ザ・ホーンテッド・コレクション 鑑賞

20240303 top
【地下にあるヴァニラ画廊に降りる階段途中のポスター】

SNAKEPIPE WROTE:

先週の「YOSHIROTTEN Radial Graphics Bio」で銀座を訪れた時、もう一つの展覧会を鑑賞していたんだよね。
それはヴァニラ画廊で開催されている「ザ・ホーンテッド・コレクション -HNコレクション奇妙な書斎-」。
2016年6月の「シリアルキラー展」、その6年後になる2022年7月の「シリアルキラー展2022」で、モノホン(!)の連続殺人鬼、いわゆるシリアルキラーが描いた絵画を鑑賞した画廊だよね。
作品を所持していたのがHN氏というコレクター。
今回は「シリアルキラー展」の範疇に収まらないHN氏のコレクションを展示する企画だという。
どんな作品に出会えるのか期待しちゃうね!(笑)

「シリアルキラー展」は大盛況で、コロナ渦で人数制限されていた会場だったのに、作品鑑賞するために順番待ちする必要があったことを思い出す。
これは2016年の時も同様で、キャプションと作品を見比べようと、あちらこちらで渋滞するんだよね。
ヴァニラ画廊は、かなり小さめの会場なので、少しストレスを感じてしまう。
今回の「ザ・ホーンテッド・コレクション」は、事前予約なくて当日券のみ販売とのこと。
「シリアルキラー展」のように大混雑もあるかもしれない。

12時の開場時間少し前にヴァニラ画廊に到着。
行列ができているかと思いきや、地下への階段を降りていくと、なんと一番乗りだった。
大混雑の懸念はなくなったので、安心したよ。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHの後ろに4,5人が並んだくらいで、「シリアルキラー展」ほどの人気ではないみたい。
ゆっくり観て回れるのは良いことだね。(笑)

ヴァニラ画廊は撮影禁止なので、今回も別の場所で画像を集めてみたよ!
感想をまとめていこう。

ヴァニラ画廊は会場がAとBに分かれていて、小さめの会場Bから鑑賞してみる。
ここには怪奇・ホラー漫画の原画が展示されていた。
水木しげるをはじめ、花輪和一、古賀新一、楳図かずお、つのだじろうなどの漫画家の作品が並んでいる。
元古本屋だったROCKHURRAHが、ほとんどの漫画家を知っているのはさすが!
壁に展示された漫画の原画の前に、ガラスケースが置いてある。
「わっ!黒死館だっ!」
ROCKHURRAHが驚いて声を出す。
小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」の初版本が展示されていた。
ROCKHURRAHが偏愛する作品なんだよね。
SNAKEPIPEもお勧めされて読んだことを思い出す。
黒死館と呼ばれる屋敷に関係する人は、召使ですら相当な知識人で文化的素養もあり、すべての会話についていかれることに驚いたっけ。(笑)
漫画の展示よりも本に大反応していたROCKHURRAHは、貴重な初版本が欲しかったのかもしれない。
昭和10年、1935年というと約90年前の初版本、一体おいくらなんだろうね?
はっきりした色使いと、アール・デコの影響を受けているような装丁が美しかったよ。

会場Aに移動して、一番最初に目を引いたのはピエール・モリニエの作品。
Wikipediaに「フェティシズムとエロティシズムを表現した官能的な作風」と書かれていて、ザッツ・ライト!(笑)
木炭を使ったような太くて黒い線で、女性を描いた作品が並んでいる。
これがとても小さくて!
近づかないとよく見えないほどだったよ。

写真も展示されていた。
モリニエが尻、足、ストッキングと靴のフェチだということがよく分かる。
倒錯者と敬遠されてしまうのも納得かも。
今回の「ザ・ホーンテッド・コレクション」では、作品リストがなかったので、タイトルや制作年についての情報がないんだよね。
「シリアルキラー展」では小冊子付きで親切だったのにな。
画家、写真家、人形作家と紹介されているので、モリニエの展覧会で全貌を観てみたいと思ったSNAKEPIPEだよ!

モリニエを鑑賞後、壁づたいに作品を観ていく。
「サーカスコレクション」として、古い時代のサーカス団員を撮影した写真が展示されている。
これはまるで映画「フリークス(原題:Freaks 1932年)」(画像左)や「エレファント・マン(原題:The Elephant Man 1980年)」みたいに、見世物小屋と曲芸などを披露するショーが合体しているサーカス団の写真なんだよね。
すでに衝撃的な映画を鑑賞していたせいか、「サーカスコレクション」に驚くことはなかったなあ。

「ザ・ホーンテッド・コレクション」で最も多く展示されていたのが、映画監督ティム・バートンのドローイングだったよ。
インクで線を引いたあと、水彩で色をつけている作品で、人物や謎の生物(?)が生き生きと描かれている。
ティム・バートン、絵が上手いなあ!
元アニメーターなので、サラサラと描けるのかもね?
作品はネットでも販売されていて、左の作品「On Pins and Needles」は、$8,775(約130万円)とのこと。
これが最も高額だったので載せてみたよ。
HN氏はたくさん購入しているので、お金持ちだよね!

映画監督で絵も描いているといえば!
敬愛するデヴィッド・リンチのリトグラフも展示されていたよ。
リンチ教という宗教あったらとっくに入っているSNAKEPIPEだけど、この作品は初めて観たかも。
右側の顔に斑点があり、左の額には「D.L.」の文字があるね。
リンチの頭文字だ!(笑)
どうやらこれは自画像みたい。
あまり意味は考えなくて良い気がするよ。
そしてこちらもネットで販売されていたようで、お値段$300、日本円で約45,000円だった。
リンチの作品がこんなにお手頃だったと知ってショックを受けたSNAKEPIPEだよ。
一桁間違ってない?

ROCKHURRAHと別に作品を鑑賞していたSNAKEPIPE。
慌てた様子でROCKHURRAHが駆け寄ってくる。
「イレイザー・ヘッドの赤ん坊が展示されているよ!」
えっ、嘘だ、そんなはずはない。
「イレイザー・ヘッド」の赤ん坊(通称スパイク)については、リンチが絶対に口を割らなかったとして有名だからね。
どんな仕掛けになっていたのか、未だに謎のまま。
展示品を観てみると、確かに「あの赤ん坊」によく似ている人形(?)がケースの中に横たわっているけれど、「実物」というキャプションはなかった。
帰宅後調べてみると、赤ん坊のレプリカを手作りして販売しているサイトを発見!
頭部はシリコン製で、注文を受けてから1週間で発送とのこと。
お値段はアメリカからの送料込みで約5万円くらい。
いくらリンチ教信者のSNAKEPIPEでも、赤ん坊のスパイクを可愛がる自信はないなあ。(笑)
HN氏のようなコレクター向けなのかもね?

他にも「羊たちの沈黙(原題:The Silence of the Lambs 1991年)」に出てきた髑髏の柄が入ったメンガタスズメの標本や、「シリアルキラー展」でも紹介されていたクレイ兄弟が描いた絵などの展示もあった。
クレイ兄弟の絵は、あの時と同じ作品だったのかどうかは覚えていないけどね。(笑)
全体的に「ホーンテッド(恐怖や不気味さ)」とタイトルにするほどの内容ではなかったように感じた。
期待していただけに、落胆も大きい。
リンチ関連の作品がなかったら、かなり不満だったかも。
行って観たから言える感想だ、ということにしておこう。(笑)

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