【台風19号の影響により、雨が降る中で看板を撮影】
SNAKEPIPE WROTE:
世界中でヒットしている映画、と聞いて「観たい!」と思うことは少ないけれど、今回ばかりはその波に乗ってしまったROCKHURRAH RECORDS。
そう、話題作の「ジョーカー(原題:JOKER 2019年)」を鑑賞したんだよね!
ジョーカーというのは、 DCコミックス「バットマン」に登場する最強の悪役。
などと知ったように書いてはみたものの、実は漫画は読んだことないんだよね。(笑)
バットマンは映画でシリーズになっているので、その中の数本を観たことがある程度。
バットマンの宿敵であるジョーカーを主役にした映画ということは、いわゆるアンチ・ヒーロー物になるよね。
例えば「羊たちの沈黙(The Silence of the Lambs 1991年)」に登場するハンニバル・レクター博士のような感じかな。
正義や愛をテーマにした勧善懲悪物には、あまり興味を持たないROCKHURRAH RECORDS。
映画ランキング・トップのニュースを耳にしながらも、10月の3連休に観に行くことにしたのである。
ところが、この3連休には令和元年台風第19号(アジア名:ハギビス/Hagibis)が首都圏を直撃!
計画運休を決定した交通機関がほとんどで、なんと映画館も休館してしまった。
いつ上映が開始されるのか不明なまま、映画館のHPを何度も確認する。
連休最終日にやっと予約が取れたのである。
木場にある109シネマズ木場に行くのは初めてのことだ。
東京都現代美術館に行く時には、必ず利用している駅なのにね?
イトーヨーカドーの3階にある、ということだけどシアターが1から8まで完備されているという。
度々訪れる新宿バルト9と、そこまで変わらない規模ということになるね。
恐るべし、イトーヨーカドー!(違う?)
バルト9の場合は、シアターによってフロアが変わるけれど、109シネマズ木場はワンフロアなので、迷うこともなく、上映時間に遅れることも少ないんじゃないかな?
ただし、恐らくこの映画館ではメジャーな作品の上映しかしないだろうから、ROCKHURRAH RECORDSがお世話になる機会は少ないだろうけど。(笑)
連休中だったことも、台風の影響で遠出できなかったせいもあったのか、客入りは9割程度。
109シネマズ木場では、2つのシアターで「ジョーカー」を上映していたので、やっぱり大人気なんだね。
初めて入った劇場は、ゆったりしていて、視界良好!
この映画館、なかなか良いね!(笑)
それでは早速「ジョーカー」の感想をまとめていこうか。
まずはトレイラーをご覧あれ!
※ネタバレしないように書いているつもりですが、未鑑賞の方はご注意ください!
「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。
都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。
笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気溢れる「悪のカリスマ」ジョーカーに変貌したのか?
公式HPにあるあらすじを引用させて頂いたよ。
主役であるアーサー・フレックを演じたのは、ホアキン・フェニックス。
ROCKHURRAH RECORDSでは、ホアキンと聞けば、チリのプロ・ゴルファーであるホアキン・ニーマンを連想してしまうけど?(笑)
今回の主役は、1980年代に大人気だった、俳優であるリヴァー・フェニックスの弟なんだよね。
全然似てないんだけど、本当に兄弟?
兄であるリヴァー・フェニックスは1993年に23歳という若さで急逝してしまう。
死因は麻薬の過剰摂取とのこと。
Wikipediaの記事によれば、その時一緒にいたのがホアキンだったらしい。
どんな状況だったのかは不明だけど、19歳のホアキンが辛い経験をしたことは想像できるね。
現在のホアキンは44歳で、とても健康そうに見えるよ。
映画「ジョーカー」の時のホアキンがこれ。
上の画像とはまるで別人だよね?
ヒゲで顔の輪郭が分かりづらくなっているのは確かだけど、それにしても頬はげっそりとこけてるし。
調べてみると、どうやら「ジョーカー」のために50ポンド、約23kgも減量して役作りをしたようで。
ぽっちゃりしてるピエロもいると思うけど、確かに「ジョーカー」の主役としては、不健康そうなイメージのほうが合ってるもんね。
舞台は1981年のゴッサム・シティ。
恐らく裕福な地域ではない設定なんだろうね。
その時代のニューヨークは生活水準が低く、治安が悪化していたという。
特に地下鉄は犯罪の温床とまで言われるほど、危険な場所だったそうで。
移動するのも命がけになっちゃうよね。
そんなニューヨークの状況をゴッサム・シティは踏襲しているのかな。
アーサーは、ピエロとして生計を立てている。
社会全体が不満で溢れている中、楽しげな笑いは怒りの対象になるのかもしれない。
嫌がらせや暴力を受けるアーサーは、見ていて気の毒だよ。
あらすじにもあったように、アーサーは母親の看病をしているんだよね。
母親は一歩も外出していなくて、食事も入浴も、すべてアーサーの介護が必要なようで。
アーサーの優しさがよく分かるシーンだったよね。
そんな母親の楽しみはマレー・フランクリンの番組を観ること。
アーサーもマレーのファンなんだよね。
このトーク番組で司会をしているマレー。
演じているのが、ロバート・デ・ニーロ!
辛口コメントで番組を盛り上げていく司会者役がぴったりだったね。
日本でいうなら「みのもんた」か「小倉智昭」みたいな感じか?(笑)
あまりにもハマり過ぎていて、最初デ・ニーロだと気付かなかったほど。
役作りのために体重を増減させる俳優の第一人者として、今回のホアキンの変貌ぶりはどう感じたのか聞いてみたいね?
アーサーの心の拠り所は他にもある。
同じアパートに住んでいるソフィーという女性だ。
ソフィーは、母一人子一人というシングルマザーみたい。
エレベーターで、ほんの少し言葉を交わしただけで、心を惹かれるアーサー。
他に女性との関わりがないということがよく分かるエピソードだよね。
アーサーには母親、ソフィー、そして司会者のマレーという3人が心の支えになっていたのかな。
アーサーには障害があることも、人との関わりが難しかった要因だろうね。
病名がWikipediaの解説によれば「トゥレット障害」とされているけれど、詳しくは分からないよ。
アーサーは何かしらの刺激により、突発的に笑い出す病気なんだよね。
例えばそれが怒りの感情から引き起こされても、笑いとなる。
そのため怒りながら笑っているという、非常に怖い顔が出来上がる。
竹中直人の芸で「笑いながら怒る人」があるけど、アーサーは本物なんだよね。
貧困、孤独、病気と、アーサーを取り巻く環境は良くない。
アーサーが「ジョーカー」になるきっかけとなった地下鉄の事件。
嫌なタイプの男3人なんだよね。
酔っ払って女性に絡んで、相手にされないと力づくで乱暴しようとする。
こんな男達は成敗されて当然だ、と思ってしまうよ。
一気にアーサーの怒りが爆発したのも納得しちゃう。
「ブルー・スチール(原題:Blue Steel 1990年)」というキャスリン・ビグロー監督の作品に、銃を手にしたことで殺人を繰り返す男が登場する。
銃は力の象徴であり、自分自身が強くなったように感じてしまうんだろうね。
アーサーも武器を手にすることで、不満を爆発させる。
「社会の弱者だったアーサー」からの脱却ということだろうね。
ピエロの化粧に、赤いスーツ。
オレンジ色のベストに緑のシャツ、というド派手な色合いなのに、この時のアーサーにダンディズムを感じてしまったSNAKEPIPE。(笑)
自信を持ったアーサーの雰囲気が、通常のピエロとは別の人格に変えて見せているのかな。
弱者だった時のアーサーは、この長い階段をトボトボと一歩ずつ踏みしめながら歩いていた。
赤いスーツの、「ジョーカー」に変貌したアーサーのステップったら!
階段降りる時は、転ばないように注意するSNAKEPIPEなんだけど、この時のアーサーはダンスしてたもんね。(笑)
王者は俺だ、と言わんばかりの堂々とした動き。
楽しげに笑いながらダンスしていたよね。
この時に流れていたのがゲイリー・グリッターの「Rock and Roll part 2」。
このダンス・シーンに合っていて、秀逸な選曲だったね!
ゲイリー・グリッターは70年代、グラム・ロックの時代に大人気だった人物。
胸をはだけたギンギラのラメ衣装と、オーバーアクションが特徴!
ROCKHURRAHが書いた2011年1月の記事、「 時に忘れられた人々【07】グラム・ロック編 side B」もご参照あれ!
「心優しいアーサーが何故、悪のカリスマ・ジョーカーになったのか」とあらすじに書いてあったけれど、今回の映画を観て納得させられてしまった。
カリスマとして英雄扱いされている様子に拍手を送りたい気分になる。
世の中に一石を投じたジョーカーに陶酔する、民衆の気持ちが理解できるからね。
一度でも弱者扱いされたことがある人は、共感するんじゃないかな。
それが「ジョーカー」の人気の理由なのかもしれないね?
ホアキン・フェニックスが出演している映画は、何本か観ているようだけど、あまり印象に残っていない。
今回のホアキンは、ジョーカーが乗り移ったようで、鬼気迫る演技に圧倒されたよ。
それにしてもホアキン、タバコ吸い過ぎだよね。(笑)
「バットマン」のシリーズでジョーカーが印象的だったのは、「ダークナイト(原題:The Dark Knight 2008年)」。
以前鑑賞しているはずだけど、10年以上も前のことなので忘れてしまったよ。(笑)
「ジョーカー」との比較の意味を込めて、もう一度鑑賞することにしたんだよね。
SNAKEPIPEと同じように忘れている方のために、トレイラーを載せておこうか。
主役のブルース・ウェインことバットマンをクリスチャン・ベールが演じている。
「ベルベット・ゴールドマイン(原題:Velvet Goldmine 1998年)」では、グラム・ロックのスターに憧れている青年役だったっけ。
またもやグラム・ロックが出てきたよ。(笑)
そしてバットマンの宿敵であるジョーカーを演じたのがヒース・レジャー。
銀行を襲う最初の登場シーンから最後まで、ずっと顔はこの化粧のまま。
その場しのぎの仲間を作るけれど、使い捨てにする。
そのため結局は一匹狼なんだよね。
頭が切れて、行動力もある異常者。
人間の性悪説を証明することが生きがいらしいので、手に負えないよ。
ジョーカーの異常性が最も良く表れていると感じたのが、看護婦に化けているシーン。
かなり不気味で強烈な印象を残してるよ。
この時のジョーカーがフィギュアになっているのを発見!(笑)
欲しいような欲しくないような逸品だけど、商品化したくなる気持ちも分かるよね。
ヒース・レジャー版のジョーカーも迫力満点!
この映画の後、亡くなっているのが非常に残念な俳優だよ。
制作年度が逆だけど、「ジョーカー」で、その成り立ちが語られ、「ダークナイト」では、その活躍(?)を鑑賞することができる。
2人の俳優が演じた、それぞれのジョーカー。
どちらも魅力的で、根強い人気があるのもうなずけるね。
ピエロを題材にした映画といえば、「気狂いピエロの決闘(原題:Balada triste de trompeta 2010年)」や「IT(原題:IT 1990年、2017年)」もあるよね。
「ジョーカー」の開始前に予告されていたのが「IT」の続編だった。
まだまだピエロを主人公にした映画が続くんだね。
やっぱりアンチ・ヒーロー物は面白い!(笑)