デヴィッド・リンチ Industrial Fantasy 鑑賞

20190602 top
【スクールデレック芸術社会学研究所入り口を撮影】

SNAKEPIPE WROTE:

今年のGWに鑑賞した「デヴィッド ・ リンチ_精神的辺境の帝国展」で、5月10日から開催されるデヴィッド・リンチ写真展のフライヤーを受け取った。
リンチの絵画展で、開催予定の写真展を知るなんて幸せだわ。(笑)
会場として書いてあるのはSgùrr Dearg、読み方が分からないので、スペルをそのまま打ち込んで検索する。
スクールデレック、と読むんだね。(笑)
おや?これは2008年に松井冬子のトーク・イベントに行った「ナディッフ」の場所じゃないの!
その時の様子については「好き好きアーツ!#03 松井冬子&金村修」に書いてあるのでご参照下され。(笑)
そのナディッフ2Fに、現在「スクールデレック芸術社会学研究所」が設立されている。

ここの所長である飯田高誉さん、 かなりのリンチ・フリークらしく、リンチ系の企画は全てこの方の手によるものだと判明!
もしかしたら1991年の東高現代美術館で、SNAKEPIPEと友人Mの往復はがきを受け取ってくれた方かもしれないよね?
この時の話は「好き好きアーツ!#16 DAVID LYNCH—Hand of Dreams」にまとめているので、詳しくはこちらをご覧あれ。
もしあの時の方だったとしたら、本当にありがとうございました!(笑)
1998年のパルコギャラリーにおけるリンチの写真展も、2012年のラフォーレ原宿の展覧会も、この方の手によるもの。
今まで手がけた企画・展覧会を見ると、SNAKEPIPEの好みに合ってるんだよね。
飯田高誉さんがキュレーターとして選んだ作品やアーティストは、間違いない!
飯田さんが絡む企画、チェックだね。

前に書いた「GYRE GALLERY」での展覧会は、とても無料とは思えないほど展示作品数が多く、大満足だった。
今回のスクールデレックは、どんな会場なんだろうね?
ROCKHURRAHとSNAKEPIPE、まずは恵比寿に出かけてみることにする。
最近はほとんど写真美術館にも出かけていないので、恵比寿に行くのは久しぶりだなあ。
調べてみたら2012年8月に「田村彰英—夢の光/鋤田正義—SOUND&VISION」を鑑賞していることが分かった。
なんと今から7年も前だって。
一応写真美術館の企画はチェックしているんだけど、「これは!」と思う展覧会ではないんだよね。

この日は5月でも特に日差しが強い日で、SNAKEPIPEは日傘を差して日焼け防止する。
スクールデレックの場所、ちょっと分かりづらいんだよね。
方向音痴に加え、久しぶりの恵比寿、迷わないわけがない。(笑)
ROCKHURRAHがGoogleマップで検索しながら道案内してくれる。
SNAKEPIPEは「なんとなく」覚えていたけれど、いつも通り、かなり曖昧な記憶だったね。

1Fは「ナディッフ」でアート系の書物やグッズが販売されている。
お目当てはリンチ展のため、2F会場に向かう。
TOPの画像にあるように入り口はすぐに分かり、会場内部に入ってみる。
誰もいない!
しかもちょっと暗めの部屋に写真が数点、中央のスクリーンには何やら風景が映し出されている。
撮影許可について尋ねようと、本棚の後ろにいる女性に声をかけるとオッケーとの返事が。
またバシバシ撮影させてもらおう!
そしてSNAKEPIPEが非常に驚いたのは、受付の女性の息を呑むほどの美貌!
あまりにびっくりしたせいで、前の文章に「の」が4つも入ってるじゃないのっ! (笑)
作品鑑賞以外に、目の保養として受付女性にご挨拶というのもアリですな。

再び会場に戻るROCKHURRAHとSNAKEPIPE。
今回はリンチの1980年代から2000年にかけて撮影された写真群の展覧会で、作品数は全部で8点。
タイトルにあるように「インダストリアル」な雰囲気がある作品が多かったよ。
照明はオレンジがかった色調だったので、撮影した画像が影響を受けている。
フィルター着けたわけじゃなくて、会場で撮影したらこうなってたんだよね。
こちらの作品は「untitled ニュージャージー 13:7」だって。
遠くに霞むビルを、川のこちらサイドから眺めるというのは、どうして寂寥感を伴うのだろうか。
「あっち側」と「こっち側」で住む世界が違っているように感じてしまうからかもしれない。

今回の展覧会用フライヤーで使用された画像がこれ。
1980年代の終わり頃から1990年代初頭に撮影されたイギリスの写真との説明がされている。
この写真は、前にもどこかで観ているんだよね。
SNAKEPIPEが所蔵している(大げさ!)リンチ関連本をパラパラめくっていたら、1999年にフィルムアート社から出版されているリンチの本の中に似た写真を発見!
「インダストリアル・イメージ」と題されて載っていたよ。
今回の写真と少し角度が違っているんだけど、どちらも非常にカッコ良い。
これはポスターあったら購入して、部屋に飾りたい作品だね!

今回の展示は、全てガラス付きの額に入った状態だったので、反射した光を取り込まないように撮影するのに苦労したよ。
この画像はROCKHURRAHが撮影したもの。
SNAKEPIPEのほうは、自分の影まで写り込んでいて大失敗だったよ。(笑)
工場跡地(?)にある水たまりに映った光を捉えた作品なのかな。
淀んでいた泥水に光が差し込み、神々しさすら感じてしまうんだよね。
これぞまさに「インダストリアル・ファンタジー」というタイトル通り!
リンチが得意にしている、相反する単語による造語だな、と想像しながら鑑賞した作品だよ。

会場中央にあるスクリーンに映し出されていたのは、リンチの作品だと勘違いしてしまった。
どうやら「リンチにインスパイアされた作品」ということだったらしい。
1987年東京都生まれで、2014年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了した伊藤久也の「BLACK OUT」は、いくつもの映像をつなぎ合わせた10分ほどの作品だった。
撮りたくなるのが分かるシーンがいくつもあって、ニヤリとしてしまう。

インダストリアルなシーンの中にも、霧で遠くが霞んで見えるような風景も混ざり、リンチへのオマージュだな、と感じた。
画像のトンネルはネガとポジの両方を交互に見せていて、前に書いたリンチの二律背反を表しているのかもしれないね。
伊藤久也という方の作品は、今回初鑑賞。
またどこかでお目にかかるかもね?

2Fの展示はここまでで、帰ろうとした時にギャラリー入り口付近にある本棚に目をやる。
これはもしかしてスクールデレック芸術社会学研究所の図書なのかな。
SNAKEPIPEも所持している本も何冊かあったけど、素晴らしいラインナップにため息がでるほど。
「ここの本、全部欲しい!」
と思ってしまったよ。(笑)

3Fにも展示作品があるようなので、行ってみる。
ここはMEMというギャラリーで、北山善夫の「事件」が開催されていた。
212cm×152.5cmの大きな作品が展示されている。
一瞬織物なのかと思い、近寄ってみる。
今度はシルクスクリーンによる版画なのかと思い、更に近付いてみる。
和紙にインクで手描きしているんです、と受付の女性から教えてもらう。
撮影の許可も頂いたので、パシャッ!
これだけの大きさを、点描みたいな手法で描きこんでいくのってものすごく根気が要る作業だよね。
これは2週間前の「百年の編み手たち〜ただいま/はじめまして 鑑賞」 に登場した手塚愛子や関根直子の先輩ってことになるのかな。
北山善夫のプロフィールを調べてみると1948年生まれとのことなので、今年71歳くらい?
若手アーティストの作品だと思って鑑賞していたので、驚いてしまった。
現役で活躍しているアーティストなんだよね!

「隣の部屋にも作品ありますよ」 
受付の女性が声をかけてくれる。
この女性も、スクールデレックにいた女性同様美しい方だったよ。
髪型が80年代風なので、親近感を覚えてしまうね。(笑) 
隣の部屋に行ってみる。
「こっ、これはっ!」
地獄絵巻の阿鼻叫喚図とでも言ったら良いのだろうか。
ホロコーストを表しているかのような、苦しみ悶える人々の群れ、群れ、群れ!

「すごいね、この梅干し人形は」
平然とした顔でROCKHURRAHが言う。
梅干し人形?!(笑)
いやあ、まあ、言われたら確かに梅干しに顔を描いたみたいだけどさ。
なんで勝手にネーミングしてるんだか?
タイトルは「生まれて 生きて 死ぬことを知り得る」で、2019年の作品だという。
どうやら人型の粘土の彫刻を最初に制作し、それから絵画にしているようだね。
インパクトのある作品を鑑賞することができてラッキーだったよ!

「ナディッフアパート」で3人のアーティストの作品を鑑賞することになったけれど、共通項はモノクロームだったね。
そしてリンチも北山善夫も70代のアーティスト!
これからも作品を発表し続けてもらいたいと思った。
そして今回初めて行ったスクールデレックとMEMは、要チェックだね。
厚みのある紙の素敵なフライヤーも嬉しかった!
次はどんな企画を立ててくれるのか、楽しみに待っていよう。(笑)

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