【ROCKHURRAHプロデュースの新バンド? 果樹グーグー】
ROCKHURRAH WROTE:
この前の三連休はまさかのような春の嵐、SNAKEPIPEが負傷するという災難に見舞われてしまった。交差点を自転車で横断しているさなかに突風に襲われ、横転・・・はしなかったが無理な体勢だったので腰を痛めてしまったのだ。一週間で何とか元通りになってきたが改めて自然の力の強大さを思い知った。と言うより日頃の鍛練不足かもね。
三月も終わりだってのにこのブログを書いてる現時点ではまだまだ寒い。桜の開花が、などと話題にのぼっていても夜桜見物などした日にゃ白い息しか見えないありさま。東照宮でも凍傷人続出か?
さて、この凡庸な前フリから「春と言えば花見、それでは花の名前にちなんだ楽曲(またはバンド名)を列挙してみましょう」などというどうでもいい記事を書いてみようと考えたんだが、実はそんなにスラスラと思いつくものもなくて困ったもんだ。それで花じゃなくて春とはあまり関係ないかも知れない果物にちなんだバンド名を思い出してみたのが今回の記事。例によってROCKHURRAH恒例の原則(70〜80年代のパンクやニュー・ウェイブ限定)を踏まえてのセレクト、しかも最近かなり同じパターンばかりでやってる方も飽きるよ。
画像クリックすると例によって音や映像出ますので注意。
Strawberry Switchblade
まずは先日「めざましテレビ」でも特集になっていた2娘1(ニコイチ)ファッションをいち早くやっていた80年代グラスゴーの女性二人組、ストロベリー・スイッチブレイドから書いてみようか。直訳すればイチゴの飛び出しナイフ。うーん、よくわからんネーミングだなあ。バンド名でピンと来なかった人も映像見れば「ああこれか」と納得出来るはず。そもそも2娘1などをやっておる者たちが生まれるより遥か昔のバンドにルーツがあるとは本人たちも知らないだろうな。唯一の大ヒット曲「ふたりのイエスタディ」は80年代一発屋特集でもおなじみ。
余談だが1982年に伊藤さやかが歌ってあまりヒットしなかった曲「天使と悪魔」のイントロと「ふたりのイエスタディ」のイントロはクリソツ。時代的には「天使と悪魔」の方が数年早かったので日本の勝ち。というか伊藤さやかなんて今どき誰も知らないだろうなあ。
このストロベリー・スイッチブレイドの方はもう一曲くらいヒットしたはずだが、あっという間に消えてなくなった感じがする。何とメンバーの片割れはスロッビング・グリッスル、サイキックTVのピーター・クリストファーソンがやっていたコイルのメンバーと後に結婚したそうでカレント93やデス・イン・ジューンなど錚々たるインダストリアル系列のバンド達と活動していたらしい。音楽的には対極、というか接点などありそうもないが意外なところと繋がっているもんだなや。
Orange Juice
次は上記のグラスゴーからたぶん近いエディンバラ出身のオレンジ・ジュース。パンク以降に無数に発生したインディーズ・レーベルのひとつ、ポストカード・レコードよりデビューしたバンドでその頃はポール・ヘイグのジョセフK、ロディ・フレームのアズテック・カメラと共にエドウィン・コリンズのオレンジ・ジュースはこのレーベルの御三家的な扱いを受けていた。イルカのジャケットで有名な1stアルバム、そして「キ・ラ・メ・キ・トゥモロー」などという不可解に恥ずかしい邦題が非常にインパクト大だった2ndアルバムは大ヒットして当時の音楽雑誌の表紙を飾ったりもしていた。ただしネオ・アコースティックという言葉から連想されるような音楽とはちょっと違っていて、このエドウィン・コリンズは相当に粘着質の独特にこもった声の持ち主だ。代表曲の「Rip It Up」や「I Can’t Help Myself」などは80年代初期に大流行したファンカ・ラティーナなどの流れをくんだ曲で本人達もモータウンとかその辺の影響を受けているのはわかるが、失礼ながらよくこんな歌い方でヒットしたものだとずっと思っていた。
Lemonheads
今度はアメリカ、ボストン出身のレモンヘッズだ。ギター・ポップとパワー・ポップとパンクの中間点あたりにあるバンドで、そういう細分化があまりされてないアメリカでは単なるインディーズ・ロックというようなくくりになるのかね。「Alison’s Starting To Happen」などはなかなかノリが良くて好きだが個人的に嫌いな曲やどうでもいい曲も多く、実はあまりコメント出来ないんだな。ヴォーカルのイヴァン・ダンドが何かの映画に出たのは覚えてるけど何の映画だったか思い出せないほど。好きな人にとっては宝物のような存在なんだろうけど、わざわざ名前出しておいてこの程度のコメントしか書けなくて申し訳ない。
Mighty Lemon Drops
レモンつながりで必死に思い出したらこんなバンドもあった。ウチのブログ記事「時に忘れられた人々【03】リヴァプール御三家」で書いたマイティ・ワー!とティアドロップ・エクスプローズをレモン風味でミックスしたというようなバンド名と音の方はエコー&ザ・バニーメン直系の叙情派ネオサイケ。要するにいいとこ取りをしたバンドのつもりだったわけだろうが、悲しいほどに亜流の域を出ず、曲さえもほとんど覚えてないありさま。だったらなおさら書くなよ、とファンから怒られてしまうね。ヴィデオの曲はロクなカヴァーが存在しないことで有名なティアドロップ・エクスプローズのカヴァー。やっぱりろくでもないカヴァーだった。
Lemon Kittens
画像しつこい?果実の名前がついたバンドとは言っても、ない果実はない、非常に読みにくい果実名もバンド名にはならない。これは当たり前のこと。ビワとか柿とか外国のバンドではたぶんないだろうからなあ。でもってレモンは外人も日本人も発音しやすいからまたまた出てきたよ。レモン・キティンズは後にソロとして活躍するダニエル・ダックス嬢とショック・ヘッデッド・ピータースになるカール・ブレイクによるアヴァンギャルド系のバンド。そこまで革新的だったわけではないが実験的な音楽と聴きやすさが魅力だったな。それにしてもアヴァンギャルドやインダストリアルを志すのは妙に美女が多いものだ。
The Apples In Stereo
果物の名前を使ったバンドということからみずみずしい、爽やかという先入観になるのは仕方なく今回はどうしてもネオ・アコやギター・ポップ系列が多くなってしまうな。
次のアップルズ・イン・ステレオもやはりギター・ポップに分類されるアメリカのバンド。大ファンというわけでもないのにこのブログでも数回その名前が登場しているな。
現在や最近はどうなのか知らないけど90年代後半に登場して珠玉のポップス・センスを発揮しまくったのは記憶に新しい。え?90年代はもう大昔?まあ好き嫌いに関わらず曲作りは素晴らしいんだが前も書いた通りヴォーカルの見た目に少し問題があって、ダイエット・ピラティスをオススメしたくなってしまう。紹介したプロモではROCKHURRAHも愛用しているダン・エレクトロのギターを使っていて個人的なポイントは高い。
Bananarama
80年代前半のニュー・ウェイブ男子を魅了したかどうかはわからないが取りあえずガールズ・グループとしては王道の三人組。最初の頃は元スペシャルズの三人が結成したファンボーイ・スリーと一緒にやってたり、この手の三人娘としてはちょっと面白い活動をしてたが、大ヒットした「Venus」あたりになるとROCKHURRAHにはあまり興味ない世界。特に思い出もないから何も書けないな。だったら最初から書くなよ、としつこいほどに怒られそう。今回のブログは完全に企画失敗したなあ。
Fred Banana Combo
バンド名はなぜか知ってるし中古レコード屋で見かけたこともあるけど彼らの事はそんなに知らない。どうやらドイツのバンドらしくてデアKFCやMittagspause(読めん)などと同時期くらいにやってた模様。パンクとは言っても英米のものとはちょっとニュアンス違うんだがビートルズの「Yesterday」を妙な具合にカヴァーしてたり(カヴァーには聴こえないくらい)、結構面白いものがある。誰でも知ってるような果実バンドばかり特集してしまったから個人的には全部このくらいマイナーなものを探して来たかったよ。
Virgin Prunes
ラストを飾るのはポジパン特集でも書いたヴァージン・プルーンズだ。何だかみずみずしくない画像でスマン。ホラー寸前のいかがわしいメイクに女装趣味、そして一度聴くとやみつきになる独特のいやらしい声を武器にしたアイルランドのバンドだ。たまに西洋を通り越してむしろ日本の民謡、演歌に近いテイストまで感じるような奇妙な曲まであって、独創性という点ではかなり素晴らしい。U2の幼なじみとしてくらいしか知られてないのが残念だが個人的にも大好き。
以上、意外とヴァリエーションが少なくて不満足な結果となってしまったがまあこんなところで許して。果物の名前のついたバンドなんて世の中にはたくさんあるが思い出すのに結構苦労したな。もう第2弾はないだろうから安心して。