SNAKEPIPE MUSEUM #63 Rania Ghosn

20221023 top
【バウハウス博物館に展示されたトリプティクのシリーズ、Climate Inheritance 】

SNAKEPIPE WROTE: 

毎週のように鑑賞した展覧会についての記事を書いてきたけれど、次に予定している企画までは少し間が空きそうなんだよね。
今回は久しぶりにSNAKEPIPE MUSEUMにしてみよう!
前回書いたのが2021年12月だったので、およそ10ヶ月ぶり。
こんなに更新していなかったとはびっくりだよ。

面白そうな作品はないかな、と探していると目に飛び込んできたのがモノクロームの絵。
アーティストは誰だろう、と調べてみる。
するとMIT、マサチューセッツ工科大学の建築と都市計画の准教授であるRania Ghosn、と書いてあるよ。
読み方はラニア・ゴーンで良いのかな。
SNAKEPIPE憧れのMITで教える立場の方が、アートにも着手してるなんて!
先日鑑賞した中野信子の脳波アートのように、専門職の方がアート作品を制作するのって面白いよね。

まずはラニア・ゴーンの略歴から書いてみよう。

1977 レバノン、クファルハタ生まれ
2000 ベイルート アメリカン大学で建築学の学士号
2003 ユニバーシティ カレッジ ロンドンで地理学の修士号
2010 ハーバード大学デザイン スクールでデザインの博士号
2014 ACSA ファカルティ デザイン アワード
2016 若手建築家 + デザイナーの建築家リーグ賞
2017 ACSA ファカルティ デザイン アワード
2022 米国アーティスト フェローシップ

なんだかすごい経歴だよね。
大学を3つも通って学んでいたようで。
環境デザインという分野になるんだね。
2021年3月に鑑賞した「2021年宇宙の旅」に、イスラエル出身の高学歴な女性アーティストがいたことを思い出したよ!
ネリ・オックスマンも複数の大学で学び、医学と建築とアートを結びつける作品だったよね。
ラニア・ゴーンも建築と地理学とデザインで作品制作している。
どちらも女性なので、タイプが似ているように感じてしまう。

ラニア・ゴーンの「アフターオイル」という9枚組の作品を観てみよう。
モノクロームの不思議な世界。
エルンストのエッチングのような細い線に、文字や数字が書き加えられているところも魅力的だよ。
遠くにはビル群が立ち並んでいるけれど、廃墟のように見えてしまう。
手前のゴツゴツとした岩(?)には、望遠鏡で監視しているような人物がいるよ。
タイトルは「ダス島 ダス原油」だって。
海に施設が建造されているので、原油を運ぶルートを表しているのかもしれないね?

次は「ホルムズ海峡大チェス盤」というタイトルね。
海中にいるという設定なのか、クラゲや亀のシルエットが見える。
人もダイビングしているように見えるけど、下の船が謎だよね。
シュルレアリスムの作品だと思えば不思議じゃないけど。(笑)
地球の環境問題、例えばエネルギーやゴミについてなどを考慮しながら都市計画を進めるなら、という提案ということになるのかな。
それぞれキチンとしたデータに基づいた、根拠のある提案なんだろうね。
魚と共存する海中生活もあり、ってことか?
ちゃんとした説明を読んでないので、想像だけどね。(笑)

9枚組の作品なので、3枚でワンセットとしてタイトルが付けられている。
こちらは「ブビアン: かつて島があった」という作品。
上空からの衛星写真のように見えるよ。
photoshopで画像選択した時みたいな細い点線は、何を意味しているだろうね。
どこからが土地で、どこが海なのかも不明だけど、地理と都市計画とアートの融合は興味深いね。
「アフターオイル」の作品群は、ニューヨーク近代美術館(MOMA)に永久保存されているという。
MOMAに行ったらいつでも観られるね!(笑)

「Elephant in the Room」は2021年の作品だという。
象がニューヨークを行進する話だけれど、そこには様々な問題提起があるんだとか。
SNAKEPIPEは、この作品を観た時にフリッツ・カーンの「工業宮殿の男」を思い出して楽しくなったんだけど。(笑)
モノクロームだけじゃなくてカラー作品も制作してるんだね。
象の中に動物のシルエットが見えるのは、アメリカ自然史博物館などへの批判を意味しているらしい。
動物の剥製や人種差別的な展示方法についての抗議とのことだけど、この作品を観ただけでは理解できないよ。
アニメーションがあったので載せてみようか。
観ると意味が分かるかも。

ラニア・ゴーンは「デザイン・アース」というプロジェクトの一環として作品制作を行っている。
絵画などの2次元にとどまらず、インスタレーション作品も発表しているらしい。
どんな地球をデザインしているのか気になるよね。(笑)

2019年12月に鑑賞した「未来と芸術展」でも、建築や科学、バイオ技術などがアート作品として展示されていたっけ。
様々な分野の知識人がアートに乗り出すのは、世界的な潮流なのかもしれないね。

たまたま目にしたラニア・ゴーンの作品を理解するために、調べていく作業が楽しかった。
観たことがない作品検索、続けていこう!

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