【伯母が何枚も撮っていた夕日の写真】
SNAKEPIPE WROTE:
今週で最終回となる伯母の写真特集。
まるで写真家が撮影したようなショット集で締めくくってみよう。
きっと伯母本人は、たまたまシャッターを切っただけで、プロっぽく仕上げたつもりじゃないはず。
個人的な思い出の一枚だったんだろうけどね?
工場地帯を移した写真。
まるでアンドレイ・タルコフスキーの映画みたいじゃない?
恐らくバスか電車の中から撮影したように見えるよ。
インダストリアル好きのSNAKEPIPEには、グッときた一枚。
カラーのフィルムにはよくあった赤く焼けた写真。
デジタルになってからは見かけなくなったのは当たり前。
これはカメラに何かしらの光が入ったせいで、フィルムが感光したのが原因だって。
伯母は電柱をモチーフにしていることが多いんだよね。
惹かれるものがあったんだろうね。
写真的には失敗なんだろうけど、フィルムで撮影した写真ならではの味わいがある一枚だよ。
1970年代に始まる「ニュー・カラー」と呼ばれる潮流がある。
例えば2010年8月に書いた「SNAKEPIPE MUSEUM #05 Stephen Shore」などの写真家が有名なんだよね。
色使いが独特で、初めて観ても「懐かしい」と感じてしまう写真。
影のバランスも抜群だよ。
色褪せたカラー写真を作ろうと思ってもなかなかできないよ。
伯母の写真特集は一切加工することなく、スキャンしただけの写真を載せているので、この色合いでアルバムに貼られていたんだよね。
70年代に、アメリカのディズニーランドに行ったようで、その時に撮影されたみたい。
なんとも言えないノスタルジックな一枚だよね。
ここからは、まるで写真家の藤原新也の写真集に収められているかのような写真を載せていこう。
霧の中にぼんやりと浮かぶ街並みは、まるで映画の一コマのよう。
建物の窓を開けて撮影されたみたいだね。
神々しく光を放つ雪山。
空の藍色との対比が美しい。
満州育ちの伯母やROCKHURRAHの母は、寒さに強かったみたい。
これくらいの雪なんてへっちゃらだったのかも?
自宅で咲いた花なのか。
ピンボケ具合が素晴らしいんだよね!(笑)
上の2枚と合わせると、藤原新也の写真に見えてしまうのはSNAKEPIPEだけ?
花が好きだった伯母は、何枚も写真に記録を残していた。
その中で奇跡の一枚がこれ。
伯母本人からすると、失敗作なのかもしれないけどね?
最後はこちら。
この写真も「メメント・モリ」に含まれていても違和感がない一枚だよ。
ピンボケの雲と水面に映る光が、この世とは思えない。
じっと観ていたら、写真の上下が逆さまだと気付く。
不自然な印象を持ったのは、そのせいかもしれないね?
伯母が撮りたかったのは、雲と光なので幻想的な一枚として、このまま載せておきたいよ。
映画「ブレードランナー」の中で、レプリカントと呼ばれる人造人間達が、「自分は人間だ」と証明するために写真を所持しているエピソードがある。
子供自体の写真があるから、自分は人間に間違いないと主張するんだよね。
写真の持つ重要さにショックを受けたSNAKEPIPE。
3週に渡って特集してきた伯母の写真コレクションにも、「ブレードランナー」に似た存在証明としての意義を写真に感じたんだよね。
伯母は、どんな想いで、これらの写真を撮ったのか。
写真を観ながら冥福を祈りたいと思う。