【愛読してた割には愛のない文章でごめん】
ROCKHURRAH WROTE:
前回はひどい風邪で高熱もあり、不調真っ只中でのブログだったがその後は何とか回復してとりあえずはメデタシ。
さて、今回もその続きで過去に愛読していた漫画への個人的な思い入れを書いてゆこう。解説でも考察でも紹介でもなくて単なる回想だからディープな話は全くない。
これを書いているのが深夜で早く眠りたいため、いつものような長い前フリはなしでね。
「虹を呼ぶ拳/つのだじろう」
絵的には全く好みじゃないはずなんだが「うしろの百太郎」「恐怖新聞」「空手バカ一代」は読んでて当然。かなりカルトな作品とも言える「メギドの火」までも愛読していた(キャンサー白鳥ファン)ので「全然ファンじゃありません」とは言い難い漫画家。
運動が全くダメでガリ勉タイプの団地のモヤシっ子(死語)が強盗に襲われて、それを救ったのがクラスの劣等生。強さの秘密は空手だと言う。これをきっかけに空手の道にのめりこんでゆくという話なんだが、前半がやたらリアルというかせせこましい生活感にあふれた描写。いちいち細かくは言及しないが中学生が月謝払うために新聞配達するとか、空手道場の経営が厳しいとかその辺の話。インチキが横行する空手界で本当に猛者を決めるという格闘技世界一のようなイベントは成功するが、それに理解をしない両親がイヤになり、主人公は家出して、あっという間に騙されて北海道網走のタコ部屋の俘虜となる。ここで鍛えられてなぜか一年ほどで殺気立った野生児に変貌した主人公、ついにはタコ部屋で暴動を起こし、元プロレスラーの用心棒を倒すまでに強くなる。それからライバルとなる天才空手家との出会い、野獣に生まれ変わったとか言いながらも妙に理屈っぽく鬱陶しい主人公なんだよね。そして最後はムエタイの神様と戦うというすごい飛躍となる。
本作は梶原一騎原作のいわゆるスポ根漫画なんだろうが、後半は予想外の展開続きで王道とはかけ離れている。色々批判されたりはしたがこの時代の梶原一騎のようなストーリーはなかなか発想出来るもんじゃないと思える。何てったって少年漫画でタコ部屋という展開は並みじゃないよ。
「エスの解放/倉多江美」
タイトル書いたものの実は現物も手元になく、ストーリーも全然記憶にない、だったら書くなよと言われても仕方ない。ただ当時の少女漫画とはまるっきり違う難解で形而上的な作風、深井国(SFの挿し絵などで有名なイラストレーター)を思わせるスタイリッシュな絵柄など素晴らしい魅力に富んだ漫画家で、恋愛とコメディとファッションが主流だったような70年代少女漫画界にもこんな人材がいるんだ、とROCKHURRAHを唸らせた。ただそのことが書きたかっただけ。他の作品も素晴らしいので探して読んでみてね。
「あかつき戦闘隊/園田光慶」
第2次大戦中、南方のパゴス島なる孤島を基地とする海軍の荒くれ集団、あかつき戦闘隊に赴任(と言うのか?)してきた新米隊長。素行は悪いが戦闘機に乗らせれば米軍もビビる程の強者たちを相手に実戦経験のないこの隊長がガッツと愛国精神でリーダーシップを発揮してゆくという戦記ドラマが本作だ。今ではほとんどないと言っても良いジャンルの戦争漫画だが、この時代には結構たくさんあって、この「あかつき戦闘隊」もヒットした部類なのではなかろうか?ただマイナーな出版社が出していたのでコミックスが入手し辛くて、ずいぶん後になって古本屋で手に入れた記憶がある。過去に持っていた漫画をほとんど手放してしまったROCKHURRAHだが、なぜか今でもこの本は所有しているのが不思議。絵柄もストーリーも家宝にするまで愛着のあるものではないのに。引越しの際に処分するモノと残しておくモノの判断をいつも間違ってしまうんだろうね。
本作に関しては主人公よりも周りのあかつき戦闘隊の面々がなかなかいい味出していて、特に酒飲みの軍医くずれ(というか心得があるだけ?)の左近が個人的には好きだった。
「釣りキチ三平/矢口高雄」
こうやって色々と過去の漫画について回想してみると、現在のROCKHURRAHの趣味嗜好とはかけ離れた世界が見え隠れする。漫画を主に読んでいたのがパンクになる前だから仕方ないと言ってしまえばそれまでだが、このROCKHURRAHの風貌を見てまさか「釣りキチ三平」の話が出来る人間とは誰も思うまい(笑)。話が出来るどころかほぼ全巻持っていたのも意外だと自分でも思える。アニメにもなったし有名な作品だからあらすじなどは書かないが、中学生の時に釣り好きの友達がいて、この漫画に影響を受けたような遊びをやっていたのを思い出す。スピニング・リールの釣り竿、テグスの先に大きなオモリをつけて投げ釣りにおける遠投の練習を裏の畑でやっていたのだ。名付けて「シロギスの涙ごっこ」。人に当たれば間違いなく即死だろうし、随分危ない遊びをやっていたもんだ。実際に釣りの腕前の方はさっぱりだったが、なぜかこの時代には「釣り人」などという月刊雑誌まで読んでいたのが恐ろしい。
ゲーム「どうぶつの森」や「モンスターハンター」で釣りばっかりやってた都会っ子のSNAKEPIPEとそのうちどこか釣りに行ったり・・・とかはまずないと思えるが、そういう趣味に対する憧憬はいつまでも心の中にある。キメキメ(死語)の服装でライブ行って、というメインの趣味がどうしても都会じゃないと出来ない事なので関東に住んではいるが、本当は都会なんか全然好きじゃないもう一人の自分がいる事も自覚している。話がすっかりそれてしまったが漫画の方は「カルデラの青鮒」とか「三日月湖の野鯉」とか現実離れした怪魚への興味でワクワクして読んでいたものだ。子供の頃からUMAとか好きだったものなあ。
「子供の王国/諸星大二郎」
前にSNAKEPIPEと諸星大二郎原作という「壁男」なる映画を観て非常につまらなかった事を思い出す。諸星大二郎はROCKHURRAHの好きな漫画家だったので「本当はもっと面白い漫画家なんだよ」と言い訳しながら観た次第なんだが、この「子供の王国」などは好みの作品と言える。
薄汚い大人に成長する事を止めて子供の姿のまま大人になってしまった人間が多数という未来社会の流行を描いた作品。大人の姿である主人公は異端児であり下層階級というわけだが、恋人までも子供(の大人)にとられてしまう。その理不尽な社会に怒り子供の王国に潜入した主人公は・・・というようなストーリーだ。
逆「ブリキの太鼓」と言えなくもないがなぜか筒井康隆の「こぶ天才」を思い出してしまった。え、全然違う?
独特の頼りなげな絵柄も含めてやっぱり個性的な漫画家だと思う。
なぜか熱にうかされて書いた初回の方が筆が速く、文字通り熱のこもった文章だったが、いくら書いてもキリがないのでこの辺でやめておく事にする。
そう言えば過去に通ったレコード屋についての続きも書いてなかったが、きっとまた書きますので今年もよろしく。←年頭の挨拶遅過ぎ。