というセンス、最高なんだよね!(笑)
谷村警部補がわざとなのか、いつまでたっても「チタクリ」を言い間違えるところには、プッと吹いてしまった。
きっと社内で変な人だと思われてしまったSNAKEPIPEだよ。(笑)

動物園とアイドルとミステリー、そして名前のパロディまでミックスされた「指切りパズル」の世界に、ぐんぐん引き込まれた。
連続切断事件の途中で、ROCKHURRAHが「わかった!」と言う。
何が分かったのかを聞き、「そんなバカな」と答えたSNAKEPIPE。
ところが読了して、ROCKHURRAHの「そんなバカな」意見通りだったことに驚いてしまった。
まさかそんな結末?と腰を抜かすこと間違いないね!
そして鳥飼先生の作品に慣れ親しんでいるために、結末を予想してしまったROCKHURRAHにも拍手だよ。(笑)
「指切りパズル」の「名前パロディ」に関しては、SNAKEPIPEの出る幕一切なし。
双頂山(ふたかぐめやま)は、「もしかしてツイン・ピークス?」って思ったけど。(笑)

現在ROCKHURRAHと2巡目の読書中。
鳥飼先生の著作って、何度読んでも面白いんだよね。
今回も楽しませて頂き、ありがとうございました! 

横尾忠則:The Artists 鑑賞

20201010 top
【ギャラリーの入口にあった看板を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

先週書いた「整形水」 を鑑賞した後、長年来の友人Mと向かったのは六本木。
東京ミッドタウンにある21_21 DESIGN SIGHT で開催されている「横尾忠則:The Artists」を鑑賞するためである。
実はその前、ランチで訪れたのは東新宿。
韓国料理を食べるために立ち寄ったんだよね。(笑)
そのため、この日は池袋→東新宿→六本木の順に移動したことになる。
わざわざランチのために東新宿に行かなくても、と思われる方が多いと思うけど、どうしても韓国のうどん「ククス」が食べたかったんだよね。
とても美味しくて大満足だったよ!(笑)

「横尾忠則:The Artists」は、2014年にパリにあるカルティエ現代美術財団の依頼で、横尾忠則が139点の肖像画を描いた展覧会なんだよね。
その展覧会が、7年の時を経て六本木で鑑賞できるなんて夢のようじゃない?
そして驚くべきことに、なんと入場無料!
カルティエ、さすがだね!(笑) 
そしてもっと驚いてしまうのが、長年来の友人Mは、この展覧会をパリのカルティエ現代美術財団で鑑賞済ということ。
たまたま出張でパリに滞在していて、ふらっと立ち寄ったというから羨ましいじゃないの!
「とても良かったよ」と聞いていた展覧会だったので、是非鑑賞したかったんだよね。

入場すると、係の人から「鑑賞に関してのお願い」を話される。
額に入っていない作品が所狭しと並んでいるので、作品を傷つけないようにとのこと。
美術館にある白線も引かれていないので、近くで鑑賞できるからだろうね。
そしてなんと、撮影もすべてオッケー!
なんて太っ腹なの!
カルティエ製品、何か買わないと! (笑)

展示にキャプションは付いていなかったけれど、ほとんどの作品に人名が記載されていたので、誰の肖像画なのか知ることができる。
作品を知っていても、アーティストの顔を知らない場合もあるからね。
2016年9月に「トーマス・ルフ展」で、実験的な作品を鑑賞したけれど、トーマス・ルフがこんな顔だったとは知らなかったよ。
トーマス・ルフ展の感想に書いているけれど、ドイツのアートは根底にバウハウスの影響があると思うので、無機的で構造的な印象なんだよね。
赤と白でキッチリと区切られたキャンパスに、その雰囲気を感じたよ。

2021年の今年、第32回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞したジェームズ・タレルも描かれていたよ。
2018年5月の記事「SNAKEPIPE SHOWROOM 物件13 建築家設計の物件編」 では、ジェームズ・タレルの作品が組み込まれた建築物について書いているSNAKEPIPE。
光による自然の色を体験することができるタレルの作品は、日本にもいくつか存在しているようだけど、残念ながら未鑑賞なんだよね。
静かな環境でゆっくり鑑賞したら、人生変わるかも?

2021年7月、76歳でがんのために亡くなってしまったクリスチャン・ボルタンスキー
まだこれから作品を見せて欲しかったのに、残念だよ。
国立新美術館で「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」を鑑賞したのが2019年7月なので、まだ記憶に新しいんだよね。
展覧会のタイトルが「Lifetime」で、今となってみると意味深に感じてしまう。
ボルタンスキーの代表作である「モニュメント」シリーズは、まるで遺影写真を祭壇のように展示している作品。
写真の周りには電球が配置され、電球のコードが写真にかかっているせいで、一種のおどろおどろしさがあるんだよね。
そのコードが顔にかかる様子が、ボルタンスキーの肖像画に描かれていて「なるほど!」と思ったよ。
単なる肖像画じゃなくて、その人自身を表す要素が含まれているんだよね。

SNAKEPIPEが敬愛するデヴィッド・リンチも描かれている。 
2007年にリンチはカルティエ現代美術財団で「The Air is on Fire」という展覧会を開催している。
実は友人Mに、リンチの図録を買ってきて欲しいと頼んだSNAKEPIPE。
あまりに重たくて断念した、と帰国後聞かされ落胆したっけ。(笑)
横尾忠則は、リンチの絵を3枚も描いているんだよね。
1枚は、相当ぞんざいな描き方していたから、リンチからクレームきたのかな?(笑)
肖像画はあまり似ていないけど、SNAKEPIPEが好きな2人のコラボは嬉しいよ!

日本人アーティストも複数人描かれてた。 
カルティエ現代美術財団と関わりがあるんだろうね。
左上の「劇場」で有名な写真家の杉本博司は、印画紙の中央にいるみたいに見える。
ゲゲゲの鬼太郎のTシャツを着ている右上は森山大道で、2枚描かれていたよ。
左下は荒木経惟で、ヌードの女性がプリントされたTシャツにニヤリとしてしまう。
顔を知らなかった右下の宮島達男だけど、キャンパスの最前面に数字が描かれているところがミソ!
発光ダイオードのLEDで数字を表す作品が有名だからね。
画像には載せていないけれど、いたずら書きみたいな線だけで描かれた村上隆には大笑いだったよ。
しかも似てるし。(笑)

最後のブースでは、カルティエ現代美術財団からオファーを受けて肖像画を描くことになった経緯などを話す横尾忠則の映像が流れていた。
1日に何枚も描き、同じ姿勢のまま過ごしていたせいで、完成した後に入院したという。
制作期間より完治までに時間がかかったけれど、このことはカルティエの人に話してない、と笑う横尾忠則。
20分ほどの映像も楽しかったよ!

ノリノリで描いている場合と、そうじゃない時の差があるように見えて、そこも面白かった。
単なる肖像画ではなくて、その人の背景までも描かれていて、その「人となり」が分かるんだよね。
鑑賞できて良かった展覧会だった。

今年は東京都現代美術館で開催された「GENKYO」、そして今回の「The Artists」と2つの横尾忠則展を鑑賞できて、本当に嬉しいよ!
次の展覧会が待ち遠しいね。(笑)