【「Duran Duran: Unstaged」のプロモーション映像】
SNAKEPIPE WROTE:
2015年2月に書いた「ふたりのイエスタデイ chapter07」でも予告していたように、敬愛する映画監督デヴィッド・リンチが監督したデュラン・デュランのライブビジュアル映像「Duran Duran: Unstaged」がついに公開された!
TOHOシネマズ新宿が4月17日歌舞伎町にグランドオープン、そのオープニングの映画の1本に選ばれたらしい。
週末にでも観に行こう、とウキウキしていたSNAKEPIPEだったけれど…映画上映時間を調べてびっくり。
一日を通して上映していたのはオープン初日だけで、その後からは深夜枠の1日1回限りの上映になっている。
まさかと思うけど、リンチ=ミッドナイトというイメージのせいだろうか?
映画の開始が22時を過ぎていて、終了時間は24時を過ぎるとは!
こんな上映時間じゃ行きたい人も行かれないよ!(怒)
デュラン・デュランのファンだとすれば、どう考えても40歳以上の女性客がほとんどのはず。
女性が24時を過ぎる夜中の映画に行くかどうかなんて、簡単に予想できるでしょっ!
そんな上映時間のせいで、客足が少なかったのは目に見えている。
いつ行こうか迷っているうちに、4月いっぱいで上映が終了することが判明!
この怒り、一体どうしてくれよう。
行きたくても行かれない人のことを全く考慮しないで、いきなり打ち切るとは!
あれだけ前段階で情報出しておいて、何が全国ロードショーだ!
ほんの一部の映画館でだけ上映して、しかも深夜の時間帯。
楽しみに待ち焦がれていた人の気持ちを踏みにじる、TOHOシネマズには頭に来たよ。
良い映画館だと思っていたのに、今回の件でかなりのマイナスイメージ。
「早い時間帯の上映はないんですか?」
と長年来の友人Mも電話で問い合わせたらしいけど、対応はひどかったという。
結局友人Mは鑑賞できないままになってしまった。
あんなに楽しみにしてたのにね!
夜中になって終電を逃して、万が一新宿に泊まることになっても仕方ない!
それでもどうしても観たい、というSNAKEPIPEの強い気持ちにROCKHURRAHも同行してくれることになった。
もちろんROCKHURRAHも楽しみにしていた一人だからね!
そして映画打ち切りの4月30日、久しぶりに夜の新宿に出向いたSNAKEPIPEとROCKHURRAHである。
夜の歌舞伎町はかなりご無沙汰だね。
最後に行った新宿ロフトのライブからは数年経っているはず。
全然夜のお出かけもしてないしね。(笑)
平日だったけれど、やっぱり歌舞伎町はいつでも人がいっぱいだね。
TOHOシネマズ新宿は、歌舞伎町入り口にあるドン・キホーテのある交差点からもしっかり確認できた。
これなら方向音痴のSNAKEPIPEでも迷うことはなさそう。(笑)
このビルは下層階は飲食やショップが入り、真ん中に映画館、その上はホテルになってるんだよね。
そのホテルの宿泊客をターゲットにしているのか、歌舞伎町という場所柄なのか不明だけど、24時を過ぎる終了時間に設定した上映が多いのが特徴みたい。
SNAKEPIPEが目当てにしているデュラン・デュラン以外にも、数本の映画が同じような時間帯で上映されていたからね。
アニメの「名探偵コナン」を深夜に観る人ってどんな人なんだろうね?
ついに劇場への入場時間になった。
上映開始の10分前である。
座席を予約した段階では、SNAKEPIPEとROCKHURRAH以外には3席だけ予約されていたけれど、蓋を開けてみると全員で20名程度の観客がいた。
女性で1名で来ている人も数名発見!
予想通り、当時のデュラン・デュランのファンだと思われる年齢層が多かったね。(笑)
もちろんSNAKEPIPEも同年代!
男性1名で来ている人も見受けられて、ちょっと意外だったね。
深夜枠にもかかわらず、やっぱり新作映画の予告や宣伝はかなりの時間を割いてでも上映するんだよね。
終電気にしながら来ている人からみると、この時間を削ってくれたら15分は早く終わるのになあと思ってしまう。
そう感じたのはSNAKEPIPEとROCKHURRAHだけかしらん?(笑)
「Duran Duran: Unstaged」がやっと始まった!
冒頭でデヴィッド・リンチが登場する。
アレ・ブレを駆使したザラついた粒子の中。
「この指をパチンと鳴らすとショーの始まりさ」
まるで摩訶不思議なおとぎ箱を開けて、その暗黒の世界に連れて行く魔術師のようなセリフに心が踊る。
いかにもリンチっぽい雰囲気だからね!
映像は時々一部に色彩が入るけれど、ほとんどモノクロームの世界である。
うわー!デュラン・デュランだ!(笑)
動いている姿を見るのは、何年ぶりになるんだろう?
いや何十年ぶり、が正確な表現だろうね。
実は「Duran Duran: Unstaged」は2011年の3月に開催された一日限りのライブなので、今から4年前の映像ということになるんだよね。
デュラン・デュランのメンバーやデヴィッド・リンチ監督にとっては、すでに過去のことになってるだろうな。
4年が経過して、やっと日本でも公開される運びとなったんだね。
この映画でのリンチの役割は一体何かというと、デュラン・デュランのライブ映像に合わせて、ファイナルカットやphotoshopみたいにレイヤーで映像をかぶせていく、あえて言うならVJ(ビジュアル・ジョッキー)だったんだよね。
この映像はリアルタイムでネット配信されていたようで、自宅でライブを楽しんだ人も多かったみたい。
セットリストは以下の通り。
1.「Return To Now」
2.「All You Need Is Now」
3.「Being Followed」
4.「Planet Earth」(with ジェラルド・ウェイ)
5.「Friends of Mine」
6.「Notorious」(with ベス・ディットー)
7.「Blame the Machines」
8.「Hungry Like The Wolf」
9.「Safe (In the Heat of the Moment) 」 (with マーク・ロンソン)
10.「Leave A Light On」
11.「Ordinary World」
12.「The Man Who Stole A Leopard」 (with ケリス)
13.「Girl Panic!」 (with マーク・ロンソン)
14.「Careless Memories」
15.「(Reach Up for The) Sunrise」
16.「Rio リオ」
<アンコール>
1.「Come Undone」 (with ケリス)
2.「Bond Medley」〜「A View To A Kill 」 (with マーク・ロンソン)
3.「Girls on Film」(with all guests)
何十年ぶり、と言いながらも知っている曲が約半分くらいはあるんだよね!
懐かしさもあり、今でも現役で活動しているメンバーの姿が観られて本当に嬉しかった。
「あの人は今」みたいな画像を見て、まるで別人になっている姿に驚いたりガッカリすることが多い中で、デュラン・デュランのメンバーはそんなに大きな変化がなかったのも良かったね。
もちろん年齢が進めば、ある程度シワが増えたり、多少贅肉が付くのは仕方ないけれど、メンバー全員が許容範囲内だったからね。(笑)
そして驚くのは、その演奏力の高さ!
SNAKEPIPEがかつてデュラン・デュランのライブを観た時には演奏がどうのなんて気付きもしなかったけれど、あれからかなりのライブ鑑賞経験をしているからね。(笑)
これでも多少は耳が肥えたかもしれないよ。ん?表現が変かな?
かつて鑑賞したライブでは、ギターは少し小柄なアンディ・テイラーだったけれど、現在のメンバーはアンディ以外の4名になっている。
サイモン・ル・ボンのボーカルは当時のまま、というよりは今のほうがより伸びやかで声量が増しているように感じた。
ジョン・テイラーのベースはROCKHURRAHが「すごい!」と言っていたけれど、ビンビン重低音が響いていた。
ドラムのロジャー・テイラーもパワフルだったね。
ニック・ローズのキーボードも印象的な音が出ていた。
デュラン・デュランは当時アイドル・グループだと思ってその演奏については何も考えていなかったけれど、かなり実力のあるライブ・バンドだと知ったよ!(笑)
言ってみればフィルム・コンサートになるんだろうけど、画面を観ているよりはライブ会場にいるような気分になって興奮したね!
それでは今回の鑑賞における大事な目的である、デヴィッド・リンチ監督の映像処理について感想を書いてみようか。
最初は「てんかん」の人が発作を起こしてしまうような光のフラッシュが点滅し、曲のリズムに合わせて工場の機械が規則的にピストン運動するような映像がかぶさっていた。
これまたいかにもリンチ!(笑)
更に「いかにも」な映像は続き、4曲目の懐かしい「 Planet Earth」では夜の闇に浮かぶ家にリンチの作品で観た紙粘土細工のような「いびつな人の顔」が漂う。
「うわー!リンチだ!」
大喜びするSNAKEPIPEである。(笑)
上の写真は違う曲の時の映像で、同じように「いびつな顔」が使用された例ね!
ライブの中盤では曲のタイトルに応じたような映像が混ざる。
例えば「 Hungry Like The Wolf」では狼の顔のアップだったり、「The Man Who Stole A Leopard」では豹のフィギュアが出てきたり。
煙や光、工場系の機械などはかなりの頻度で登場していたね。
・ゴム手袋を嵌めた手に乗る白い玉
・ゴム手袋で握るフォーク
・釘を打つ
などの意味不明な映像もレイヤーとしてかぶさっている。
中でもインパクトが強かったのが、 人形かな。
曲に合わせて両手を拡げ、踊っていたのは1体。
次第に2体、3体とどんどん増えていって、最終的には7体のヌードダンサーになった。(笑)
ニップレスとして「D」が両乳首に使用されているのはデュラン・デュランの頭文字を取ったんだろうか。
そして顔にはモザイクがかかっている。
こんなお遊び映像で良いんだろうか?(笑)
アンコールでまたもやリンチはやってくれた!
バーベキュー・コンロで焼くウインナーを叩き落としたり、ネズミと犬(?)のパペットが曲に合わせて踊っているシーンがあるのだ。
ちょっとリンチ、面白過ぎでしょ!(笑)
SNAKEPIPEは笑い過ぎて涙を流してしまったよ!
ふざけているようにも見えてしまう映像のオンパレードだけど、SNAKEPIPEは、リンチの処女作である「Six Men Getting Sick (Six Times) 」を思い出していた。
テイストが全然変わっていないんだよね。(笑)
好きなもの、好きなことはずっと好き!と筋が通っていて、やっぱりリンチは最高だね!
「Duran Duran: Unstaged」を鑑賞して、この映画が全く一般受けはしないことが良く解った。
デュラン・デュランのファンだったら、リンチの映像が邪魔と感じてしまうかもしれないしね?
この映画を観て大喜びするのはリンチのファンだけかな。
SNAKEPIPEとROCKHURRAHは大満足で映画館を後にしたからね!
心配していた終電も逃さないで、無事に帰れたことも良かったね。(笑)
もう一つだけ書きたいのは、またもやTOHOシネマズへの不満の話。
と書いてから気付いたけど、パンフレットを作っているのはどこなんだろうね?
映画館?配給会社?広報?
どこでもいいけど、その作った所への不満ね!
この手の映画には珍しくパンフレットがあったので、ROCKHURRAHが購入してくれた。
帰宅後見てびっくり。
A2サイズを4つ折にしてA4サイズにした紙1枚だったんだよね!
表面は一応(?)ポスター、裏面は映画の内容についての文章が記載されているけれど、その情報は映画の公式HPの内容と同じもの。
このレベルだったらフリーで配っても良いのでは?
500円を取る必要があるんだろうか?
去年フリーペーパーとして配られていた「ホドロフスキー新聞」のほうが余程内容も濃く、印刷もキレイだったよ。
こんな騙しの、詐欺まがいの行為をするのはお粗末だし、許せないよね。
客の目線になって、もっと色々な勉強をして欲しいものだ。