【ギャラリーの入口にあった看板を撮影】
SNAKEPIPE WROTE:
先週書いた「整形水」 を鑑賞した後、長年来の友人Mと向かったのは六本木。
東京ミッドタウンにある21_21 DESIGN SIGHT で開催されている「横尾忠則:The Artists」を鑑賞するためである。
実はその前、ランチで訪れたのは東新宿。
韓国料理を食べるために立ち寄ったんだよね。(笑)
そのため、この日は池袋→東新宿→六本木の順に移動したことになる。
わざわざランチのために東新宿に行かなくても、と思われる方が多いと思うけど、どうしても韓国のうどん「ククス」が食べたかったんだよね。
とても美味しくて大満足だったよ!(笑)
「横尾忠則:The Artists」は、2014年にパリにあるカルティエ現代美術財団の依頼で、横尾忠則が139点の肖像画を描いた展覧会なんだよね。
その展覧会が、7年の時を経て六本木で鑑賞できるなんて夢のようじゃない?
そして驚くべきことに、なんと入場無料!
カルティエ、さすがだね!(笑)
そしてもっと驚いてしまうのが、長年来の友人Mは、この展覧会をパリのカルティエ現代美術財団で鑑賞済ということ。
たまたま出張でパリに滞在していて、ふらっと立ち寄ったというから羨ましいじゃないの!
「とても良かったよ」と聞いていた展覧会だったので、是非鑑賞したかったんだよね。
入場すると、係の人から「鑑賞に関してのお願い」を話される。
額に入っていない作品が所狭しと並んでいるので、作品を傷つけないようにとのこと。
美術館にある白線も引かれていないので、近くで鑑賞できるからだろうね。
そしてなんと、撮影もすべてオッケー!
なんて太っ腹なの!
カルティエ製品、何か買わないと! (笑)
展示にキャプションは付いていなかったけれど、ほとんどの作品に人名が記載されていたので、誰の肖像画なのか知ることができる。
作品を知っていても、アーティストの顔を知らない場合もあるからね。
2016年9月に「トーマス・ルフ展」で、実験的な作品を鑑賞したけれど、トーマス・ルフがこんな顔だったとは知らなかったよ。
トーマス・ルフ展の感想に書いているけれど、ドイツのアートは根底にバウハウスの影響があると思うので、無機的で構造的な印象なんだよね。
赤と白でキッチリと区切られたキャンパスに、その雰囲気を感じたよ。
2021年の今年、第32回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞したジェームズ・タレルも描かれていたよ。
2018年5月の記事「SNAKEPIPE SHOWROOM 物件13 建築家設計の物件編」 では、ジェームズ・タレルの作品が組み込まれた建築物について書いているSNAKEPIPE。
光による自然の色を体験することができるタレルの作品は、日本にもいくつか存在しているようだけど、残念ながら未鑑賞なんだよね。
静かな環境でゆっくり鑑賞したら、人生変わるかも?
2021年7月、76歳でがんのために亡くなってしまったクリスチャン・ボルタンスキー。
まだこれから作品を見せて欲しかったのに、残念だよ。
国立新美術館で「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」を鑑賞したのが2019年7月なので、まだ記憶に新しいんだよね。
展覧会のタイトルが「Lifetime」で、今となってみると意味深に感じてしまう。
ボルタンスキーの代表作である「モニュメント」シリーズは、まるで遺影写真を祭壇のように展示している作品。
写真の周りには電球が配置され、電球のコードが写真にかかっているせいで、一種のおどろおどろしさがあるんだよね。
そのコードが顔にかかる様子が、ボルタンスキーの肖像画に描かれていて「なるほど!」と思ったよ。
単なる肖像画じゃなくて、その人自身を表す要素が含まれているんだよね。
SNAKEPIPEが敬愛するデヴィッド・リンチも描かれている。
2007年にリンチはカルティエ現代美術財団で「The Air is on Fire」という展覧会を開催している。
実は友人Mに、リンチの図録を買ってきて欲しいと頼んだSNAKEPIPE。
あまりに重たくて断念した、と帰国後聞かされ落胆したっけ。(笑)
横尾忠則は、リンチの絵を3枚も描いているんだよね。
1枚は、相当ぞんざいな描き方していたから、リンチからクレームきたのかな?(笑)
肖像画はあまり似ていないけど、SNAKEPIPEが好きな2人のコラボは嬉しいよ!
日本人アーティストも複数人描かれてた。
カルティエ現代美術財団と関わりがあるんだろうね。
左上の「劇場」で有名な写真家の杉本博司は、印画紙の中央にいるみたいに見える。
ゲゲゲの鬼太郎のTシャツを着ている右上は森山大道で、2枚描かれていたよ。
左下は荒木経惟で、ヌードの女性がプリントされたTシャツにニヤリとしてしまう。
顔を知らなかった右下の宮島達男だけど、キャンパスの最前面に数字が描かれているところがミソ!
発光ダイオードのLEDで数字を表す作品が有名だからね。
画像には載せていないけれど、いたずら書きみたいな線だけで描かれた村上隆には大笑いだったよ。
しかも似てるし。(笑)
最後のブースでは、カルティエ現代美術財団からオファーを受けて肖像画を描くことになった経緯などを話す横尾忠則の映像が流れていた。
1日に何枚も描き、同じ姿勢のまま過ごしていたせいで、完成した後に入院したという。
制作期間より完治までに時間がかかったけれど、このことはカルティエの人に話してない、と笑う横尾忠則。
20分ほどの映像も楽しかったよ!
ノリノリで描いている場合と、そうじゃない時の差があるように見えて、そこも面白かった。
単なる肖像画ではなくて、その人の背景までも描かれていて、その「人となり」が分かるんだよね。
鑑賞できて良かった展覧会だった。
今年は東京都現代美術館で開催された「GENKYO」、そして今回の「The Artists」と2つの横尾忠則展を鑑賞できて、本当に嬉しいよ!
次の展覧会が待ち遠しいね。(笑)